フラガとか聞いてない   作:もう何も辛くない

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今更ですが、PHASE94の後書きにイーラの設定を載せています。
すっかり載せるのを忘れてしまい、すみませんでしたm(_ _)m


PHASE96 幕開け

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あとどのくらいですか、L4は?」

 

 今回の作戦にて動いた艦隊、その旗艦となった地球連合軍アガメムノン級宇宙艦艇ドゥーリットルにオブザーバーとして搭乗したジブリールが、艦長席に座るウィリアム・サザーランドを見遣りながら尋ねた。

 

「もう間もなくです」

 

 ドゥーリットル率いる地球連合軍艦隊は、廃棄されたコロニー群─────L4へと向かっていた。

 

「しかし、本当に良いのですか?貴方の情報網に疑いを持っている訳ではありませんが、罠の可能性がないとは限りません」

 

「大佐の懸念は尤もだ。しかし、確かな筋からの情報です。ナスカ級三隻が動いているという情報もありますし、急がなければ先を越されてしまう」

 

 ジブリールの問い掛けに答えてから、サザーランドは声に微かな懸念を籠もらせながら逆に聞き返す。

 

 サザーランドが向けて来た懸念を受けたジブリールはそれを軽く笑い飛ばしてから、しれっと答えた。

 

「それに例え罠であったとしても、今の我々にはそれを踏み潰せる力がある」

 

「…なるほど」

 

 続けて自信満々にそう言い切ったジブリールへ、サザーランドはこれ以上何も言わなかった。

 動かないその表情の裏で何を思っているかは分からないが、今回の作戦成功へ全力を注ぐという意思に揺らぎはないようだ。

 

 ビクトリア解放後、ジブリールはサザーランドと共に月へと上がった。

 その足でドゥーリットルへと乗り込み、プラントに居る()()()から得た情報を元に、三隻のネルソン級宇宙戦艦を引き連れてL4へと向かう事にした。

 

 情報が確かならば、オーブから宇宙へと上がったアークエンジェルとドミニオン、そしてもう一隻オーブの宇宙艦艇がL4を拠点として利用しているという。

 更に、プラントから脱走したという最新鋭の戦艦がそこに加わり、ザフトもその足跡を追ってL4へ向かっているのは先程ジブリールが言った通りだ。

 

 ジブリールには何としてもザフトよりも先にL4へと急ぎたい理由があった。

 それは、先日のオーブ戦役で出撃したとある三機のモビルスーツである。

 

 協力者から送られてきたデータの中に、その内の二機についても載っていた。

 フリーダムとハイペリオン─────オーブで地球軍に牙を剥いた機体の片割れが地球連合軍製というのは皮肉だが、あれを奪還、或いは破壊する為にザフトは軍を動かし始めている。

 それよりも先に、ジブリールはフリーダム、ハイペリオン、或いはもう一機─────ゼノスのどれかをどうにか鹵獲したいと考えていた。

 

 あの三機には、核動力が備わっている─────オーブでの戦闘データを見返した結果、ジブリールが導き出した予測はソレだった。

 アズラエルの遺産である第二期GATシリーズである三機は、第一期のそれとは一線を画するパワーを誇っていた。にも拘らず、それらにパワー負けする事がなかった処か、それ以上の動力を誇っている様にすら思えた。

 

 何かがある、そう考え、思考を凝らした末の予測。

 核分裂を抑制するNJを作り出した者達ならば、それを無効化させる代物を生み出す事もまた可能─────ならばその技術、是が非でも手に入れたいと思うのもまた道理。

 

 ジブリール側でも、NJを無効化するべく研究を続けていた。()()()()()()()()()()()()()()N()J()()()()()()()()()()()()を解析し、瞬く間に大きく研究は進歩をしたといえる。

 

 あと一歩─────その一歩がどうしても踏み越える事が出来ないでいた。その一方で、アズラエルはその一歩を踏み越えてみせた。

 それをエネルギー問題の解決に使わなかったのは、こちらの派閥を警戒してか─────その警戒はぐうの音の出ない正解である事は認めるが、こちらの考えなどお見通しという嘲笑が聞こえてくるようで、癪で仕方がない。

 

 ─────死んでからも私を見下すかの様に…、忌々しいッ!

 

 口内の奥で歯を軋ませながら、胸中で荒れ狂う怒りを必死に堪えるジブリール。

 

 プラントへの総攻撃を掛ける際、主力として使おうと考えていたドミニオン。そしてアズラエルが手塩を掛けて開発を続けていたモビルスーツ、ゼノス。

 自身の身の危険を予め察知していたのか、アズラエルの死後、それらがアズラエル一派の手によって首尾よく奪われてしまった。運び先にオーブを選んだ理由までは分からないが─────その選択もまた、正解だったと言わざるを得ない。

 

「だが、それもここで終わりだ」

 

 アズラエルの後塵を拝し続け、彼が死して尚その影響力を前に屈し続けた。

 しかしそれも終わり。何故なら今、ジブリールの傍らには()()()()()が居るのだから。

 

「貴様ではない…。頂に立つのは、この私だ…!」

 

 そう嘯くジブリールの目には、いよいよL4コロニーの姿が見え始めていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『弾薬や物資はツッコめるだけ持ってきてはある』

 

 マリューの手元のモニターには、現在通信で繋がっている、エターナル艦橋のバルトフェルドが映っていた。

 

『その後の補給ルートも、プラントに残ってる連中が出来る限り繋げてくれるという手筈にはなっているが…。無理はするなと、伝えている』

 

「賢明です。こちらでも、アメノミハシラとの補給路は確保してありますので、物資の心配はないと思います」

 

 コロニー()()()()の宇宙港では、物資のやり取りが行われていた。

 それと並行して、アークエンジェルとエターナル艦長、マリューとバルトフェルドの間で今後の補給路についての話し合いも行われていた。

 

 エターナル側では、クライン派の人脈を介して補給路を確保しようと画策していたが、それはロイ・セルヴェリオスによって困難に陥っていた。

 一方のアークエンジェル他二隻の補給路は、アメノミハシラを通して確保されている。エターナルが加わった事についても話を通せば、物資を融通してくれる筈。

 

 当面の心配はなさそうだと、バルトフェルドの顔に安堵の色が浮かぶ。

 

『少佐!そんな事は私達がやりますからっ!』

 

 その時、通信からアサギの声を漏れ聞いた。

 

 港内で行われている作業に参加して、コンテナの積み下ろしを手伝っているストライク─────ムウに対して、アストレイを操縦するアサギが声を掛けたのだ。

 

『いいんだよ、これも訓練の一つでね』

 

 エンデュミオンの鷹─────ムウについた二つ名は当然、アサギも知る所だ。そんな人物に雑用をさせるなんてとんでもない、とでも思っているのだろう。

 

「大丈夫よアサギさん。訓練から逃げた人の扱いなんて、これくらいで充分なんだから」

 

『ぐっ…』

 

『え?逃げた?』

 

 そこに割り込んだマリューの言葉にムウが言葉を詰まらせ、アサギが首を傾げる。

 

 二人の様子に笑みを零しながら、マリューは続けるのだった。

 

「えぇ。この人、最初はユウ君に訓練をお願いしていたの。だけどその訓練が余りにも厳しいものだから、楽に操縦の慣熟が出来そうなそっちの作業に参加した─────でしょう?」

 

『えぇ…』

 

 そう。この男、最初はユウにモビルスーツ操縦を習おうとお願いしていたのだ。

 丁度その場面に居合わせたキラが止めようとしたが、その時ムウはこうも言った。「多少厳しいくらいじゃないと、お前らと肩を並べるまでになれないだろ?」と。

 

 何とも恰好の良い台詞だったし、マリューもそんなムウを応援していた。

 

 その結果、この男はユウが課した訓練から逃亡したのである。

 当然マリューは呆れたし、その話を聞いたアサギも微妙な顔をしている。

 

『俺が間違ってたんだ!あいつ、「目に見えるモノに頼り過ぎるな」とか、「後ろにも目をつけろ」とか無茶苦茶な事ばかり言って!』

 

「でもフレイさんはユウ君の訓練を耐えてたんでしょう?」

 

『あの嬢ちゃんも嬢ちゃんで可笑しかったからな…。俺は普通の人間なんだよ!』

 

「そんな人を化け物みたいに言わないの…」

 

 ただ話を聞いた当初は何をやっているんだと呆れたマリューだったが、ムウから話を聞いてからは同情の念を抱いたのは事実だった。

 

 たった今ムウが語ったユウからのアドバイスらしき台詞もそうだし、実際にユウから熟せと求められた訓練内容もとんでもないものだった。

 尚、ユウに流石にやり過ぎではないのかと進言しに行ったら、返って来たのは「フレイにも似たような事をさせたんですけどね」だった。

 

 …ムウの言い方はあれだとは思うが、ユウは言わずもがな、フレイも天才側の人間だったのかもしれないと思い直させた一時だった。

 

『そんなにきつかったんですか…?』

 

『なに、興味ある?何ならやってみるか?シミュレーションの設定は覚えてるから、歓迎だぜ?』

 

『え!?そのぉ~…遠慮しておきまぁす…』

 

「賢明な判断よ、アサギさん」

 

 ムウの説明を聞き、怖いもの見たさで興味を持ってしまったアサギだったが、流石に自分がソレを味わうのは御免だと思ったのだろう。

 ムウからの提案に対し、顔を引き攣らせながら断りを入れたのだった。

 

 アサギの冷静な判断に賞賛の言葉を掛けながら、マリューは格納庫から通信が入っている事に気付いて回線を開く。

 

『マリューさん、相談があるんですけど大丈夫ですか?『おっと、俺は作業に戻らせてもらうぜ?』…あれ?兄さん近くに居ます?』

 

「いえ、居ないわよ?」

 

『そうですか?…気のせいか』

 

 モニターにユウの顔が映し出され、マリューへ質問を投げ掛けた直後にムウがこちらとの通信を切った。

 通信が切れる際の声を聞いたユウが首を傾げながら再度尋ねて来たが、マリューは頭を振ってその問い掛けに否定の答えを返す。

 

 ユウには悪いが、ムウの身の為にも嘘を吐く。

 訓練後のムウは割と洒落にならないレベルで疲労困憊だったし、この嘘は許されて然るべきだろう─────と自分に言い聞かせながら、マリューはユウへ尋ねる。

 

「それで、相談って?」

 

『そうでした。モビルスーツの配備の事なんですけど…』

 

 ユウがマリューへ求めて来たのは、モビルスーツの配備についての意見だった。

 

 現在はクサナギにM1、アークエンジェルにフリーダムとハイペリオンとストライク、そしてドミニオンにゼノスとスピリットと、スウェン用の()()()()()()()()が配備されている。

 そこにエターナルが加わった為、再度モビルスーツの配備について考え直さなければならない。

 

『私はエターナルにフリーダムとゼノスを配備するべきだと思うんですけど、マリューさんはどう思いますか?』

 

 その声を聞き、マリューはここで初めて、ユウの後ろにちょこんとキラの顔が映っている事に気付いた。

 

「そうね…。フリーダムはエターナルが専用運用艦なのだし、良いと思うわ。フリーダム一機だけじゃ戦力のバランスがとれないし、ゼノスが載るのも良いと思うのだけれど…」

 

 キラからの意見にマリューは概ね賛成だった。が、マリューの賛同の言葉にユウの傍らに居るキラと、分割された画面に映るラクスがそれ見た事かと言わんばかりの顔で頷いているのがどうも気になる。

 

『マリューさん…。()()()()()についてのデータは見ましたか?』

 

「えぇ。だけど、それがどうかしたの?」

 

『アレに接続できるのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんです。ゼノスを載せるよりもハイペリオンを載せた方が、モビルスーツと戦艦の連携を深められると思うんですが…』

 

「…なるほど」

 

 戦艦に載っているモビルスーツの数と性能、そこに囚われた見方しかしていなかったと、ユウに言われて初めて気が付く。

 

 エターナルに備わった武装、ミーティアは船体からの分離、そしてザフト製のモビルスーツとの接続が可能である。

 強大なバッテリー負荷に耐えられるという条件付きであるが、接続したモビルスーツへ戦艦並の火力を備え付ける事が出来る代物だ。

 

 そしてそれを接続、扱えるモビルスーツはユウが言った通り、フリーダムとハイペリオンのみ─────だから、ゼノスよりもハイペリオンをエターナルに載せるべきだというユウの意見は、的を射ている。

 

『…』

 

『…』

 

「…ユウ君。だけど私は、貴方がエターナルに乗った方が良いと思うわよ」

 

 的を射ている─────が、ここは理屈よりも人の感情を優先した方が良いとマリューは判断した。

 

 そして、ユウもまた同様に考えていたのかもしれない。

 マリューの返答を聞き、苦笑いを浮かべた彼はきっと、背後から…そして映像を通して二人の女の子からジッと見つめられている事に気付いている。

 

『マリューさんが言うなら、従います』

 

 だからこそ、こうもあっさりとあれだけ筋の通っていたにも関わらず、自身の意見を取り下げてマリューの考えに従うのだ。

 

 言いながらユウはチラリと傍らのキラを横目で見遣る。

 ユウと同じ艦に乗る事になったのが本当に嬉しそうに笑っているキラと目が合い、彼は釣られる様に穏やかな笑みを零す。

 やはりユウも、好きな女の子には弱いという事なのだろう─────この場に居る自分達の中で押しも押されぬ絶対戦力の、年相応の素振りを見られてマリューも思わず微笑ましくなる。

 

 L4へと辿り着き、同時にエターナルと合流したマリュー達の空気は決して悪くなかった。

 むしろ、彼らにとっては対岸とも呼べるプラントから、同じ未来を描く者達が合流したという事実は、戦力が増したという物理的な意味合いを越えて、大きな意味があった。

 

 集った彼らの一人一人が掲げる灯、そのそれぞれは小さくとも、数が増えればやがて闇夜を明るく照らし出す事も可能かもしれない─────そんな希望を胸に抱かせ、マリューはともすれば浮足立ちそうになるのを抑え込む。

 

 これからどうしていくのか決まった訳でも、どうすれば目的に達する事が出来るか分かった訳でもない。

 それなのに、意味もなく浮かれている場合ではないのだ。

 

「接近する大型の熱量を感知!数、四!」

 

 それは果たして、マリューの戒めが当たったかの様に異変は起こった。

 

 当直についていたサイがセンサーに現れたものに、ハッと息を呑んで声を上げたのだ。

 

 振り返ったマリューの視線の先で、サイの顔がみるみる内に強張っていくのが見える。

 

「戦艦クラスのものと思われます…!」

 

「距離七百、オレンジ十一、マーク十八アルファ!ライブラリ照合─────地球連合軍宇宙戦艦、アガメムノン級一!ネルソン級三!」

 

 サイの声に真っ先に動いたのがトノムラ。すぐに接近する戦艦を特定し、報告を上げる。

 

「総員、第一戦闘配備!」

 

 艦内に放送を繋げて配備を命じる。

 ムウのストライクが艦内に戻り、ミゲルがカタパルトデッキへ急ぐ。

 

 アークエンジェルへと乗り込んでいたユウが急いでドミニオンへと戻り、エターナルへの移動を始めようとしたキラがそれを中断し、フリーダムで待機をする。

 

 それぞれがすぐさま戦闘を開始できるよう備えるが、しかし近付いてくる艦がこちらの敵となるかは分からない。

 偶然通りかかり、こちらに気付く事なく通り過ぎてくれる可能性もない訳ではない。

 

 通り過ぎてくれ、と誰もが息を潜め、心の内で願う。

 

 その願いは裏切られ、同時に港が衝撃に揺れた。

 エネルギー砲の砲撃を受けた港口が過熱して、赤く照らされ輝いた。

 

「アークエンジェル発進!港の外へ出る!」

 

 偶然通りかかった訳ではない。明確に自分達がここを根城として隠れている情報を掴み、狙っている敵が外へ居るのだと悟ったマリューが即座に決断を下す。

 

『ラミアス艦長!』

 

 手元のモニターにナタルとキサカの顔が映る。

 

「ナタル、ドミニオンは出られる!?」

 

『出撃可能です!』

 

「ならアークエンジェルと一緒に出撃して!クサナギは私達に遅れて出てください!後方から援護をお願いします!」

 

『了解した!』

 

 画面に映り込んだナタルとキサカへ指示を飛ばしたマリューは、次にエターナルとの通信を繋げる。

 

「バルトフェルドさん、エターナルは!?」

 

『悪いが、まだ最終調整が完了していない!』

 

「では、港の中で待機を!」

 

『わかった、すまん!』

 

 今回の戦闘にエターナルが出られないのは痛いが、それでも三隻対四隻。それも、性能はこちらの三隻の方が上だ。艦隊戦となればこちらが優位に運べるだろう。

 問題はモビルスーツ戦─────モビルスーツ用のカタパルトがどれだけ整備されているかは分からないが、まず間違いなくこちらが配備している機体よりも多く持ち込んでいるのは間違いない。

 

 スーパーエース級のパイロット、最新鋭の機体を揃えているとはいえ、数の差がどれほど戦況に影響するかは未知数。

 

「イーゲルシュテルン、バリアント機動。艦尾ミサイル発射管、全門装填!デブリに気を付けて、特にデザー用のメタポリマーストリングは危険よ」

 

 港口を通り過ぎながら、マリューが命じる。ノイマンが心得ている様子で頷いた。

 

『こちらは地球連合軍宇宙戦艦ドゥーリットル。アークエンジェル、聞こえるか?』

 

 その時、思いも掛けない通信が飛び込んで来た。

 

 聞き覚えのない男の声─────一体何者かと思案し、周囲のクルーと目を見合わせていると、声が続けて響き渡る。

 

『今すぐに無条件降伏を受け入れろ。それが、貴艦らが生き残る唯一の道である』

 

 まだ戦いが始まっていないにも関わらず、すでに勝ち誇っている様にも聞こえるその声は、マリュー達へ降伏を要求する。

 

『もしこのまま降伏するのであれば、軍上層部に君達を丁重に扱うよう便宜を図ろう。…無論、例外はあるが』

 

「っ…」

 

 この言い方からしてこの男は軍の中でもかなりの高官、或いは軍に対して大きな影響力を持つ高い立場に居るようだ。

 そして同時に、根深いコーディネイター排斥の思想に染まっている事も、最後の一言で察せられる。

 

 いや、そうでなくともマリュー達から返すべき答えは一つだった。

 

「お気遣い感謝致します。しかし、それはできません」

 

『ほぉ…?』

 

 まるでマリューがそう答えるのを待っていたかのように、男の声が微かに弾む。

 

「我々は地球軍そのものに対して、疑念を持っています。…よって、降伏、復隊する事はあり得ません!」

 

『…よく言った。ならば貴様らのその命、この()()()()()()()()()が摘み取る事としよう』

 

 ─────ロード・ジブリール…!?

 

 その名前を聞き、マリュー達は目を見開く。

 

 ロード・ジブリール、財界について少しでも調べればすぐにその名前に行き着く。

 そしてこの男についてまた少しでも調べ始めれば、ブルーコスモスの中でも最も過激で、最も強くコーディネイター排斥に力を注ぐ活動家である事が掴められるだろう。

 

 何故そんな彼がこんな所まで来ているかは分からないが、とにかく最早戦闘は避けられない状況に陥った事だけは確かだった

 

『サザーランド大佐』

 

『ハッ!カラミティ、フォビドゥン、レイダー、()()()()()発進!続けてモビルスーツ隊も全機発進だ!』

 

 聞き覚えのある名前の三機と、加えて聞き覚えのない名前の機体─────それらに引っ掛かりを覚える余裕もなく、マリューは眼前から迫る敵に気を引き締める。

 

 自ら意志を選び、宇宙へと出てから初めての戦闘。

 

 彼らにとって衝撃的な数々の事実と現実を目の当たりにする事となる、その序章がこの瞬間、幕を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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