一般人に「先生」は務めきれないと思ったのでキヴォトスの外でスローライフしようかと。 作:万能調味料ゴマ・アブラ
ども、ゴマアブラです。クソボケ先生×病み病み生徒によるドロドロイチャイチャをご期待の兄貴姉御の皆々様、大変お待たせ致しました。
こっから頑張って投稿ペース上げるからユルシテオニイサンオネエサン…
桐生キキョウは、目をつけた獲物を絶対に逃さない。
その貪欲さで、知識も、力も手にして、そして百鬼夜行の参謀という誇り高き立場を、頼れる百鬼夜行の仲間達を手にした。
そうして彼女は今までも、そしてこれからも、持てる全てを叩いてでも、自らの望むモノを手中に収めていくだろう。
桐生キキョウは、簡単に他者を信用しない。
人間というのはあまりに醜く、どれだけ人当たりの良い顔をしていても、裏でどんなことを考えているのか知れたモノではない。
誰であっても大なり小なり、自らの利益を求めて生きている物だ。
故に人というのは時として、残酷で醜悪な繋がりを作るのだ。
そして、そう考えていた方が、裏切られた時にダメージが少ない。
所詮人間など皆得手勝手に生きているんだと思えば、数ある人との関わり方の一つだったのだろうと納得できた。
しかし、世の中そんな人間ばかりでない事も理解している。
百鬼夜行の仲間達なんかはそうだ。
ユカリのあの表裏を全く感じさせない愚直な姿勢。
ナグサに向けるその憧れは、百鬼夜行という立場に対する誇りは、ウソと呼ぶにはあまりにも眩しすぎる。
レンゲの青春にかける思い。アレも並々ならぬモノだ。
学園生活もあっという間に過ぎてゆくもの。そんな彼女が最も大切にしてくれている”今”の中に、百鬼夜行の存在がある事には、心の底から嬉しく思ったものだ。
ナグサ先輩には、とても多くの物を背負わせてしまっていた。
訳もわからぬままアヤメ先輩の代わりなんてさせられて、どれだけの重圧に耐えてきていたのか。例の一件が終わった今になっても、その苦痛は計り知れる物ではない。
それでもこの場に戻ってきてくれた彼女は、アヤメ先輩とはまた違う、しかし確かな”強さ”を持っているのだろうと思えた。
そして、あの人。
いくら私が突き放しても、どんなに冷たい態度を取っても、決して諦めずに私に寄り添おうとしてくれた人。
「生徒」だからというだけで、無償とも言える愛を注いでくれる、”変な人”。
貴方は私が最も欲しかった物をくれた。
私がどこかで欲していた、私の全てを受け入れてくれる人。
貴方のためなら、私は文字通りなんでもできる。
そう、なんでもできるのだ。
それなのに…
ねぇ。
「そんな事、許さないよ。先生。」
「さて、ようやく見えてきたな」
キヴォトスを出て約二日、ようやく我が生まれ故郷の景色が見えてきた。
「見慣れた景色…とは言えなくなっちゃったなぁ」
俺が生活していた頃は、もっとのどかというか…何もなかったというか…。
「昔の友達とか、元気してるかなぁ」
当然と言えば当然だが、キヴォトスに来る以前の友達とは、全く連絡も取れていなかった。
キヴォトスにいる間は忙し過ぎて、他のことにかまけている余裕なんざ微塵もなかったし、銃声と爆発音が日常のキヴォトスに、ヘイローも持たない一般人をわざわざ呼び出すなんざ、正気の沙汰ではない。
なにより大切な生徒達を、一瞬たりとも放ったらかしてプライベートな連絡なんて、とてもじゃないが俺にはできそうにもなかった。
「みんな…今頃新しい先生の元で楽しく生活してるんだろうなぁ…」
あの日、キヴォトスを発つということは、結局リンちゃんをはじめとするごく一部の連邦生徒会所属の生徒達だけに絞った。
そうしないと自分の決心が鈍ってしまうと思ったからだ。
手塩にかけて育ててきた生徒だ。未練なんてあるに決まってる。
出て行く時に顔なんて見ちまったら、俺は先生として、大人としての威厳を維持出来るかわからない。
だから本当にごく僅かな、信頼できる子達だけに伝えて、俺はあの地を立った。
光を反射する眼鏡の隙間からリンちゃんの潤んだ瞳が見えた時は、もう大人とかどうとかすっ飛ばしてガチ泣きしそうになったけど、なんとか必死に耐えた。えらいぞ。俺。
考えてるうちに、懐かしき我が家が見えてきた。
暖かい風が頬を撫でる。
慣れ親しんだ家の筈なのに、いざ帰ってくるとなると少し擽ったい気分になる。
父さんと母さんは元気にしていただろうか。
あまりの忙しさに線香を上げに来ることも出来ていなかったから、ちょっと怒ってるだろうか。
帰って少しのんびりしたら、父さんと母さんにキヴォトスでやってきた事を土産話にたくさん聞かせてやろう。そしたら少しは詫びになるだろうしね。
「ただいまー」
返答はない。
でもふっと、微笑みが溢れた。
それは窓から差し込む優しい陽光を感じたからだろうか。
それとも慣れ親しんだ我が家に、童心に帰ったという事だろうか。
ギシギシと音を立てて廊下を進む。
年季の入った日本家屋な上、一応親戚が手入れしてくれていたとは言え、一年近く主がいなかったために少し傷んでしまったか。
後で業者に頼んで修繕の依頼でも出すか…?
それともキキョウとやったように自分で直してみるか。
懐かしいな。思えばあの頃からキキョウは心を開いてくれたんだったか。
ちょっと距離感が近いと思う事もあったが、非常に優秀でよく出来た子だった。
今頃新しい先生の元でその知略を存分に発揮してることだろう。
「…ははっ。わかってた事だけど、ちょっと寂しいな。」
今となっては、何故ただの一般人の俺がキヴォトス人の先生なんて大層な立場に立てていたのか、全くわからないが。
いざみんなが新しい人と笑っている姿を想像すると、なんだか辛くなってくる。
…ん?なんか寝取られた彼氏みたいだな。
いやいやいや、生徒達相手になんて事を考えてるんだ俺は。
家に帰ってきて、少し気が抜けたかな。
なんて1人悶々としながら自室に入る。
目を疑った。
そこには、窓枠に腰掛けながら俺が昔集めていた小説を読んでいる、黒く鋭い目をした女の子がいた。
「やっと来たね。先生。」
俺はそこに立ち尽くす事しかできなかった。
「相変わらず、間抜けな顔。」
あの時と変わらない、透き通った美しい声。
しかしその瞳は、以前に増して黒く、そして鋭く見えた。
「キ、キョウ…?」
「そうだよ。アンタとたくさんの時間を分かち合った、百鬼夜行の作戦参謀。」
あまりの事に、動く事もできない。そして、その深く暗い瞳からも、どうしても目を逸らすことができなかった。
「ふふっ、アンタも可愛いところあるんだね。震えちゃってるの?」
言われて気づいた。大人としてあるまじき姿であることはわかっているのに、どうしても止めることができなかった。
「無理しなくていいんだよ。もうアンタは”先生”じゃないんだから。だからありのままのアンタでいいんだよ。」
彼女は手に持った本を閉じ、歩み寄ってくる。
ギシ…ギシ…
じっくりと、確実に。
その距離を詰めてくる。
本能が警鐘を鳴らしている。
今すぐこの場から逃げろと脳がフル稼働して告げている。
しかして体は微塵も動かず。
それはまるで、肉食獣に睨まれた獲物のように。
「ねぇ、先生?私、先生がキヴォトスを出る事、知ってたんだ。」
「えっ…?」
「少し前の当番の時にね。盗み見るつもりはなかったんだけど、先生のパソコン、付けっぱなしだったから。」
ついに彼女は”彼”の目の前に立った。
そして二つに分かれた尻尾を、”彼”の腕に絡ませてゆく。
「その時、先生が外に出たあとのことを沢山想像してしまった。」
言いながら彼女の手は、”彼”の胸を這っていく。
「私の隣にアンタ以外の誰かがいて…アンタは私が知らない何処かで悠々自適に暮らしてる…そんな世界。」
彼女のその足も、ゆっくりと”彼”の足に絡み合う。
「本当に、反吐が出た。」
彼が見たその目は、その顔は、今まで見てきたどんな時よりも歪に歪んでいた。
「アンタは私の半身なのに、その半身がなんの断りもなく遠くで暮らす?そして私の事は他の誰とも知れない奴に放り投げておしまい?」
「そんなこと、許されると本気で思ってるの?」
次の瞬間、彼は物凄い力でベッドに押し倒された。
陽の光は陰り、鈍色の雲が空を包み始める。
「キキョウ…っ!だめだよこんな…っ!」
なんとか絞り出した声は、その唇を塞がれてすぐにかき消されてしまった。
「んっ…んちゅっ…ぷぁっ…ふふっ」
「ねぇ、私言ったよね。桐生キキョウは、せっかくのチャンスを棒に振る真似はしないって。」
ギシッ…と、ベッドが大きく音を立てた。
「絶対に逃がしてあげない。だってアンタは、私の…」
その日は予報にない大雨に見舞われ、それ以降陽光が差し込むことは無かった。
その雨は、翌日の朝まで続いたという。
はぁぁぁぁ…キキョウ可愛いよキキョウ…
えー、前書きにも書きましたがめっちゃビビりました。なんで皆こんな駄文に期待を…?
皆様のご期待に添えたかは分かりませんがお納めください…そして出来れば暖かい感想ください…。期待外れとかいわないで…。
えー、キキョウちゃんかわいいよね。しっとりキャッツが性癖なオニイサン、とってもとってもしゅきしゅきしちゃったよ。
キャラ理解度が個人的に高かったから書きやすくて助かった…
てか他の作家先生の皆々様、キャラ理解度あまりにも高すぎやしませんかね。
その理解度の1割でいいから分けてくんねぇかな…。