給食部特製弁当はいかが? 添加物いっぱいで腐らないよ〜! 作:ヘイロー壊れたんじゃないの~?
「大変だよ~! イオリが倒れちゃった!」
「お、おまえらのせいだ……」
今日はイオリが給食部の監査に来て、それ自体は問題なく終わったんだけど……
喉が渇いてるみたいだったのを察したジュリが例のドリンクをご馳走したところ、リラックスのしすぎで倒れちゃった*1。
きっと相当に疲労が溜まってたんだろうな*2……ヒナと痴女の過労ぶりに目が行きがちだけど、他の委員も大概なんだよね。
「ひとまずそのベッドが空いていますので寝かせてください」
「わかった!」
幸いにも救急医学部を尋ねるなり部長のセナが出てきて対応してくれた。
担いでた*3イオリをベッドにおろして一旦下がってセナの診断を待つ……
「明らかに毒物……しかし無理に吐かせるのは却って……コクさん、人手が足りないので奥の棚から飲料水を持ってきてくれますか?」
「あいよ! コレのこと?」
「ええ、ありがとうございます……速いですね?」
「そう?」
「給食部は激務と聞きますし、鍛えられているのかもしれませんね。良い手際です」
「照れるなあ~」
セナが咽るイオリに水を飲ませるのを見ていると、入口の方が騒がしくなってきた。
「あれ? チナツだ」
「? 何故給食部のあなたがここに……あ、いえ、理解しました*4。それより、中庭で銃撃戦が発生して怪我人が多数出ました。受け入れ準備をお願いします」
おっと、大変。邪魔にならないように隅の方で……いやもうイオリは任せて帰ったほうがいいかな?
でも……
「……コクさん、この際ですのでもう少し手伝ってくれますか?」
「任せて〜!」
迷ってた所にあっちから依頼が来た。受けるしかない!
「えっと、包帯は……」
「はい!」
「あ、ありがとうございます!」
「すみません、誰か洗面器にお湯を」
「へいお待ち!」
「速っ!?」
「温度とかどう?」
「あ、ちょうどいい……」
「消毒液がなくなりそうです!」
「確かあっちの棚にまだあったね! 待ってて~!」
「ひぃ! ま、窓から虫が!」
「カワサキホットスペ」
「Uターンして逃げてった……」
「中々の危機察知能力ですね……それと、その火炎放射器は没収です*5」
「あっ」
いや~、大忙しだ! でも昼前の給食部ほどではないし*6、すぐに落ち着きそう。
「給食部って、ああいう風紀委員でもやっていけそうな瞬発力が必要なんだ。大変そう」
「普通に考えたら不要なはずなんですけどね……?」
うん。とにかく人がいないからね、給食部。誰も入ってくれないし*7。
しばらくそんな感じで動き回ってるうちに運ばれてきたコ達はみんな寝息をたてたりくつろいだり、濁った目で包帯の巻かれたところを見つめてたり……とにかく怪我したまま呻いてるコはいなくなった。
「……これでひとまず全員の一次処置が完了しましたね。お疲れ様でした」
「お疲れ〜!」
ひと仕事終えてみんなで息をつく。
「病床もなんとか足りてよかったです……あっ」
と、セナの隣にいる救急医学部のコのお腹が音を立てた。
「す、すみません……実はお昼食べられてなくて」
恥ずかしそうにお腹を抑えてそう言うそのコ。
なるほど。ここにも忙しくて食事に手が回らないコ達が*8。
なるほどなるほど。給食部の目の前でそんな姿を見せられちゃ、俺のやることはひとつだね!
「よーし、待ってて!」
今日は配達もほとんどなくて、炊いた白米がたっぷり余ってるはず。
給食部に戻ると、イオリを心配してた*9のか真っ青な顔のフウカが出迎えてくれた。
「ど、どうだった?」
「イオリなら大丈夫そうだよ。疲れがたまってたんだね〜」
「……本人もなんとかそういう認識になってくれないかしら*10」
? よく分からないけど、今は……
「フウカ。ごめんけどちょっと手伝って!」
「お待たせ〜! おにぎり作ってきたよ! 仕事の合間に隙を見て食べちゃって〜!」
「わぁ、ありがとうございます!」
「助かります」
これなら今言ったみたいに、仕事の合間に食べられる。今日は食事のために長時間離れるのはちょっと厳しいみたいで、みんな歓迎してくれた。
「あと、もしいいならだけど……」
おにぎりをみんなに配り終わっても、まだかなりの白米が余ってる。
イオリ達の方へ視線を向けるとセナも察してくれたみたいで。
「そうですね。空腹を訴える方には提供をお願いします」
「わかった!」
許可ももらったし、早速鍋から作っといたお粥をとって、まずはイオリのところへ。
「調子どう?」
「……最悪から1歩だけ下がった感じ」
つまりほぼ最悪! これは是非とも元気を出してもらわないと……
「よかったらコレ食べて。疲れてるみたいだし、消化にいいお粥だよ」
「げ、また毒……じゃなさそうだな。この色と匂いは。じゃ、もらう。少しでも胃の中薄めたいし」
薄め……? まあいいや。食べてくれるみたい。
「どう?」
「うん、ちょっと薄味だけど美味しい。なんだか落ち着くかも」
最初は恐る恐るって感じに食べ始めてたけど、徐々にリラックスした顔になっていく。
よかった。これならすぐ完食して元気になりそう!
「なあ、それウチらの分はないの?」
「もちろんあるよ〜! すぐ持ってくるね!」
「お、悪いね!」
近くのベッドで寝てたスケバンのところにも同じものを持っていく。
中々好評。よーし、この調子でみんなに配っていこう。
「給食部特製のお粥だよ〜! 薄味だけど、とっても早く天国に行けるよ~!」
「何だよその不吉な文言は……お、おい! あっちでこれ食べた風紀委員会のスナイパーが倒れてるぞ!*11」
「毒だろそれ、絶対毒だろ……!」
「い、嫌だ! ウチらはまだ何も成し遂げてない!」
「来るな……! こないで……」
「くそぉ! 死んでたまるか!」
ちょっとしたギャグのつもりだったんだけど弱ってるコに言っていいことと悪いことがあったね。
患者のひとりが俺の脳天に発砲して部室は大パニック。
その場はなんとか収まったけど、セナ達や、せっかく休んでた風紀委員のコ達に苦労掛けちゃった。
「ごめん。手伝うどころかこんなことに……」
「まあ、今後ああいった冗談の類は死た……負傷者の前では控えていただけると」
「気をつけるよ」
今死体って言いかけた? いや気のせいだよね。バカなこと考えてないで反省しないと。
「はあ、ひどい目に遭った……」
「イオリが元気になってよかったよ~」
「元気にならざるを得なかった*12だけだし、そもそも倒れた原因って自覚ある?」
「?」
「……あれをあろうことか美味しいって言い切ってるんだもんなぁ」
「???」
「ああうん。そこはもういい」
「そう?」
「そう。それじゃ、監査結果は追って連絡するから」
「あいよ~! 今日は本当にお疲れ〜!」
歩けるようになったイオリを見送って俺も帰宅した。
最後はちょっとトラブルがあったけど、監査中は特に悪いことは言ってなかった*13し、大丈夫だよね。
数日後、死んだ目のフウカが監査結果の通知書を握りつぶして立ち尽くしてた。
え、結果悪かったの? あれ? なんで?*14
今回でアンケートの配達先をコンプリートできましたね。
数はそれほどでもありませんでしたが期間は長かった……まだしばらく続きますのでこれからもよろしくお願いします
続・次の配達(という名の乱入)先は?
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アビドス編2章
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エデン編2章
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ヒナ夏、ウィッシュリスト
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喰積の前にいささか
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バレンタイン
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不忍ノ心
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Get Set,Go!