フラガとか聞いてない   作:もう何も辛くない

61 / 175
PHASE60 死闘の名残

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 艦橋のクルー達はしんと静まり返り、無線から聞こえてくるキラの嗚咽ばかりが浮き上がって響く状態だった。

 

 彼女の隣に座るサイは、まるで恐ろしいものを見る様に、モニターに表示されたS()I()G()N()A()L() L()O()S()T()の文字列を見つめていた。

 背面のトノムラとチャンドラは、振り返りたい衝動に駆られながらも、その目に現実を映すのが恐ろしいばかりにただ身を硬くするだけだった。

 

 マリューは身動きも出来ず、高く天を焦がした爆発があった場所を、見つめ続けていた。

 

 ─────まさか…そんな…、そんなこと…。

 

 先程から彼女の頭は、その先へ思考を進めようとしてくれない。

 

 あの爆発─────あれがスピリットの…あの中にユウが居た。

 だとすれば、最早、彼の命は─────

 

『おい、さっきの爆発音は何だ!?』

 

 その時、思考のループを断ち切るように手元のモニターに通信が入った。

 画面に映されたその顔に、マリューの顔が強張る。

 

 墜落したスカイグラスパーから無事に生還したムウと、その傍らにはフレイの顔もあった。

 彼の声にマリューはハッ、と我に返り、同時にこれから自分は、彼にとって最も残酷な事実を突き付けなければならない事へ恐ろしさを覚える。

 

「爆発は…分かりません。ですが─────」

 

 一瞬迷った後、彼女は続けた。

 ここで事実を告げなくても、遅かれ早かれムウは知る。ならば、いっその事、自分の口で─────そんな筈ないと責められるのは、あの子を戦いに巻き込む最終選択を下した自分であるべきだと、覚悟を決める。

 

「現在、スピリットの交信が途絶です…」

 

 覚悟をしながらも、直接的な言葉は告げられず、何とか絞り出した言葉がそれだった。

 

 しかし、マリューの言葉を受けたムウとフレイが、みるみる顔を強張らせ、青白くさせていく。

 彼らもまた、マリューと同じ結論に達したのだ。

 

「─────ユウ?お願い、応答してユウ!」

 

「っ、ろ、六時の方向!レーダーに機影っ、数、三!」

 

 再びミリアリアが呼び掛けを始めたその直後だった。カズイの怯えた声が艦橋に響いた。

 

「AMF-一〇一ディンです!会敵予測、十五分後!」

 

 クルー達の表情が恐怖に染まる。

 そんな中、マリューは咄嗟に叫んだ。

 

「迎撃用意!」

 

「無茶です!現在、半数以上の火器が使用不能です!これではモビルスーツの襲撃に対して、十分ともちません!」

 

 ナタルが厳しい口調で反論した。

 先程の戦闘のダメージは甚大であり、ナタルの言葉通り、それがアークエンジェルの現状であった。

 

 唯一残ったアークエンジェル側のモビルスーツ、ストライクも満身創痍である。武装の殆どを失い、PS装甲こそ辛うじて保持できているものの、三体のディンを相手など到底出来やしない。

 戦闘など以ての外。こんな状態で迎撃になど向かえば、ただ嬲り殺しに遭うだけである。

 

「ヤマト少尉!戻ってこられるか!」

 

『…………』

 

「キラ…。お願いキラ!もうすぐディンが来るの!戻ってきてっ!」

 

 今はアークエンジェルのパワーが戻るのを待ち、逃げるしかない。

 ナタルがキラへ戻って来るよう命じるが、キラからの返答はない。続けてミリアリアも呼び掛けるが、キラは沈黙を保ったままだった。

 

「このままでは死ぬぞ!分かっているのか!?」

 

 再びナタルが声を張り上げる。その顔には、確かな焦りが浮かんでいた。

 

 ここまで非情なまでに現実的な判断を続けて来たナタルではあるが、スピリットのシグナル消失、ユウの生死不明のこの状況に少なからず動揺が生まれていた。

 その上、キラとストライクを置いて逃げるなど─────

 

「ディン接近!会敵まで十一分!」

 

「パワー、戻ります!」

 

 続けざまに報告が入る。

 

 パイロットシート前のコンソールにグリーンのランプが灯り、座するノイマンの表情が微かに安堵に和らいだ。

 

 今から離床し、推力最大で逃げに掛かれば生き延びられる。

 

 だが─────

 

「キラッ!」

 

 未だにキラからの返答はない。ストライクの反応にも動きはない。

 その場で動きを止めたまま、呆然とし続けているのだ。

 

「ストライクの位置は!?」

 

「七時方向の小島です!」

 

「戻る気ですか!?この状況で!」

 

「ヤマト少尉とストライクを置いていくなんて、出来る筈がないでしょう!?」

 

「その気持ちは私も同じですっ!ですが─────それは、この場に居るクルー達全員に、死ねと言っているのと同じですっ!!」

 

「─────少佐、一号機と二号機は!?」

 

『私が出ます!』

 

 ユウを失い、その上キラまでこの場に置き去りになど出来ない─────その気持ちはだれもが共有する事だった。

 しかし状況がそれを許してくれない。ならば、とマリューは艦内通話でムウを呼び出した。

 

 その呼び出しに応じたのは、彼女の思う人物ではなくフレイだった。

 

『火器の一部をやられましたが、二号機はまだ飛行できます!艦長!』

 

「お願いっ!」

 

 フレイがマリューの言葉を受け、力強く頷く。

 受話器を叩きつけるようにして戻しながら、マリューは声を上げる。

 

「本部とのコンタクトは!?」

 

「応答ありません!」

 

「…離床します!推力最大!それと、島の位置と救援要請信号をオーブに!」

 

「オーブ!?しかし、あの国は─────」

 

「責任は私が取りますっ!ナタル、三分間待つわ。それでもヤマト少尉達が戻って来なければ、この宙域を離脱します」

 

「…分かりました」

 

 まだ何か言いたげなナタルだったが、マリューに気圧されるように矛を収める。

 

「ディン接近!会敵予測まで、残り八分!」

 

 トノムラの声が響く。リミットはもうすぐそこまで迫っていた。

 

 マリューが定めた三分間─────それまでにキラとフレイが戻って来なければ、置き去りにしてでもこの場から逃げる。

 艦長として、クルーの命を預かる責任者として─────マリュー・ラミアスはそう覚悟せざるを得なかった。

 

「っ─────」

 

 ただ待つだけの自分。幼い子供達に守られるだけの、弱い自分。そんな自分を心底嫌に感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…頼むぞ、嬢ちゃん』

 

「任せてください。…すぐに戻ってきます」

 

 モニターに映る沈んだ表情のムウと言葉を交わしてから、フレイは二号機を再出撃させた。

 

 アークエンジェルから送られてきた位置情報、七時方向の小島へと機体を向ける。

 

 目的の小島は発進してからものの数十秒と経たず、フレイの肉眼でも大きく確認できた。

 時間はない─────フレイはデータ通りの場所に、未だに動かず立ち尽くしたストライクの姿を見つける。

 

「キラっ!」

 

『…ふれい?』

 

 ストライクとの通信を繋げ、キラへ呼び掛ける。

 辛うじて耳に届いたのは、出会ってから今までに聞いた事のない、弱々しいキラの声だった。

 

「帰るわよ!ミリアリアも言っていたでしょう!?この状態でディンを迎撃なんて出来ないんだから!皆、貴女の事を待ってる!」

 

『…どうでもいい』

 

「キラ…!」

 

 無気力な声が返ってくるだけ。フレイは歯噛みする。

 

 何を言えば、キラの心に届くだろう。

 愛する人を失った今のキラは、ただ死を望むだけの廃人になりかけている。いや、最早これは─────

 

 ─────ふざけんじゃ、ないわよ…っ!

 

 否、フレイは認めない。キラはまだ死んでいない。ならば、決して諦めて堪るものか。

 

 ()()()()()()()()失った。これ以上もう、奪わせはしない。

 

 フレイ・アルスターは、そんな未来を決して認めない。

 

「私がどうでも良くないのよ!」

 

 今の彼女にも、まだキラに何を言うのが正解なのか分からなかった。

 だから、何が正解なのかを考えるのを止めた。

 

「キラに死んでほしくないのよ!」

 

 ただ、フレイの中の本音を全てぶつける。

 キラを想うその気持ちを真っ直ぐに、只管にぶつけていく。

 

「アンタはいいの!?このまま、こんな所で無気力に殺されるのよ?うぅん、殺されるよりもっと酷い目に遭うかもしれない!そんなの…、そんなの─────っ」

 

 あぁ─────何て自分は無力なんだろう。

 フレイの言葉は届かない。フレイが何を言っても、キラの心に響いてくれない。

 

 出会ってからの時間は圧倒的にフレイが上なのに。それなのに─────

 

「ユウが喜ぶとでも思ってるの!?キラ・ヤマトッ!」

 

『──────』

 

 一瞬、キラが息を呑む声がした。

 

 フレイの大声が響き渡った後の余韻の中、数秒程沈黙が流れた後、キラから何も返答が返ってこないまま、しかし静かにストライクが動き出した。

 

 スラスターを吹かして飛び上がり、海の方へと向かっていく。

 

 その背中を見ながら、フレイはアークエンジェルへと通信を繋げる。

 

「艦長、ストライクがそちらへ向かっています!艦をこちらへ戻せますか!?」

 

『分かりました!ノイマン少尉、ストライクとスカイグラスパー二号機を回収後に機関最大!この空域から離脱します!』

 

 すぐに二機の回収へと向かえるように待機していたアークエンジェルは、すぐにこちらへ来てくれた。

 

 ストライクが甲板へと乗り、フレイの二号機も緊急着艦用のアンカーで機体を固定させる。

 

 二機が無事に戻って来れたのを確認してから、アークエンジェルはエンジンを最大まで吹かして一気に離脱を図る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「離脱するのか、艦長…」

 

 格納庫に未だ留まるこの男の呟きは、誰の耳にも届かず虚空へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつらは戻って来たのか!?」

 

 一方、ザフト潜水母艦クストーにおいては、イザークとディアッカが発令所へ駆け込んでいた。

 

 艦長へと怒鳴るイザークと、口には出さずとも焦燥を顔に浮かべるディアッカ。

 

 艦長はイザークの額に巻かれた包帯に目を留めた後、話を逸らすように尋ねた。

 

「もういいのかね?」

 

「そんな事はどうでもいい!それより、艦が動いているな!状況はどうなっている!?あいつらは帰還したのか!?」

 

 ストライクに傷を負わされ大きな屈辱を感じていたイザークに、更なる傷が刻まれた。

 しかし、今のイザークにとって負った傷など心底どうでも良かった。それよりも気掛かりな事があったからだ。

 

 一気にまくし立てるイザークと、隣のディアッカに視線を投げてから、艦長はすぐにその目を逸らしてしまう。

 

「…あの二人は不明だ」

 

「不明…って、どういう事だよ」

 

 予想だにしなかった答えに、イザークは一瞬目を見開いた。

 イザークと同じように驚愕を覚えながらも、ディアッカが艦長に対して問い返す。

 

「詳しい状況は分からん。まず、ハイペリオンとゲイツとの交信が途切れ、やがて二度大きな爆発を確認した。その内の二度目の爆発の後、イージスとの交信も途切れた」

 

「エマージェンシーは!?」

 

「どちらからも出ていない」

 

 聞くまでもない事だ。エマージェンシーを拾っていたならば、艦は彼らの救助へと向かっている筈だ。

 つまり─────その先に続く結論を、イザークもディアッカも先送りにした。二人の頭が、その先を考える事を拒絶する。

 

「すぐに艦を戻せ!奴らがそう簡単にやられて堪るか!」

 

「バスターもデュエルも動力系は無事だ。何なら俺達二人で捜索に向かいます」

 

「そうはいかない。我々には、クルーゼ隊長から帰投命令が出た」

 

「そんな、馬鹿な…!」

 

 イザークもディアッカも、艦が戻れないのならば自分達だけでも捜索へ戻るつもりでいた。

 

 しかしそんな二人へ、艦長が冷徹に告げる。

 

「ふざけるな!あいつらを見捨てて、おめおめと戻れというのか!?」

 

「捜索には別動隊が出る。それに、オーブが動いているという報告もある」

 

「オーブ、だと…!?」

 

 自分達が素知らぬ間に、周囲を取り囲む状況が目まぐるしく変わっていく。

 イザークもディアッカも、内心どこか置き去りにされている事を感じながら、呆然と続く艦長の言葉を聞くしか出来なかった。

 

「恨むなら恨みなさい。だが…これが軍というものだ。分かってもらえるかな?」

 

 質問に寄せられた言葉ではあったが、それは命令であった。

 二人はただ、黙り込んでその命令に従うしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オーブを発った飛行艇アルバトロスが高度を下げ、オーブから程近い、太平洋に散らばる群島の海岸に着水した。

 アークエンジェルから発せられた救難要請は確かにオーブ国防軍へと届き、そしてすぐさま救助隊が結成─────アルバトロスを含めた三機の飛行艇が出撃した。

 

 要請にあったポイント付近に着水したアルバトロスのハッチが間もなく開き、そして開き切る前に一人の少女が外へと飛び出した。

 

 少女─────カガリは砂浜へと駆け下り、そして周囲を見回して息を呑んだ。

 

 辺りは焼け焦げた鉄の塊が散らばり、木々は薙ぎ倒され、地面は大きく抉られ、あちこちにはビームで焼けた砂がガラス状に溶けて固まっていた。

 波がモビルスーツの巨大な頭部を打ち、こびりついた汚れを洗い流している。

 

 広範囲に及ぶ爆発痕の中心地には何もなく、代わりに他の戦闘の痕跡とは比べ物にならない大きなクレーターが出来上がっていた。

 

「赤い機体は自爆したのか…?」

 

 カガリに続いて砂浜へと降り立ったキサカが、傍らで呟いた。

 

 辺りに飛び散った破片は、波打ち際にある頭部から察するにイージスに違いない。

 しかし─────

 

「スピリットが見当たらないな…。ここでやられた訳ではないのか?」

 

 周囲を見渡しながらキサカが続けた。

 キサカの言う通り、ここにはイージスと思われる破片が散らばってはいるものの、他のモビルスーツの残骸が見られない。

 

 ならば、スピリットは一体どこで─────

 

「周辺の捜索を急げ!そう遠くない所にスピリットがある筈だ!」

 

 キサカがてきぱきと指示を出す。

 兵達が散り、カガリも彼らに混じって捜索を始めた。

 

 倒木をまたぎ越え、ユウの名前を何度も叫ぶ。

 

 しばし後、森の方から何かを見つけたらしい者の声が上がった。

 

「キサカ一佐!こちらへ!」

 

 弾かれるように、カガリもキサカも声がした方へ向かって走った。

 

 走り出してからそう経たない内に、カガリとキサカは目の前の光景の異常さに気が付いた。

 

 ここら一帯は鬱蒼と木が茂り、深い森となっていた筈だった。だというのに、彼らの眼前、十数メートル程先が、不自然に開けている。

 

 何故─────そんな二人の疑問はすぐに、彼らの目に飛び込んで来た答えによって晴らされた。

 

「スピリット…なのか…?」

 

「─────」

 

 先程の砂浜でも二人は似たような光景を見た。

 広範囲に及ぶ巨大な爆心地─────しかし先程と違うのは、その中心に鉄灰色に色を変え、胸部装甲に穴を空けた機体が…スピリットが無残に横たわっていた事だ。

 

 キサカが呆然と声を漏らし、カガリは凍り付いた様に動けなくなる。

 

 酷い光景だった。そこで行われていたであろう戦闘の凄まじさを物語る惨状に、この場に居る誰もが言葉を失った。

 

「─────ユウッ!」

 

「カガリ!」

 

 ユウは─────ユウはどうなった!?

 

 胸部にこそ穴は開いているが、外見ではコックピットは無事なように思えた。

 微かな希望を抱き、カガリが走り出し、少し遅れてキサカが追い掛ける。

 

 ─────約束しただろ!キラを泣かせないって…。絶対に死なないって!

 

「よせっ、カガリ!」

 

 キサカの声を無視して彼女はスピリットの上によじ登り、何故か()()()()()のハッチからコックピット内部を覗き込んだ。

 

「ユウッ!」

 

 コックピットの中もまた、酷い惨状だった。

 シートはドロドロに溶け、内装は焼けただれて見る影もない。だが、半ば覚悟しつつ最も恐れていたものはそこにはなかった。

 

「ユウ…?」

 

 パイロットの少年は、影も形もない。

 いや、そもそも何故、コックピットハッチが()()()()()になっていた?

 

 驚いて後ずさりながら、カガリの頭の中で一つの結論が出る。

 

「カガリ…」

 

「あいつ…いない!もぬけの殻だ!」

 

「なに…?」

 

 傷まし気に寄り添って来たキサカが驚いてコックピットを見遣る。

 そして、カガリの言う通り空っぽの内部を見た後に大きく目を見開いた。

 

「爆発する前に脱出したんだ!でなきゃ、中に誰も居ないなんて説明がつかない!」

 

「辺りを隈なく捜索しろ!パイロットが見つかるかもしれん!」

 

 兵達に指示を出しながら、キサカは頭の中で嫌な可能性を─────むしろこちらの方が現実的とすら思える考えを浮かべる。

 決してカガリには言えない─────彼女の言う通り脱出していたとしても、すでにユウの命は失われている可能性が高いだろう。

 

 シートが解け、コンソールが焼け爛れる程の高温がコックピット内部を襲ったのなら、人体にも相当なダメージがあったはずだ。それこそ、即死しても可笑しくない程に。

 例え生き延びたとしても─────辛うじてコックピットから脱出できたとしても、戦闘が終わってからキサカ達がこの場に参上するまでの時間、大怪我を負っているであろうユウの身体は初期治療も受けられず、放置状態になっている。

 

 果たして、人間の身体がそんな状況に耐え切れるだろうか…?

 

 半ば見え切った結末を前にしながらでも、カガリの言う通り生き延びている可能性だって僅かながらにはある。

 ならば、せめて最後まで、希望を捨てない彼女と一緒に捜索を続けよう─────キサカもまた、走るカガリを追い掛ける。

 

 再びキサカが兵に呼び掛けられたのは、駆け回った二人が森から出て、イージスが散らばっていた地点とは別の浜辺に辿り着いた時だった。

 すでにそこには波打ち際に倒れている影を取り囲む兵達の姿があった。

 

 希望と不安に胸が押し潰されそうになりながら、兵達を押し退けてカガリはそこに倒れていた人物を目にする。

 

 その人は、ユウではなかった。

 波打ち際に横たわった体は、紅いパイロットスーツを身に着けていた。片腕が奇妙な角度に捻じ曲がり、バイザーの奥にはカガリとそう歳が変わらない物静かそうな顔が見てとれた。

 

「キサカ一佐!隣の小島でもモビルスーツを発見!コックピットの中に、気を失ったザフト兵が!」

 

 湧き上がった希望が失望に潰されていき、やがてカガリの顔が俯こうとしたその時だった。

 

 三度兵がキサカを呼ぶ。

 それは、スピリットでもイージスでもない、別のモビルスーツの残骸と、そのパイロットの発見の報告だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




文字数多くなってきたんでここで切ります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。