給食部特製弁当はいかが? 添加物いっぱいで腐らないよ〜! 作:ヘイロー壊れたんじゃないの~?
「今日の配達先は……
庭木燃やしちゃった件でお世話になったところだ。
ヒナに嫌がらせしてるって聞いたけど、そんなに嫌な奴でもないのかな、キキキ大王。*1
「この間のお礼も兼ねて張り切って詰めちゃおうねぇ!」
「それなんだけど、ちょうど変わった注文が入ってたわよ」
「うん?」
首を傾げる俺にフウカのメモが手渡される。
「忍ペロさんキャラクター弁当かぁ*2……手間はかかるけど、良いもんだよね、キャラ弁」
「なんだか、ワクワクしますよね」
「そうそう、わかってるねジュリ〜」
で、忍ペロさんってどんな見た目だろう、調べてみよ。
なるほど。モモフレンズのペロロってキャラの派生なのね。で、ペロロっていうのが……
すっげえキモいデザインだな!*3
このダランと伸びた舌に焦点の合わない目がなんとも……調理のために締め殺されたところ?
でもまあまあ作りやすそうな見た目で助かった。
「忍ペロさんの場合はニンジャっぽい衣装に、キリッとした眉毛が追加されるわけね。海苔で行けそうだなぁ。白い本体は米かゆで卵か……まあ海苔巻くなら米がいい。キャラおにぎりね~!」
テンション上がってきた。この調子でじゃんじゃん作るよ~!
「給食部だよ~! キャラ弁お待ち!」
「キキキ……ご苦労だったな、川崎コク」
ゲヘナ県知事改め、万魔殿の議長が直々にお出迎えしてくれた。今度は道中何もなかったので銃口はセットじゃない。
しかし本当にキキキって笑うんだね……
「イブキぃ~! 忍ペロさんのお弁当が来たぞ〜!」
突然別人のようなデレデレ顔になって部屋の向こうに呼びかける議長。気味が悪い! どうしちまったんでゲスか!?
「わーい!」
呼ばれて出てきたのは明らかに小学生くらいのコ。でも万魔殿の制服着てるし、飛び級天才児かな?
「ほんとに忍ペロさんだ~! すごいすごい! 隣のタコさんウインナーもかわいい! チアキ先輩! 写真とってー!」
「はいはーい!」
カメラのシャッター音と共にフラッシュが焚かれまくる。
イブキってコもチアキもテンション高めで楽しそうだ。
「う~ん、そこまで喜んでもらえると作った甲斐があったよ~! でもそれだけじゃないよ~?」
「え!? そっちの箱、もしかして……!」
「そう! サービスの戦車型ケーキね! 弁当の後みんなで食べちゃって~!」
「よくイロハ先輩と一緒に乗ってるやつだー!」
「巡回中の札もちゃんとついてますね……」
よしよし、大成功! 細かい所は結局フウカにお願いしちゃったけど、なかなかの達成感!
あ、そういえば議長にあの時のお礼言っとかなきゃ。
「議長、この間俺が燃やしちゃった庭木、費用持ってくれてありがとうね~」
「気にするな。元々あのあたりは手を加える予定だった」
ヒナの伝言でもそんな感じのこと言ってたね。いやー、行政官があんまりにもボロクソに言うからどんな人かと思ったら寛大だね。
なんとか仲直りさせられないかな?
「それよりも、不良生徒の集団を単独で退け、ついでにトラウマを刻み込むその戦闘力は見事だ……川崎コク。提案がある」
「?」
「我々万魔殿の一員にならないか?」
「やめとくよ」
「即答だとッ!?」
そう言われてもこれ以上給食部の人手が減ったら、ちょっとね……
「……こうまできっぱり言われるのはともかく、渋るのは想定内。そこでだ」
「うん?」
「お前が万魔殿に移籍した暁には、給食部の部費を3倍にしよう!」
「さんばい」
3倍……3倍ってあれ? 3+3=33……いや絶対違うな。とにかく経営がめちゃくちゃ楽になるのでは?
俺が死ぬほど頑張るのと、どっちが部のためになるんだろう、俺迷惑かけまくってるし……良い設備がそろえられれば、俺くらい抜けてもおつりがくる……?*4
万魔殿として給食部に便宜図ることも……
「キキキ、迷っているな。給食部
「う~~~ん……」
「ダメ押しだ! サツキ!」
「任せて、マコトちゃん」
ん?
悩んでいると、風紀委員会行政官並みの痴女服に身を包んだピンクが俺の前にズイっと出てきて、コインに糸を通した振り子を揺らし始めた。
「あなたはだんだん万魔殿に忠誠を誓いたくなーる。マコトちゃんのために働きたくなーる……それが何より給食部のためになーる……」
しまった! 催眠術だ!
なんて恐ろしいことするんだ万魔殿!
うっ 意識が……
「……で、コク。この状況を説明してくれる?」
「ヒナ……アンタテレビヲミテナイノカ?」
「報道を観たから余計に意味がわからないのだけど」
「キキキ……助けてくれヒナ*5」
生まれ落ちた瞬間から万魔殿に忠誠を誓っている俺は考えた。キキキ陛下の、ゲヘナの頂点たる地位をより盤石にする条件を。
結論:フィジカル!
例え話になるが、今ちょうど目の前にいるヒナがもしもその気になれば数日で、いや下手したらその日のうちにゲヘナを制圧できてしまう。陛下は権力は持っているが、権力はそれに従わない暴力に対しては無力なのだ。
故にフィジカル!
キキキ・ビー・アンビシャス!
レッツトレーニング! ワン・ツー! ワン・ツー!*6
そんなわけで、先程まで陛下には時速60kmのルームランナー*7にできるだけ長い時間とどまれるように走ったり跳んだりの脚力トレーニングをしてもらっていた。
そして陛下には権力だけでなくフィジカルもあるのだということを示すため、過酷なトレーニングに励んでいる様を報道したのである。*8
「陛下自身がヒナと殴り合えるフィジカルを手にすれば、万魔殿はもう無敵!*9」
「サツキぃ! 誰がここまでやれと言ったァ!」
「知らないわよぉ……*10」
ただ、結果は芳しく無く、必死になってもらうため背後で焚いていた炎に陛下は何度も突っ込んでサラサラだったロングヘアーは立派なチリチリアフロヘアーと化している。
「まあ最初はこんなものね。そのうちできるようになるよ~」
「お前は出来るとでも言うのか!」
「もちろんね~! 見てて頂戴!」
お手本を見せたほうがやりやすくなるのは道理だ。うっかりしてた。
「はっ! ほっ! よっ!」
「……出来てますね」
「キキキ……もうお前が私を守ればそれでいいだろ」
「コク先輩すごーい! 忍者みたい!」
そうストレートに褒められると照れちゃうなぁ。おっといけない。流石に気を抜けるほど余裕ではない。
「ねえねえ! マコト先輩もこれ出来るようになるの!?」
「イ、イブキ……それは」
イブキのキラキラした視線が陛下を捉える。
陛下はイブキに弱いみたいだ。というか大抵の奴はそうだろう。俺も多分イブキにお願いされたら大抵のことはやっちゃいそう。
先程まで死にかけていた陛下の目に炎が宿るのを、俺は見逃さなかった。
サッとルームランナーから飛び降りて歩み寄る。
「陛下」
「議長だ! ……分かっている。やってやろうじゃないか」
「その意気ね~!」
「見ていてくれイブキィ! きえええええええええええ!*11」
「よくやりますね……あ、1秒でまた炎に突っ込んだ」
「冷静に解説してないで助けろイロハァ!」
「燃え移るので嫌です」
諦めないで陛下! 未来はこの先にある!
「……しばらく放っておいても大丈夫そうね。コク、早く帰ってきてって、フウカから伝言よ」
「ん? フーカ? ……星のフーカたん?*12 ……ハッ!?」
俺、給食部じゃん! 配達行かなきゃ!
「最近、万魔殿の議長が姿を見せないそうです……」
「元々そんなに目立つ人じゃなかったけどね。風邪でもひいたのかな?」
「死んだんじゃないの?」
「それならもっと騒ぎになっているかと……」
「それもそうか~」
救急医学部に聞いてみたら全身打撲と火傷が原因で休養中らしい。誰がこんなひどいことを……*13今度何かお見舞いでも持って行こう。ゲヘナ校章の形に切ったステーキ弁当なんてどうだろう?
そういえば部費の増額を条件に勧誘されたような……でも部費が増えてる様子は無いし、よく覚えてないけど断ったのかな?
ま、フウカとジュリと過ごす地獄のような午前中が結構好きだからね~。増えなかった部費分、頑張るぞ~!
行先ごとに書きたいことを好き勝手描くので時空が歪む場合があります。まあ原作も季節イベがそんな感じなのでお許しを……
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