フラガとか聞いてない   作:もう何も辛くない

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PHASE45 変化の予兆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また、あの機体…!」

 

 出撃したストライクを甲板へ、直後、こちらへ襲い来るモビルスーツの集団を見上げたキラは、その内の一機を目にして苦く表情を歪ませた。

 

 ハイペリオン─────前回の戦闘でストライクの片腕を持って行き、キラに苦い記憶を刻み込ませた相手である。

 

 イージスはスピリットを視認するとすぐにそちらへ向かい、更にゲイツもそんなイージスを追い掛けていった。

 

 今、アークエンジェルの周囲にいるストライク、二機のスカイグラスパーは残った四機─────ハイペリオン、デュエル、バスター、ブリッツと対峙する。

 

「また会えたな、キラ・ヤマト。今度こそ貴様を!」

 

「今回は!」

 

 フォルファントリーを構えるハイペリオン。キラはアークエンジェルが砲撃に巻き込まれない様、ストライクを飛び上がらせて艦から距離を離す。

 

 カナードは移動するストライクを追って照準を合わせ、フォルファントリーを発射。

 直後、グゥルのスラスターを吹かせてストライクへ接近しつつ左腕のビームナイフを取り出す。

 

 一方のキラは、フォルファントリーを躱しながらもハイペリオンの動きは見えていた。

 機体を翻して二条の砲撃を回避してから、右手にビームライフルを握らせ、ハイペリオンへ向けてビームを二射放ち牽制。

 それからライフルを一度マウントしてから、背部の鞘からビームサーベルを抜き放つ。

 

「ちぃっ!」

 

 ストライクへ接近中であったハイペリオンは速度を緩め、ストライクから放たれたビームを回避。

 その間にストライクはハイペリオンの眼前まで接近、抜き放ったビームサーベルをハイペリオンへ向けて振り下ろしてくる。

 

 それに対してカナードは左腕の発生器からアルミューレ・リュミエールを出力し、放たれる斬撃に向けて絶対無敵のシールドを掲げる。

 

 ストライクの斬撃とハイペリオンのフィールドが衝突し、激しく火花を散らす。

 

「っ─────!」

 

 その瞬間、ハイペリオンが右手に握っていた銃器を持ち上げる。

 

 銃口がストライクへ向いた瞬間、咄嗟にキラはシールドを掲げた。

 

「間抜け」

 

 それを見たカナードは込み上げる笑みを抑える事が出来なかった。

 

 それは前回の戦闘の繰り返し─────シールドによって視界を覆われたキラは、続くカナードからの奇襲を防ぎ切る事が出来ず、ストライクの右腕を失った。

 続くカナードの追撃は、前回ではスピリットの乱入に遭い不発に終わったが、今回そのスピリットはイージス、ゲイツの二機と交戦中。

 更に他のスカイグラスパーは一号機、二号機共に残る三機の相手をしている。

 

 この状況で、ストライクの支援に入れる僚機はゼロ─────カナードは今度こそ、勝利を確信した。

 

「っ、なにぃっ!?」

 

 しかし直後、カナードは横合いからの強い衝撃に呻き声を上げる事となる。

 

 何事か、という驚愕はほんの一瞬、衝撃によって機体の体勢が倒れる。

 グゥルからハイペリオンの両足が離れ、重力に従って機体が海面に向かって落下していく。

 

「っ、ちぃっ!」

 

 落下中、カナードはストライクがライフルを先程まで自身が乗っていたグゥルへ向けているのを見る。

 

 キラの合理的な判断に苛立ちながらも、遠隔でグゥルを操作。ストライクの射撃を掻い潜らせながら、最高速度でグゥルをこちらに引き寄せていく。

 

「…キラ・ヤマト─────!」

 

 グゥルを操作しながらハイペリオンの姿勢を制御、機体が海面へ激突する寸での所で、ハイペリオンは再びグゥルへ足をつけ空へと飛び上がっていく。

 

「俺の視界も塞がれている事を利用して…!」

 

 キラがカナードへ向けて仕掛けた攻撃は至って単純で、ただの回し蹴りだ。

 しかし、ストライクが掲げたシールドによってキラからの視界が覆われているのと同じように、カナードからの視界も制限されていた。

 それによって、ストライクの動きをカナードは察知する事が出来なかった。

 

「ストライク!」

 

 カナードが一矢報いられている間に、今度はデュエルがストライクへと襲い掛かる。

 

 ビームライフルを連射後、シヴァの砲口をストライクへと向けるデュエル。

 それに対してキラは機体を飛び上がらせながらデュエルから放たれるビームを掻い潜り、ビームサーベルからライフルへと持ち替え、デュエルへ向けて引き金を引く。

 

 デュエルは巧みに動きながらストライクの射撃を回避し、やがて二機は交錯─────殆ど同タイミングでビームサーベルを抜き、鍔迫り合いが始まる。

 

「「っ!?」」

 

 鍔迫り合いをしていた両機が距離を取ったのもまた、殆ど同時だった。

 弾かれるように距離を取り合った二機の間を、二条の砲撃が横切っていく。

 

「あの機体、味方ごと撃った!?」

 

「貴様!何のつもりだ!」

 

 射線上に自身のみならず、僚機が居た上で尚躊躇いなく撃ってきたハイペリオンに驚愕するキラと、危うく殺されかけ激昂するイザーク。

 

「邪魔だ、白髪頭!」

 

「何を…!邪魔は貴様─────おい!」

 

 デュエルを追い越し、ハイペリオンが正面からストライクへと向かっていく。

 

「こいつは俺の獲物だ!こいつは…こいつだけは、俺が!」

 

「ふざけるな!こいつに煮え湯を飲まされたのは、貴様だけではない!」

 

 キラ・ヤマトへ尋常ならざる殺意を覚えているカナード。

 ストライクに何度も煮え湯を飲まされ、屈辱を晴らさんと心を燃やすイザーク。

 プライドが高い者同士、こうなるのはある意味必然であった。

 

「同時に来る…!」

 

 前を行くハイペリオンを追い掛け、デュエルもまたストライクへと向かっていく。

 

 だがその間に仲間意識などはなく、連携もなし。

 ただ、どちらが先にストライクを仕留めるか─────最早競争となり果てていた。

 

 キラはハイペリオンとデュエルを同時に相手取る。

 しかし誰もが、そして何よりキラ本人が考えているよりも、この場での状況は順調にキラの方へと優勢に傾きつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スピリットがイージスとゲイツを、ストライクがハイペリオンとデュエルを押さえている中、アークエンジェルとスカイグラスパーも奮闘していた。

 

 ムウが駆る一号機はバスターを相手取り、ほぼ互角な戦闘を繰り広げている。

 そしてフレイが駆る二号機は、アークエンジェルの援護もありながら、必死にブリッツを牽制していた。

 

 しかし、シミュレーターでどれだけ好成績を残そうとも、初めての実戦では余りにも勝手が違う。

 ブリッツからの射撃を辛うじて躱したフレイだったが、代わりに彼女の後方にあったアークエンジェルが被弾する。

 

「これ以上は…!」

 

 好き勝手はさせまいと、大口径の主砲をブリッツへ向けて放つも容易く躱されてしまう。

 

 振り向きざまにブリッツはトリケロスを向け、ランサーダートを撃ち放つ。

 

「くっ!」

 

 機体を傾け、旋回させる事でランサーダートを避けるフレイ。

 しかしフレイが回避行動をとったその隙に、ブリッツは再びアークエンジェルへと砲火を向ける。

 

「あぁっ!?」

 

 ラミネート装甲でビームを弾き続けていたが、何度も受け続けた事により遂に排熱が間に合わなくなり、装甲が一部爆散を起こす。

 

 煙を噴くアークエンジェルを目の当たりにしたフレイは、一瞬頭の中が真っ白になった。

 

 あの中にはフレイの仲間が─────愛する人が乗っている。

 アークエンジェルは傷つきながらも、まだ堂々とその巨体を飛ばし続けていた。

 

 だが、この後は?

 スピリットも、ストライクも、一号機もそれぞれ相手取った機体を必死に押さえている。

 自分は─────何も出来ず、アークエンジェルを守れず、ただ大切な人達を危険に晒し続けるだけ。

 

「嬢ちゃん!」

 

「っ!?」

 

 通信を通して聞こえて来たムウの声にハッとする。

 

 気付けばブリッツに背後を取られていた。

 ブリッツはビームサーベルを出力し、フレイが乗る二号機を切り裂かんと振りかぶる。

 

 死の予感がフレイの全身を包み込む─────しかしその斬撃は、フレイまで届く事はなかった。

 

 バスターを振り切り、フレイの支援へムウの一号機がやって来る。

 一号機が装備したアグニが火を噴き、ブリッツに向けて一直線に向かっていく。

 

 火線は命中こそしなかったが、ブリッツは堪らず二号機への攻撃を一旦諦め後退していく。

 

「何をボーっとしている!死にたいのか!?」

 

「ふ、フラガ大尉…」

 

「踏ん張れよ、嬢ちゃん!俺もお前も、どちらかが落ちればあっという間に攻め込まれるぞ!」

 

 自覚はないが、フレイはかなり重要な働きをしていた。

 もしこの場に彼女が居なければ、フリーとなったブリッツが今頃アークエンジェルへ取りついていた事だろう。

 

 今、アークエンジェルが沈んでいないのはフレイが居るお陰と言っても最早過言ではない。

 

 しかしここでフレイが落ちれば─────先程挙げた通り、フリーとなったブリッツがアークエンジェルへ取りつきに掛かるだろう。

 そして、それぞれの相手に他の僚機が手一杯な現状、ブリッツを押さえる事は出来ないまま─────。

 

「気をしっかり持て!大丈夫だ、訓練通りに力を発揮できれば、お前はアークエンジェルを守れる!」

 

「っ─────!」

 

 ムウはフレイにそう声を掛けてから機体を動かす。

 

 ライフルとガンランチャーを連結、バスターが超高インパルス長射程狙撃ライフルを放つ。

 ムウは機体を傾けて砲撃を回避、直後にアグニをバスターに向けて撃ち返す。

 

 互いの位置を入れ替えながら、必殺の火力を撃ち合う一号機とバスターの戦闘からフレイは視線を切り、機体をその場から離す。

 直後、機体の側面ギリギリを一筋の光条が横切っていく。

 

 フレイの視線の先には、トリケロスを二号機へと向けるブリッツの姿があった。

 

「あいつ、背後からの攻撃を!」

 

 ブリッツを駆るニコルは、死角からの攻撃であった筈の射撃を見もせずに回避してみせた二号機の動きに、目を瞠る。

 

 そんな中、フレイは機体を駆りながら二号機を睨むブリッツを視界に捉えた。

 

「背中にも目をつける…!」

 

 フレイの口から漏れた呟きは、ユウから貰ったアドバイスの一つ。

 

「訓練の時は出来たんだから!」

 

 ()()()()()()()()()()()()()─────その通りだ。

 しかも今回は実戦で、相手は感情のないデータではなく一人の人間─────フレイに向けられる敵意がある以上、死角からの攻撃を読み取りやすかった。

 

「アンタの相手は、私よ!」

 

「こいつ、急に動きが!?」

 

 ブリッツからの射撃を、バレルロールを交えて掻い潜りながら二号機が接近。

 

 二号機が装備したシュベルトゲベールを展開し、ブリッツへと斬りかかる。

 

「くっ!」

 

 ニコルは咄嗟にスラスターを逆噴射させ、グゥルの動きを急停止させると同時に機体を大きく傾ける。

 体勢が崩れ、海面へ向けて落下するのも構わず行った全力の回避行動が功を奏し、二号機の斬撃を辛うじて躱す事に成功した。

 

「本番はここからという事ですか…!」

 

 機体とグゥルの姿勢を立て直し、再びスラスターを吹かせたブリッツの背中を二号機が追う。

 

「アークエンジェルはやらせない!」

 

 二号機の胴体両側面に搭載された二門のキャノン砲を、ブリッツの背中目掛けて撃ち放つ。

 ブリッツは不規則に上下左右へ動く事で放たれた砲撃を躱すと、振り向きざまにトリケロスを二号機へ向け、ライフルを撃つ。

 

 フレイと二号機は止まらない。

 速度を緩めないままバレルロールで前方からの射撃を躱し、尚もブリッツを追い立てる。

 

「アンタは、ここで!」

 

「しつこいっ!」

 

 追い掛ける二号機と逃げるブリッツ。

 

 両者の間でビームが入り乱れながら、二機の戦闘は互角に、そして更に苛烈さを増していく─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぶつかり合う斬撃がけたたましく音を鳴り響かせる。

 

 スピリットとイージスの激突は刹那、離れ合った両者は互いの得物を構え再度衝突─────。

 

 両腕のみならず、両足のビームサーベルも出力したイージスがユウの視界の外から斬撃を与えようと左足を振り上げる─────前に、スピリットが右肩部のレール砲を展開して発砲。

 

「ぐぅぅっ!?」

 

 内部にまで強く伝わる衝撃に呻き声を上げるアスラン。

 イージスの体勢が崩れ、グゥルと共に後方へ傾いていく。

 

「もら─────っ!」

 

 絶好の追撃の機会を逃すユウではない。

 イージスを海面へ叩き落すべくスラスターを吹かせようとして─────逆に機体に急制動を掛けた彼の目の前を、ビームが通過していく。

 

 ビームが飛来した方向へと視線を向ければ、そこにはルプスビームライフルを構えたゲイツ。

 

 ゲイツはルプスからラケルタへと持ち替え、サーベルを出力。

 スピリットへ向けて斬りかかって来る。

 

 先程から、何度も何度もこの繰り返しだった。

 イージス、或いはゲイツの攻撃と援護を掻い潜りながら、ユウは何度もどちらかの撃墜、或いは撃退のチャンスを掴みかけては逃し続ける。

 

「だが…!」

 

 しかし、スピリットが受けたダメージよりも間違いなく、イージスとゲイツが受けているダメージの方が多い筈だ。

 致命的な損傷を受けるビーム兵器による攻撃こそ受けてはいないが、実体弾の被弾はすでに何度か受けている。

 

 外部へのダメージはともかく、中で操縦しているパイロット、そして機体のエネルギーは着実に減っている。

 

「くそっ、バカスカ撃ちすぎたか…!?」

 

 それが特に顕著だったのが、ミゲルのゲイツだった。

 

 本来のものよりも制限しているとはいえ、高火力のビーム兵器を従来の機体以上に搭載した高性能機。

 その性能をふんだんに使用して操縦を続けていたミゲルだったが、被弾によるダメージも相まって、ゲイツのバッテリーは危険域に入りつつあった。

 

 そこに、ユウとスピリットが襲い掛かる。

 

「そろそろバッテリーが危ないだろう!?」

 

「こいつ、それを分かって…!」

 

 ゲイツのラケルタをシールドで押さえ、逆にスピリットのサーベルが振り下ろされる。

 

 後退していくゲイツを追い掛けるスピリット─────そこを、体勢を整えたイージスが狙う。

 

「いい加減ッ、読めている!」

 

「くっ!?」

 

 だが、これまで何度も繰り返されれば誰だってパターンというものは読めてくる。

 すでにバッテリーを減らし、時間が殆ど残されていないゲイツを捨て置いて、ユウは狙いをイージスへと切り替える。

 

 ゲイツからの射線上にイージスが入り込むよう機体の位置を調整、スラスターを吹かせながらレール砲と単装砲、砲門四門を展開し、イージスへ向けて斉射する。

 

 砲門の向きから射線を予測しつつ、アスランが機体を翻してスピリットからの砲撃を回避─────その間にユウはイージスの懐に機体を潜り込ませる事に成功した。

 

 ライフルをマウント、シールドを投げ捨て両手にビームサーベルを握らせる。

 

 振り下ろされた二刀は、一方は掲げられたシールドによって防がれるも、もう一方はイージスの右腕を斬り落とす。

 

「ちぃっ!?」

 

 舌打ちしながら堪らず機体を後退させるアスラン。

 

 それに追い縋るスピリット─────そこに攻撃を割り込ませようとするゲイツ。

 

「アスラン、下がれ!」

 

 アスランへ向けて呼び掛けながら、ミゲルはルプス、クスィフィアス、フォルティスをスピリットを狙って一斉斉射。

 

 しかしそれらの砲撃は全て躱されスピリットに当たらず、その光景を見ながらミゲルは蟀谷から一筋の汗を流す。

 

「流石に、まずいぜこりゃぁ…!」

 

 イージスは片腕を失い、ゲイツも目立った損傷こそないものの今の攻撃でただでさえ残り少ないバッテリーが削れてしまった。

 

 一方のスピリットは未だ健在─────これまでの激闘でバッテリーもかなり削れてはいるが、それでもゲイツと比べれば圧倒的に余裕がある程度だ。

 

 だが、この場での戦闘は連合側に優位でも、他の地点がどうなのかは分からない。

 

「っ!アークエンジェル!?」

 

 片腕を失ったイージスとバッテリーが残り少ないゲイツ、いよいよ戦闘も大詰めとなった所で、ユウは爆発音と激しく噴き上がる黒煙に顔を上げた。

 

 キラもムウもフレイも懸命にアークエンジェルを守っていた。

 キラはハイペリオンとデュエルの二機を同時に押さえ込み、ムウとフレイはそれぞれバスターとブリッツと交戦していた。

 

 それでも戦闘の余波、流れ弾までフォローをする余裕までは彼らにはありはしなかった。

 

「あいつ…!」

 

 ハイペリオンがフォルファントリーを再び撃ち放つ。

 射線上にはストライク、そしてその後方に重なるようにしてアークエンジェルが在った。

 

 カナードはストライクを狙う、のと同時にアークエンジェルもまた狙っていた。

 

 ストライクと一対一で戦っていた時は執拗にキラばかりを狙っていた筈が、デュエルが乱入してきた事で趣向を変えたか─────ユウには分からないが、これ以上この場で風前の灯火の二機に構っている時間は無くなった。

 

 機体をアークエンジェルへと向けて飛び上がらせる。

 これ以上攻撃に晒されれば、アークエンジェルの装甲といえど撃墜の危険が高まっていく。

 

「なっ…!くそっ!ミゲル、お前は戻れ!俺は奴を追う!」

 

「アスラン、だがその機体じゃあ!?」

 

「片腕を失っただけだ!だがお前の方はもうバッテリーがないだろう!」

 

「─────クソがっ!」

 

 アスランはアークエンジェルの支援へ向かうスピリットの背中を追い掛ける。

 そしてミゲルは、これ以上は戦闘を継続できない機体で撤退していく。

 

「スピリット…!」

 

 前を飛ぶ黒い背中を睨みつけながら、アスランは忌々しさを覚える。

 

 戦闘開始当初、圧倒的に数的優位にあった状況が、今ではどうだ。

 ゲイツは撤退し、イージスは片腕を損傷。まだ数ではザフト側が勝っているが、総合的に鑑みれば最早戦況は互角と見て良いだろう。

 

「貴様は、どこまで俺を…!」

 

 まるでもう、用はないと言わんばかりにこちらを見ようともしないスピリットを見上げ、歯を食い鳴らす。

 

 アスランの目の前で、スピリットはストライクへ襲い掛かろうとしていたデュエルをライフルで牽制。

 デュエルの動きが止まったその間に、スピリットはストライクの背後に立つと、再びアークエンジェルを狙い撃とうとしたハイペリオンをビームライフルで妨害した。

 

 背中合わせに立つストライク(キラ)スピリット(ユウ)

 それは砂漠で見た光景と全く同じものだった。

 

 ─────そこに立つべきなのは、お前じゃない!

 

「スピリットォォオオオオオオオオッッッ!!!」

 

 アスランの中で燃え上がる怒りが臨界点に達し、彼の中で何かが弾けようとした─────。

 

 しかしその直前、更に激しさを増すかに見えたこの戦闘は、思わぬ方向へと向かおうとしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アスランのSEED覚醒原因がBSSによる怒り─────うーん、ギャグかな?(笑)
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