「‥‥……‥‥やっぱ出ないか」
俺はある人物に電話をかけていたが繋がらなかった。
電話をかけた相手はもちろん祥子である。
「もうかなり会ってないな…‥‥‥」
ツアー以来音信不通なんだよなぁ…‥‥‥
「学校には通っているみたいだし羽丘で待ち伏せして会ってみるか」
学校早退して放課後まで待ってみるか。あいつ部活とかしてないはずだし授業終わったらまっすぐ帰るはずだ。
「祥子、ちゃんと話しようぜ」
今度こそお前を助けたいんだ‥‥…‥‥
「………‥‥‥」
私は幸人さんが住んでいるマンションの部屋を見つめていた。
けど会いに行く気が起きなかった。
「‥‥…‥‥ごめんなさい」
ツアーの福岡公演に彼を招待し最高の舞台をお見せするはずでしたのにまさかあんなことになりバンドが解散してしまった‥‥…‥‥
その後は手続き等もあり彼と会う暇もありませんでしたわ。
「……‥‥‥うっ」
視界が歪み倒れそうになった。
最近眠れない日々が続き昨晩も眠れず幸人さんを模したキャラクターと私が主役の夢小説を朝まで書き続けそのまま学校へ行ったのがマズかったですわね‥‥‥‥
「はぁ‥‥‥はぁ‥‥‥‥」
流石にしんどいですわ…‥‥‥そろそろ家に帰った方が…‥‥‥
『祥‥‥…‥‥』
「?‥‥‥‥っ!!」
聞き覚えのある声がして顔を上げるとそこにはライブ衣装を着た睦がいましたわ。
「む、睦…‥‥‥!?」
『祥……‥‥‥なぁ~んちゃって~』
「!?」
睦は表情を変えた。これは睦ではなくモーティス!!
『くふふっ、その驚いた表情、可笑しくってお腹痛い~』
「あっ・・・・・・・ああっ‥‥‥!」
『祥子ちゃん~よく堂々と幸人君の家まで来れたね~?』
「そ、それは‥‥…‥‥」
『期待させておいてあんな形で終わらせちゃうなんて幸人君も失望しただろうね~』
「な、何を言って…‥‥‥」
『祥子……‥‥』
「!?」
モーティス隣にいつの間にか幸人さんが立っていた。
しかも表情は無表情で冷たい目で見つめていた。
「き、きゃああーーーっ!」
幸人さんを見て腰を抜かす私。
「うっ!」
すると急な吐き気に襲われその場で蹲り嘔吐してしまった。
「ごほっごほっ‥‥‥‥うぇっ…‥‥‥ご…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめん…」
私は咽ながら二人に謝った。
「私は…‥‥とんでもない過ちを‥‥‥‥犯してしまいましたわ…‥‥‥」
大切な幼馴染を壊してしまったこと…‥‥‥愛する人の期待を裏切ってしまったこと…‥‥‥もうどうやっても元に戻すことはできませんわ…‥‥‥
「ちょ、ちょっと!?あなた大丈夫!?」
「?」
ふと誰かに声をかけられ顔を上げると若い女性が立っていましたわ。
「ここで蹲ってたけど‥‥‥‥もしかして気分悪いの?」
「い、いえ‥‥…‥‥」
迷惑かけるわけにはいかないので早くこの場から立ち去った方がいいですわね…‥‥‥
「ご心配かけて申し訳ありません…‥‥‥ですが大丈夫ですので私はこれで‥‥‥‥」
「あっ、ちょっと」
私は女性を無視してその場を後にした。
「………‥‥はぁ~」
ゲームしてもなんかもやもやが晴れないな。やっぱ祥子のことが気になるわ。
「ただいま~」
「あっ」
母が帰ってきたようだ。
「お帰り~」
「今から夕飯の支度するわね~」
今日は母が夕ご飯作ってくれるようだ。今日の献立は何かな~?
「あっ、そうそう。さっきね、燈ちゃんと同じ羽丘の制服着た女の子がマンションの前にいたのよ」
「羽丘の?」
「ええ。なんかお人形さんみたいで可愛らしい子でお嬢様みたいな口調で喋ってたわね~気分悪そうだったみたいだけど大丈夫かしら?」
「!!」
その女の子ってまさか!!
「俺ちょっと出かけてくる!!」
「えっ!?ご、ご飯までには帰ってくるのよ~!」
俺は急いで外に出て周囲を探し回る。
「あっ!」
祥子の後ろ姿を見つけた。
「おーい!祥子ー!!」
「?‥‥‥‥っ!!」
祥子は俺の声に反応し振り返り俺の顔を見るなり顔を青ざめた。
「っ!!」
「えっ!?」
祥子は俺から逃げるように走り出した。
「お、おい!待てよ!!」
俺は祥子の後を追いかける。
「はぁ、はぁ、マジかよ」
祥子は俺が追いつけないほど速さで走っていて俺との距離をどんどん離していく。
「あっ!」
祥子は曲がり角を曲がり姿が見えなくなった。
「くっそ!」
俺も角を曲がるが
「なっ!」
大勢の人が行き交う帰宅ラッシュで道が混んでいて祥子の姿は見えなかった。
「見失ったか……‥‥」
話せるチャンスだったのに……‥‥くそ!!
「どしたらいいのやら……‥‥‥」
次の日
お昼休みで昼飯を食べていて昨日のことを思い出していた。
「おいおい幸人どうしたんだよそんな難しそう顔して?」
「エロ本どうやって買うか考えてんじゃないの~?」
「お~ついに幸人氏も大人になるのですかな?」
「ちげーし」
いつメンにそうツッコむ。
「いや、ずっと会いたいやつに久しぶりに会えそうだったんだけど逃げられちゃってよ」
「ええ~?なんで?」
「いや、わからん」
「幸人の体臭が臭かったんじゃねぇ?」
「倉雄じゃあるまいしそんなんわけねぇだろ?」
「ちょwwwww小生のこと貶すのやめてくれメンスwwwwww」
「話戻していいか?」
「ああ、悪い悪い」
「多分また会っても逃げられそうなんだよな~」
このままだとまともに話してくれなさそうだな~
「どうしたらいいと思う?」
「う~ん……‥‥あっ、じゃあ変装して話しかけたら?」
「変装?」
「うん。幸人のままだと逃げられちゃうんでしょ?なら、変装して近づいて話せばいけるかと思ってね~」
「変装ね…‥‥‥あっ」
あれならいけるかもしれないな。
「サンキュー。いい案ありがとうな」
「どいたま。今度ジュース奢ってね」
「はいはい」
よし、帰ったら早速実行だ。
「……‥‥‥」
私は川原の土手に座り夕日を眺めていた。
「…‥‥‥幸人さん」
昨日のことを思い出してしまいましたわ。
幸人さんが私の後を追いかけてきたのに私は逃げてしまいましたわ。
もう私には彼に会うことも話す資格もありませんわ…‥‥‥
「やぁ、豊川祥子」
「あっ…‥‥‥あなたは…‥‥‥」
後ろから声が聞こえ振り返るとそこには私の宿敵であるユキ仮面が立っていた。
祥子ちゃんには悪いが少しくるしんでもらいますよ(あとで救いと休息は用意しておくので)