魔法少女懲罰部隊   作:さしずめろん

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第7話

「うちのラボラトリーへ!ようこそ!」 

「何故?招待した?」

「君の経歴に興味があってね、とても凄くて信じられない数奇な運命を辿っててさぁ、顔を見たくなっちゃったんだよね」

「奇妙な運命?」

「そうだよ、あまりにもあんまりな運命だったからさ、まぁゆっくり話そうか、先ずは何を聞きたいかだね、うちに分かることなら何でも話そう」

「全てだ」

「全て?聞きたい?いいよ、知ってることを話してあげる」

 

「じゃあ、まず初めは、ギアの話だ」

「元々ギアが先で、魔法少女が後、逆なんだよ」

「それも聞いたな」

「ギアって採掘量不安定でさぁ、しかも装着者は魔法少女より見つからない、だから幾らでも作れる魔法少女を欲しがる訳だね」

「いつ枯渇するか分からない最強兵器が見向きもされず、その劣化版で安定供給が出来そうな兵器が求められるのは必然」

 

「いつまで経っても普及されないわけだ」

「そうそう、だってそんな不思議なものが現物もなしで今の時代で作れるわけ無いじゃん、壊して、バラして、再構築してようやく魔法少女セットとして開花したんだ」

 

 

「なら次だ、魔法少女が狙われる理由を、研究者の知見が聞きたい」

「うん、世界各国が魔法少女を狙う理由はね、この魔導リアクターが原因なんだよ」 

「魔導リアクター?」

「そう、当然世界でも開発は行われているし一部ではもっと凄いのがあるんだけどね、大体作り方は同じなの」

「高いのか?」

「そりゃ勿論だよ、でもそれも昔の話で今では安価になった」

「じゃあ、なぜ?」

「そりゃ色んな兵器に搭載したいからでしょ、世界各国が奪い合いしてるからさ」

「しかし•••」

「大量に虐殺して生き残った個体を掴む方が楽だから、量産なんてそれだけ馬鹿げた話だった•••」

 

「でも、そのピースが見つかった、生体ポットだそれが夢物語から現実にしてくれたんだ」

「尋常じゃない程の速度で予算が降りて、尋常じゃないスピードで建造されたんだよ、見たい?」

「見ても•••良いのか?」

「君だから見せるんだよ?特別にね」

 

地下に繋がる階段を降りる、真っ暗だった部屋に明かりが灯る。

「これが魔導リアクターの工場だよ」

大量に並ぶ機械の中を覗くと中には赤ちゃんが浮かんでいた。

「お前っ!」

「なんだよ、うちが悪いって?アハハッ!そんなわけ無いじゃん、うちは命令通りに安価に大量に作っただけなんだからさぁ」

「だからさぁ、生命ポットが発見されたときに僕は大喜びしたよ!これで量産が捗るんだからさぁ!」

「それまではチマチマ肉塊を培養してたんだけど、生命ポットのお陰でその手間が省けるんだ!しかも時短に!」

 

「魔法少女になるための装置に使われてる魔導リアクターはクローン赤ちゃんの心臓が元になってるんだ、それを効率的に作るのがこの機械達」

「フザけたことだ、こんな悪魔の所業だ!」

「えぇ〜?うちは命令で作っただけで、うちは悪くないよ?だってこの戦争が始まる前から研究されてたんだからさ」

「なんだと?」

「?いきなりぽっと出てくると思った?んなわけ無いじゃん、都合のいい創作物の読み過ぎだよ、遥か昔から技術研究してたから魔法少女なんて兵器が完成したんだしさ」

 

「それに生命ポットだけじゃ大量生産なんて出来ないし、車田凛華(くるまだりんか)だっけ?彼女の細胞でこの赤ちゃん達は出来てるんだ」

「・・・は?」

「彼女の細胞は量産に向いてたから感謝してるんだ、愛する人の為って言ったら快く頷いてくれたんだからさ」

 

まさかまさかまさか•••

「それまでは頑なだったんだけど、君のお陰だったんだ!ありがとう!あの空港にいた時に了承してくれたんだよ」

「うっ・・・お前っ!」

「なに?うちのせい?違うよ、うちは仕事をしただけ」

赤ちゃんを無造作につかみ容赦なく胸に手を突っ込み何かを取り出した。

 

「この心臓が魔導リアクター、半透明でさあ石みたいでしょ?これ昔では賢者の石って言われてたんだ」

「不思議だよね、これが莫大なエネルギーの源なんて、局長には特別な感謝をしないと、彼女がいなければ今でもロシアンルーレットだったし、出力が安定したリアクターが生まれるなんて無かったわけだし」

 

俺は睨みつけるだけだった。

「だからさ、うちは仕事しただけ、悪いのは命令した奴でしょ?そっちに文句言ってよ〜」

「だってさ〜戦争を有利にしたい国々のせいでしょ?」

 

「前々からアプローチはしてたんだよ、君の細胞と子宮をくれってさでも駄目だったんだ、この話をした時かなり荒れてたなぁ、うちが帰った後もさ、たとえば汚部屋にするとか、引き篭もるとかさ、だって彼女、赤ちゃん産みたがってたしね」

 

あることに気がついた。

「まさか!あの飛行機事故に合わせたのか!?」

「違う違う、合わせたのは飛行機事故の方だよ、君たちに合わせてたんだ、ホントの決行日は5日前だったんだよ」

「決行日?」

「あの飛行機事故はね?魔導リアクター核兵器の開発者を暗殺するための暗殺だよ、所謂口封じで見事目的が果たされたって訳」

 

妻が俺に平手打ちした理由は•••知っていたのだ妻は魔法少女の真相を。

「なら意識を失ったのは•••」

「そんな都合のいい負傷の仕方なんて有る訳ないじゃん、疲労困憊の気絶だよ」

「君たちが選んだ家も防衛の上で都合が良かったからだし、だって元々土地が高騰してたんだよ?誰が手放すんだよ?軍事基地から20kmなんて今でも高値だよ?」

「何で知ってるか?必要だったからだよ」

「分かった?あと、君は彼女の旦那さんだったね、彼女が目覚めた時、直にお礼を言いに行ったんだけど、改めてうちがお礼を言ってたって伝えといて」

 

思わず手が出たのだろう、正しく我が子として扱い、守ろうとして。

「なんであんな変な名前に」

気が動転して変な事を•••。

「だってそのほうが皆抵抗なく使ってくれるし、それに選ばれた存在って特別感あるしって、上層部がそう判断したんでしょ?採用したのは上層部でしょ?」

「・・・」

「魔法少女の変身なんて皆のやる気をアゲアゲにするだけの演出だよ」

 

彼女は強くあらねばならなかった、自身のしたことをひた隠しにするために。

「玩具として売り出したのも、抵抗感を無くす為だし、あと軍資金にする為でもあるのかな?」

「そうそう、男の方も出来るんだよ、変身アイテムウルトラDXって名前でさ、あれ?なんか違ったかな?まぁ良いや採用されたしさ」

あの掲示板見た?くだらないと思った?認知調査の一環でした

「そういえば魔導リアクターを使った核兵器が開発されたって聞いたな、8年?7年?前だっけ?君が入隊したちょっと後かな?」

「・・・」

 

何より俺のために、背負わなくて良いように。

「そのせいで彼等も再起動してさ、その脅威から人を守ろうとしたんじゃないかな?実際あの要塞の堅牢さは異常だし」

「じゃあ、俺たちは何のために•••」

「新兵器の威力を見る為の実験台(まと)、この騒動は絶好の機会でしょ?嫌だよね国の思惑なんてさロクなもんじゃ無い」

「だからさぁ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

どんな気持ちでニュースを見ていたのだろう。

「何故、彼女達は変身を解いても人並み外れた力が出せる?」

「莫大なエネルギーで体を作り替えていくんだよ、装着するたびに死のロシアンルーレットなんてやってられないからさ、強靭な肉体に作り替えるんだよ」

「まぁ、今では不要かな?安定してるし、でもそんな機能要らないって聞かないしな〜」

 

魔法少女が死んで逝くのを彼女は•••。

「大体、研究に倫理観なんて不必要なんだよ、モルモットなら文句なかったの?同じ命なのに?言葉を喋らないから?別に良いって?」

「うちに言わせれば傲慢だね、モルモットにだって感情や自我があるんだからさ、関係ない奴は黙ってろよ」

「関係は•••あるっ!」

「そうだね〜うちウッカリしてたよ!君が居たから頷いてくれたんだからさぁ!君もうちの研究に加担してることになるよね〜うちうっかり!」

 

俺は何も言えなくなった、いや何も言えなくさせるための発言だ言えるわけがない。

「••••••黒幕•••」

「うちが黒幕?馬鹿じゃないの?それぞれの思惑が重なり、所々でうちが必要だっただけさ、その際に教えられただけで間接的に関わっているだけなんだよ?」

 

「何回も言ってるけど、うちは命令通りに作っただけだよ?その工程で非人道的だって言うなら、火は何で使ってるの?火薬は何で使ってるの?車は?銃は?非人道的だよ?数え切れない程の死傷者を出してるんだよ?なんでいいの??」

「•••クローンは•••人•••」

「クローン?違うよモルモットだ、だからカウントされないし、しないんだよ?」

「どうしてもうちを悪者にしたいんだったらさぁ、先ずは国を責めるべきじゃない?うちは国の命令で開発したんだから、国の命令が無ければ何もしなかった、だって面倒くさいじゃん」

「それにもう終わった事だからね、気にしてもしょうがないし」

 

「あっ帰るの?送っていこうか?」

「あっそう、だったらお土産をあげる、捨てても良いよ?君が多分後悔するだけだからさ」

打ちひしがれた俺はラボラトリーから出ての記憶がない

「じゃあ•••またね、バイバイ•••」

誰かが何かを吐いている、しかし俺は分からない、何もわからない、しかし判った事がある、それは、地獄の釜は既に開かれていた事だった。

俺は気がつくべきだった、吐いていたのはあの研究者だったと、この時気付くべきだった。

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