~前回のあらすじ~
サトー「やらせはせん!やらせはせんぞぉ!!」
イザーク「何が起こってる!?」
カガリ「え、これ想像以上にヤバいのでは?」
アスラン「アスラン・ザラ、出る!」
という事で、久しぶりの彼の登場です。
ユニウスセブン上空、メテオブレイカーを守りながら凍った地表へ降下していくゲイツを眼下に、アスランは作業部隊を狙って飛来する改造ジンを見遣る。ビーム突撃銃で応射し、ほんの一呼吸の間に頭部、左脚部を吹き飛ばす。
瞬く間に僚機を戦闘不能に陥れたアスランを警戒したのだろう。他の機体を狙っていた二機の改造ジンが散開し、挟み込むようにアスランのザクへと迫る。向かって右側のジンがビームを放ち、左側のジンは重斬刀を抜く。
咄嗟にアスランは脚部スラスターを吹かし、姿勢を崩さないまま宙返りしつつ射線を躱す。アクロバティックな動きに視界はぶれるが、アスランには関係ない。間髪置かずに突撃銃を放つと、相手のライフルと頭部を連続で貫く。そこで動きを止めずに、今度は尚もこちらに近付くもう一機のジンへと照準を合わせる。一発目は重斬刀を握る右腕を、二発目は僅かに機体を移動し射線を確保してから背部のブースターを。
流れるように相手の武装と機動力を削いだアスランは、慣性で近付く丸腰となったジンを、ザクの右脚を振り抜いて打ち返す。姿勢制御も許されないまま、蹴り飛ばされたジンは凍った地表へと叩きつけられた。
地表で動かないジンを見て、一先ず目下の危機は去ったと判断したアスランはゲイツ隊の支援を行うべく機体をそちらに向ける。しかし次の瞬間、彼の目に入って来たのは逆の方向から彼らを襲う光条だった。上空へと目を向ければ、巨大な兵装ポッドを背負った機体、カオスがまだゲイツの部隊をビームライフルで狙っていた。
「くそ…!こんな事をしている場合じゃないだろうッ!」
毒づきながら機体を返し、素早くカオスへビームの連射を浴びせる。カオスの反応も早く、ザクの存在に気付くと放たれたビームを巧みに避けながら、背部のポッドをパージした。二基のドラグーンがザクの前後を挟み込み、ビームを放つ。
アスランは襲ってくるビームを躱しながら、その攻撃を頼りに軌道を予測しトリガーを引く。するとポッドの一基がその一射に貫かれて爆散。その爆発に身を隠しつつ、カオスへの距離を詰めて懐へと飛び込むと、アスランはライフルを左手に持ち替えてからビームトマホークを抜き放つ。
ザクの斬撃はシールドによって防がれ、更にカオスはビームサーベルを抜こうと腕を背後へ伸ばす。しかし、アスランが動いたのはそれよりも早かった。左手のライフルを放り投げると、その手で拳を握り、カオスの顔面へと叩きつける。慣性を乗せた一撃は、カオスを大きく後方へと吹き飛ばした。
カオスが怯んだ隙にアスランは先程放ったライフルを回収し、もう一基のポッドを撃ち落とす。その間に体勢を立て直したカオスが、ビームサーベルを抜き、頭部バルカンを放ちながら突っ込んでくる。
「時間がないんだ!」
これに乗っているのは地球連合軍のパイロットである筈だ。ならば、こんな戦闘に時間を費やしている場合ではないのは同じの筈なのに。アスランの焦りにも関わらず、カオスはムキになったように食らいついて来る。それに対してアスランは応戦するしかない。
ライフルをマウントしてシールドを掲げ、カオスと衝突する。瞬間、弾かれるように同時に後退し、再び両者は得物を片手に迫り合う。
今度はアスランもトマホークを振るい、再度衝突─────ぶつかり合う両機の間で飛び散る火花が、その衝突の激しさを物語る。
─────クソッ!これじゃあ、まるで…!
遮二無二に振るわれる斬撃を捌きながら、アスランは今のカオスの動作から、まるで
状況を理解しようとせず、ただ気に入らない相手に執着して攻撃をする─────そういえば、
「っ─────!」
ザクがカオスに押し負ける。正面からのぶつかり合いではやはり、どうしてもザクでは敵わないのが現実だ。それでも時間を掛ければカオス相手でも充分に打ち倒す事が出来る、その技量をアスランは持っている。そう、
刻一刻と迫る、地球滅亡のカウントダウン。にも関わらず、落下を続けるユニウスセブンには目もくれず自分に執着し続けるカオスに、アスランは内心の苛立ちを止める事が出来なかった。
「この…、いい加減にしろッ!」
こうなったら発想を変える事にした。振り切って作業を手伝う事も出来なくはないが、そうなればカオスが解き放たれる事となる。そうなれば、多くの僚機が落とされかねない。ならばここでアスランがカオスの足止めをする。そうする事で、作業の時間を稼ぐ事が出来る筈だ。
腹を決め、アスランはトマホークの刃を敵に向ける。直後、前方から突っ込んで来たカオスとザクは、激しく交錯した。
『お前らのせいかよ、こいつが動き出したのはっ!?』
通信回線を通して、アウルの叫びはガーティ・ルーの艦橋に届いていた。隊長であるネオもまた、艦橋で戦況を見つめながら彼の怒鳴り声を耳にした。
上層部からの命を受け、ユニウスセブンへと針路を向けていたガーティ・ルー。そうして彼女らが知ったのは、ユニウスセブンの軌道変更と、その向く先にあるのが地球という事実。
突然の振って来た命令を聞いた時から、何かあるとは思っていたが─────流石のネオも想像以上の大事件を目の当たりにし、内心驚愕を隠せないでいた。
だが本当に驚かされたのは、その後だった。ネオ達が到着した時にはすでに、ユニウスセブンの地表にはザフトの機体が辿り着いていた。何らかの機器を持ち出し、それを地表へと打ち込もうと作業をするその姿から、落下するユニウスセブンを破砕しようとしているのだろうとすぐに見て取れた。
ネオが驚かされたのは、その作業を
─────あぁ、上が求めているのはこれか…。
地球へ向けて落下を続けるユニウスセブンと、そこにあるザフトのモビルスーツ。それらを見て、何故自分達がこの場に召喚されたのか、その理由を察したネオはスティング、ステラ、アウルに出撃を命じた。機体に乗り込み出撃した三人はすぐに交戦に入る。
「隊長は出撃なさらないのですか?」
交戦に入ったカオス、ガイア、アビスの映像を見つめるネオの横から、イアンが静かに問い掛けて来た。
「その必要があると思うのかしら?」
「いいえ。全く」
上が欲しているのは、ユニウスセブン落下に
戦闘後、ガーティ・ルーや出撃した三機から戦闘映像を抽出、都合の良い箇所を画像化して提出すれば上も満足するだろう。わざわざネオ自身が出撃する必要はない。ネオまで出撃し、必要以上に戦闘が泥沼化すれば本当にユニウスセブンが地球へ落下する恐れだって出て来る。それだけは決して避けねばらならない─────。
「………」
その時、ネオの胸の奥底でほの昏い感情が粟立った。それを彼女はすぐに振り払う。
確かに地球には、自分を玩具にして好きなように利用し続ける憎き男がいる。この流星が地球に落ちれば間違いなく、男は亡き者となるだろう。─────無関係な人達と、かつて共に笑い合った
天秤はすぐに傾き、ネオの中で生まれた小さな破滅願望を一掃する。
ネオが誰とも知れず葛藤していた間に、艦から出撃した三機は最早因縁深いといえるモビルスーツと交戦状態に入った。カオスは緑のザクと、ガイアは赤いザクと、アビスはネオ達が取り逃した白の新型機と。
「…あのザクに乗っているパイロット、何者かしら」
ステラ、アウルはそれぞれ赤いザクと白い新型と一進一退の攻防を繰り広げていた。だが残るスティングは、緑のザクを相手に翻弄されている。すでに二基のドラグーンは撃ち落とされ、良いようにスティングの意識をザクに向けさせて時間を稼がれている。
前回の戦闘では出撃して来なかった、その機体のパイロットは映像を通して見るだけで技量の凄まじさが伝わって来る。しかし、何故だろう─────この緑色のザクの動きを見ていると沸々と沸き立ってくるこの苛立ちは。今すぐにでも出撃して、この手で殺してやりたい衝動に駆られるのを、ネオは深く呼吸をして沈める。
「あぁっ!?」
突然、クルーの一人が声を上げたのはその時だった。それと同時に騒めく艦橋、イアンも目を見開き前のめりになりながら何かに目を奪われていた。
ネオも彼らが目を向けている、モニターに映された映像を見る。
誰もが息を詰めて見守る先で、凍った大地に巨大な亀裂が走っていた。亀裂は見る間に深く空隙を広げていき、やがてほぼ真っ二つに裂けたのだった。
『グレイト!やったぜ!』
激しい妨害を受けながらも、必死に打ち込んだメテオブレイカーが遂にユニウスセブンを裂いた。爆破の反動で撒き散らされる岩塊を避けながら、ディアッカが喜びの声を上げる。彼のみならず、通信回線を通して皆が上げる歓声がイザークの耳にも聞こえて来た。
強奪された三機も、事態に驚いたのか攻撃を止めてやや退いていくのが見える。一仕事を終えたような達成感を誰もが覚えていた。
イザークもコックピットの中で安堵を過らせたその時、冷静な声が通信回線に入り込んで来た。
『だが、まだまだだ』
「ッ─────!?」
聞き覚えのある、かつこの場に聞こえる筈のない─────二度と聞く事は叶わないと思っていた声に、イザークの思考が一瞬にして白く染められていく。
直後、視界を一基のザクウォーリアが横切り、二つに割れたユニウスセブンに降下していった。
『もっと細かく砕かないと…』
声の主の判断は正しい。ユニウスセブンの直径は十キロメートル近くある。半分に割れたとはいえ、まだまだ地球に対する脅威は残っている。だが、イザークが気を取られたのはその内容にではなかった。
「あすらん、か…?」
『お前─────なんで!?』
呆然と呟くイザークと、驚愕を露にしながら勢いよく問い掛けるディアッカ。それに対し、先程の声の主─────回線の向こう側にいるザクウォーリアのパイロット、
『報告が遅くなったのは悪いと思ってる。…残念ながら、死に損なったよ』
「っ…、貴様!俺達がどれだけ…っ!」
アスラン・ザラ─────その声は間違いなく、彼のものだった。士官学校で殆どの首席をイザークからかすめ取った、今思い出しても頭にくる男だ。だが、アスランは先の大戦終盤、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦にて、ジェネシスを破壊する為に当時の搭乗機であったジャスティスを核爆発させ、命を落とした筈─────それがプラント本国での表向きの公表だった筈なのだ。
それが今、何故こんな所で、当然のようにザフトの機体に乗っているのだ?報告が遅くなったのは悪いと思ってるだと?残念ながら死に損なっただと?こいつは─────こいつは、あの発表を聞いた時、自分とディアッカがどんな気持ちでいたか分かっているのか!?
『文句は後で聞く!殴りたいのなら後でいくらでも殴れ!だが今は作業を急ぐんだ!』
アスランは二年前と同じ、冷静な声で促す。ディアッカが我に返り、『あ、あぁ』と答えるのを耳にしながらイザークはかつて感じた悲しみも、喪失感も、全てが怒りに押し流されていくのを感じた。
「分かっているッ!だがアスラン、いつか覚えておけ!貴様は必ず、ボコボコにしてやる!」
『…あぁ、それでいいさ』
しかし、怒りに我を忘れる事だけはしなかった。とはいえこの怒りを発散せず耐えるというのも我慢ならず、イザークは自身の固い決意を怒声に乗せてアスランへとぶつけた。これの何が面白いのか、アスランが小さく笑みが混じった声で返してくるのがまた、イザークを苛立たせた。
「何が面白い!?」
『いや、すまん…。だが、イザークが相変わらずなのが嬉しくてな』
「貴様も相変わらず、いけ好かん!死にかけて、多少は性根が変わらなかったのか!?」
『はぁ…、やれやれ』
二年前と変わらない応酬に、ディアッカが笑みを含んだ声で付き合っていられないという風に呟く。
懐かしさを覚える会話だが、それを楽しむ時間は彼らにはない。何故なら、ここは戦場─────会話もそこそこに、彼らは前方から飛来する改造ジン二機に対して身構えるのだった。
「くそっ…!あいつ、どこに…!?」
ユニウスセブン上空にて、シンはアビスを相手に苦戦を強いられていた。今回、シンは装備にフォースシルエットを選択した。それによってインパルスは高機動を得て、アビスの砲撃を潜り抜けながら戦闘を優位に進められる─────その筈だった。
その算段を崩したのは、皮肉にも味方であるジュール隊の工作隊だった。アビスは高火力の砲撃を周囲のゲイツを巻き込んで撃ち続ける。シンにとっては容易く避けられる砲撃も、他の者達にとってはそうではない。特にメテオブレイカーを抱える者達には最悪だ。ただでさえ強敵であるアビスを相手にすると同時に、シンには彼らを守る立ち回りを強いられていた。
高機動を活かして砲撃から工作隊を守りつつ、アビスをここから遠ざけようとするもフォースシルエットに備わった火力では如何ともし難い。今更ながら、高火力を誇るブラストであればもう少しまともな立ち回りが出来たかもしれないと後悔の念が立ち込める。
そんな時に起こったユニウスセブンの破砕。それによって飛び散った岩塊に視界を遮られ、シンはそれまで交戦していたアビスを一瞬見失った。その隙にアビスはメテオブレイカーを運ぶザクに迫り、その胸部から放たれた熱線が周囲の大地を融かす。
「させるか!」
アビスの位置に気付いたシンはすぐさま追跡に入る。敵機に追い縋るシンだが、彼が追い着くよりも先にメテオブレイカーを守っていた周囲二機のザクが左右に展開した。
『イザーク!』
『うるさいッ!』
「っ、この声は─────」
直後、通信回線を伝って二人の声がする。シンの気が取られたのは初めに聞こえて来た声─────アスラン・ザラのものだった。
見れば、先程散開したザクの片割れはモスグリーン、アスラン・ザラに貸し与えられたものだった。
アスランのザクが巧みにアビスの射線を掻い潜り、ライフルの連射を浴びせかける。それらのビームを躱しながらも、そちらに気を取られたアビスの一瞬の隙を突き、ブルーのザクファントムが背後に回り込む。
『民間人が命令をするなッ!今は、俺が隊長だァッ!!』
アスランへ怒鳴り返す声がすると同時、一閃─────ビームアックスの刃はアビスが持ち上げたビームランスを真っ二つに叩き斬る。衝撃によろめいたアビスへと、今度はアスラン機が疾駆する。すれ違い様にビームトマホークを抜き放ち、刃が煌めいた直後にアビスの左足が斬り落とされて宙を舞った。
シンが聞こえて来たアスランの声に息を呑んだ、その一時の間に起こった出来事だった。如何にも不仲そうな語調にも関わらず、二機が見せた連携は素晴らしくも極自然に見えた。
二機のザクは今度は加勢に駆け付けたカオスに向かっていく。
先制攻撃を繰り出したのは、意外にも前を行く二機ではなく、メテオブレイカーを抱えていた黒いザクウォーリアだった。一度メテオブレイカーを手放すと、オルトロスを腰溜めに構えて撃ち放つ。カオスの前方で縦横無尽に飛び回る二機のザクの間を縫って直進していく光条は、辛うじてカオスに躱される。
背後からの砲撃─────味方からのものとはいえ、死角から、それも至近距離を砲撃が駆け抜けたにも関わらず二機のザクの動きは鈍らない。対して先制攻撃を避けたとはいえ、カオスは体勢を未だ立て直せずにいた。
その隙を突いてアスラン機がビームトマホークを投擲。カオスがシールドを掲げて弾くも、強烈な衝撃までを防ぎ切る事は出来ずに後方へと仰け反る。そこへイザーク機が肉薄し、ビームアックスを振り抜く。身を翻したカオスの右腕を両断した。
「─────凄ぇ」
ポツリとシンの口から漏れたのは感嘆の呟き。シン達がこれまでどれほど戦っても、傷一つつけるのがやっとだったあの機体を、僅か数秒の内にほぼ戦闘不能にまで追い込んだのだ。
「あれが、ヤキン・ドゥーエを生き残ったパイロットの力…」
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦の凄まじさは、シンも聞き及んでいた。しかし百聞は一見にしかずというが、正にその通りであると実感させられる。アスランが言ったイザークという名は、恐らくジュール隊隊長イザーク・ジュールの事だ。彼もまた、あの戦いで大きな戦功を挙げた名パイロットとしてシン達の間でも名高い。
そのイザーク・ジュールと旧知の仲というのも驚きだったが、アスラン・ザラの技術は彼に優るとも劣らない水準だ。アーモリーワンでアスラン・ザラの戦いを垣間見はしたが、今改めて、シンは彼が伝説のエースと呼ばれる理由を思い知る。
『シン!何をしている!?』
不意に飛び込んできた声にシンは我に返る。ユニウスセブンで黙々と作業を続けるレイからの通信だ。
『作業はまだ終わっていないんだぞ!』
シンは当初の目的を思い出し、機体を作業へと向かわせる。だが促されてユニウスセブンに向かいながらも、彼はもう一度、背後で繰り広げられる戦闘を見ずにはいられなかった。
その時、彼方に見えるスチールブルーの戦艦から信号弾が撃ち上げられ、色とりどりの光が宇宙の闇を照らした。シンは意外の念を抱いて、そちらを振り返るのだった。
「隊長」
「…これ以上戦場に居座っても無意味でしょう?それに、本当に地球が滅亡なんて事にさせる訳にもいかないのだし」
信号弾発射の命令を下したネオへ、イアンが怪訝の視線を送る。敵がまだ目の前にいて、尚且つ戦力が残っているというのに、敗走にも近い撤退を命じられた事が苛立たしいのか。意外と負けず嫌いが強い部下に微笑ましさを覚えながら、ネオはイアンを諫める。
カオスとアビスは損傷を受け、ガイアもエネルギーが限界に近い。その上、これ以上の戦闘が無意味となればこの場に居座り続ける意味もない。彼らの作業を邪魔して、取り返しのつかない事態に陥るのも事だ。
撃ち上げられた信号弾に素直に従って、戻って来る三機を収容後、ガーティ・ルーは反転してその場から離れる。
後は彼らに任せるとしよう。自分達が離れようともまだ、今回の事件の下手人であるテログループが残っているが、それらを排除するべくザフトに手を貸したとなれば、自分の首が飛ぶ恐れだってある。
─────別に死ぬ事なんて怖くも何ともないが、まだ自分には
「─────ッ!?」
仮面に隠れた目元を細めた次の瞬間、ネオは微かに全身を駆け巡った温もりに目を見開く。勢いよく立ち上がり、
「隊長?どうなされましたか」
「─────いえ、何でもないわ」
高鳴る心臓の鼓動を押さえ、ネオは声の震えに気付かれないよう極力小さく声を掛けて来たイアンへ返答する。
懐かしくも愛おしい感覚だった。まさかまた、
─────居るのね。
「─────フレイ?」
はい、という事で我らが主人公の運命編初出演でした。(台詞一言)
十五という話数を溜めに溜めて、主人公の続編初出演がまさかの台詞一言!しかも何か知らないけど誰かさんとすれ違う!こんな扱いとか、酷ぇ作者もいたもんだ!
はい、どうも酷ぇ作者です。すいませんね、散々まだですか、まだですかと言われ続けた主人公君の初登場がコレで。でも本当にごめんなさい。もう少しだけこんな扱いが続きます。私も早く本格的に喋って貰いたいんです。本当です。だからもう少しだけ待ってて…。