フラガとか聞いてない   作:もう何も辛くない

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PHASE85 カナード・パルス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地球軍、ザフトのたった数時間の侵攻はオーブへ大きな打撃を齎した。救いとしては、両艦隊がそのまま領海から離れていった事か。

 

 格納庫ではモビルスーツの補修やメンテナンスが行われている。

 俺が搭乗したゼノスもまた、ドミニオンに搭乗してやって来た元地球軍技術士官と、エリカ・シモンズが中心となってメンテナンスを施されていた。

 

 出撃時間は他のどの機体よりも短いが、ロールアウトされたばかりという事もあり、入念に状態に不備がないか等のチェックがされている。

 本当ならば俺もその輪の中に加わるべきなんだろうが─────肩を並んで立つフリーダムとハイペリオンの足下で顔を突き合わせる、キラとカナードの様子の方が気になってしまった。

 

 カナード・パルス─────キラ・ヤマトを憎み、彼女を殺す為に血の滲むような努力と途方もない屈辱に耐え続け、強い執着と共に戦場を生き永らえて来た復讐鬼。

 その筈だった彼の目からは、今やそれらの感情は一切感じられず、キラを気遣うようにドリンクのカップを渡すその仕草からはむしろ慈愛すら感じさせた。

 

「気になりますか?」

 

 傍らから声が聞こえて振り向く。ラクスが俺へドリンクのカップを差し向けながら、微笑を携えてそこに立っていた。

 

「…なんで居るんだよ?」

 

「アズラエル様から許可は頂きましたわ」

 

 苦笑いと一緒に尋ねてみれば、こてんと首を傾げながらラクスは答える。

 

 あの人は─────と呆れを覚えながら、ラクスから差し出されたカップを受け取って再びキラとカナードの方へと視線を向ける。

 

 俺がラクスと言葉を交わしている間に、キラとカナードの傍にもう一人、カガリが加わっていた。

 

 ─────凄い光景だな、なんてつい思ってしまう。

 だってそうだろう?本来、この光景は実現し得ないものだった筈なのに。

 一体何の因果か、兄妹は引き寄せられ、こうして集まる事となった。

 

 そんな彼らの集まりを見ているのは、何も俺とラクスだけではない。

 少し離れた物陰からは、心配そうに兄さんとマリューさん、ナタルさんが見ているし、何なら格納庫を行き交う技術士達は皆、彼らの近くを通りかかる度にキラ達を─────正確にはカナードを見ている。

 

 赤いザフトの軍服を身に纏ったカナードの登場は今から少し前、オーブ兵達から銃口を向けられながらだった。

 キラから敵ではないという説明で銃は下ろされたものの、彼らからカナードへ対する警戒はしばらくの間抜ける事はないだろう。

 

 俺自身、未だに現実感がない。本当に今のカナードは、キラに害する気はないのか─────俺でも感じ取れないレベルで殺意を隠匿し、隙が見つかればキラを殺す、そんなつもりではないのかと、疑いを持ってしまう。

 

「大丈夫です」

 

「ラクス─────」

 

 そんな俺の手を握りながら、ラクスが声を掛けて来た。

 

「あの方からキラに対して敵意は感じられません。安心していいと思いますわ」

 

「…ラクスからそう言われると、本当に安心できるよ」

 

 そっとこちらに身を寄せながら笑い掛けてくるラクスに、心の中に淀む疑いが少しずつ晴れていくのを感じる。

 

 まだ完璧にとはいえないまでも、アコードとしての力を行使できる今のラクスがそう言うのなら、きっとそうなのだろうと思える。

 他のアコード達から自身の本心をひた隠しにしたイングリットの様な閉心術をカナードが使っているのならまた話は別だが─────そこまで警戒する必要はないだろう、と思う。多分。

 

 それに、カナードのそういった感情の機微は何より、実際に戦場で対峙し続けて来たキラの方が分かる筈だ。

 そのキラがああやってカナードを傍に置いて話すのだから、彼女は本当にカナードは敵ではないと判断したという事。

 

 それならきっと、大丈夫だ─────。

 

「ユウ君」

 

 不意にカナードがキラの話を聞きながら目を見開いたから、一体何の話をしているんだろうと気に掛かった時だった。

 

「ムルタさん?」

 

 俺に声を掛けて来たのはムルタさんだった。ラクスと一緒に振り返り、こちらに歩み寄って来るムルタさんは隣に一人のオーブ軍左官を伴っていた。

 

 …この人、どこかで見た事がある気がする。

 

「こちらの方が君に話があるというのでね」

 

「オーブ国防軍、ハルオミ・トダカ一佐であります」

 

「あ」

 

 ハルオミ・()()()─────その名前を聞いて、脳裏に過る様々な映像。

 この世界に来てから途切れかけていた記憶の映像が、実際その人の顔を見る事で鮮明に蘇っていく。

 

 と、トダカ一佐だ…トダカ一佐だ!?いや、ここはオーブなんだからいるのは当然なんだけど、こんな所で会うなんて思わないじゃん!?

 だってこの人は海軍所属だぞ!?何だって格納庫に─────ていうか、俺に話って何なんだ?

 

「貴方が私に託した少女について、一報を入れておくべきかと思いまして」

 

「少女…?あぁ─────」

 

 トダカ一佐が敬礼を解いてからそう言ったのを聞いて、ようやく思い出す。

 

 そういえば戦闘中、何故か一人で戦場を彷徨っている子供を偶然見つけて、近くに居た軍人に保護を求めたな。

 その軍人がトダカ一佐だったのか…?

 

「…???」

 

 いや、待て。だとしたら可笑しいぞ?

 だって、トダカ一佐が保護したのは()()の筈だろう?俺が居た事でほんの少し経緯が変わりはすれど、トダカ一佐は一人の子供を保護した。

 

 だが、その子供は女の子だ。

 

 ─────嫌な予感がしたのを何とか胸の奥底に抑え込む。

 

「託した?」

 

「あぁ…。戦場に民間人の子供が取り残されてたのを見つけて、偶然近くに居た軍人…トダカ一佐に預けたんだよ」

 

「そんな事が…」

 

 話について来れず、首を傾げながらどういう事か尋ねて来たラクスに答える。

 

 民間人の子供、取り残された、この二つの単語で、俺が出くわした場面がどういうものだったのか─────そして、その子供がどういう状況に居たのか想像が着いたのだろう。

 傷まし気な表情を浮かべながら、ラクスは俯いてしまう。

 

「それで、その子は?」

 

「今は軍が管理している病院に居ます。大きな怪我もしていないのですが…」

 

 そこまで言ったトダカ一佐の表情に微かな陰が差す。

 

「その子の両親が、沖近くで亡くなっているのが発見されました。それと、話によると兄もいるとの事ですが、行方はまだ…」

 

「そんな…」

 

 頭を振るトダカ一佐と、悲し気に息を呑むラクス。

 

 じっくりとその少女の顔を見た訳ではないが、年齢は恐らく十代前半といったくらいだったか。そんな年端もいかない子供が戦争に巻き込まれ、挙句両親を失い、もしかしたら兄も─────。

 

「それで、その少女─────()()()()()()というのですが」

 

「ん?」

 

「彼女が、自分を助けてくれたパイロット─────貴方にお礼を言いたいと話しているのです。会えるか保証は出来ないと伝えましたが…、とにかく、貴方と会いたいと望んでいる事だけでもお伝えしに来た所存です」

 

「あの、その子の名前がよく聞き取れなくて…。何といいました?」

 

 待って、待って、待ってくれ。今、トダカ一佐は何て言った?

 

 だって、あの子はこの時期では九歳だった筈だ。だけど俺が助けた子は、少なくともそれ以上は─────その筈なのに。

 

「名前ですか?()()()()()()と名乗っていましたが」

 

 心の動揺が表に出ないよう、とにかく必死に繕う。

 

 マユ・アスカ─────原作ではオノゴロでの戦闘で、兄であるシンを残して両親と共に亡くなった、本来ならば生きていない人物。

 いや、それはいい。死ぬ運命だった人間をこの手で救えたのならば、俺にとってはこれ以上ない誉れだ。

 

 だが、トダカ一佐は言った。()()()()()()()()()()()()()、と。

 マユの話を聞いて、トダカ一佐も軍の方へ掛け合った筈だ。マユ・アスカの兄、()()()()()()()()()()()()()()()()、と。

 それでも未だ、シンの行方は分からない。

 

 戦闘が終わってからまだ数時間と経過していない。捜索を続けて、生存が確認される可能性はまだ残っている。

 だけど、マユと同じように戦場に一人取り残されたのだとしたら─────生存は絶望的だ。

 

「…その病院はどこに?」

 

「は…?会いに行くのですか?しかし…」

 

「勿論、今すぐにとはいきませんが…。時間がとれ次第向かうと、伝えておいてください」

 

 俺からの返答に戸惑うトダカ一佐へ続けて言葉を向ける。

 

 少しの間呆けていたトダカ一佐はやがて、「分かりました」と一言発する。

 それから病院の場所を俺に教えてから、トダカ一佐は再び俺とラクスへ敬礼をとると格納庫を去って行った。

 

 ムルタさんもここへトダカ一佐を案内しに来ただけだったのか、「それでは私も失礼致します」と言い残してこの場を去って行く。

 

 …あの人は忙しいだろうに、何だってこんな所に来たんだ?トダカ一佐の案内だって、代わりの人を寄越せばいいものを。

 

「…これも、ユウ・ラ・フラガ(異物)が引き起こした改変、か」

 

「ユウ?」

 

「いや、何でもない。それより、俺は戻るけどラクスはどうする?」

 

 アスカ家の両親は救えず、生き残ったのもシンではなくマユだった。

 この改変もまた、ユウ・ラ・フラガ(異物)によって引き起こされたもの。どうせ改変されるなら、都合よく全てを救えたらいいものを。

 

 心配げに見上げてくるラクスに微笑みかけてから、彼女に尋ねる。

 ラクスは「わたくしもお供いたしますわ」と返し、俺と一緒に格納庫を出る。

 

 再攻撃はないだろうし、整備を急ぐ必要はない。なら、部屋に戻って休む事にしよう。

 …ラクスが一緒について来て、果たして休まるかどうかは分からないけど。ま、まあ、流石に襲われる事はないでしょう。

 信じてる─────信じてるよ?本当だよ?

 

 その後、獣になったラクスが俺に襲い掛かって来た…なんて事はなく、平穏に時を過ごす事が出来た。

 たまにチラッとベッドの方を見てた時があった様な気がしないでもないけど、それは気のせいにしておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カナード!」

 

 時間はユウとラクスがキラ達の様子を見守っていた頃まで遡る。

 ちょっとしたひと悶着はあれど、キラのフォローもあり機体をオノゴロの格納庫へ収容したカナードは、キラと顔を付き合わせて話をしようとしていた。

 

 しかしその前に、遠くからカナードを呼びながら駆け寄ってきたのがカガリだった。

 

 カガリは息を切らしながらも懸命に駆けて来て、やがてカナードの前で立ち止まると乱れた呼吸を必死に整えようとする。

 

「お前…」

 

 両手を膝に突いて呼吸をするカガリを見下ろしながら、カナードは目を見開く。

 が、すぐにその驚きは収められた。よくよく考えれば、彼女の立場上ここへ来る事など自由に出来て当然だ。

 何しろ、今の彼女はアスハなのだから─────。

 

「どうして、ここに…?」

 

 少しずつ呼吸が落ち着いてきたカガリは顔を上げると、カナードに問い掛けてきた。

 

「目的を果たしに来た」

 

 それに対し、カナードは見上げてくるカガリの目から視線を逸らさず、真っ直ぐに受け止めながら言い切ったのだった。

 

「─────じゃあ、キラが…!?」

 

「…?」

 

「余計な事を言うな」

 

「っ、でも!?」

 

 今更になって、迂闊な事を口にしたとカナードは後悔する。

 

 キラに撃たれ、オーブに保護された時─────カナードはカガリとアスランの前で、これから何の為に戦えば良いのか分からない、と吐露した事があった。

 その時、カガリからの助言もあって、カナードにとって妹にも等しい存在─────キラとカガリを守るという決意を口にしてしまった。それをよりにもよって、カガリが聞いてしまったというのが痛恨の極みだった。

 

「それより、お前()はこれからどうするつもりだ」

 

「カナード…!」

 

「オーブは地球連合とザフトの両方を敵に回した。それがどういう事か、分かっている筈だろう」

 

 知る必要はない。自分達三人のルーツ等、彼女達が知る必要なんてない。

 

 迂闊にもむざむざパンドラの箱を開ける様な行動をした─────そんな自分が言える様な事ではないと分かってはいるが、出来る限り真実から彼女達を遠ざけたいというのがカナードの本音だった。

 何ら陰のない、そんな風に成長していた二人だからこそ、絶対に知るべきではないのだ─────()()()()()()は、絶対に。

 

 それでも、もし追及された時には、キラが物心つく前に会った事があるとでも言っておけばいいだろう。それもまあ、誤魔化すには無理な話とは思うが…最悪、キラの両親に話を通して口を合わせて貰うという最終手段も考えている。

 

「(俺なんかの願いを聞き入れてくれるかは分からんがな…)」

 

 心の中で自嘲しながらも、今はそれよりもカナードには気になる事があった。

 

 それは今後の二人の行動である。

 

 オーブは地球連合からの通告を拒絶し、侵攻を受けた。更にザフトからの通告も同時に拒絶し、侵攻された。

 オーブと同じように中立を貫いていた他の国々も、今や地球連合に吸収されてしまった今、この国は完全に国際社会から孤立してしまった。

 

「連合とザフトは領海から離れていった以上、すぐに再攻撃を受ける事はないだろうが…軍備を整えて、今回以上の軍勢で再侵攻を掛けてくる可能性だってゼロじゃない。それでも─────」

 

「それでも戦うよ」

 

 カナードのそれでも、という一言を引き継いでそう口にしたのはキラだった。

 

 カナードとカガリが目を見開きながらキラの方へ視線を向ける。

 キラは先程カナードから受け取ったカップを手で回しながら、続けた。

 

「大変だって事は分かってる。でも、戦争はどんどん広がろうとするばかりで…、このままじゃ本当に、プラントと地球は、お互いに滅ぼし合ってしまう」

 

「キラ…」

 

 キラの決意を受け、カガリが小さく声を漏らす。

 

 その顔は二つの感情に揺れていた。

 一つは、父の思いにキラが賛同してくれている事への喜び─────そしてもう一つは、その為に親しい人をいつ死ぬかも分からない危険な場所に引き連れてしまう事への後悔。

 

「だから私は戦うの」

 

「お前は…」

 

 その決意の大きさはカナードにも伝わっていた。

 

 どうして─────こんな奴が、巻き込まれなければならないんだ。

 戦いなんて向いている筈がない、優しい瞳をした奴が、どうしてそれが()()()()()()()を備えてしまったのだ。

 

 そんな力なんてなければ、キラは─────。

 

「…そうか。ならば、俺もお前と共に戦おう」

 

「え…?」

 

 今更何を後悔しようとどうしようもないし、当事者でもない自分がキラの()()について恨んでも仕方がない。

 ならばカナードが考えるべきは今、自身がどうしていくべきか─────そんなもの、考えるまでもなく一つだった。

 

「で、でも…。私と一緒に来たら、貴方は貴方の仲間と戦う事になるかもしれません」

 

「安心しろ。俺には仲間と呼べる存在など居なかった」

 

「それのどこに安心しろと…?」

 

 心配そうに尋ねてくるキラへ、カナードは間髪置かずに答えた。

 

 本人に全くそんな自覚はなくとも、第三者からすれば自嘲の言葉に他ならない一言を聞いたカガリは戦慄に震え、キラは思わず苦笑いを浮かべた。

 

 しかしこれはカナードの本心でもある。

 微かではあるが情はあったし、裏切り行為に対して引け目もあった。が、それ以上にキラとカガリ、二人に対しての思い入れの方が圧倒的に大きかった。

 

「キラ・ヤマト。お前から見た俺という存在がどれだけ疑わしく見えるか、理解しているつもりだ」

 

 自分から発した訳でもなく、何故か知られていた名前。

 少し前まで殺意剥き出しで襲い掛かってきたにも関わらず、掌を返して一緒に戦いたいと申し出てくる。

 カナードがキラと同じ立場であれば、容赦なく切り捨てていた所だ。

 

「それでも、俺はお前に多くを語るつもりはない。ただ一つ─────お前と共に戦いたいという思いは真実であると、それだけは胸を張って言い続けるつもりだ」

 

「カナード、さん…」

 

「お前の傍に居たいとは言わない。ただ、お前と同じ志を持つ事を、許してほしい」

 

 キラに対して頭を下げる彼の姿を、以前のカナードが見たら何を言い、何を思うだろう。

 怒り狂い、キラよりも先に今のカナードの方を殺そうと襲い掛かって来るかもしれない。

 

 だがこれが、今のカナードの意志。それは誰にも口を挟めない、確固たる事実だった。

 

 だからだろう。カナードの微かな澱みもない意志は、キラに通じる事となる。

 

「顔を上げてください」

 

「…」

 

 柔らかいキラの声が掛けられ、言葉通りにカナードは顔を上げる。

 

 キラは、微笑みながらカナードへ手を差し出していた。

 

 言葉はなくとも分かる、それはキラからの了承の証であった。

 

「…ありがとう」

 

「それはこちらの台詞です。…共に戦いましょう、カナードさん」

 

 差し出されたキラの手を握り返す。

 互いに笑みを向け合い、そして頷き合う二人。

 

 そんな二人を見ながら、カガリもまた微笑んでいた。

 

「あれ?さっきまでユウの奴、そこに居たんだけどなー。別の男と手を握り合うキラを見た感想を聞こうと思ったのに」

 

「ユウ?」

 

 カナードとキラが和解をして、緊張に固まっていた空気が解れた時だった。

 不意にカガリの口から出て来た()()という名前に、カナードが反応する。

 

「前にもお前はその名を口にしていたな。確か、スピリットのパイロット…」

 

「あぁ。今はあの、ゼノスって機体のパイロットだけどな」

 

 ゼノス─────彗星の如く戦場に現れ、そして瞬く間にキラとカナードが手古摺っていた機体を、不意を突いたとはいえ欠損させて撤退に追い込んだモビルスーツ。

 凄まじい機動力と、それを操ったパイロットの技量。それらが合わさった光景を、カナードは目にしていた。

 

「ユウ・ラ・()()()っていうんだけどな。ラクスも一緒に居た筈なんだけど、どこに行ったんだろ」

 

「フラガ─────」

 

 カガリがユウという男のフルネームを口にした途端、カナードの中で時の流れが止まる。

 

 ─────フラガ、だと?

 

 正確にカナードが反応を示したのは、ユウの持つファミリーネームに対してだ。

 そのファミリーネームを聞いた途端、カナードは目を瞠り、一瞬震わせた体を硬直させた。

 

 あのフラガが、キラ、カガリの姉妹と出会い、しかも聞く限り二人とかなり親しい関係になっているらしい。

 

 ─────もし、ふざけた真似をしたら…、その時は。

 

 今この場には居ないユウに対して、カナードは警戒を向けざるを得ない。

 何故なら、キラとカガリは何も知らない。フラガとキラ、その間にどういう繋がりがあるのか。

 

 決して切れない昏い因縁が繋がっている事を知っているのは、この場ではカナードしか知らないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前半はユウが助けた少女の正体が明かされ、後半はサブタイ通りのカナード中心の話になりました。
カナードがユウを警戒しています─────尚。
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