ある日の夕暮れ、喫茶ドンブラリンコに来ていた睦‥‥‥‥モーティスはカウンター席でマカロンの盛り合わせを食べていた。
「はむはむはむ!」
『‥‥‥…モーティス』
「なに?」
精神の中にいる睦と会話しながらマカロンを食べるモーティス。
『そんなに食べたらお腹壊すよ‥‥‥‥?』
「だって、食べなきゃやってらんないんだよ!?祥子ちゃんと勉強しないといけないし海鈴ちゃんのレッスンは厳しいし遊ぶ暇ないからストレス溜まっちゃうよ!」
休んでいて遅れた分を取り戻すため祥子に毎日勉強を教えてもらい海鈴にギターのレッスンを受けるという忙しい毎日を送っていたモーティス。
そのストレスでやけ食い中なのだ。
『で、でも…‥‥』
「私のキングフォーム食いを見て!」
ドヤ顔で青、赤、黒、緑のマカロン四つを一気食いするモーティス。
「はむ‥‥‥‥んぐ!?」
『モーティス?』
「の、喉に‥‥‥‥!」
マカロンが詰まり苦しむモーティス。
「の、飲み物を…‥‥!」
『今、マスターいないよ‥‥‥!?』
急用で店にいないマスター。飲み物を提供できる人間がいないのだ。
「あぐぐっ…‥‥‥あっ!」
キッチンを見ると赤い色の水が入ったグラスを見つける。
「飲み物だ…‥‥!」
急いでグラスを手に取り一気に飲み干すモーティス。
「んぐ‥‥‥‥ぷはぁっ!!」
『大丈夫‥‥‥‥?』
「うん、なんとか‥‥‥‥うっ!!」
『モーティス!?きゃっ!!』
急な体の異変を感じ胸を抑え込む。
「ううっ…‥‥‥」
モーティスは苦しみながら店の外へと出て行ってしまったのであった…‥‥‥
「祥子、そっちどうだった!?」
「ダメですわ!こっちも見つかりませんでしたわ!」
祥子と合流する俺。
昨日から睦が家に帰ってないらしく探していた俺たち。
「あいつ、どこ行ったんだ?」
「家出する子ではありませんわ……もしかして誘拐!?」
「いや、そうと決めつけるのは早いぜ」
けど、あいつ有名人の娘だから無くはないことだから油断できないぜ……
「捜索範囲を広げよう」
「そうですわね!では私は今度はもっと西の方へ……」
「ん?なんだあれ?」
俺はふと人だかりができている方を見た。
「なんなんでしょう?」
「行ってみるか」
俺と祥子は人だかりへ向かい何があるか見に行ってみるとそこには‥‥‥‥
「わーっはっはっはっはーーーーーーっ!!!」
「「えっ!?」」
緑色の着物を着た天女のような女性たちが舞い踊り屈強な男たちが神輿を担ぎその上には赤いメッシュがあり瞳も真っ赤になっている睦が高笑いをしながら座っていた。
「む、睦?」
「なにがどうなってるんだ?」
俺たちはあまりにも驚くべき光景を目にして困惑していた。
「ん?おおっ!お供達ではないか!!」
「お、お供?」
お供?今こいつ俺と祥子のことお供って言ったか?
「睦!?一体どうしたんですの!?その神輿は!?その方々は一体!?」
「うるさいぞ!一度にそんなに質問するな!」
「す、すみません…‥‥‥」
「ここで話をするのもなんだ。どこかでお茶でもしながら話そうぜ」
「いいだろう!案内しろお供よ!」
「はいはい」
だからそのお供ってなんだよ?とりあえずドンブラリンコに向かうことにした俺たち。
「うむ、いい感じの店だな」
「何回も来たことあるだろうが」
「いらっしゃい」
「マスター、俺はイチゴミルク」
「私は紅茶を」
「きびだんご!!」
「かしこまりました」
マスターは睦の豹変ぶりに特にツッコまず注文を受け厨房へ向かった。
「さて、お前のことを聞きたいのだが…‥‥‥」
「お前?口の利き方がなってないぞ!お供の分際で俺に命令するな!」
「‥‥…‥‥」
すげー上から目線だなおい……‥‥
「…‥‥えっと、あなたは一体何者なんですか?睦ではないようですけど‥‥‥‥」
「俺の名前はモモミ。睦の人格の一つだったものだ」
「だったもの?どういうことだ?」
「質問は一つだ!もっと知りたければ俺との勝負に勝ってからだ!」
「勝負って…‥‥‥」
「具体的になにを?」
「そうだな‥‥‥‥これを使うか」
モモミはお通しで出されたピーナッツを一つ手に取った。
「このピーナッツを投げる。お前たちはこれを口でキャッチできればお前たちの勝ちだ」
「よし、いいぜ」
「私がやりますわ!」
「祥子!?」
この勝負を受けることにした祥子。
「いけるのか!?」
「ええ!睦のためにやりますわ!それにこういう時のために口でなにかをキャッチして食べる特訓をしてきましたわ!」
「いや、どういう特訓してたんだよ?」
もしかしてユキ仮面と勝負してた時か?
「では、いくぞ」
「いつでも来なさいな!」
祥子とモモミは少し距離を置いて丁度いい位置に立ち止まりモモミはピーナッツを握り野球の投球のフォームのような構えをし
「ふん!」
「投げた!」
ピーナッツが放たれ祥子めがけて飛んでいく。
「ストレートなコースですわ!」
「いや!違うぞ!」
「!?」
ピーナッツは突然コースを変え天井に向かったと思いきや今度は壁、戸、棚などに反射するようにぶつかりあっちこっちに飛び回っている。
「こ、こんなのどうやってキャッチするんだよ!?」
「さぁ!どう攻略する!?」
「‥‥……‥‥」
祥子は目を閉じて何かを感じ取ろうとしている。
「……‥‥‥そこですわ!!」
祥子はそう言い放ち右を向いて口を開けてピーナッツをキャッチした。
「おおっ!」
「はむはむ‥‥‥‥やりましたわ!」
ピーナッツを食べ勝負に勝った祥子。すげぇなあいつ。
「やるな。では約束通り話そう」
約束通りさらに詳しい事を聞くことに席へ戻った俺たち。
「じゃあ、話してもらおうか。お前がどういう存在なのか」
「どうこうも俺は俺だ!他の何者でもない唯一無二の存在!それがモモミだ!」
「おい、会話しろよ」
話聞かないタイプかこの人格?モーティスとは別のベクトルでめんどい。
「モモミさん、お願いです!睦とモーティスを返してください!モーティスがいたおかげでまた睦と向き合うことができました!」
「祥子…‥‥‥」
睦だけじゃなくてモーティスのことも‥‥…‥‥
「睦が笑ってくれるのなら私なんでもする覚悟ですわ!私がクライシックの代わりになることも!あなたが睦のために生きているのと同じこれからは私もいっしょに!」
「何を言っている?」
「え?」
「わかってないな、お前は」
「どういうことだ?」
「単刀直入に言うぞ。睦など最初から存在していない」
「えっ?」
どういうことだ?睦は最初から存在してない?
「どういうことですの?」
「睦は俺と同じもたくさんある役の一つだ。睦は若葉家で生きるのにちょうどいいお人形さんのようなやつで例えばモーティスは社交性があってみんなが気にいるように振舞う芸能人の娘の役だ。だが、ギターに出会った睦は睦という役が睦という意識を持って他の人格を消した」
「なっ‥‥…!」
「モーティスのやつは睦を助ける役を務めたから生き残ってアベムジカのモーティスになれた。お供、お前が作り出したんだ。睦とモーティスと俺という化け物をな」
「そんな……‥‥!」
「おい、ちょっと待て。モーティス以外の人格は消えたんだろ?じゃあ、お前は一体?」
「俺は消された人格たちがふとしたことで復活し一つに集まった存在だ」
「マジかよ…‥‥‥」
まるでファンタジーゲームに出てくる邪神みたいな感じに生まれたモモミ。
睦って異世界から来た存在じゃないよね?
「…‥‥‥それでも!睦とモーティスを返してくださいな!」
「ならばまた勝負だ!それに勝てたらあの二人を返してやる!」
「また勝負か…‥‥‥で、何で勝負する?」
「そうだな‥‥…‥‥」
「話は聞かせてもらったよ」
「あっ、マスター」
マスターが厨房から出てきて注文したもの‥‥‥…ではないものを机の上に置いていった。
「あ、あのこれ、注文した物じゃ…‥‥‥」
「大食い勝負はどうかな?お代はいらないから」
そう言ってマスターは大盛りのカレー、焼きそば、チャーハンを六皿分用意された。
「先に全部食い終えた方が勝ちだ。ハンデとして貴様ら二人まとめてかかってこい」
「いいぜ。いくぞ、祥子」
「ええ!大食いの特訓もしてきましたので任せてください!」
「では、スターㇳ」
勝負開始の合図が言われ料理を食べ始める俺たち。
「はぐはぐ!」
「はむはむ!」
「うんんんぐん」
睦とモーティスを取り戻すため俺と祥子は料理を食べ続ける。
待ってろ二人とも!必ず助けてやるからな!!
~30分後~
「ごちそうさん」
「ううっ…‥‥‥」
「苦しいですわ…‥‥‥」
勝負の結果、俺たちは敗北。いや、二人で一皿食うのがやっとの量を一人で食うなんてヤバすぎだろこいつ。
「俺の勝ちだ。というわけで…‥‥」
「ちょ!なにを!?」
「うわっ!?」
モモミはマジックペンを取り出し俺と祥子のおでこにMの字を書いた。
「今日から正式に俺のお供だ!」
「なんてものを書いてくれたんですの!?」
「うわああああ!!落ちねぇぇぇぇ!!」
油性で書きやがったな!!くっそおおおおおおおおお!!!!
「はぁ……‥‥‥どうしたらいいのやら……‥」
あれから数日が経ちある日の夜。俺は夢の中の自分の部屋で悩んでいた。
「睦は元に戻らないし被害は拡大するし……‥‥」
モモミの暴挙は止まらず今日なんて海鈴から電話がかかってきて………‥‥
『もしもし?』
『あっ、藤田さん!?海鈴です!』
『どうした?そんな慌てて?』
『わ、若葉さんの様子がおかしくて!!』
『あ~そのことか』
『性格がいつもと違くて……‥‥!ギターの演奏も急に上手くなって…‥‥‥!』
『うん』
『私をお供にするとか言って!』
『うんうん』
『勝負して負けてしまって!このままだと私は若葉さんのお供に!『見つけたぞ!お供!!』ぎゃああああああああああああ!!』
『‥‥‥…‥‥』
悲鳴と共に通話が切れたのであった……‥‥
「海鈴、すまんな……‥‥」
お前の犠牲は忘れないぞ‥‥…‥‥
「一体どうすれば…‥‥‥」
「幸人くーん!!」
「モーティス!?」
部屋にモーティスが入ってきた。こいつが普通に人の夢に入ってくるのもツッコまなくなった。
「お前、無事だったんだな!」
「うん!なんとか逃げてきたよ!」
「睦は?」
「睦ちゃんは囮にしてきたよ!今頃モモミの餌食になってるよ!」
「ええっ‥‥‥‥」
睦かわいそう……‥‥‥
「それよりどうしたんだ?俺に何か用か?」
「あっ、そうそう!モモミをなんとかできるかもしれない方法を見つけたんだ!」
「なんだって!?」
あの暴太郎を止めることができるのか!?
「どんな方法なんだそれは!?」
「うん!それは‥‥…‥‥」
『ううっ……‥‥』
モモミから逃れ身を潜めている私。
『睦ちゃんを盾にして逃げてきちゃった‥‥‥‥』
睦ちゃんの犠牲は無駄にしないから…‥‥‥
『どうしようこれから……‥‥』
幸人君の夢の中に避難しようかな?そこでモモミを何とかする対策を一緒に考えて……‥‥
『夢が現実に残すはかすかな痕跡。夢のみを求める者は決して真実にたどり着けない‥‥‥‥』
『えっ?』
声がした方を向くとそこには知らない男の人が立っていた。
『あなたは?』
『夢をさまよう者だ。君と同じようにな‥‥‥‥』
『えっ?』
何言ってるのこの人?
『奴を止めたいようだな』
『やつ?もしかしてモモミもこと?』
『あの暴君を止める方法…‥‥‥それはおでんだ』
『おでん?』
ますます何言ってるのかわからない……‥‥‥
『助言できるのはここまでだ……‥‥あとは君の手でなんとかしろ……‥‥‥』
『あっ、ちょっと!!』
男の人はそう言ってどこかに行ってしまい見失ってしまった。
『‥‥‥…とりあえず幸人君に相談してみよう』
「おでん?」
モモミをとめる方法がおでんだと?なにそれ?ていうか助言した男の人会話してくれない?ポエムしか喋ってないよ。
「よくわかんないけどモモミにおでんを食べさせればいいんじゃない?」
「おでんか‥‥…‥‥よし、食わせてみるか」
それしか方法ないならやってみるしかないな。
「ほう、ここか」
「ああ」
次の日、おれはモモミを行きつけのおでん屋の屋台へ連れてきた。祥子と遊んだ時に行った屋台と同じだ。
「ちわ」
「へい、らっしゃい」
大将に挨拶し椅子に座る俺たち。
「何にしましょう?」
「えっと…‥‥とりあえずおまかせでいいか?」
「かまわん!」
「じゃあ、おまかせで」
「あいよ!」
大将はおでんを適当に皿に入れて俺たちの前に出した。
「ほう、これはうまそうだな」
「じゃあ、食おうぜ」
おでんをいただくことにする俺たち。
「はむ…‥‥‥美味い!!」
大根を一口食べてでかい声でそういうモモミ。
「あぐ…‥‥スジ肉もいい味をしている!」
「そうか、よかったな」
おでんをどんどん食べていくモモミ。本当におでんでなんとかなるのかよ?
「お次はタマゴを……‥‥」
「あっ、味噌とからしいるか?」
「もらうぞ!」
味噌とからしの入った容器を渡しモモミはそれをお皿の隅につける。
「このふたつをつけて、はむ……‥‥‥んぐ!?」
「?」
どうした?
「か、からしが‥‥‥‥!」
モモミはからしを直に舐めたようで目から涙を流した。
「お、おい、大丈夫か?」
「う、ううっ…‥‥」
ぼたぼたと涙を流すモモミを心配すると
「…‥‥‥ゆ、幸人?」
「!?」
口調が変わった!?まさか!!
「む、睦か!?」
「えっ?う、うん…‥‥‥」
「よっしゃあ!!」
元に戻った!!成功だーーーーーーー!!!
「あはははは!!やったぜーーーーー!!!」
「??」
睦が元に戻って大喜びな俺と不思議そうに首を傾げる睦だった。
来週末はひなぴよとあの方の写真集発売記念イベに行きます(ヒント、弟に溺愛していて求婚するあのキャラを演じた人です)