「海だーーー!!!」
「海ーーーーー!!!」
今日は千葉県の某所にある海の潮だまりに来た俺たち。
メンバーは俺と愛音ともう一人………
「はぁ………」
ため息をついて完全に乗り気じゃないそよの三人だ。
「そよりんテンション低い~」
「緊急の用事って言われて急いで来てみたら海に連れて来られたんだからこんな気分になるわよ」
「いいじゃんいいじゃん!夏休みなんだからさ!」
「そうそう!海の一つや二つや三つや四つや五つや六つや七つや八つや九つや十ぐらいさ!」
「いや、行きすぎでしょ………」
「さぁ!さっそく入るぞ!」
「うん!」
俺と愛音は靴を脱いで海に入る。
「私は入らないからね。べたべたするの嫌だから」
「大丈夫大丈夫!今日は泳ぎに来たわけじゃないから!」
「じゃあ、何しに来たの?」
「海に生息している生物捕まえにきたんだよ!」
「そしてそよりんは危ないやついたら教える係だから!」
「私は危険生物レーダーじゃないんだけど?」
「でも海は浅いところで遊んでりゃ平気だろ?」
「そんなわけないでしょ?海には毒を持っている生物がたくさんいるから気をつけて入らないと大怪我するわよ?」
「よっしゃあ!探すぞー!」
「うん!」
「人の話聞きなさいよ」
そよの話をラジオ感覚で聞きながら俺と愛音は海に住んでいる生き物探しを始めた。
「おっ!さっそく発見だ!」
「はや!あっ、これウニじゃん!」
俺が見つけたのはトゲが長いウニだった。なんか美味そうだな~
「そよりん!ゆっきーがウニ見つけたよー!」
「ウニ?って、ちょっとそれ!ガンガゼじゃない!」
「ガンガゼ?変な名前だな」
「ただのウニじゃん~」
「見た目は普通のウニと全然違ってトゲが30㎝くらいまで伸びる個体!踏んだら足の中で折れて残ることがあってそれがかなり痛いのよ!しかも残ったトゲが炎症を起こしたり歩くたびに痛みが走るのよ!トゲが細くて折れやすいから普通のウニ以上に気をつけなきゃいけないの!」
そよは声を上げてガンガゼの説明を俺たちにする。
「なんだ~やっぱ詳しいじゃんか。連れてきてよかった」
「別に、たまたまテレビ見てて知ってただけだし…‥‥」
「そよりんって意外と心配性なんだね~」
「愛音ちゃん、ぶつわよ?」
「こわ~い」
「はははっ‥‥‥‥おっ!魚だ!!」
近くに魚が泳いでいるのを見て俺はすぐに尾を掴んで捕まえた。
「そよ~!これなんて魚だ!?」
「私は海洋生物学者じゃないって‥‥‥って!幸人君!その魚今すぐ離して!!」
「え?なんで?」
「その魚はアイゴ!!」
「アイゴ?アーティストの?」
「いやいや、昔流行った犬型ロボットでしょ?」
「どっちも違うわよ!アイゴは本州から沖縄まで広く生息していて磯や防波堤とか浅い海にいる魚!海藻を食べる草食性の魚で一見危なそうに見えるけどアイゴのヒレには毒のトゲがあって刺されると火傷したみたいな激痛が一気に走って何時間も痛みが続くの!腫れや痺れが起こって人によっては数日痛みが残ることもあるから刺される前に逃がして!」
「わかった!じゃあ、クーラーボックスに入れとくぜ!」
「人の話聞きなさいって!!」
俺は持ってきたクーラーボックスにアイゴを入れた。今日の晩ご飯のおかずが増えたぜ!!
「そよりん、アイゴって食べれるの?」
「まぁ、ヒレに気をつけていれば普通に食べれるわよ。塩焼きや唐揚げ、湯引き刺身とか火を通せば大丈夫よ」
「へぇ~毒持ってても食べれるんだね」
「危険な食材ほど美味しいっていうからな!」
「言わないわよ」
「私も見つけよっと!えっと…‥‥‥あっ、クラゲ!」
愛音はクラゲを見つけたらしい。どんなクラゲかな?
「どれどれ~?なんかプラスチックゴミみたいなやつだな~」
「愛音ちゃん、クラゲは普通にあぶな‥‥‥‥きゃあああああああ!!!」
クラゲを見て悲鳴をあげるそよ。
「どうしたんだよ、そんな声上げて?ただのクラゲだろ?」
「これはカツオノエボシ!!」
「あっ、あれでしょ?『磯野~野球やろうぜ~』の?」
「それは中島君!!カツオノエボシは一見クラゲに見えるけど実はクラゲじゃなくてたくさんの個体が集まって一つの生き物のように見えている群体生物なの!数十メートルもある長い触手には無数の毒針が付いていて触れたら鞭で叩かれたような激痛が走ってミミズ腫れになって呼吸困難、アナフィラキシーショックを起こして命に関わることもあるのよ!もっと怖いのは死んでても毒針はしばらく生きてるってこと!だからうかつに触っちゃだめなの!!」
「え~このクラゲも毒もちなの~?」
「この海まともな生き物いないな~」
「だからやめてって言ってるでしょ!」
「まぁ、気をつけて探せば問題ないべ!」
「うん!海の生き物博士のそよりんもいるし!」
「二人とも、難聴なら今すぐ耳鼻科に行かない?」
「なんか可愛いのいないかな…‥‥あっ、タコだ!」
「本当だ!」
愛音がきれいな模様をしたタコを見つけた。こいつも食えたりするのかな?
「そよりーん!このタコ見て~!模様がきれいだよ~!」
「タコ~?って、愛音ちゃん!そいつから離れて!!」
「えっ?ただのタコじゃん」
「いいから離れてって!」
「そよりんってタコ苦手~?よく見たら小さくてかわいいじゃん」
愛音はタコを捕まえようと手を伸そうとした。すると
「やめなさいって言ってるでしょ!!!」
「ほっとりみっとーーー!?」
そよが勢いよく海に入ってきて愛音にラリアットを食らわせ気絶させた。
「そよ!何してんだよ!タコが嫌だからってなにもラリアットすることないだろう!?」
「苦手とかそうじゃないの!これはヒョウモンタコ!!岩の浅瀬にいる小さいタコだけどこのタコは海でトップクラスに危険な生き物なの!」
「えっ、そんなに!?」
「フグと同じテトロドキシンっていう猛毒を持っていて危険を感じると体中にある鮮やかな青い輪っかが光るように浮かび上がって近づくなって言う感じで警告してくるの!もし噛まれたら数分で痺れが全身に広がって最悪の場合は呼吸ができなくなることもある!しかもこの毒には解毒剤がないの!!小さくて可愛いからって捕まえようとしたら本当に死ぬからね!わかった!?」
「お、おっす‥‥‥‥」
すごい剣幕をしながら説明し俺を睨むそよ。怖いのか優しいのかわからん奴だな…‥‥‥
「もういいでしょ!早く帰るわよ!!」
「へーい‥‥‥‥あっ、貝だ」
気絶している愛音を担ぎながら海から出ようとした時に一匹の貝を見つけた。
「燈の土産に持って帰ってやるか」
「幸人君、何してるの早く‥‥‥‥ってわあああああああああ!!」
「えっ、なになに!?うわあああああっ!!」
そよが俺の胸ぐらを掴んで浜辺まで投げ飛ばした。こいつ筋力どうなってんだよ!?
「いてて‥‥‥何すんだよ!?」
「幸人君‥‥‥‥あの貝は本当にやばいから‥‥‥‥」
「えっ、あいつも毒持ち?」
「そう!しかも今までで一番やばいやつ!!」
「ええっ!?」
あんな小さい貝が!?
「あれはイモガイ!!数cmから10㎝くらいの巻貝で世界中の熱帯から亜熱帯、種類によっては日本の海にも生息している殻にはきれいな模様が入っている種類が多いからきれいだと思って拾っちゃうけど絶対にダメ!イモガイは獲物を捕まえるために強力な神経毒を注入できるモリみたいな歯を持っていてそれで魚を毒殺して食べるの!人が刺されると痺れや筋力低下、吐き気が起こって重症になると全身がマヒして呼吸できなくなって死ぬこともあるの!!しかもこの貝にも解毒剤はないの!!死亡事故も世界中で起こっている世界一危険な貝なの!!」
「うわっ、そんなにやばいやつだったのか…‥‥」
「だ・か・ら!もう生き物とかに触るの禁止!!いいわね!?」
「あっ、はい……‥‥‥」
これ以上こいつを怒らせるとやばいと本能が感じ俺は大人しく従うことにした。
こうして俺たちの海の生物ハンティングは終了したのであった。
「‥‥…‥‥ん、んんっ‥‥‥‥?」
気がつき目を開ける愛音。
「ここは…‥‥?」
「気がついた?」
「あっ、そよりん。ここって電車の中?」
「そうよ。愛音ちゃんが気を失っている間に乗ってたわ」
「気を失ってって‥‥‥‥そよりんがさせたんでしょ?」
「愛音ちゃんが私の警告聞かずに猛毒のあるタコ触ろうとするからでしょ?」
「そうだったんだ‥‥‥‥なんかごめん」
「まったく‥‥…‥‥一生バンドやるんだから変な生き物の毒で死なないでよね?」
「!!そよりん、私のこと心配してくれて……‥‥やっぱ優しい~!」
「別にそんなんじゃないし…‥‥‥//////」
「あはっ、照れてる照れてる~」
「うるさい」
おちょくる愛音に締め技をかけるそよ。
「あばばばば!そよりん!生き物の毒じゃなくてこれで死んじゃう!!」
「また気を失うだけだから安心して」
「そういう問題じゃないよー!!」
二人がじゃれ合う中幸人は目をあけたままぐっすり寝ていたのであった。
みんなも海の生き物には気をつけようね!!