「おまたせいたしました!こちらミルクティーでございます!」
只今絶賛バイト中の俺。ライブハウス『RiNG』のカフェスペースでお客さんに飲み物や軽食やスマイルを提供している。
「ごゆっくりどうぞ」
お客さんに一礼をしてカウンターの方に戻る。
「で、どうだったかな?これが接客というものだよ立希くん」
「そのどや顔がむかつくんだけど」
いきなり暴言を吐くこの無愛想な女子はMyGOのドラマーの椎名立希(しいな たき)。
同じく『RiNG』でバイトしているやつなんだけど顔が怖くてあまり接客には向いてないような気がしてしょうがなく俺が手本を見せたんだけど・・・・・・・・・・・・・・
「え~お前いつまでもそんな無愛想な顔してたらまともに接客できないぞ?」
「うっさい。無愛想なのは生まれつきだし」
「そんなこと言いなさんなよ~ほらスマイルスマイル~」
「うざ」
もう~素直じゃないね立希ちゃんは~
「あっ、そういえば立希って明後日休みだよな?」
「そうだけど」
「シフト変わってくんない?」
「はっ?なんで?」
「ソシャゲの新イベントが始まるから開始時間から伊イベランしたいから」
「なにそれ?そんなんで変われるわけないでしょ?」
「どうしてもだめ?」
「だめ」
くっ、ならば切り札を出すか・・・・・・・・・・・
「もしシフト変えてくれたらこれをあげようと思ったんだけどな~」
「だから無理だって・・・・・・・・・・!?」
俺は一枚の写真を立希に見せた。それは幼稚園の頃のお遊戯会で燈がカスタネットを叩いている時の写真だった。
「こ、これは燈の幼稚園の時の・・・・・・・・!?」
「そうだ。お遊戯会の時の写真だ」
立希のやつめっちゃ食いついてるな~もう一押しいくか。
「さらにもう一枚~」
「!?」
次に出したのは小学校の入学式に撮った燈の写真。赤いピカピカのランドセルを背負ってるぞ。
「しょ、小学生の時の燈・・・・・・・・!!」
「これも一緒に付けてもいいんだけどな~」
「・・・・・・・・・・・・・・・け」
「はい?」
「今回だけ変わってあげるから・・・・・・・・・その写真ちょうだい・・・・・・・」
「交渉成立だな」
これで思いっきりイベントに走ることができるな。
「ありがとうございました!」
もう少ししたら今日のバイトは終わるな。早く帰えりて~
「なぁ、いいじゃんかよ~」
「んっ?」
むこうのテーブル席の方がなんか騒がしいな。
「ですからここは全席禁煙なんですって」
「え~他に客いないんだし吸ってもいいじゃんかよ~」
「一本だけいいじゃんか~」
見た目が完全にチャラい男二人組と立希がなにやら揉めているな。一応カフェスペース全席禁煙で吸うなら喫煙ルームのみってのがここのルールなんだよね。
「ですからここの決まりでタバコ吸うなら喫煙ルームでお願いしますって言ってるじゃないですか」
「行くのめんどいしもう吸っちゃったからここで吸わせてよ~」
「てか君、この後俺たちと遊びに行かない?楽しいこといっぱいしない?」
「はっ?なんであんたたちと遊ばなきゃならないの?生理的に無理なんだけど」
わぉ、思いっきりズバッと言うね立希。でもそんなこと言って大丈夫か?
「ああ!?客に向かってその態度なんだ!?」
「調子に乗ってんじゃねぇぞこのアマ!!」
チャラ男コンビは案の定逆上し立希に食いかかる。これはやばいな・・・・・・・・・・・
「ルール守れない奴は客でも何でもない。早く出てってよ」
「なんだと!?」
「ふざけんなこの野郎!!」
<ガシッ>
「!?」
「お客様申し訳ございません」
チャラ男が立希に手を出そうしたので止めに入った。おいおいグーで殴るのはやりすぎでしょ。
「うちの者がお客様に無礼な発言をしてしまい大変申し訳ありませんでした」
「な、なんだよてめぇいきなり!?」
「ただ、喫煙されるのであれば喫煙ルームのご利用するのがここのルールでして、守れない方にはここの利用は禁止させてもらうことになってますので」
「な、なにを!?」
「あと、女性に暴行するのは良くないと思いますよ?」
「あ、あがが!!」
チャラ男の腕を力いっぱい握りそいつは痛がりだした。
「く、くそ!!覚えてろ!!」
「二度と来るか!!」
チャラ男コンビは逃げるようにカフェスペースから去っていった。
「はぁ~これあとで凛々子さんに怒られるかもな~」
「幸人!」
「んっ?ああ、大丈夫だったか?」
「えっ、あっ、うん・・・・・・・・・・・それよりごめん・・・・・・・・・」
「いや、あいつらの方が悪いんだし立希が謝ることないって。あとそこはごめんじゃなくてありがとうって言ってほしいな」
「幸人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、ありがとう・・・・・・・・・」
立希のやつが小さい声で照れながらそう言った。おっ、これはデレの方ですかな?
「えっ?聞こえなかった。もう一度」
「な、何度も言わせんな!」
「にゃあっ!?」
思いっきり脛に蹴り入れやがった!!ツンじゃなくてガツンだよこれ!?
「私仕事に戻るから!」
「ちょ、ちょっと待て~い!」
こうして残りの時間も立希と一緒に仕事して本日の勤務が終了したのであった。
あと一人ですな。早めに書けるよう頑張ります。