どーぞー
「よし、行くか」
「うん」
次の日。球を持ってバンド練習に行く燈と俺。
あっ、俺は今日はバイト休みだからただの見学ね。
「ゆーくん、これは……?」
「ああ、これ?ちょうどいい入れ物がそれしかなかったからそれで包んで持っていくことにした」
押し入れ漁ってたら濃い緑の生地の渦巻きマークが描かれた風呂敷が出てきてそれに包んで持っていくことにした。
泥棒みたいだけどいちいち気にしない気にしない。
「よーし!行くぞー!」
「お、おー………」
今日も練習頑張ろうぜ燈!!
<ジャーン!!>
「ふぅ………」
演奏が終わり少しの間静寂になる。
「いいね。すごくよかったぞ」
「えへへ、ありがとうゆっきー!」
「愛音、お前だいぶ上手になったぞ。これなら武道館いけるぞ」
「いや~そんな褒められてもなにもでないよ~?」
「調子に乗りすぎ。幸人もあんまこいつをおだてないで」
「ええ~」
立希ちゃん厳しすぎない~?
「少し休憩しない?チューニングもしたいし」
「じゃあ10分休憩してから練習再開ね」
「はーい」
休憩になったのであれを見せる時がきた。
「(燈……!)」
「(う、うん……!)」
アイコンタクトで燈に指示を出し燈が球が包まれた風呂敷をみんなの前に出した。
「ともりん、それなに?」
「え、えっと……みんなに見せたいもの……?」
「私たちに?」
「う、うん……」
「泥棒の風呂敷。なにか盗んできたの?」
「そんなわけないだろ。燈が物を盗むわけないだろ?」
「じゃ、じゃあ、見せるね………」
風呂敷を解いて球をみんなに見せた。
「わぁ~なにこれ?」
「真っ黒の球」
「燈、これどうしたの?」
「昨日、河川敷の草むらで拾った……」
「へぇ~それでこれなんなの?ボールにしては固すぎるし」
「あと結構軽いわね」
「それは………よくわかんない……けど」
「けど?」
「あ、あのちゃん。なにか今欲しいものとか……ない?」
「えっ?何、いきなり?」
「いいから何か欲しいもの言ってみろよ」
「う、うーんっと……あっ、じゃあにゃむちが動画で紹介してたコスメ欲しいかな?けど高いから中々手が出せなくて~」
<カァァァァァァッ!>
「え、ええっ!?なに!?」
愛音の願いに応え球が輝きそして愛音が欲しがっていたコスメが出てきた。
「ええええっ!?これ私が欲しかったコスメ!!」
「私、夢見てるのかな?」
「信じられないけどこれ現実だよ立希ちゃん」
「すげぇ」
4人とも驚いてやがる。その顔が見たかった~
「ともりん!ゆっきー!この球なんなの!?」
「え、えっと……お願い事叶えてくれる不思議な球……?」
「その球にお願い事すればそのとおりの物が出てくるんだよ」
「へぇ~!すごい球じゃん!!」
「私もやる」
次は楽奈が球を持ち願い事を叶える。
「抹茶パフェ、いっぱい食べたい」
<カァァァァァァッ!>
「でた」
「おおっ」
机の上に抹茶パフェがいっぱい出てきた。
「美味い」
「もう食ってるし……」
「次、立希がお願い事しろよ」
「わ、私?」
立希に球を渡しお願い事をさせる。
「立希ちゃん、なんでもお願いしてもいいから……」
「え、えっと……パ、パンダのぬ、ぬいぐるみ……」
<カァァァァァァッ!>
「わぁっ!?」
今度は大きなパンダのぬいぐるみが出てきたぞ。
「へぇ~りっきーってパンダのぬいぐるみ欲しかったんだ~」
「う、うるさい!別にいいでしょ!なんでも願い事頼んでもいいって言ったから!」
「かわいいじゃん~」
立希が出したパンダのぬいぐるみをもふもふする。あ~本物のみたいで触り心地最高~
「ああ!私のパンダに触るなー!!」
「いいじゃんかよ。減るもんじゃないし」
「それでもだめだ!」
立希に取られてもふもふタイム終了。あ~パンダ~
「そよりんは?何かお願い事ないの?」
「私はいいかな。今は特に欲しいものないし。それに………」
「それに?」
「なんかその球、怪しい気がして………」
「そう?どんな願いでも叶えてくれるすごい球じゃん」
「そこが怪しいのよ。なんか都合が良すぎるし……」
「うーん、そうかな?」
「まぁ、いいじゃん。叶えたいお願い事あったらいつでも言えよ」
「そうする」
「ゆ、ゆーくん!大変……!」
「どうした、燈」
「楽奈ちゃんがもうお腹いっぱいでパフェいらないって言って………けどまだたくさん残ってて……」
「ええっ!?」
机の上を見ると楽奈が出した抹茶パフェがまだ大量に残っていた。楽奈は満足して床で寝てるし……
「まだこんなに残ってるじゃん!」
「どうすんの?こんなに残して」
「この抹茶パフェを消してもらうようにその球にお願いしてみれば?」
「おっ、グッドアイデア。さすがそよ」
「ともりん、球にお願いしてみて」
「やってみる……!」
燈は球に抹茶パフェを消してもらうようお願いしてみる。だが………
「あ、あれ……?」
「抹茶パフェ、無くなってない?」
抹茶パフェたちは消えずそのまま残っていた。
「……もしかして一度叶えたお願いは取り消せないってことじゃない?」
「えっ、まじ?」
「お願いしても無くならないってことはそうじゃない?」
「ええっ~」
返品不可ってことですが?
「どうすんのこれ?」
「俺たちで食べるしかないだろ?一人3つずつ食べていけば無くなる」
「3つも!?わぁ~カロリー高そう~」
「お腹壊す心配じゃなくて?」
「いけるいける。夏場に1日アイス5個食ってるから」
「それ幸人君だけでしょ?」
こうして俺たちは楽奈が残した抹茶パフェを全て食べた。俺はいいとして他のみんなお腹壊さないといいけど………
「ふぅ~さすがに食べ過ぎたか~」
「うん……お腹いっぱい」
練習を終え家に帰る俺と燈。
一人3つずつ食べるつもりだったけど燈とそよは一つずつしか食べずあとは俺が頑張って食べました。
「ゆーくん、お腹大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。夕飯の分は空けてあるから」
「す、すごいね………」
「にしてもこの球ほんとすごいな」
どんな願いも叶えてくれるなんて最高だな。
次はどんな願い叶えてもらおうかな~?
「あっ、ゆーくん」
「どうした?」
「あ、あれ」
「あっ」
燈の指さした方を見るとそこに大量のみかんを地面に落として拾い集めているお婆さんがいた。
「拾うの手伝いに行くぞ」
「う、うん……!」
荷物をほっぽり出して燈と一緒にみかんを拾うのを手伝いに行く。
「はぁ…………」
今日は疲れましたわ。練習に今度のライブの打ち合わせに雑誌のインタビューにその他の仕事、やること多くて大変ですわ……
「けど、これもバンドのためですわ………」
もっと有名になって売れて最高のバンドにしなくては……
「あら?」
なにか落ちてますわね……
「なんですのこの球は……?」
真っ黒で硬くて軽いですわね……
「誰かの落とし物かしら……?」
でしたら交番に届けなくては………
<キュイイインン!!>
「!?」
な、なんですの!?この光は!?
「燈!そっちあったか!?」
「うんうん……ないよ」
俺たちはみかんを拾う手伝いを終えて荷物を持って家に帰ろうとしたが風呂敷が破れていて球がどこかへ出ていってしまったのだ。
「古かったから投げた時にどっかに引っかかって破けたか?」
もう少し丁寧に扱うべきだったか、くそ~
「ゆーくん、もう真っ暗だし探すの明日にしよ……?」
「そうだな……」
もう時刻は夜の19時過ぎ。辺りは真っ暗で灯りがないと見えない状態だった。
「明日みんなにも探すの手伝ってもらおう……?」
「そうだな。人手多い方が見つかりやすいし」
とりあえず今日は一旦帰ることにした。
あの球どこへいったんだろう?変な人に拾われてなきゃいいけどな………
球を拾った人物、一体誰なんでしょうか?
なんか不穏な予感が・・・・・・・・