一般人に「先生」は務めきれないと思ったのでキヴォトスの外でスローライフしようかと。   作:万能調味料ゴマ・アブラ

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投稿ペース上げたいとは言ったが、どれほど上げるとは言ってない。


この度もお待たせ致しまして本当に申し訳ありませんでしたァッ…


”野良猫”

「ホント、あの子怖い顔してるよねぇ」

 

「あーゆー子って裏で何してんのか分かったもんじゃないよね」

 

「よく夜中に路地裏とかで見かけるらしいよ」

 

「そんなとこでなにしてんだろーね、あんな怖ーい顔で」

 

「お巡りさんにつかまってるのも見たことあるわ」

 

「マジで関わり合いにはなりたくないね」

 

 

 

 

 

 

幾度聞いたかも分からない

 

何回うんざりさせられたか、もはや数えるのも億劫になる程

 

誰も彼もが皆、遠巻きに。

 

心底気持ち悪いと言った目で。

 

 

 

 

 

 

 

 

猫は本当に可愛い。

 

自分の気持ちにいつも正直に、気の赴くまま生きている。

 

向こうから近づいてきた時に構ってやれば、可愛い顔を見せてくれる。

 

その行為に裏も表もないし、機嫌をとるのも理解さえあればそう難しいこともない。

 

そして、その目には恐怖も嫌悪もない。

 

目を合わせても逸らされることも、淀んだ色をした瞳を向けられることもない。

 

そこには青空に浮かび、風に身を任せる雲のような、何処までも自由な光が宿っているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

音楽が好きだ。

 

煩わしい音から耳を塞いでくれるから。

 

リズムに乗っていれば、歌詞に心を馳せていれば、

 

醜い現世に意識を向けなくて済むから。

 

そうして立てた音の壁は、なにか自分を解き放ってくれているような気がして。

 

閉じた瞼は望む光だけを通すようになり。

 

そして同時に、周りとの隔絶をより堅牢にした。

 

それでいいと思っていた。

 

ひとりであれば傷つくこともないし。

 

煩わしい人付き合いともおさらば出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし今はもう、そんな頃には戻れないだろう。

 

もう、人の暖かさを知ってしまったから。

 

 

 

もう、戻れないのだ。

 

 

 

 

 

独りには。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっ!?ムツキ!?何この契約内容、これ全部私たちだけでやるの!?」

 

「くふふっ!アルちゃんやっと気づいたの?でも久々にパーッと暴れられそうで、とってもアウトローっぽくない?」

 

「あ、あのっ…!じゃあたくさん爆弾仕掛けて来ますね…!」

 

「ハルカ!?ちょっ!それ安易に持ち歩いちゃダメ…っ!」

 

 

 

ウチの事務所は今日も平和だ。

 

…いや、平和とはちょっと違うか。

 

ともかく、何とか日常を取り戻せた。

 

 

 

 

 

あの日、先生がキヴォトスを去ったと連邦生徒会から周知された時。

 

キヴォトスは一変した。

 

それは正しく地獄の沙汰と言ってもいい。

 

鳴り止まぬ慟哭、止まらぬ暴動。

 

遂には連邦生徒会に直接武力行使で先生の居場所を聞き出そうと徒党を組んで襲撃なんて事も起こった程だった。

 

挙句には三大校も含めほぼ全ての学区は実質的に機能停止。

 

それにより治安が悪化し、更なる2次、3次被害まで。

 

たった1人が居なくなっただけでこの有様と言われればそれまでだが、このキヴォトスにおける”先生”の影響力が如何程のものであったかを、何よりも強く示した結果となった。

 

 

結果として連邦生徒会は”先生”の代理者を立て、前任の先生の意思によるものと説明し、なんとか受け入れさせた。

 

釈然としない様子の子達は多かったが、”先生”の意思とまで言われてしまっては、納得せざるを得なかったのだろう。

 

その後は思いのほか大きな騒動もなく、自体は終息していった。

 

これには、三大校の首脳陣が事態の鎮圧に強く尽力していた事が大きかったと言える。

 

私達便利屋68も、様々な形で事態鎮圧に尽力することとなった。

 

その甲斐あって新しい先生とも良好な関係を築けているし、当時の活躍から大小様々な依頼が舞い込むようになって、以前よりも安定した暮らしが出来つつある。

 

それから、街中で腫れ物に触る様な態度を取られることもだんだん減って言ったような気もする。

 

なんなら賞賛の声も増えた。

 

ほんと、掌を返すかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

でもそういう時、1番隣にいて欲しかったのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん?カヨコ?どうしたの、ぼーっとして」

 

「…いや?今日もいつも通り騒がしくしてるなって」

 

「そう思うなら一緒にハルカを止めてくれるかしら!?」

 

「大丈夫、その依頼ならもう先方に話つけて幾分か条件を軽くして貰ったし、ハルカの持ってる爆弾もすり替えておいたから、そこまで威力あるやつじゃないはずだよ」

 

「そ、そう…?ならよかった…やっぱり頼りになるわね、カヨコ課長?」

 

「…やっぱりもう少し大きな会社にしてから肩書きを加えるべきだとは思うけどね」

 

「うっ…これから必要に応じて増やしていくつもりではあるんだけどね!?」

 

「分かってる。なんだかんだでこの人数でやってる時が楽しいから、人員増やすの渋ってるんでしょ?」

 

「…やっぱりカヨコに隠し事はできないわね」

 

「まぁ、これに関しては私もこの人数がいいと思ってるしね」

 

「ふふっ。分かってはいたけど、カヨコも楽しそうにしてくれて良かったわ」

 

「っ…。」

 

少し顔を逸らす。

 

普段は少し抜けたところのある社長だが、こういう所では持ち前のカリスマ性を発揮出来る、所謂やる時はやる女ってやつだ。

 

上に立つ人間としても、友達としても本当によく出来た人だと思う。

 

最近は少し忙しくてあまり時間が取れていないが、どこかでみんなも連れて遊びに行きたいな。

 

こんな事が思えるようになったのも、アルのおかげだ。

 

「…ありがとね」

 

「ん?なにがかしら?」

 

「いいや、なんでもない」

 

「…ふふっ、そう?」

 

…なんだか含みのある笑みだったな。

見透かされたようで、少し悔しい。

 

 

 

 

「…今頃先生は、何をしてるのかしらね」

 

「…ん?きっとまたシャーレで仕事に追われてるんじゃない?」

 

「…違うわ。あっちの”先生”の事よ」

 

「あぁ…」

 

 

 

 

 

 

分かってはいる。

 

みんなそうだろう。

 

心のどこかでみんな思ってる事だろう。

 

 

 

”先生”は、あの人しかいないのだ。

 

 

もちろん今の先生もとても良い人だ。

 

どんな生徒にも分け隔てなく優しく接してくれるし、”先生”のように抜けてたり、少し変な行動に出たりもしないし。

 

とても真面目で、私達の事を第一に考えてくれている。

 

 

しかし、”違う”

 

あの時も。

 

あの時も。

 

あの時も。

 

 

あの人なら。

 

あの人なら。

 

あのひとなら。

 

 

 

 

そんな私達の”ズレ”は、日が経つほどに大きくなっていった。

 

顔には出ていないが、ムツキも、ハルカも。

 

それにアルだって。

 

いつも”先生”と関わる度に、どうしても”あの人”が脳裏を過ってしまうのだ。

 

そうして生まれた”ヒビ”は、いつしか修繕も効かない程に大きくなっていく。

 

今のキヴォトスの平和は、その”ヒビ”をなんとか抑えて成り立っている。

 

言わば薄氷の上に建てた城のようなものだ。

 

 

 

 

 

 

それだけ貴方は大きな人だったんだよ。先生。

 

 

 

 

 

 

「…きっと、ここを離れてゆっくり出来てると思うよ」

 

「…だといいわね」

 

 

 

一瞬の間。

 

 

変わらぬ喧騒。

 

暖かい陽の光。

 

しかしそこに吹いた風は、暖かくなってきたこの頃には似つかわしくないほど、冷たいものだった。

 

 

 

「さて、今日も依頼が立て込んでるわ」

 

「…そうだね。そろそろ行こうか。」

 

「アルちゃーん?カヨコちゃーん?まだ行かないのー?」

 

「あ、あの、早く行って爆弾設置しないと…」

 

「はーい、今行くわよ!」

 

「ごめんね、ちょっと遅くなった」

 

「もー、ほんとだよ。ムツキちゃん待ちくたびれちゃった!」

 

「今日もアル様をしっかりとお守りします…っ!」

 

「い、いや…ほどほどでね?ほどほどでいいからね?」

 

「はぁ…」

 

そうして彼女達は今日も動き出す

 

 

仄暗い想いを箪笥の奥深くに押し込みながら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「や、やっと終わった…」

 

「結局最後は爆発オチとか…」

 

「いいじゃん、楽しかったからさ!」

 

「いやせっかくの依頼料もまた今回の爆発の諸費で諸共吹っ飛んじゃったんだからね!?」

 

「す、すみませんすみませんやっぱり死んでお詫びしたほうがいいでひょうかそうですよねあろうことかまたアル様にご迷惑を本当に」

 

「はぁ…」

 

 

 

 

いつも通りの日常。

 

きっとまた明日もこんな感じの日常が待っている。

 

そう。

 

明日もきっと。

 

 

 

 

すると彼女らの元に、1匹の黒猫が歩み寄ってきた

 

「…あれ?野良猫だ」

 

「わーほんとだ!真っ黒で可愛い〜!」

 

「本当ね。ちょっと撫でて…いたっ!?」

 

「ッ!?アル様に対してなんてことを…!死んでください死んでください死んでく「あーっ!?待って待ってそこまでしなくていいから!?爪も立てられてないから!?」

 

 

 

その黒猫はその後彼女らを一瞥し、悠然と姿を消していった。

 

「いてて…本当になにがしたかったのかしら…。気まぐれなものよね」

 

「…猫ってのはそういうもんだからね。今回はそういう気分だったってだけで」

 

「そういうものかしら…」

 

そういいながら、ネコパンチを食らった手を摩るアル。

 

「…さて、私も今日はそろそろ帰るよ」

 

「あら、今日も早いのね」

 

「カヨコちゃん、最近帰るの早いけどもしかして彼氏でも出来たの〜?」

 

「そんなんじゃないよ。ただ…」

 

少しだけ、目を細める。

 

 

 

 

 

 

「”野良猫”に会いに行ってるだけだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電車に乗る。

 

傾いた陽が、閑散とした車内に焼け付くような光を差し込ませる。

 

 

 

 

そうして目的地に辿り着いた頃には、陽は完全に落ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

「…おかえり」

 

「…ふふっ。」

 

「…なんか面白い事あったの?」

 

「いいや?ただ」

 

 

 

 

 

 

 

 

幸せだなって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしてここに…」

 

「ふふっ。貴方がキヴォトスから去ろうとしてたこと、知ってたからね」

 

 

 

「知ってたら、対策を立てる時間も沢山あったし」

 

 

「貴方の家も調べられたんだ」

 

 

「ねぇ、”先生”?」

 

 

「私って欲張りなんだ」

 

 

「便利屋のみんなの事も手放したくないし」

 

 

「先生の事も手放すなんて考えられない」

 

 

「だからね、先生」

 

 

 

 

 

 

「大人しく私のモノになって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ、カヨコ」

 

「うん。先生」

 

「…やっぱり、今日もまた…」

 

「うん。今日もたくさん頑張ったからね」

 

 

 

「”ご褒美”もらうね」

 

 

 

夜は深けていく




なんか今回は微妙だった気がするなぁ
ワイの拙すぎる文才ではこの子の色気を上手くまとめられんかった…

改めまして、皆様お久しぶりです。万能調味料と申すものです。
この度もお待たせ致しまして誠にry

前回はアンケを感想でって形を取ろうとしたのですが優しき読者の方から規約違反だよーって教えていただいたので今回は投票って形にいたします
重ねて申し訳ありませんでした…

さて、今回はカヨコです。
推しです。ドレスが可愛すぎて抑えきれませんでした許して。

もちろんアンケの結果でもちょいちょい見かけたってのもあるけど、推しの供給なんてされちゃ…その…ね?

カヨコはなんか、個人的にめっちゃガッツリ病むってイメージでは無くて、でもなんか、重めの感情も持ち合わせて欲しかったっていう…
ぶっちゃけ後半ただの願望で草草草の草

だから今回は事後というか、ある程度結婚から時間の経った夫婦みたいな感じが出したかった。うん。

カヨコって欲しいものはガツンと行くというかは強かにゆっくりじっくりってイメージだったからこういう感じになりました。伝わってくれたら嬉しい限り。

あと何人かプロットは組んであるんで、次回はもっと早く出せると思います…。

もし宜しければ次回もゆっくり待っててやってください。

次に見たいキャラは?

  • ミカ
  • イロハ
  • ミヤコ
  • 上記以外
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