フラガとか聞いてない   作:もう何も辛くない

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PHASE98 迷いと恐怖

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アークエンジェル、ドミニオン、両艦が散開し周囲のモビルスーツに襲い掛かられながらも必死に戦闘を繰り広げる。

 砲門を出し惜しむ事なく撃ち続ける艦は、付近で露払いを続けるスウェンの奮闘もあり大きな被弾もなく、少しずつではあるが敵モビルスーツ隊の数を減らし続けていた。

 

「オレンジ、デルタよりミサイル急速に接近!」

 

「迎撃っ!」

 

「間に合いません!」

 

 しかし多勢に無勢─────オノゴロでの戦闘以上にアークエンジェル側は苦戦を強いられていた。

 

 右側より飛来したミサイルが、アークエンジェルの迎撃をすり抜けて船体へと迫る。

 

「させんっ!」

 

 命中する直前、ギリギリの所でミサイルに気付いたストライクが、全砲門を一斉に開き撃ち放つ。

 

 I.W.S.P.を装備し、計五門の砲門を備えたストライク二号機がいくつかのミサイルを撃ち落とすが、残りは間に合わずに艦の右舷を襲う。

 

「ちぃっ…!」

 

 迎撃が間に合わず悔いを込めた舌打ちを響かせながら、されどそれに囚われる暇もなく、スウェンは機体を駆り続ける。

 

 ストライク一号機とスピリット、ムウとミゲルが後方から迫っているというザフトを迎え撃つべく戦線から抜けてから、スウェンはM1隊を率いながら必死の攻防を繰り広げていた。

 

 敵ながら地球軍の連携は見事で、モビルスーツを囮に注意を引きつけながら、二隻の意識が艦隊から逸れた所を上手く狙い主砲を撃ち掛けて来る。

 

 しかし先程のミサイルの様な、迎撃し切れないまま被弾するという回数が次第に増えてきている。ムウとミゲルが抜けてからは特に、そういった場面が目立ち始めていた。

 

『ラミアス艦長!』

 

「ナタル…!」

 

 アークエンジェルの艦橋内に、次第に追い込まれているという実感と焦燥が滲み出し始める。

 そんな中、ドミニオンより通信が入り、モニター上部にナタルの顔が映し出される。

 

『こちらが敵旗艦を誘導します!コリントスの終端誘導を自立制御パターンBにセットして、指定した箇所に撃ち込んでください!』

 

「っ、分かったわ!」

 

 ナタルが言うと同時、戦闘宙域を映し出すコンソール画面の中に赤く光る光点が示される。

 

「聞いたわね!?」

 

「はいっ!」

 

 マリューが念を押すまでもなく、ナタルからの要求はクルー達の頭の中に入っていた。

 

 アークエンジェルが撃ち出したミサイルは、寸分違わずナタルが指定したポイントへと撃ち込まれ、その場で停止─────その間にドミニオンがゴットフリートを敵旗艦ドゥーリットルへと斉射する。

 

 距離が離れている分、ドミニオンからの砲撃をドゥーリットルは余裕を持って回避するが、それが誘導である事に敵艦長は気付いていない様子。

 その証拠に、ドゥーリットルは少しずつ、アークエンジェルが先程撃ち込んだミサイルが待機している地点へと近付いていく。

 

 ナタルの作戦通りに進んではいるが、ドゥーリットルへと砲撃を撃ち込むドミニオンへは当然敵の意識が向けられる。

 旗艦の危機に反応したモビルスーツの多くが、ドミニオンへと襲い掛かる。

 

「バリアント、ゴットフリート!てぇっ!」

 

 そうはさせじとマリューが号令をかける。

 アークエンジェルが放った砲撃はモビルスーツ隊の動きを阻害し、またいくつかの機体を貫き爆散させる。

 

 ドミニオンの動きの邪魔はさせない─────現状、この不利な状況を打開するにはナタルの作戦を成功させる他にない。

 

 ストライク二号機も、M1も、クサナギもドミニオンの援護へと回る。

 

「グリーンアルファよりモビルスーツ、二!」

 

「及びブルーブラボーよりモビルスーツ、三!」

 

「対空!ヘルダート、てェーッ!」

 

 当然、守りが手薄になったアークエンジェルを見逃す筈もなく、その事に気付いた敵が続々と襲い掛かっていく。

 迎撃の指示を飛ばしながら、マリューはドミニオンの、そしてドゥーリットルの行方に目を光らせる。

 

 誘導は上手くいっている様子。ドミニオンの砲撃に追いやられる様に、ドゥーリットルはアークエンジェルが仕掛けたミサイルの網へと更に近付いていく。

 

「っ─────!」

 

 マリュー達の目に、敵艦の熱源を感知したミサイル群が自動的に動き出すのが映った。

 

 ドゥーリットルが即座に迎撃を図り、対空機関砲がミサイル群へと向けられる。

 更にドゥーリットルの異変に気付いたストライクダガーの何機かが、ビームライフルによる迎撃を試みる。

 

 次々に撃ち落とされていくミサイル。最後の一発も、ドゥーリットルの船体まで届く事なく爆散する─────が、至近距離で巻き起こった爆風に煽られる形で艦が揺れる。

 その体勢を整えようと努めているドゥーリットルだが、その背後から迫るのはドミニオン。

 

「面舵!ドミニオンの援護へ向かう!クサナギも続いて!」

 

『了解!」

 

 旗艦を撃たせまいと、他ドレイク級の砲門がドミニオンに向けられる。逆にそうはさせじと、アークエンジェルとクサナギが動き出す。

 

 数に押され、耐え続けるだけだった戦況に変化が訪れる。攻勢が逆転し、地球軍側が一点逃げる側へと追いやられる。

 

 この機を逸する事なく、勢いよくアークエンジェルとクサナギが、敵艦隊へと砲撃を撃ち掛けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クッ…、こんなバカな…ッ!?」

 

 戦闘を優位に進められている筈だった。リベルタスがゼノスを墜とせず、掛かり切りになった事は想定外ではあったが、それでもフリーダムとハイペリオンもG三機で抑え込み、後は時間を掛けつつ数で押し込んでいけば勝利は目前だったのだ。

 

「後方よりドミニオン!」

 

「アークエンジェル、オーブ・イズモ級、接近してきますっ!」

 

 ドミニオンが突出して来たのを見て、勝負を焦ったと判断したサザーランドは砲撃を回避しつつ、こちらへ誘い込み後方のドレイク級の射程へ入り込んだ途端に蜂の巣にしてやろうと企んだ。

 

 それが今ではこの様─────誘い込むつもりが、誘い込まれたのはこちらだったのだ。

 

 アークエンジェルが明後日の方向へミサイルを撃ったのは確認した。それを注視せず、頭から抜いてしまった事がこちらの敗因。

 

「ジブリール様、この場は撤退すべきです。ご決断を」

 

「なっ…、まだ負けた訳ではあるまい!数でも優っている!それを─────」

 

「状況はすでにこちらが不利です!三機のパワーもそろそろ限界です。あれらをリベルタス一機で相手するのは不可能です!」

 

「グッ…!」

 

 ジブリールも戦況が敵側に傾きつつある事は当然察している。だが、認められない─────解放の女神を持ち出し、敗北するなど絶対に…!

 

 撤退か、敗北か─────否。ジブリールはその前提からすでに間違えている。

 

「ここで戦死されたいのですか!?」

 

「っ─────」

 

 このまま戦い続けても、訪れるのは敗北ではない。死、なのだ。

 

 燻るプライド、怒り、憎悪、それら全てを抑えつけて、ジブリールは決断を下すしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 長径のビーム砲を腰溜めに構えて撃ってくるのを、機体を傾けつつ躱しながらゼノスは斬り掛かる。

 

 対してリベルタスはヴォワチュール・リュミエールを起動し、スラスターに光を迸らせながらその場から転進。その機動に追いつく事が出来ないまま、ゼノスの斬撃は空を切る。

 

 周囲を飛び回るリベルタスは、途中途中でゼノスへビームライフルを撃ち掛ける。

 

「厄介な…!出てくるのが()()()()()()()、クソッ!!」

 

 光の軌跡を目で追いながら、迫る光条を躱し、斬り払う。

 

 ヴォワチュール・リュミエール─────本来ならば、二年後にならなければ戦場で日の目を見ない機能の筈だった。

 

 ジブリールの仕業か、或いは別の者の策略か、ユウにはそこまで分からないが、とにかくそれによってゼノスの機動力を上回る恩恵を得たリベルタスは、厄介極まりない。

 

 攻め入る隙はある。ヴォワチュール・リュミエールの起動には、膨大な電力が必要だ。

 何らかの方法でバッテリーを増強させ、起動に耐え得る電力を搭載してはいるだろうが、それでもそう長くは起動を継続させられない。

 

 そして、ヴォワチュール・リュミエールを起動していないリベルタスであれば、足の速さはゼノスに軍配が上がる。

 

「どうした!もうお終いか!?」

 

「くっ…!」

 

 しかし、リベルタス優位で進んでいた筈の戦況に少しずつ変化が見え始めていた。

 戦闘が進む毎に、ヴォワチュール・リュミエールの使用頻度が増えていくと同時に、目に見えてそれを維持している時間が減ってきている。

 

 幾度のヴォワチュール・リュミエールの使用によって、リベルタスのパワーが限界に近付きつつあるのだ。

 

「バッテリー、弾薬の管理は徹底しろって教えた筈だぞ!」

 

「何よ、それ─────!知らないわよ、勝手に私の師匠面をして!」

 

「なら、誰がお前に戦い方を教えたっていうんだ!俺に教えてみろ!」

 

「そんなの─────」

 

 フレイの言動に勢いがなくなる。それと同時にスラスターから光が消え、リベルタスの機動力が削がれる。

 

 そこを狙い澄ましたかのように、ゼノスが全速力でリベルタスへ迫り、強烈な蹴りをお見舞いする。

 

「ぐぅっ…!?」

 

 スラスターを吹かしながら機体の体勢を整え、尚も追撃を仕掛けるゼノスへ取り出したビームライフルを向けるリベルタス。

 

「あぁっ!?」

 

 しかしリベルタスの放ったビームを潜り抜けたゼノスは、懐へ潜り込むとサーベルを振り抜く。

 

 リベルタスのコックピットに再び奔る衝撃と、ライフルを握っていた左腕が斬り落とされ短く悲鳴を上げるフレイ。

 

 ─────強い…!

 

 機体スペックは決して劣っていない。パワーはあるが呆気なく押し込まれる程ではなく、スピードもあるがフレイが目で追えない、反応出来ない程ではない。

 

 それでも勝てない─────単純に、パイロットとしての腕が負けているのか。

 

 ゼノスの二撃目を辛うじて避けたフレイは堪らず距離を取る。

 追い掛けて来るゼノスへとフォティアを向けて撃ち放つが、ゼノスの疾駆は止まらない。

 

 ─────あぁ…、流石だなぁ。

 

「…っ?」

 

 今、自分は何を思ったのか?目の前の相手に敵わないと─────諦めようとした?

 

 それはそうだが、フレイは自身の中に突如湧き出した温かな気持ちに戸惑いを覚える。

 

 知らない。こんなものは知らないし、感じてはならない。

 全てを投げ出して、自身を好きだと言ってくれた人を、思い留まらせようとしてくれた人達を切り捨てて復讐に走った自分が、こんな─────!

 

 続々と湧き出す()()()()()()()()()に、身を凍らせたフレイとリベルタスへ更にゼノスが接近する。

 

 やられる、と覚悟をしたその時だった。

 

「─────え?」

 

 いつまでも身を焼く熱はやって来ず、攻撃を受けた衝撃もない。

 恐る恐る開けたフレイの目に映るのは、斬撃をギリギリの所で止めたゼノスの姿。

 

「どう、して…」

 

「…俺が、お前を殺したくないからだ」

 

 何故、と問えば、訳の分からない答えが返ってくる。

 

 殺したくない?自分を?顔も声も知らない、会った事もない自分に、この人はどうしてそんな─────優しい声を掛けるのだろう?

 

「っ─────!」

 

「なっ…、待て!フレイッ!」

 

 知りたい、と呆然と思った瞬間、視界の端を赤々と照らし出した光によって我に返る。

 

 ゼノスと向き合ったまま機体を後退させれば、慌てた様子で呼び止められる。

 が、今度こそフレイはその声に何も答えを返す事なく機体を反転させ、信号弾を打ち上げたドゥーリットルへと戻っていった。

 

「フレイ…っ」

 

 離れていくリベルタスの姿を、ユウは見送るだけだった。

 

 本当は追い掛けて、無理やりにでも連れ戻したかった。

 だがここでアークエンジェルへ連れ戻した所で、果たしてどうなるのか─────記憶操作を受けたフレイの治療法はなく、今の彼女は完全にユウ達の事を敵として見ている。

 

 その状態で艦に連れて行ったとして、何をされるかは分かったものではない。

 最悪なのが、捕らわれるくらいならと自棄を起こされて自決されるパターンだ。今のフレイなら、それすらもしかねない─────その可能性が過ってしまったせいで、ユウは強気な行動に出る事が出来なかった。

 

「だが…見つけたぞ」

 

 しかし、ユウはフレイを見つける事が出来た。フレイは生きていて、敵としてではあるが近くにいる。

 どうやってフレイを連れ戻すか、記憶を戻す方法もまだ皆目見当はつかないが、生きているのならどうとでも出来る。可能性はある。

 

 ならば、諦める道理はない。

 

 素早く撤退していく地球軍に背を向けて、一先ずアークエンジェル、ドミニオン、クサナギと共にメンデルへと帰投を始める。

 

 すると雑音混じりの交信が聞こえ、バルトフェルドの問いが耳に入った。

 

『おい、フラガとアイマンからの連絡は?』

 

 そういえば、とユウは帰投するモビルスーツ隊の中にストライクとスピリットの機影が欠けている事に気付いた。

 

「─────」

 

 瞬間、ユウの背中に強い寒気が奔り身を震わす。

 

 何故気付かなかったのか─────フレイが現れ、そちらに気を取られ過ぎていたのか。

 

 コロニー内部から感じる悪意と憎悪、そこにいる人物の正体を得体の知れない感覚が教えてくれる。

 

 すでにムウとミゲルが()()()()()()という言葉を最後に港を抜けてコロニー内部へ入って行ってから、かなりの時間が経っているという。

 

 ミリアリアが試しに呼び掛けるが、返ってくるのはノイズだけ。

 偵察ならば終了して帰って来ている頃だ。何事もなかったなら、だが─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何で─────どうして気付けなかった。間抜けか、俺は!?

 

 戦闘開始までは、頭の片隅に奴の存在を置いて注意を払っていた。それがフレイと、見知らぬ地球軍の新型によって流され、注意が疎かになってしまった。

 

 ラウ・ル・クルーゼ…!ここで奴が介入している事を、俺は知っていたというのに!

 

『私が行きます。皆は今の内に補給と整備を─────』

 

「っ、待てキラ!」

 

 まんまとクルーゼの介入を許すという間抜けを晒した俺は、悔恨のあまり偵察の申し出を先に越されるという更なる間抜けを晒す。

 

 自分が様子を見てくると申し出たキラへ慌てて呼び掛ける。

 

「偵察には俺が行く。だからお前は待機を…」

 

『…うぅん、ユウは残ってて。地球軍もまだ完全に引き上げたとは思えないし、少しでも身体を休めて」

 

「休めって…、俺は疲れてなんか─────」

 

『ユウ。気付いてないの?酷い顔してるよ」

 

「え─────」

 

 自覚は全くなかった。キラに言われて初めて、自分の顔がこれ以上なく強張っている事に気付く。

 

 キラが地獄の窯の中へ飛び込んでいこうとしている事、そして記憶を奪われたフレイが何も知らないままに俺達と敵対した事─────それらが重なった事で、自覚がないまま精神的な疲労を募らせていたというのか。

 

『キラ、疲れているのはお前も同じだろう。偵察なら俺に任せておけ』

 

『カナードこそ残らないと駄目だよ。その機体の力は、絶対に次の戦闘で抜けちゃ駄目』

 

 フリーダムが抜け、或いは次の襲撃に遭う時までに戻って来なかった場合は当然今ある戦力で抵抗しなければならない。

 そうなれば、ハイペリオンが誇る絶対防御─────アルミューレ・リュミエールはどうしても外す事がない要素。そこを言い当てられたカナードが、何も言い返せずに引き下がってしまう。

 

 カナードは知らない。今、兄さん達が交戦している相手、ラウ・ル・クルーゼが全ての真実を知っている事を。キラと決して出会わせてはいけない相手である事を。

 

 あぁ、そうだ。この場で打ち明ければいい。キラの真実を除いて、彼女が傷つかない程度にフラガの業を打ち明け、クルーゼと対峙するべきは自分なのだと、打ち明けてしまえば。

 

「ぁ─────」

 

 打ち明けてしまえ。強い意志と理由を以て、キラを引き下がらせるんだ。

 

 そう思っているのに、口を動かしているのに、声が出ない。頭でそうすべきと分かっていても、心がそれを拒んでいる。

 

 何故…?そんなものは決まっている。

 

 嫌われたくない─────キラとラクスに。

 

 俺自身でした事ではない。あの業は飽くまで親父のもので、俺には何ら関係のない事だ。

 キラとラクスがそんな事で俺を嫌う程、小さい人間ではない事だって分かっている。

 

 それでも、怖いのだ。一度()()()()()()()()()()と思ってしまえば、どれだけあり得ないと恐怖を塗り潰そうとしても、消え失せてくれない。

 

 俺は、キラとラクスを愛してしまった。愛してしまったからこそ、愛する人に嫌われるのが、見捨てられるのが怖い。

 もし俺がこの感情を持っていなかったとしたら─────迷う事なく、キラを真実から遠ざける事が出来たんだろうか?

 

「っ、キラ!」

 

『大丈夫だよ。すぐに戻って来るから』

 

 そういう事じゃないんだ。お前は…お前だけは行っちゃいけないんだ。駄目だ、戻れ。

 

 心の中で叫んでも、それが声となって上がる事はなかった。

 

 フリーダムがコロニーのエアロックへ向かっていく。

 ゼノスを駆ってそれを追い掛けようとした時、俺を呼び止める声が掛かる。

 

『ユウ』

 

「ラクス…」

 

『キラは大丈夫です。…信じましょう』

 

 違う…、違う、違う!俺が心配してるのは、そういう事じゃないのに!

 いっそ打ち明けてしまえばいいのに!なのに、俺は─────この期に及んで尚、二人に嫌われるのが怖いという身勝手な理由で、口を閉ざしてしまうのだった。

 

『各艦は補給、整備を急ぎましょう。向こうの港にザフトがいるとなれば、事態は再び切迫します』

 

 ラクスは凛として告げる。

 

『わたくし達は、今ここで討たれる訳にはいかないのです…』

 

「…」

 

 その声を聞き流しながら、フリーダムが飛んでいった方向を見つめる。

 

 心の中の迷い、恐怖は、未だ振り払えないまま─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キラちゃんとラクスの事を好きになったから、嫌われるのが怖い。
そんな人じゃないと頭では分かっていても、心がもしかしたらと囁く所為で動く事が出来ないユウ君でした。
それだけじゃなく、フレイの事もあって頭の中はこれ以上なくグルグルしてます。覚悟を定めるには、もう少しだけ時間が掛かるかもしれませんね…。
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