感想欄で私の体調を心配する声を頂きとても嬉しかったです。幸いコロナはあまり深刻な症状は出ず、長く咳が続いた以外は元気でした。ただ仕事の方で色々とあり、執筆の時間があまりとれませんでした。それに加えて家電の故障やらWBCの開催やらが重なって、投稿に一ヶ月を要してしまいました。
多分、恐らく、以前の頻度で投稿が再開できると思いますので、あまり期待せずに待ってやってください。またよろしくお願いします。m(__)m
~前回のあらすじ~
オルフェ「おのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガおのれキラ・ヤマトおのれユウ・ラ・フラガ」
オーブ領海線からやや離れて数キロ程、海中を進む小型の潜水艇があった。その周囲には同型の潜水艇が二隻追尾しており、それらを伴うようにして進む真ん中の艦にその男はいた。
男の名は、
「用は済んだ。奴らが転針したのを確認次第、こちらも後退だ」
Dの指示が飛び、操舵士を始めとしたクルー達がきびきびと手を動かす。周囲の状況と、Dが口にした奴ら─────オーブ領海線付近にいるアコードが搭乗している潜水艦の位置を確かめながら、報告を交わすクルー達の声を聞き流して、Dは艦長席の左後方に立っている少女に目を向ける。
年齢は十歳くらいだろうか。Dに目を向けられた少女は気まずそうに表情を曇らせる。しかし構わずDは鋭い視線を向け続けている。年端もいかない少女に対して余りにも厳しい態度だが、そんなものはDにとって関係がない。何しろこの少女こそが、わざわざDがこんな所にまで足を出向かせた元凶なのだから。
「さて…、面倒を起こしてくれたな
そうDが呼び掛ければ、アウラと呼ばれた少女は顔色を青白くさせる。心の底から恐怖を感じているのだろう、それは彼女の身の震えからも覗き見えていた。
「ま、待つのだD!確かに其方の忠告を無視し、独断専行をした妾に非はある!じゃが、あの子らならばラクス・クラインの奪還は─────」
「現に失敗した。それが全てだろう?」
アウラ・マハ・ハイバル─────それがこの少女の名であり、そしてようやくその場から転針を始めた部隊を率いるオルフェ達、アコードを生み出した
アウラはアコードの研究と並行してアンチエイジングの研究も行っていた。その開発中の薬剤を浴びてしまうというアクシデントがあり、アウラは実年齢から現在にまで若返ってしまった。Dがアウラと面識を持ったのはその後、とある理由があったからなのだが─────そこは今は割愛しよう。
Dにとって今、重要なのはアウラが自身の意を無視して部隊を動かし、面倒事を引き起こした事。まだ地盤が固まらず、戦力が集まり切れていない状況で先走り、お陰で危うく全てが台無しになる所だった。表情は変わらず、静かに、されどDの中で怒りは強く泡立っていた。
何やら策を講じていたらしいが、それも失敗に終わった。先程アウラにも言った通り、Dにとってはそれが全てだった。相手方の戦力を見誤り、自身らの能力を過信してしくじる。失敗した原因は火を見るよりも明らかだというのに、アウラはそれを決して認めようとしない。そんな彼女の態度が、Dの胸中に燻る怒りに更に油を投じているのだと、アウラは気付かない。
「…もういい。貴様はオルフェと合流して帰還しろ。そして、私が指示を出すまで決して動くな」
「わ、妄は─────」
尚も喰い下がろうとするアウラを最後に一瞥してから、Dはもう用はないと視線を切る。自身に興味を失くし、見ようともしないDの姿にようやく諦めたのか。扉の開閉音と、アウラの気配が遠ざかっていく感覚でDは彼女がこの場から去ったのだと察して大きく息を吐いた。
「奴との会話はストレスが溜まる…」
「何かお飲み物でも淹れてきましょうか」
常に他者に、そして自らに、強く厳しく当たり、決して弱みは見せないDが珍しく気を緩める。この艦橋内にいる者達がDにとって最も信の置ける者というのもそうだが、先程までアウラが立っていた場所とはDを挟んで逆側─────右後方に立っている巌のような男の存在が彼にとっては大きかった。
アンドレアス・イロア。例外を除いて彼が自身の近くに置くのは深く信の置ける者だけだが、その中でも最もDが信頼している人物の一人。アンドレアスは珍しい主の弱々しい姿を前にして、苦笑いを浮かべながら気遣いの言葉を掛ける。
「…いや、いい。それよりも索敵は厳に、決して見つかるなよ」
瞼を閉じて眉間を揉む動作をしていたDは、巌の如き体格のこの男がコーヒーやら紅茶やらを淹れる姿を想像して思わず手を止める。正体不明の寒気、何やらいけないものを想像してしまったような、そんな感情に駆られたDは心では喉を潤すものを欲しながらもアンドレアスの提案をつい断ってしまった。
断られた側のアンドレアスは気にした様子もなく、無言で一歩下がり、また定位置のDの右後方へと立ち位置を戻す。
「D様、暗号文が送られてきています」
彼の前方、管制を担当するクルーの内の一人が声を上げたのはその時だった。Dはその言葉を聞き、首尾よく事が進んだのだと悟り、微かに表情を緩めながら口を開く。
「解読しろ」
「─────我、任務を達する。次の指示が送られるまで、待機す。…画像が添付されています」
「映せ」
Dの指示通り、通信管制を担うクルーが手元のキーを叩いて彼らの頭上の画面にとある画像を映し出す。そこに映されたものを見て、Dは僅かに、されど決定的に笑みを浮かべるのだった。
潜航中の
索敵範囲を限界まで広げて警戒を続ける。本当ならばオーブ領海付近に留まりたい所だったが、オーブ軍や何より、
とはいえサッバーフが針路を反転させてからすでに数時間。この間、対象が接近する事もなく静かな航行が続いている。念の為に警戒は続けるべきだろうが、恐らくはもう奴らとの戦闘はないと考えてもいい頃だろうと、艦橋内でムルタと共に様子を窺っていたユウは警戒を解きつつあった。
「意外でしたね。てっきり、またドンパチ始まると思っていましたが」
「…俺も同じです。正直、彼らが退いていったと聞いて驚きました」
隣同士で立つユウとムルタが話すのは、今回彼らが敵対対象として見ていた相手─────アコードについてだ。
「オーブ軍に見つかるのを嫌っての事なのでしょうが…、やれやれ。ユウ君、彼らは君が思っているよりも冷静に物事を見ているようですよ?」
「…」
当初ユウは、アコードが己がいる事を知った途端に襲撃を仕掛けてくると予測していた。自らの能力に対して誇りを通り越して盲信すら抱いている彼らが、自身の戦歴を汚した相手を許す筈がない。そして何より、彼らにとってユウは、ラクス・クラインを汚した男であるのだから。
距離が離れた戦艦同士、互いに言葉を交わさずともユウの元にまで届いていた強烈な怒気─────間違いなく、あそこにいたのはオルフェ・ラム・タオ。ラクスに固執し、最もユウを憎んでいる男の筈だった。なのに、仇ともいうべきユウを眼前にして彼は退却を選んだ。手を伸ばせば届きそうな所にラクスもいたにも関わらず、だ。
─────拭いきれない違和感。本当に彼らは退いたのか?確かに一見、これ以上の作戦行動は無理だと判断した上での撤退に思える。だが、彼らが、あのアコードが、素直にあの状況を客観視して冷静な判断を下せるのだろうか?
「っ─────」
ユウが違和感を抱いているのは、アコードの行動にだけではなかった。アコードが撤退を始める直前に、ユウは自分の中でフラガの直感が自身の意思とは関係なく働いたのを感じ取った。何かを自分に報せるように、遠く離れた所から。ユウはこの感覚に、覚えがあった。
ラウ・ル・クルーゼ─────あの男の存在が近く、感覚に触れた時と同じ。だからこそユウは違和感を抱かずにはいられなかった。
仮にユウの勘違いではなく、本当にフラガの血筋に連なる何者かがいたのならそれは一体誰だというのか。ムウではない、他の何者か─────。
─────レイ、いや違う。ミネルバがオーブを脱してカーペンタリアへと向かった事は確認している。彼の存在はすでに、ユウの感知範囲から遠く離れてしまっている。ならばレイでもムウでもない誰かがあの時、ユウの近くにいた事になる。あの二人以外のフラガに連なる誰か、そんな人物は本来存在しない筈なのに。何故か、ユウの頭の中にはとある人物の名が浮かび上がっていた。
だがそれと同時に、そうだと仮定した場合アコードの素直な撤退に納得がいってしまう。Dとアコード…、いや、彼らが第三者の命令を素直に受け入れるとは思えない。だとすればDとアウラが繋がっていると考えられる。Dからアウラへと指示が飛び、その指示を彼女がオルフェへと届ける─────それならば、オルフェがラクスを目の前にしながらも撤退した理由も頷ける。
ブレイク・ザ・ワールドの折、アコードから襲撃を受けた際に浮かんだ疑惑は的を射ていたという事だったのか─────
─────待て。俺は、Dを思い浮かべたのか?
そこまで考えた時、ユウは自身の浮かべた予測に愕然とし、身を凍らせる。思わぬ場所で感じ取った同族の感覚─────それが、Dのものだと無意識にも考えた自分が信じられない。根拠も何もないのに、半ば確信にも近いものを抱きながら浮かべた思考が、ユウの意識を硬直させる。
「…Dです」
「─────はい?」
話すべきか、黙っておくべきか。迷った末に、ユウは確信に近いこの感覚に身を任せる事にした。
ユウの口から出て来た名前に、ムルタが一瞬の硬直の後に怪訝な表情で振り向く。
「Dが何らかの形で…恐らく、アウラ・マハ・ハイバルを通してアコード達に撤退を呼び掛けた。だから、彼らは我慢した」
「…いや、待ってください。確かに僕もDの関与は疑いましたが、そうと決まった訳じゃ─────」
ムルタがやんわりとユウの立てた予測を否定しようとするが、それを言い切る前にユウが頭を振るって口を開く。
「Dで間違いありませんよ。奴はこの近くにも来ていた…、今回の誘拐未遂に関わっているかまでは分かりませんが」
「何故そこまで…、近くに来ていた?」
確信を持ってそうと言い切るユウにその理由を聞こうとしたムルタは、彼の言葉から違和感を読み取り、先にそちらを問う方へとシフトした。
「どういう事です。奴、とはDの事ですか?それこそ何故、それが君に分かるというのですか」
サッバーフのセンサーには、アコードが搭乗していたと思われる潜水艦の反応しか捉えていなかった。にも拘らず、自分達とアコード陣営以外の第三者の存在、それと同時にその第三者が何者なのかを確信を持って語るユウへの疑念を表情に浮かべるムルタ。
「分かりますよ。この血が教えてくれましたから」
「…ッ─────」
ムルタの問い掛けに静かにユウが答える。一瞬、訝し気に表情を歪めたムルタだったが、それはすぐに解かれ今度は次第に驚きに染まった目がゆっくりと見開かれていく。
「─────まさか…ッ」
声を震わせるムルタにユウは頷いてから口を開いた。
「はい。…Dは、
ユウも知らない因縁が、世界を絡め取りながら彼と強く結ばれていたのだとようやく悟った瞬間だった。
作戦が失敗に終わってオーブから離れていくアコードと、戦闘に至らず事なきを得て同じくその場から離脱するユウ達。それと時を同じくして、オーブ国内では密かに混乱が起こっていた。
太陽がまだ上り切らない時刻頃、急遽行政府では首長を始めとした閣僚達が急遽集められた。表情を渋くする者、事情が分からず何故招集されたのかと戸惑う者。本来行われる筈のなかった閣議の空気は、今までになく複雑なものだった。
「これは本日未明、オノゴロ島の沖合で撮影されたものです」
事情を知らぬ閣僚達の戸惑いを晴らす間もなく、閣議は始められる。真っ先に発言を求めたのはウナト・エマ・セイランだった。発言を許可されたウナトはその一言を口にした後、手元のコンソールを叩いて議会室のモニターを呼び出す。ウナトの手はそこで止まらず、また少ししてから呼び出されたモニターにとある一枚の画像が映し出された。
カガリの顔が微かに歪む。表情に動きはなくとも、ミナの目に剣呑な光が過る。
それは、特徴的なモノアイのモビルスーツが映されたものだった。丸みを帯びたシルエットに、緑黄色のカラーリングとザリガニの鋏を思わされる両腕。しかし何よりも彼らの目を引くのは、このモビルスーツのメインカメラの形態だった。単眼式のメインカメラは、
「ど、どういう事だこれは…」
「ウナト殿、これは一体?」
この場に集まった閣僚の一部は、夜闇に紛れた異国の襲撃を認知していたがそうでない者も多い。更に戸惑いが深まる空気の中で、騒めく声が流れ出す。
「先程申し上げた通りです。このモビルスーツは本日未明にオノゴロ島沖合─────アスハ家の別邸付近で姿を現し、あろう事か我らがオーブの国土に攻撃を仕掛けて来たのです」
騒めきに揺れていた空気がウナトの返答の直後、一瞬にして凍り付き固まる。
ウナトが放った返答は、再び戦火の渦がオーブを巻き込もうとしている事を知らしめる証明の言葉だった。