「うし、じゃあやりますか」
「う、うん…‥‥!」
俺と燈は水色のエプロンをつけてアイスクリーム屋のワゴン車に乗っていた。
なんでこんなところにいるのかというとこのお店の方が急用ができて2~3時間離れたいのだが今日入るバイトの人も病欠で来れなくなってさぁどうしましょうと悩んでいたところ俺たちが変わって店番してあげることにした。
「言われた通りに注文されたアイスをコーンかカップに入れればいいからな」
「わかった…‥‥!」
ディッシャーでアイスをすくってコーンやカップにポンといれる作業一度やってみたかったんだよな~
二段、三段、いや、十段は積んでみたいぜ!
「あの~すみません~」
「はい、いらっしゃいませ!」
さっそくお客さんが来たぜ。
見た目は二十代くらいで水色のパーカーを着た茶色のパーマーがかかった男の人だ。
「ご注文は?」
「えっと…‥‥コーンでソーダのやつをください」
「かしこまりました!燈、いけるか?」
「う、うん……」
燈はディッシャーでソーダアイスをすくってコーンの上に置いた。
「上手いぞ」
「ありがとう…‥‥」
「はい、ソーダアイスです」
「ありがとうございます!あっ、これで」
男の人はアイスを受け取り百円玉を四枚出して俺はそれを受け取った。
「はい、ちょうどですね。毎度ありがとうございました~!」
いつもの営業スマイルでお客さんの後ろ姿を見つめる俺。
接客業もだいぶ上手くなってきたな俺は。
「いただきます。はむ‥‥‥‥う~ん!美味しい~!」
男の人はアイスを美味しそうに食べて笑顔になっているのが見える。
「こんな美味しいアイスが食べれるお店がこの辺にあったなんて‥‥‥‥今度は幸果さんたちと来て見ようっと!」
おっ、リピーターになってくれるんですね。ありがとうございまーす!
「ゆーくん、あの人すごく喜んでくれたね…‥‥」
「ああ」
スタートは良い感じになったな。よーし、この調子で頑張るぞー!
「おい」
「はい、いらっしゃいま…‥‥‥!」
次に来たお客さんはいかにもあっち系の厳つい怖い男の人だった。
「‥‥……‥‥」
隣にいた燈は怖がって固まってしまった。ここは俺が頑張るしかない!
「ご、ご注文は何にしましょう?」
「コーンでアイスは…‥‥‥五段できるか?」
「!?」
アイスの段積み来たー!!しかも五段!!
これはかなりのプレッシャー!!
「え、ええ、できます…‥‥‥」
「じゃあ、これとこれとこれと‥‥‥‥」
男の人はできると聞いてアイスを選び注文していく。
もし断ったら俺東京湾に沈められるからね。
「かしこまりました…‥‥‥では、すぐにご用意いたしますね」
俺はディッシャーを持ち震える手を抑えながらアイスをすくった。
「まず一段…‥‥‥」
一段目は余裕で置けた。
「二段目‥‥‥‥」
二段目も無事に置けた…‥‥
「三段‥‥‥四段‥‥‥‥」
なんとか四段目まで置けた。問題は五段目だ…‥‥‥ここまでくると崩れやすくなるからな‥‥‥‥
「焦るな焦るな焦るな焦るな焦るな…‥‥‥」
息をのむこの瞬間‥‥‥‥まるで爆弾処理をしている刑事のような気分だぜ。
「……‥‥ふぅ」
五段目も無事に置けたぜ!よっしゃあ!!
「お、お待たせしました‥‥‥‥」
「おう、ありがとな」
おっかない顔の男の人は五段アイスを受け取りお代を払って去っていった。
「はぁ~緊張した~」
「ゆーくん、お疲れ様…‥‥‥」
「おう」
それにしてもあんなおっかない人が五段アイス食べるのか~なんか可愛いな~
「あっ」
「どうした、燈」
「さっきの人が‥‥‥‥」
「んっ?」
燈の指指した方を見るとさっきのおっかない人が小さい女の子に五段アイスを渡している様子が見えた。
女の子の隣には何度も頭を下げている母親らしき女性が立っていて男の人のズボンはべちゃべちゃに濡れているのが見えた。
「あ~なるほどね~」
「?どういうこと?」
「つまりな‥‥‥‥」
アイスを持った女の子があの男の人とぶつかりアイスがめちゃくちゃになってしまい泣きそうになって男の人が代わりのアイスを買ってきてあげたってわけなのだ。
「見かけによらずいい人じゃねぇか」
人を見た目ではんだんしちゃだめだね。
「ふぅ…‥‥‥少し落ち着いたな‥‥‥」
「う、うん…‥‥」
お客さんがいっぱい来て対応が大変だった…‥‥‥
「俺ちょっとトイレ行って来るわ」
「うん」
ゆーくんはトイレに行きお店には私一人だけになった。
「今なら一人でもできるかも…‥‥‥」
接客はゆーくんばかりやってもらったから少しの間だけなら私にもできそう‥‥‥‥
「ねぇ」
「あっ‥‥‥‥」
声が聞こえてきた‥‥‥‥お客さんだ。
「い、いらっしゃいませ‥‥‥‥!」
来たお客さんは私と同い年くらいの女の子でベージュの髪で頭には黒いリボン、紫の瞳で黒を基調としたワンピースと大きな白い襟とフリルを着た子だった。
「えっと‥‥‥ご注文は…‥‥?」
「これとこれ。二段で」
女の子はストロベリーとチョコを二段で頼んできた。
二段は初めてするけど頑張ってみよう‥‥‥‥!
「かしこまりました…‥‥!少々お待ちください‥‥…!」
私はディッシャーを持ってアイスをすくった。
「んしょ‥‥‥」
チョコアイスをのせて次はストロベリーアイスをすくいのせる。
「そっとそっと…‥‥」
慎重にアイスをのせる。
「‥‥…‥‥」
女の子もじっと見守っている…‥‥‥緊張する‥‥‥‥
「んしょ…‥‥‥」
アイスをのせることに成功した。
「お、お待たせしました…‥‥‥!」
「ありがとう」
アイスを差し出しお金を受け取った。
やったよゆーくん、私にも全部できたよ。
「ま、またのご来店お待ちしております…‥‥!」
「うん、また来る」
女の子はアイスを舐めながら去ってしまった。それにしても不思議な雰囲気のある子だったな‥‥…‥‥
「はむはむ…‥‥」
燈が作ったアイスを食べている先ほどの少女。
「るるか~!」
「あっ」
そこに紫色の毛とイヤリングのようなものがついた猫のような妖精が飛んできた。
「マシュタン」
「もう~どこに行ってたのよ~?探してたのよ?」
「ごめん、アイス買いに行ってた」
「そうだったのね」
「それと……‥‥」
「それと?」
「マシュタンと声が似ている人と会った」
「えっ?」
少女、るるかの言葉に意味が分からず首を傾げる妖精ことマシュタン。
「また会えるといいな‥‥‥‥」
るるかはそう言ってアイスを舐めた。
数年ぶりにプリキュアを見ることにした。
アルカナ・シャドウいいよね‥‥…‥‥