ホワイトルームを否定?めんどくさいのでやりません。   作:ルフホワハ

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#6 無人島試験①

 

豪華客船スペランザ。

一流のレストランから大型プールまで取り揃えられているこの船で、高度育成高等学校1年の生徒たちはクルージングを楽しんでいる。

 

学校も随分太っ腹だ。

こんな船、普通に生きていたらまず乗ることはできないだろう。

どうにも裏を勘ぐってしまうが普通に楽しむことにした。

 

 

 

「暇だ……。」

 

映画館や演劇、プールなどを一通り楽しんだ俺は今、自室で待機している。

 

『まもなく島が見えてきます。是非船上デッキにお集まりください。』

 

……普通のアナウンスじゃなさそうだ。

俺は直ぐ長谷部に電話をかけ、デッキに来るよう伝えた。

 

 

 

「きよぽんがわざわざ呼んだって事は、さっきのアナウンスには何か意味があるんだよね?」

「恐らくだが、この島で何か試験が行われるんじゃないかと思う。それの下見的な意味での巡回だ。」

「うわあ……やりたくないなあ。」

 

合流した俺たちは島の景色をしっかりと観察しているが、他の生徒で景色を気にしているようなやつは見当たらない。

この間にも、船はぐんぐん島へと近づいていく。

 

「……どうやら島に降りるみたいだな。今の観察で分かった島の大体の形だったりは覚えておくといい。多分役に立つぞ。」

「おっけー。」

 

船を降りると、Aクラスの担任である真嶋から特別試験開催の旨が伝えられた。

ルールとしては

・各クラスで1週間を無人島で過ごす。

・最初に300ポイントが配布され、物資の調達が行える。

・試験最終日まで余ったポイントはクラスポイントに加算。

・毎日2回の点呼がある

(不在者1人につきマイナス5ポイントの罰則)

こんなところか。

 

これを見るにクラスの団結を促すテストと見て間違いなさそうだな。

 

だがまだ話には続きがあった。

 

リーダーの設定と占有のシステムについてだ。

占有については島の至る所にある『スポット』を各クラスで設定したリーダーがカードキーを端末にかざすことでその場所を使う権利を得ることが出来るらしい。

一回ごとに1ポイントが加算、占有は8時間で終了するので以後更新が必要。

 

また、試験の終わりには各クラスのリーダーを当てる機会があるらしく、正解したクラスは50クラスポイント、当てられてしまったクラスはマイナス50のクラスポイント変動。

更に当てられてしまったクラスがスポットの占有で得たポイントも0になるということだ。

もちろん外した場合のペナルティもあり、確信を持てない限り使うべきではないだろう。

 

 

本来なら以上のルールを踏まえた上で迅速な話し合いが求められる。

だがうちのクラスは既に揉めているみたいだ。

 

「なあ長谷部、あれ何で揉めてるんだ?」

「なんかトイレを購入するしないで揉めてるみたいだよ?まあ私としても、トイレは欲しいなーって思うけどね。」

 

男子はまだしも、女子は確かに欲しがるだろう。

女子に食い下がってるのは池や幸村か。

こんな所で時間を食ってる場合じゃないだろ…と言いたいが俺が直接言った所で効果は無い、平田を通す方が無難だ。

 

「平田ちょっといいか。俺が言うのもなんだが、トイレの購入云々でずっと揉めるのは時間の無駄だ。先にリーダーを決めた方がいいんじゃないか?」

「確かにそうだね…。ちょっとみんな!1回静かにしてくれないかな!」

 

平田の一声でクラスは静まる。

やっぱりこいつ、堀北よりリーダー適正高いよな。

 

「ポイントの使い道云々について話すのも大事だけど、スポットの占有についても話を進めなくちゃいけない。スポットの占有に動くリーダーを先に決めた方がいいんじゃないかと思うんだ。」

 

「リーダーならやっぱり責任感あるやつに任せたいよなー。それこそ平田とかじゃダメなのか?」

池からそんな質問が飛んでくる。

 

「僕でもいいんだけど……当てられやすいと思うんだよね。他クラスに予想されづらい人の方が良いんじゃないかな。」

 

平田のは真っ当な意見だ。Dクラスの中心的人物、平田や櫛田に任せると占有自体はスムーズに行えるかもしれないが当てられるリスクは高い。

 

「なあ平田。俺じゃだめか?そこそこ動ける自信はある。責任云々に関しては信じてもらうしかないが…。」

 

「ありがとう綾小路くん。他に立候補したい人が居なければこのまま綾小路くんにリーダーをやってもらおうかな。」

 

その後も誰かが立候補する気配もなく、反対するものもいなかったためそのまま俺がリーダーになった。

少々出遅れた分、急いで取り返すぞ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

〜ベースキャンプ~

 

「占有できたのはここを含めて9箇所だ。他クラスのやつが近くまで来ていそうなスポットは全て避けてきたから、バレてる心配も恐らくない。」

「9箇所も……すごいね綾小路くん。本当に助かったよ。」

 

あの後、そこそこのスピードで占有に走ったが取れたのは8箇所。

だがポイントの使い道云々の争いが終わるまで待っていたら取れたスポットはもっと少なかっただろう。

ちなみに道中でAクラスのリーダーが弥彦という男だということも分かった。

 

「それで話し合いの方はどうなったんだ?」

「長谷部さんや櫛田さんの説得もあってトイレは購入することになったよ。ひとまず争い事はなくなったかな。」

 

やるじゃないか長谷部。

これで少しは女子の中での発言力が上がるだろう。

 

Dクラス全体としては水の問題、食料調達問題などもあったようだがなんとか丸く納まっている。出だしは順調か。

それに何より…、

「珍しいな堀北。お前はそんなに協調性のあるタイプだったか?」

 

堀北が率先的にテント設営をしている。以前のあいつからは考えられないな。

 

「……私は今必要あると思ったことをやるだけよ。」

 

どうやらこの前の件が随分と効いたようだ。

堀北という生徒自体の能力は高い。あそこで折れるようなやつじゃなくて助かった。

 

「きよぽーん、ちょっとこっち来て〜。」

「すぐ行く。」

 

もっと色々追求してやろうかと思ったら長谷部に呼ばれてしまった。無念。

 

「……あれで良かったの?クラスで揉め事が起きたら必ず止めに入るか女子側に加勢に入るかしろって言われたからやったんだけど…。」

「あれでいいんだ。俺が言えたことでもないが、クラスでの発言力というのは成長する上で必要不可欠になっていくからな。」

「ならきよぽんも発言力持った方がいいんじゃない?」

 

「その通りすぎて心に刺さるな……。」

確かに、教える側の俺が発言力ないというのは如何なものなんだろうか。

ある程度打ち解けて話せるのも平田、長谷部ぐらいだ。

 

「ごめんごめん、でもせっかく高い能力持ってるのに生かさないのもったいないなーって思ってさ。」

「もう少しクラスのやつと喋るよう努力する。俺もお前に相応しくありたいからな。」

「んなっ!……また恥ずかしい事言ってる…。」

 

そんな事を言った覚えはないんだが。

 

「あ、波留加ちゃんちょっといい?…って思ったけど邪魔しちゃったかな?」

「いやいや!全然大丈夫!すぐそっち行くね!!」

「……もう人に頼られてるのか。凄いな。」

「そんな事ないよ。これもきよぽんのおかげだし……。じゃあ私、あっち手伝ってくるね。」

 

クラスメイトがいる方へと向かっていく長谷部の背中を見て俺はある1つのことを思い出した。

 

 

 

「今のところ、あいつとしかまともに遊んだことないな。」

 

 

 

『学生生活を楽しみ、満足のいく結果で卒業する』

という俺のモットーであり目標は、恐らくこれだけでは完遂できない。

そろそろ友人関係の構築にも本腰を入れる必要がありそうだ。

 

よし、手始めにそこにいる池と山内にでも話しかけてみるか。

 

 

「なあ、なんか手伝うことあれば「なんだよ!モテノ小路には用ないぞ!!」

 

「スポットの占有までちゃちゃっとこなして人気者になるなんてズルいぞお前!!」

 

 

 

ああ、どうかこいつらに天罰が下りますように。

 

 

 

 

 

 

 




補足
・水や食料の事で起きた揉め事は丸く収まっている、とありますがこれは長谷部に加え平田が大きく活躍してます。
・綾小路は本当に無意識にキザなセリフ吐いてます。映画の影響なのかな。
・「クラスの人気者になりやがって!」というセリフ。
そんな描写なくね?と思われるかもしれないですが次回辺りでしっかり書こうかなと。
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