フラガとか聞いてない   作:もう何も辛くない

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PHASE53 痛恨の一撃

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「艦隊旗艦より入電。『我これより帰投す。貴艦の健闘を祈る』」

 

「『エスコートを感謝する』と返信を」

 

 カズイが電文を読み上げると、マリューが微笑みながらカズイに向けて返答した。

 

 言う通りに電文を打ち込むカズイを眺めていたチャンドラが不意に、小さく呟いたのが思いの外、艦橋に響いた。

 

「…このまま何もなく行ってほしいぜ」

 

 ─────一方その頃、カタパルトデッキでは、パイロットスーツに着替えて姿を現したユウとキラの姿に、マードック達が目を丸くしていた。

 

「なんでぇ二人共。まだ何にも出てねぇぞ?」

 

 アラートが出ていないというのに、パイロットスーツ姿でそれぞれの愛機へと向かっていく二人に対して声を掛けるマードック。

 

「領海を出れば、ザフトの攻撃が始まります」

 

「あぁん?」

 

 横を通り過ぎながら言うキラ。

 マードックは呑み込めない様子で首を傾げているが、それ以上は何も言わずに二人は通り過ぎる。

 

 ─────オノゴロ島に現れたアスラン達。

 ユウは勿論、キラも彼らの狙いは分かっていた。

 

 外交筋からの情報を当てに出来ず、アークエンジェルがオーブに居る証拠を得る為に潜入していたのだ。

 そして、アスランはその証拠を掴んだ。フェンス越しにキラと再会した、あの時に─────。

 

 アークエンジェルは遅かれ早かれ、オーブを出てアラスカを目指し北上の途に着く。

 それが分かりきっているのなら、後は簡単だ。オーブから北の海域に網を張れば、アークエンジェルを捕まえられる。

 

 ユウとキラがコックピットへ入って間もなく、艦橋で叫びが上がった。

 

『レーダーに反応!数─────六!』

 

『機種特定!イージス、バスター、ブリッツ、デュエル!アンノウン二!』

 

『対潜、対モビルスーツ戦闘用意!』

 

 レーダーに機体が掛かった途端、素早く放たれるアラートと命令。

 艦内が慌ただしくなる中、すでに機体に乗り込んでいたユウとキラは上部甲板へと出る。

 

『逃げ切れればいい!厳しいとは思うが、各自健闘を!』

 

『ECM最大強度!スモーク・ディスチャージャーを投射!両舷煙幕放出!』

 

 ランチャーを装備したストライクが膝を突き、船体からせり上がった外部パワーケーブルを掴んでアグニへと接続する。

 

「コンジット接続、補助パワー、オンライン、スタンバイ完了。ユウ!」

 

「あぁ、援護は任せるぞ!」

 

 アグニに接続したケーブルを通して、アークエンジェル本体から直接エネルギー供給される事により、ストライクのパワー切れの心配はなくなった。

 

 アークエンジェルの船体が発射されたスモークに覆われるのを待ってから、同時に出撃したムウとフレイのスカイグラスパーと共に、スピリットが飛び上がる。

 

 艦橋の両脇にあるスモーク・ディスチャージャーから発される濃い煙に紛れ、アークエンジェル側のモビルスーツ、戦闘機の姿が見えなくなる。

 

「くっ!?」

 

 ザフト側からすれば、どこから敵が現れるか分からない状況にプレッシャーが掛かる。

 そんな中で突如、眼前から敵機が現れれば反応が遅れるのも仕方ないといえるだろう。

 

 フレイが乗ったスカイグラスパー二号機が、イザークが駆るデュエルの眼前で急旋回。

 慌ててイザークがビームライフルの引き金を引くも、フレイ機を捉える事は出来なかった。

 

「こちらスカイグラスパー、フレイ・アルスター!ストライク、聞こえる!?敵の座標と射撃データを送るわよ!」

 

「了解!」

 

 煙の内側に居るストライクからでは敵機の位置の視認は勿論、Nジャマーの影響でレーダーも使えない。

 その為、上空に出たスカイグラスパーからデータを送る。そうすれば、キラならば即座に対応が出来る。

 

「─────そこっ!」

 

 キラがアグニの引き金を引く。

 発射された熱線が煙を切り裂き、敵機を掠める。

 

「なっ!?これは─────」

 

「ストライクの砲撃…!そうかっ!戦闘機から俺達の位置データを─────ぐっ!?」

 

「ミゲル!?」

 

 自分達を視認できない煙の中からの正確な射撃に戸惑うザフト側だったが、すぐにミゲルがその原因を察する。

 態勢を立て直し、反撃に転じようとするが─────その前に、横殴りの衝撃がミゲルのゲイツを襲った。

 

「スピリット!?く、っそがぁっ!」

 

 衝撃によってゲイツの体躯は倒れ、グゥルから両脚が離れてしまう。

 メインカメラを向けた先では、右足を振り抜いた体勢でこちらを見下ろすスピリットが、つい一瞬前までミゲルが使っていたグゥルに両足を掛ける所だった。

 

 ゲイツは成す術もなく、重力に従って海面へと落下。

 苦し紛れにビームライフル、クスィフィアス、フォルティス、計五門の砲門に火を噴かせてスピリットを狙うも、スピリットはミゲルのグゥルを盾代わりにして離脱していく。

 

「ミゲル!くっそぉ、スピリットぉっ!!」

 

「舐めた真似しやがってっ!」

 

「落ち着いてくださいイザーク、ディアッカ!ストライクがまだ─────」

 

 ミゲル機があっという間に戦闘不能に追いやられた事への驚愕、同時に激昂。

 イザークとディアッカの二人の視線がスピリットへと釘付けになり、ニコルが警告に奔るも遅かった。

 

「なっ!?」

 

「嘘だろ…!」

 

 アグニに連結させていたケーブルを抜き、煙の中から飛び上がったストライクがアグニを噴かす。

 

 フレイ機から送られるデータでデュエル、バスターの位置を掴んでいたキラが、正確にアグニによる二射で、二機のグゥルを撃ち抜いた。

 

「馬鹿が…、たかが味方一機やられた程度でおたおたしやがって!」

 

 戦闘が開始してから物の数分、それだけで味方が一機、続けて更にもう二機、戦闘不能に追いやられたザラ隊。

 ショックが隠し切れないアスラン、ニコルとは違い、カナードはすぐに対応に出る。

 

 二門のフォルファントリーを展開し、後退していくストライクを狙いながら追いかける。

 ショックを振り払い、イージスとブリッツも、ハイペリオンに続いてストライクを狙う。

 

 撃ちかけられるビームを躱しながら、ストライクが煙の中へと戻ろうとするが、ランチャーストライカーの機動力を前に、三機が追いつこうとしていた。

 

 その時、煙の奥が光、次の瞬間、太い光条が煙幕を突き抜けて放たれた。

 

 アークエンジェルの主砲、ゴットフリート。

 更に彼らの後方からは、スラスターを吹かせて回り込んだスピリットが全砲門を展開し襲い掛かる。

 

「スピリット…!くそっ!」

 

「アスラン!?」

 

 機体を旋回、アスランが後方から迫るスピリットへ迎え撃つ。

 

 判断としては間違いではない。どの道誰かが殿を務めなければ、三人は圧倒的な火力を持つ戦艦とモビルスーツによって押し潰されていただろう。

 

 だが、アスランの頭は失念していた。

 この戦場に居る敵機はスピリット、ストライク、アークエンジェルの三機だけではないのだ。

 

「っ!?」

 

 アスランもまた、驚異的な反応速度の持ち主である。

 その反応速度を以て辛うじて回避に成功するも、機体すれすれを掠めていった砲撃に堪らず冷や汗を流す。

 

 イージスの周囲を旋回するのはフレイが駆るスカイグラスパー二号機だ。

 先程、赤の機体を掠めたのは、二号機の大口径ビーム砲から放たれた砲撃である。

 

「ちぃっ!」

 

 咄嗟の回避の為に動きが止まったイージスに、容赦なくスピリットから砲撃が浴びせかけられる。

 

「アスランっ!くそっ、止めろぉっ!」

 

 カナードのハイペリオンは、ムウのスカイグラスパーの支援を受けて、エールストライカーへと換装したストライクによって押さえられ、交戦へと入る。

 よって、動きが取れるのはニコルのブリッツのみとなった。

 

 ニコルは現在進行形で窮地に陥っているイージスの援護へと走る。

 

 トリケロスを翳し、スピリットへとビームを連射する。しかしスピリットは舞い踊るようにビームの合間を潜り抜けると、頭部を下へ向けながら姿勢を制御。

 レール砲と単装砲を同時展開、その手に握られたビームライフルと合わせて五門の砲門がブリッツに向けられる。

 

 息を呑み、咄嗟に機体を翻すニコル。

 辛うじて砲撃の嵐を回避せしめるも、それはスピリット─────ユウにとってはただの撒き餌に過ぎない。

 

「ニコル、まだだぁっ!」

 

「え─────?」

 

 ほんの一瞬の遅れ、ずれが生じれば死という窮地を潜り抜けた事でニコルの気が僅かながら緩む。

 

 それによって、直後のアスランの声がコックピットに響き渡るまで、スピリットがすぐ傍まで迫っていた事にニコルは気付く事が出来なかった。

 

「くっ…!?」

 

「させる筈がないでしょう!」

 

「邪魔を、するなぁっ!」

 

 ニコルのフォローへ急ごうとするアスランの眼前に迫る、フレイ機から放たれたミサイル。

 シールドを掲げて防ぐも、動きは当然止まる。

 

「うぁぁああああああああっ!?」

 

 その間にスピリットはビームライフルを投げ上げ、持ち替えたビームサーベルでブリッツの右腕─────トリケロスを斬り落とした。

 続けざまにブリッツを蹴り飛ばし、グゥルから落とした後に先程投げ上げたビームライフルを回収、その場から一旦後退する。

 

「ニコル!?くそっ…、スピリットぉっ!!」

 

 海面に激突し、立ち上がる水柱によって見えなくなったブリッツ。

 その様が、アスランの怒りを更に燃え上がらせる。

 

 その瞬間、アスランの中で何かが弾けた。

 

 イージスの両腕のビームサーベルを出力し、一振り。

 見据えるは仇敵スピリット─────急加速からトップスピードへ、湧き上がる怒りをそのままに、アスランは斬りかかっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真正面から向かってくるイージスに対して機体の体勢を整える。

 シールドを持ち上げ、イージスの一撃目をパリィ─────崩れ掛けた体勢を立て直したイージスは間髪置かずに左腕を振るい二撃目を仕掛ける。

 

 軌道を見切り、スピリットの右腕を割り込ませて斬撃を食い止める。

 動きが止まった隙を突いてそのまま右腕で弾き、左腕を振るってシールドをイージスへとぶつける。

 

 流石というべきか、アスランは辛うじて今の俺の攻めに反応を示した。

 命中こそ避けられずとも、後退して衝撃を流し、機体がグゥルから落下する事だけは防いで見せた。

 

 しかし回避できたのはそれのみ。体勢が崩れたイージスに対し、右手でビームサーベルを抜いて斬りかかる。

 イージスは左腕のサーベルを収めてシールドを掲げる。

 俺が仕掛ける連撃に食らいついてくるが、体勢を立て直す事も儘ならないままで長くは保たなかった。

 

 シールドを投げ捨て、左手にもビームサーベルを握らせて二刀流でイージスを攻め立てる。

 

 やがてイージスはこちらの連撃を捌き切れなくなり、逃げ場を求めてグゥルから飛び降りる選択を取らざるを得なくなる。

 

「っ─────!」

 

 飛び降りたイージスの足下、モニターに映る映像を見て思わず表情を歪めてしまう。

 

 この辺りは多くの小島が並ぶ海域で、イージスは群島の中の一つに着地しようとしているらしい。

 

 ─────そう、原作でブリッツがストライクに切り裂かれたあの小島だ。

 

 原作と同じ流れになるか分からないとは理解できても、心の中で嫌な予感が奔る。あの場所でイージスと攻防を繰り広げるのは避けたかった。

 

 イージスが小島に着地する前に海面へ叩きつけるべく、両肩のレール砲を展開し、イージスへ向けて連射する。

 それに対しイージスはスラスターを噴射、機体の体勢を巧みに制御してこちらが放つ砲撃を躱していく。

 

 回避行動を続けるイージスが不意にモビルアーマー形態に変形する。咄嗟に攻撃の手を止め、全力で回避行動へ移る。

 直後、イージスから強烈なビーム砲が撃ちかけられた。

 

 射線を躱す事は出来たが、代わりにイージスは無事に小島への着地に成功してしまう。結局、俺の思惑は外れる事になる。

 

 …それならそれで構わない。イージスと交戦を続けつつ、周囲の警戒を継続。

 ─────ブリッツが接近すれば、フラガの感覚に掛かる筈だ。下方からビームライフルを向けてくるイージスに意識を向けつつも、全方位へ神経を研ぎ澄ます。

 

 機体を翻しながら、連射される光条を潜り抜けていく。

 

 単装砲とレール砲を同時に展開、まずは単装砲でイージスを狙う。

 直後、放たれた砲弾を回避するイージスの挙動を視認─────行く先を目で追いつつ、飛び跳ねたイージスの着地点を見極めて、続けてレール砲を発射する。

 

 咄嗟にシールドを掲げるイージス─────弾速が秒速五キロにも達する超高速の弾丸を防ぎはしたものの、受け止める際の衝撃は凄まじいものがある。

 まして、着地した直後の体勢が不安定な内であれば尚更だ。イージスは衝撃に耐えきれず、機体の背中が地面に叩きつけられる。

 

「アスラン・ザラ─────!」

 

 スピリットが倒れ込んだイージスの眼前に着地する。

 赤の機体から発せられる戦意に陰りは感じられない─────故に、油断も慢心もしない。

 

 両手に握るビームサーベルを振り下ろす。

 殺すつもりは更々ないが、イージスの両腕両足を斬り落とせば、流石のアスランも戦意が削がれるだろう。

 

 その後は─────どうすればいい?

 その場に放って置き、ザラ隊の仲間に回収させるか、それともアークエンジェルに運んで捕虜にするか。

 

 ─────いっそ、直接会って話をするのも良いかもしれない。

 何となく、アスランには色々と誤解をされている気がする。

 

「っ─────!」

 

 突如、背筋に粟立つ冷気。今すぐにその場から離れろと、得体の知れない何かが全力で警告を発する。

 

 予感に従い、斬撃を止めてすぐさまその場から離脱─────直後、その場に倒れながらもイージスがモビルアーマー形態へと変化する。

 つい先程までスピリットが立っていた場所を、極太の熱線が横切っていく─────あと数瞬動き出すのが遅れれば、スピリットのコックピット部分に風穴が空いていた事だろう。

 

「こ…のっ!」

 

 両腕のビームサーベルを出力して斬りかかって来るイージス。

 こちらも二刀のビームサーベルを両手に迎え撃つ。

 

 イージスからの袈裟斬りを掻い潜り、左手のビームサーベルを逆袈裟に振り上げる。

 こちらの斬撃に対し、イージスはスラスターを吹かせて前進─────回避行動と同時にこちらの背後に回り込む。

 

 振り向き様に右手のビームサーベルを振り上げる。対し、イージスは左手のビームサーベルをこちらに振り下ろした。

 

 互いの斬撃がそれぞれの機体に命中する直前、振るわれた二機の腕がぶつかり合う。

 

 ─────動きが急に変わった…っ!?

 

 イージスとほぼ同時に、弾かれるようにして跳び退く。

 

 開いた距離、アスランはこちらの出方を窺っているのか迂闊に動いてこない。

 その間に、先程の一連の攻防─────イージスの動きが突然良くなった事に違和感を覚える。

 

 ─────種割れしたのか…?なら、厄介だな。

 

 SEED─────ナチュラル、コーディネイター問わず発現する因子。

 覚醒状態となれば、空間や環境の把握・認識力が劇的に向上し、周囲の全ての動きが指先で感じられるほど精密に把握できるようになる。

 

 俺も、身に覚えがある─────宇宙でクルーゼと対峙した時に陥ったあの感覚、あれがSEEDの覚醒だったんだろう。

 恐らく今、アスランはその状態にある。

 

 ただでさえコズミック・イラ世界にて最強とも呼び声高いパイロットが、覚醒を経て更なる力を得る。

 そしてそのアスラン・ザラは、全力の殺意を以てユウ・ラ・フラガを殺そうとしている。

 

「くそっ…!」

 

 殺すつもりはない。殺してはならない。

 しかしかといって、加減が出来る余裕はない。

 

 イージスは近距離戦に特化した機体だ。更にそのパイロットは近接戦に本領を発揮するアスラン・ザラ。

 ならば、相手の得意分野に付き合ってやる義理はない。

 

『スピリット、深追いはするな!』

 

 スピリットとイージス、再び交戦が始まろうとしたその瞬間、スピリットの後方から光条が発せられる。

 

 スピーカーから聞こえて来た鋭い声は、バジルール少尉のもの。

 今、俺がイージスと交戦しているのと同時、付近でストライクとハイペリオンも交戦している筈だ。

 アークエンジェルはストライクの援護をしている筈が、気付けばこちらへとやって来ていた。

 

 放たれた光条、ゴットフリートのビームをイージスはシールドで辛うじて受け止める。

 

 ─────このチャンスを逃す訳にはいかない。

 レールガンと単装砲、四門の砲門を開き、こちらもイージスを狙う。

 

 ゴットフリートを受け止めるのに精一杯なイージスは、実体弾による直撃をその身で受けるしかない。

 

 これまでの戦闘による被弾、ゴットフリートを受け止める事による急激なパワー消費に、シールドを割り込ませる事も出来ずにレールガン、単装砲の直撃を受けたイージス。

 後退し、ゴットフリートから何とか逃れる事が出来たが直後、赤に染まった装甲が色落ち、グレー一色へと変わっていく。

 

 パワーダウンを起こし、PSが解けたのだ。

 

「しめた─────っ!?」

 

 目の前のチャンス、正に絶好の機会。

 

 それに気が取られた事を、俺は心底後悔する。

 あれだけ、同じ轍は踏みたくないと肝に命じた筈なのに─────SEEDに覚醒したアスランとの余裕のない戦闘、アークエンジェルの援護のお陰で舞い降りた絶好のチャンス。

 それらによって俺は、とある存在が頭から抜け落ちてしまった。

 

()()()()()()()()!」

 

 何故─────ここまで接近されるまで気付けなかった…?

 

 ミラージュコロイドによって隠れていたその姿が眼前に現れる。

 トリケロスを失いながらも、残った左手にランサーダートを握って果敢に攻め込んでくるのは、ブリッツ。

 

 ランサーダートは実体武装であり、PS装甲がある以上受けてもバッテリーの消耗以外に然したる問題はなかった。

 そう、ここでの最適解は、ブリッツの攻撃を甘んじて受ける事だった。

 

 だがこの時の俺は、意識外から至近距離に突如現れた敵機に、反射的に反撃をしてしまう。

 

 生まれ持った、ユウ・ラ・フラガの人外染みた速度の反応が脳から全身へ伝達される。

 無駄のない動きでスピリットを操り、ビームサーベルを一文字に振るう。

 

「あ─────」

 

 我に返った時には、すでに何もかもが遅かった。

 

 漏れた声は虚空へと消え、目の前では先程俺が振るったビームサーベルにコックピットを切り裂かれたブリッツ。

 

 一瞬の後、黒い機体から閃光が迸り、視界を白く覆う。

 

 この手が届くのなら救ってみせようと誓った筈の命が、俺自らの手で切り裂かれ、失われていく様は嫌にこの目に焼き付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




メンタルデバフ君、フラガパワーにまで効くの巻…。

メンタル万全、フラガパワー全開ユウだった場合、接近中のブリッツに気付きます。
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