給食部特製弁当はいかが? 添加物いっぱいで腐らないよ〜! 作:ヘイロー壊れたんじゃないの~?
「なんか最近騒がしくない?」
「ええ、なんでも、連邦生徒会長が失踪してサンクトゥムタワーが機能停止してしまったようでして……」
「え、大変じゃない。あれっていろんな設備の中枢みたいなものでしょ?」
「そうですね……今はまだ何とかなっていますが、そのうち影響が出て来ると思います」
そっか、参ったなぁ、ハイランダーの貨物列車とか停まっちゃったら最悪、給食が出せなくなるかもしれない。ハルナが暴れなきゃいいけど……
「急に失踪なんて。何があったんだろう……」
「死んだんじゃn」
「やめなさい*1」
「ごめん」
……と、そんな感じのやり取りがあったのが何日か前。
事態はあっさり解決した。
キヴォトスの外から来た大人がサンクトゥムタワーを再起動して会長不在の連邦生徒会に制御権を渡してくれたらしい。
物理的にここにあるんだから当然なんだけど、本当にあるんだね、外って。
ただ現地は矯正局の囚人が脱獄して、てんやわんやの大騒ぎ。その大人がものすごい戦闘指揮能力を見せて、たまたま居合わせただけの学園も違う面々をまとめ上げて、元々そういうチームだったみたいに連携して制圧しちゃったらしい。リーダーっぽい囚人は逃げたみたいだけど。
メンバーに入ってたチナツが教えてくれた。
ゲヘナとトリニティ含む混合チームが成立するってすごくない?
トリニティってうちとめちゃくちゃ仲が悪いって聞いてたけど……チナツはもちろんとして、トリニティ側も穏健派の人だったのかな?*2
とにかくその大人に感謝だね~! 今度お礼持って行った方が良いかなぁ?
「ああ、そういえば例の大人の方……先生? が顧問を務める部活が立ち上がったそうですね。学園の垣根を超えて所属出来るとか……」
「そうなの? ちょうどいい。 せっかくだし、弁当持って挨拶に行ってくるよ~!」
「……失礼のないようにね」
「うん、大丈夫だよ~! たぶん」
そんなこんなで、シャーレってところのビルにやってきた。
「案内ありがとうね~、チナツ」
「いえ、ちょうど私も片づけなければならない業務がありましたので」
「そうなの? 俺も配達無い日はこうして顔出せるし、その時は手伝うよ~*3」
「……ありがとうございます*4」
1階のコンビニを横切って上の階へ。
連邦生徒会長……多分総理大臣的な人? が直々に指名した超重要人物がいるにしては普通のオフィスビルって感じ。
既に部員らしいチナツがいくつかのセキュリティを開けてくれて、シャーレ部室前にはそう時間もかからず到達した。
チナツがドアをノックする。
「先生、チナツです。見学希望の生徒をお連れしました」
”どうぞ”
中から成人男性らしき声で入室許可が返ってきたので、ふたりで部屋に入る。
ゲヘナ学園
Gehenna School
部活
給食部
戦術的な役割
STRIKER
使用武器種
FT
誕生日
11月21日
☆コク CV.飛■■■
給食部、川崎コクね~!
攻撃より食中毒の方が良く当たるよ!
あ、今のギャグだよ、ギャグだってば~!
え? 何今の?
変な幻覚が見えた……まるでゲームのキャラでもゲットしたみたいな……*5
おっと、そんなことより先生って人にあいさつしないと……
”はじめまして*6”
「……!?」
そこに居たのは、満面の笑みを浮かべた、2頭身の気味の悪いバケモノ。*7
犬猫の頭身が低い大人はその辺に居るけど、この人? の外見はいちおう人間っぽいな……
外の世界ってポップスターか何かだったりする?
横をチラッと見てみるとチナツも面食らったような顔をしている。あれ? 初対面じゃないよね?
「えっと……? 先生、そのお姿は……」
”これ、ミレニアムの子たちが作ってくれたんだ。*8光学迷彩と立体映像の合わせ技でいろんな姿に変身できるって装置でね、この姿はある生徒が書いてくれた私の似顔絵で……”
あ、そういうこと? って納得すると同時に、2頭身のバケモノの姿が何度かブレた後で消えて、そのすぐ後ろに長身の成人男性が現れた。
すごいんだね、ミレニアムって。
頼んだら食堂に回転寿司のレーン設置してくれないかなぁ? いやゲヘナじゃすぐ壊されそうだからいいか。
”びっくりした?”
成人男性……チナツの反応*9からして多分この人が先生だと思うけど。
とにかくその人はいたずらっぽく笑いかけてくる。結構愉快な性格みたいだ。
「いや~、外の世界ってところの景色が想像つかなくなるトコだったよ。本当は俺たちとあんまり変わらないんだね」
”まあね。君がゲヘナ給食部のコクだね。私の事は好きに呼んでくれていいよ、よろしく”
「あいよ~! じゃあチナツの真似して、先生で。 ……ところで、昼食はもう食べた? 俺先生に弁当持って来たんだけど」
”本当? 助かるよ、食費厳しくてコッペパンしかなくてさ”
あら、もしかして先生の業務って、例の3原則?*10
それならしっかり食べてもらわないとね。
「給食部特製バゲットサンド弁当ね~! 具が少ないから仕事中に食べてもこぼれないよ~!」
「……? 卵焼きやハムなど、固形で比較的こぼれにくい具材を使っているようですが、しっかり入っていますよね?」
「チナツ、今のギャグよ、ギャグ~」
「え、えぇ……?」
”ははは、愉快な子みたいだね”
ギャグは不発気味。
気を取り直して先生とチナツにバゲットサンドの入った包みを差し出す。
”ありがとう、じゃあ早速いただきます”
「どうぞ~! ……どうかな?」
”うん、美味しい。ゲヘナって毎日こんなに美味しい給食が食べられるの? いいところだね”
「ええ。美味しいですね」
ベタ褒めだ。照れるなぁ……でもまあ、実際の評判は「そこそこ」なんだけど。
「そう言ってもらえると嬉しいね~! 他のメンバーにも伝えとくよ!」
いくつか雑談を交わしながら弁当を食べた後は、当番の業務について紹介があった。
内容的には風紀委員会でやってる事務作業の延長みたいな感じの物から、キヴォトスで起きた事件解決のための実力行使まで結構な幅があって、その生徒の適性に合わせた仕事が振られるようになってるみたい。なるほど、これは各学園から広く募集しなきゃ追いつかないね。
「来るときチナツにも言ったんだけど、配達無い日か、終わった後なら顔出していろいろ手伝えるよ。気軽に呼んでね~!」
”ありがとう、じゃあとりあえず仮入部ってことで”
「よろしくね~! チナツも」
「はい、よろしくお願いします」
「いや~、今日は来てよかったよ、先生」
キヴォトスに限らず権限持った大人って碌でもないことがまあまああるから、この人もそうだったらどうしようって思ってたけど、むしろ生徒のためなら何でも差し出しそうなくらい生徒想いだ。
昼食がコッペパンだけになるほど薄給でも誰かがやらなくちゃいけないってのは分かるし、先生も多分進んでやってるだけだとは思うけど、もっと自分大切にして?*11
「毎日はムリだけど、時々こうして弁当持ってくるよ~! 先生が迷惑じゃなきゃだけど」
”大歓迎だよ、ありがとう”
帰ろうとして立ち上がると、見送ってくれるつもりなのか先生も立ち上がった。
手を振って歩き出した俺に続こうとしたけど、テーブルの脚に躓いて体勢を崩してしまう。
”おっと……あっ”
「大丈夫?」
”うん……でも立体映像の装置落としちゃったな……壊れてないと良いけど”
「壊れたかどうかはともかく、誤作動はしてしまったようです……」
「うん?」
うわぁ! 何か不気味なものが山ほどあります議長!*12
”解除しなきゃ……あれ? 落とした装置はどこに……”
装置は見当たらない。使用者不在のまま光学迷彩が起動して装置だけ消えちゃったみたいだ。
帰るのを中止して3人で床の上を探し回る。でも光学迷彩はめちゃくちゃ性能がいいみたいで、本当にどこにあるのか分からない。
「あ! 先生ごめん……蹴っ飛ばしちゃった」
”見えないままってことは壊れてはいないみたいだし、気にしないで。でも、どこに行ったのか分からなくなっちゃったね”
「壊れたかどうかはともかく、また誤作動してしまったようです……」
ウワアアアアアアアア!? 2頭身のバケモノが部屋中に散らばって踊り始めた! *13
「先生、ユウカです。失礼します……何この状況???*14」
”あユウカ!ちょうどいいところに……”
「せ~ん~せ~い~!? また変な物買って! 買い物の際は私に相談してって言いましたよね!」
”誤解だよ!”
その後、ユウカってコも一緒に4人で床中を探し回ってようやく装置を見つけて映像を止めるまで30分かかった。
しかし先生って、食費まで趣味に突っ込んでたから昼食コッペパンだったんだね。
でもまあ、気持ちは分かるよ。余計に親しみがわいたな。
部員もユウカやチナツを見るにいいコばっかりみたいだし*15、シャーレも給食部みたいに楽しく過ごせそう!
主人公の見た目と声がププビレッジ唯一のレストランのアイツで再生されるという感想が多く寄せられましたが、書いてる私自身もう完全にそれに支配されております。
このコック強すぎん? 描き始める前にイメージしていた元気系のゲヘナっ子は銀河の果てまでテッポウドーンされました。
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