生徒たちは肉体的に先生より強いので、三大欲求も先生より強いのではないだろうか、という考えで書きました。
先生の性別が男性だろうと女性だろうと成り立つ様に書いてあります。
女先生だと一層テンション上がるわね。
睡眠欲、食欲、性欲。それらはもっとも生物らしい欲求であり、生物である以上はなくなることがない。三大欲求などと呼ばれているのだった。そしてそれは当然、生徒達だって同じことだ。
迂闊だったのは、生徒達が私よりも頑丈で力も強く、つまるところは、ある生徒を廻るお寿司に連れて行った時に破産しかけたように、生徒達の三大欲求は私が思っているよりも些か以上に強かったということだ。
加えて、猫耳や犬耳、尻尾なんか生えている生徒には発情期なるものもあるようだ。発情した生徒は番を求めて性欲が強まってしまう。
猫耳のある生徒が発情期となって押しかけて来たときにはどうしたものかと思った。
どこかで聞いたように腰の辺りをトントンしてやって、何とか事なきを得たが。あれは危なかった。
息を荒くする猫耳生徒の腰をトントンとやって鎮める私はさながらアーサー王の様に見えたに違いない。
しかし。
猫の発情期への対処法は知っていたけれど、いたのだけれど。狼の発情期なんてどう鎮めたら良いんだ……。
気付けば、私はシャーレオフィスの仮眠用ベッドに押し倒されていた。圧倒的な力の格差。片手どころかデコピン程度で私は為す術なくベッドへ倒れ込んでしまった。
「落ち着いて、落ち着くんだ。君が今何をしようとしているのか、冷静に考えてっ!?」
「私は冷静。慎重に考えた結果。これが一番手っ取り早い」
そう言って彼女は倒れ込んだ私に馬乗りになる。そのまま私の両手首は万歳の状態で彼女の右手に鷲掴みで固定されてしまって全く動かせそうもない。もはや私が幾ら暴れても彼女を退ける事など叶わないのだった。
「こんなのだめだよ! 私は先生で、君は生徒だよ!?」
「ん、大丈夫。天井のシミを数えてる間に終わるよ。大人しくしてて」
天井を見る。アリスの誤射によって殆ど新品となっていた天井はシミひとつなく綺麗な身だ。真っ白。
「で、でも、シミなんてな──」
うるさい、と言わんばかりに彼女は私の口を塞いだ。強引に乱暴に。唇で、だ。
どうして、どうしてこうなってしまったのだろう。どこで選択を間違えてしまったのだろう。猫耳の彼女の腰をトントンした時点で、他の生徒が同じ目的で私を訪ねてくる可能性に何故気づけなかった。何故息を荒らげた彼女を何の疑いもなく招き入れてしまった。
これでは、先生失格である。
私のお腹の上で満足したらしく気持ちよさそうに眠る彼女を眺めながら、私は朝を迎えてしまうのだった。
了。
天井の代わりにシーツにシミが増えたね! おめでとう!