あの娘がでてきますよ~
「ここか‥‥‥‥」
俺は今『若葉』と刻まれた表札のある大きな家の前に立っていた。
そう、睦の家である。
「これが大物女優の家か~」
モニカの先輩方の家に行ったこともあるけど月ノ森の生徒の家は本当すごいところに住んでるな~
「おっと、呑気に家見てる場合じゃないか」
俺が睦の家に来た理由、それは睦のもう一つ人格である『モーティス』に会いに来たのとそのお世話である。
「そよのやつに連絡もらった時は驚いたぜ」
数日前にそよから睦が別人格に入れ替わったこと聞かされ以前夢の中に現れたモーティスのことを思い出した。
まさか本当に現れるとは……‥‥現代のミステリーだぜ。
それで睦‥‥‥‥モーティスはあまりご飯を食べてくれずお菓子ばかり食べているらしく使用人さんも頭を悩ませているらしい。
そこでそよが俺が会いくると勝手に決めたらしくそれで今日睦の家に来たのだ。
ったく、勝手に決めるなよ‥‥…‥‥まぁ、でも俺も睦のこと心配してたからなちょうどいいや。
「よし、行くぞ」
<ピンポーン>
俺はインターホンを鳴らした。
『はい?』
「あっ、俺、長崎そよさんの友人の藤田幸人と申します。そよさんから睦さんに会いに来る連絡があったと思うのですが…‥‥‥」
『藤田様ですね。少々お待ちください』
マイク越しで使用人さんと会話し少し待つと
<ガチャ>
「あっ」
「藤田様、お待ちしておりました。どうぞ中へ」
使用人さんに招かれ家の中に入る俺。
「はぇ~すごい~」
広いな~俺もいつかこんな家住みたいな~
「こちらです」
「あっ、はい」
使用人さんの後を追い二階へ上がりとある部屋の前に止まる。
「こちらが睦さんのお部屋になります」
「ここが…‥‥‥」
この中に睦、モーティスがいるんだな。
「案内ありがとうございます。後は俺に任せてください」
「はい。睦さんのことをお願いします」
使用人さんはそう言って一階へ降りて行った。
「‥‥…‥‥よし」
<コン、コン>
俺はドアに二回ノックした。
「……‥‥誰?」
「よう、俺だ。幸人だ」
「!?」
ドアの向こうからパタパタと走る音が聞こえそして
<ガチャ!>
「幸人君!!」
「うおっ!?」
ドアが勢いよく開き中から睦が飛び出して俺に抱きついてきたぞ!?
「む、睦?」
「はぁ~生の幸人君の匂い~たまんない~」
俺の匂いってゆうか柔軟剤の匂いだけどね。
「え、えっと…‥‥‥睦?いや、モーティスって呼んだ方がいいか?」
「うん!モーティスって呼んで!」
笑顔でそう返事する睦…‥‥いやモーティス。
聞いてはいたが本当に別人格になってるな‥‥…‥‥
「夢の中以来だね!」
「そうだな」
前にこいつと夢の中で会ったことがありまさか現実で会えるとは思っていなかったぜ。
「さぁ、中に入って入って!」
「お邪魔しま~す」
部屋の中に入る。
ぬいぐるみや本が床に散乱して散らかっているな。
「何して遊ぶ?ボードゲーム?あっ、テレビゲームやるならリビングでやろう!おっきいテレビでやると迫力あるよ!」
「いや、遊ぶ前に話がある」
「なに?」
「祥子と会う気はないか?」
ライブから会ってないらしくずっと部屋に引き籠ってるみたいだし幼馴染の祥子と会って色々話したりしてほしいのだが
「嫌だ!祥子ちゃんって睦ちゃんに意地悪してたんだよ!?」
「そうなのか?」
「うん!あ~!なんか顔を思い出したらイライラしてきた!」
モーティスはそう言って部屋の中央に置いてあるパンチングバルーンの前まで行く。
よく見たら祥子の顔の写真が貼られている。
「えい!えい!」
モーティスはバルーンにパンチし始める。
「えい!えい!このクソメスブタ!よくも睦ちゃんをいじめたな!この!この!」
汚い言葉を言いながらパンチしていくモーティス。
祥子が可哀想だから本人の前で言うなよ?
「はぁ~スッキリした!お腹空いちゃった~」
モーティスはパンチを終えて部屋の隅に置いてあるカゴの中からお菓子の袋を一つ取り出す。
「なぁ、モーティス。お前、最近お菓子ばかり食べてるのか?」
「うん、そうだよ」
「ご飯ちゃんと食ってるのか?」
「えっ?食べてないよ」
おいおい、だいぶ不健康な生活してるな。
「だって使用人さんが持ってくるご飯美味しくないしそれにご飯とか喉通らないもん」
「いや、だからってお菓子ばかりは体に悪いぞ?」
「だってお菓子美味しいもん!ガヴのショウマ君だってお菓子いっぱい食べてるじゃん!」
「ショウマは変身に必要なゴチゾウを生み出すために食べてるんだよ。一緒にしちゃあいかんよ」
「それでもご飯よりお菓子食べる!」
なんか駄々っ子になっちゃったよ。モーティスって精神年齢低いのか?
「じゃ、じゃあ、俺が好きな物作ってやるよ」
「本当に!?」
「ああ。何が食べたい?」
「うーんと…‥‥‥美味しい物いっぱい!ハンバーグとかエビフライとかスパゲッティとか色々!!」
「はいはい」
リクエストが大雑把だな…‥‥‥
「じゃあ、作ってくるから待ってろ」
「はーい!」
部屋を出て一階に降りて使用人さんにキッチンをお借りしていいか聞き許可を得た。
「さぁて、始めるか」
材料、調味料、器具は好きに使ってもいいと言われたし思う存分にやれるぞ。
「材料は‥‥‥‥…」
色々とあるじゃないか。さすがお金持ちの家だな。
「これとこれ‥‥‥‥あっ、これも使うか」
材料をある程度出していき台の上に並べる。
「まずは下準備から」
今回は作る物多いから細かくは説明しないでいくのでご了承願いたい。
「ハンバーグは牛豚合いびき肉、みじん切りにした玉ねぎ、パン粉、牛乳、塩こしょう、ナツメグを入れていく」
それ全部混ぜて形を整えて空気を抜いていく。
「次はエビフライの準備だ」
エビの殻を剥いていき背中の黒いやつを抜いていき切り込みを入れて塩こしょうを降り薄力粉、溶き卵、パン粉の順に付けていく。
「フライドポテトと唐揚げは冷凍のやつを使うか」
時短できるものは時短していこう。あんまり待たせるとモーティスがぐずるからな。
「よし、ケチャップライスを作るか」
フライパンに油を入れてカットしたソーセージ、ミックスベジタブルをさっと炒めて白ご飯を投入しケチャップ、顆粒コンソメ、塩こしょうで炒めていく。
「これでケチャップライスはできた」
「次は揚げ物系を揚げていく。
「フライ用鍋に油を入れて温まってきたら具材を投入」
エビフライ、唐揚げ、フライドポテトが鍋中で踊ってるようだ。
「ボイル野菜とかも作るか」
鍋に水を入れてお湯を沸かしてブロッコリー、ニンジンを入れて茹でていく。
「フライもそろそろいいかな」
揚げ物系ができたので鍋から出していく。
「あっ、スパゲッティ作らなきゃ」
忘れるところだった。
茹で野菜を茹でた鍋をそのまま使いスパゲッティの麺を茹でていき茹で終わったらザルに入れて水気を切りフライパンに投入しケチャップで炒めて完成。
「こいつらを皿に盛りつけていこう」
フライ、茹で野菜、スパゲッティ、ハンバーグ、ケチャップライスは形を整えていく。
「そしてこいつも」
皿の残ったスペースにプリンをプッチンと置いていく。お子様ランチといえばプリンもいるだろう。
「仕上げにこいつを刺してと」
ケチャップライスの上に俺が総理大臣になって新しく作った国『合衆国ユキト』のプチ国旗を刺して特製お子様ランチの完成!
「さっさと持っていこう」
お皿を持ちモーティスのいる部屋に戻る。
「お待たせー」
「あっ!来た!」
モーティスは絵本を読んで待っていた。
表紙はクレヨンでラクガキされてるけど
「わぁ~美味しそう~!」
「とりあえず美味しい物いっぱい入れておいた。さぁ、召し上がれ」
「いただきます!」
スプーンを持ってケチャップライスを一掬いして口に入れる。
「ん~!美味しい!!やっぱ幸人君って料理上手だね!」
「どうも」
「ハンバーグも美味しい!エビフライも!」
モーティスはパクパクと食べていく。
よかった、ちゃんと食べてくれて。
「プリンはデザートだから最後な」
「うん!」
「口の周り汚れてんぞ?」
ケチャップやソースで汚れたモーティスの口周りを拭いていく。
「ありがとう!やっぱり幸人君は優しいね!祥子ちゃんとは大違いだよ!」
「祥子だって優しいだろ?」
「昔はそうだったけど今は違うかな」
「…………‥‥‥」
あいつも色々あって変わっちまったんだ。でも優しさは変わってないと思うぜ?
「ご飯全部食べ終えた!プリン~!」
「早いな」
プリン食べたくて早く食べ終えたか。どんだけ食いたかったんだよ。
「プリン食べるまでダルかった~」
「ラキアのまねか?」
「そうだよ。私、ヴラム好きだもん!かっこいいし!」
「だよな~」
プリンのライダーであんなかっこよく見えるのほんといい。
「プリン美味しい~」
プリンも食べてモーティスは久しぶりにまともな食事にありつけたのであった。
「じゃ、そろそろ帰るわ」
空が暗くなってきたのでそろそろ帰ることにした。
「え?もう帰るの?泊まっていきなよ!ちゃんと布団もあるよ?そよちゃんの臭いするけど」
「そよの臭いするのかよ」
いい匂いしてそう‥‥‥‥いや、やめよう。変な妄想しちゃうから。
「いや、俺明日学校あるし」
「休んじゃいなよ」
「これ以上ズル休みするとヤバいんだよ」
出席日数危ないしそれにバレると明日嵐先生に怒られるからなぁ~
「だからだめだ」
「え~私枕投げ楽しみにしてたんだよ?お願い!一生のお願い!」
「はぁ~分かったよ。じゃあその枕、ちょっと貸して」
「はい!」
モーティスから枕を受け取る。
「行くぞ?はい」
枕を投げ返す。
「つうわけで、お邪魔しました。久し振りに話せて楽しかったよ」
部屋を出て帰ろうとする俺。すまないが今日はやっぱり帰るよ。
「待ってぇぇぇぇぇっ!!何処の世界にこんな悲しい枕投げがあるの!?!?」
「ゴフッ!?」
モーティスが俺の首根っこを掴み帰るのを阻止し部屋に引き戻す。
「ワンスローのみって………こっちは一生のお願い使ってるんだよ!?もっと本気でガンガンと来て!!」
「でも本気でやると、いくら枕でも痛いぞ?」
「大丈夫!!枕だろうが死だろうが、華麗に避けてあげる!!」
「あ、言ったな?じゃあ本気で投げてやるぞ?『枕スパイラルシャイバー』!!」
「ヌヴォォォォォ!!!!!」
枕がモーティスの腹に命中する。枕とはいえ痛そう。
「直撃じゃないか。そこは避けろよ」
「ち、ちょっ…………さすがにお腹は無しでしょ…‥‥‥」
「いや避けるっていうから、こっちも本気で投げたんだけど?」
「分かったよ。何でもありのルールなんだよね?知らないよ?」
「もう帰っていいか?」
「それならこっちにも考えがあるよ!?思い知れ!絵本ドリームアタック!!!」
「危なっ!?」
絵本を投げてきやがった!枕より危ないって!
<ガン!>
「あだぁぁぁぁぁぁ!!」
「う、うわぁ………痛そう」
絵本がモーティスのおでこに直撃した。これは痛い。
「幸人君………よくもやってくれたね?私を本気で怒らせたね?」
「えぇ?今のはモーティスの自業自得じゃねえか。こっちは無意識で避けたんだけど?」
「うるさい!!私の辞書に自業自得なんて言葉はないよ!!」
「ちょ!?なんつう自分勝手なんだ!?」
「自分勝手なんて言葉もない!!喰らいやがれ!!モーティスドールアタック!!」
モーティスは体を丸めてゴロゴロと転がりながらこちらに向かっていく。
「おい馬鹿!!こんな狭い部屋で暴れるな!!」
「大物女優の娘の力を思い知れぇぇぇぇぇぇ!!」
「あらよっと」
「あ、避けられた!ヒデブッ!?」
直進で向ってくるから簡単に避けたら案の定壁に激突するモーティス。
「お、おい?大丈夫か?」
「きゅ~」
頭にたんこぶ作って目をぐるぐるして気絶してるモーティス。
かわいそうだがこれも自己自得だ。
「今のうち帰ろうっと‥‥‥…」
すまんな、今はちゃんと登校しないとヤバいからまた今度泊まりに来てやるよ。
「‥‥…‥‥う、うん?」
あれ?私いつの間に寝てて……‥‥
「あっ、そうだ!幸人君は!?」
部屋の中を見るけど幸人君はいなかった。
「帰っちゃったか……‥‥」
さすがに無理言っちゃったかな?幸人君にも都合あるし……‥‥
「嫌われちゃったかな………‥‥あれ?」
絵本の上に付箋が貼られている?
「えっと…‥‥‥『また遊びに来る 幸人より』!!」
よかった~!嫌われてなかった!
「また来てくれるの嬉しいな~」
今度は何して遊ぼうかな?そうだ!そよちゃんも呼ぼう!あっ、燈ちゃんや立希ちゃんも!みんなで遊んだほうが楽しいよね!ただし、祥子ちゃん!てめぇーはだめだ!!
じかい~じかい
「なに!?アニメave mujicaが最終回!?だったら俺たちも最終回だ!MVPを決めようぜ!MVPになるのは……‥‥」
「「「「「「「「「「俺(私)だ(だよ)(ですわ)(です)!!!!!!!!!」」」」」」」」」」
次回『マイゴとムジカとMVP』
「誰が一番になるのかな?」
(※最終回じゃありません)