生徒の好意を、どうするべきか   作:グラビトン

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初めまして、今作が初投稿となります、グラビトンです。

昔から二次創作やヤンデレ物等を漁るのが好きなオタク野郎です、前々から自分も作って見たいなーと思い、投稿に踏み切りました。

それで最初はポケモンSVのタロちゃんです。
何故最初がそれかと言うと、何処にもタロのヤンデレがないからです。


さて、どうするべきか

───イッシュ地方の近海には、一つの人工島が浮かんでいる。

それはブルーベリー学園、パルデア地方のグレープアカデミーの姉妹校にあたり、割と近年に設立された新進気鋭の学術機関である。

 

島の近未来的な設備は序の口、なんと校舎の大部分は海の中にあるというとんでもっぷり……そしてこれだけでもなく、そこには荒野、南国、岩山、氷河の4つのエリアで構成された広大な海中庭園《テラリウムドーム》が最大の特徴だ。

 

そこには豊富な種類のポケモンが生息するのは勿論の事、更にはイッシュ地方以外のポケモンやリージョンフォームも存在する、本当になんでもありだ。

それ以外にも色々とあるのだが、今回は割愛しよう。

 

学園の話に戻そう、ここの校風としてポケモンバトルの教育に力を入れてあり、その中でリーグも行われる徹底ぶり。

 

色々ツッコミ所満載だが、未来のトレーナー達を排出するのに適した場所と言えよう。

 

………そんな場所で、俺は教師として働いているわけだ。

生徒も同じ教師達も個性豊かな人ばかりではあるが、ここでの仕事には充実を感じている。

 

 

ある1つの問題を、感じている事以外は……だが。

 

 

これは、そんな問題を抱えた俺の……ちょっとした悩み話だ。

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

「……で、だ。おさらいも兼ねて言うが、ポケモンには同じ種類でもそれぞれ差ってものがある、性格、個体値、果てはフォーム……例えばピカチュウ、こいつの得意とする電気技でも、それぞれ性格や能力が違えば威力も歴然と差が出ちまう」

 

液晶黒板に浮かぶピカチュウが技を繰り出して現れる数字の値を指し示しながら、机に座る生徒達に教える。

とりあえず聞いている事を確認し、再び話し始める。

 

「威力の高い10万ボルトを出したピカチュウの場合は、性格がひかえめだったからだ、対して同じ技を出したピカチュウはいじっぱり……同じ技でも見た通り違うだろ?でもこいつは物理技のボルテッカーを繰り出せば……ご覧の通りだ」

 

いじっぱりな性格のピカチュウがボルテッカーを繰り出した映像を見せる、元々威力の高い技とはいえ、その値は高い数値を叩き出している。

 

「電気タイプのピカチュウが、同じ電気の技、そして性格、更にここへ個体値や道具……これだけでこの映像のピカチュウ達は同じようでまるで違う、それぞれ別の個体達は得意分野を担っているからな」

 

また映像を切り替える、先程の様な攻撃に特化した構成ではなく、麻痺特化、速度重視、それぞれ違うタイプのピカチュウ達を見せる。

 

「こいつの進化先であるライチュウの方が技の威力は上がる、だが小回りに関してはピカチュウが上だ、防御面もしんかのきせきっていう道具を持たせれば安心が持てる、そこもトレーナーの育て方と采配しだいってことだ……でも、幾ら強いポケモンを育てたいからと言って、闇雲に育ててダメなら捨てる……なんて真似はするな、一度手塩に掛けたのなら、最後まで責任は持つもんだ」

 

生徒達を一瞥しながら少し口調に力を込めて話す、近頃そういう野生ポケモンが増えている、一度人の手で育てられて、その後捨てられて裏切られるという、トレーナーの風上にも置けない奴らがそうするのだ、残念な事に。

 

でもせめて、ここにいる生徒達にはそんな事をして欲しくない、そんな願いを込めながら話す。

些か脱線している気もするが、話を続ける。

 

「ポケモントレーナーに大事なのは、知識よりもとにかくポケモンに対する愛情ってものが何より必要だ、どんなポケモンであれ愛着さえ持てれば最後まで育てて、共に生きられるからな」

 

「先生ー、もしそのポケモンに最初から嫌われてもー?」

 

「そうだ、そんな時でさえ根気強く粘って、そのポケモンを肯定して接し続けるんだよ、俺のパートナーだってそんなんだったかな」

 

生徒の質問に答えながら、脳裏には昔のゾロアを思い浮かべる。

今でもあの不信っぷりは凄まじかったな……今では信頼を置いてくれてるが。

 

「まぁ俺が言いたいのは、今言ったことは確かに徹底すべき事だけど、強さだけを求めすぎるなって事だ、悪い例……いやこれはなし」

 

「え?どうしたんですか先生?」

 

「いや何でも……おっと、とりあえず今日はこれで終わりだ、今言った事は皆覚えておけよ」

 

「「「はーい」」」

 

一瞬以前のスグリを例に上げてしまう所だったが、運良くチャイムが鳴ってくれたおかげで有耶無耶になり、生徒達は立ち上がってそれぞれその後の昼休みに向けて動く。

 

危ない危ない……確かにあの時のスグリはかなりやばかったが、今此処で悪い例に例えてしまえば、休学後に帰ってきた後が更に気まずくなる……いや、少し手遅れかもしれないが。

 

「ふぅ……んじゃ、俺も何か食うかな……」

 

資料を片付けながらこの後の休憩時間に何を食べるか思考する。

仕事はホームルーム後でやればいい。

……食堂で学園ピザでも頼もうか、アホみたいにデカいけど美味いんだよなぁアレ。

それか、アカマツに作ってもらうか、彼の料理は毎度辛いけどやみつきになる、そしてめちゃくちゃ美味い。

悩ましい所だ……んん。

 

「……まぁ、行って決めるか」

 

俺以外居なくなった教室で一人呟きながら、食堂へ向かうため扉を開けようとしたその時、俺がそこに手を掛ける前に開いた。

 

半ば無意識の状態で開けようとした為、その事に気づくのに少しだけ間が生まれ、そして今やっと気づいた。

 

 

「……フルヤ先生、ひょっとしてお疲れ様ですか?」

 

「……ん?」

 

 

聞き覚えのありすぎる声が耳に入り、顔を下に下げる。

毛先を切りそろえた菖蒲色のミディアムヘアー、頭の両側に付けてある菱形のヘアピン、太眉に垂れ目の穏やかそうな印象を与える顔立ち。

 

白のブラウスに赤色のネクタイ、その上には藤色のニットカーディガン。

下半身は紺色のジャージで、その性格の割にはラフな制服姿。

 

その両手には大きめの箱を抱えて、俺の顔を覗くように見つめてくる彼女の名は……タロ。

このブルーベリー学園の生徒であり、四天王の1人に数えられている屈指の実力者……そしてアイドル的存在でもある。

 

……あー、ココ最近昼飯に誘われてなかったから油断してしまった。

手に抱えてるコレは何だろうか、まさかお弁当なのか。

 

「お疲れ様です先生、じゃあ一緒にお昼ご飯食べましょう?」

 

にっこりと笑みを浮かべ、さも当たり前かのように俺を昼飯に連れ出そうとしている。

いや、生徒と一緒に食べるのは何ら問題は無いのだが……タロの場合は………。

 

「今日サンドイッチ作ってきたんです、初めてだったけど可愛く美味しく出来ました」

 

自信満々にその手に抱えた箱を見せる、中身はサンドイッチとの事だが問題はそこじゃない。

わざわざ俺と食べる為に作ってきた、手作りだ。

こっちが既に弁当を持っていれば言い訳もつくだろうが、生憎持っていない、というか教師をやって弁当なんて一度も持ってきたことがない。

 

それ以前に、手作りしてきたにも関わらず断るというのは……さすがに無い、選択肢は一つだけだった。

 

「………おう」

 

観念して誘いに乗る、タロは満面の笑みを浮かべた。

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

「今日のドーム内の天気は晴れ模様ですねー、お昼寝にピッタリ」

 

「だな……カキツバタが何処かで寝てるんじゃないか」

 

「違いないですねー……って、こんな時まであの人を思い出させるのは良くないと思いますっ」

 

「悪い悪い」

 

俺とタロはテラリウムドームの南国エリア、海がよく見えるヤシの木の下で座っている。

このロケーションの心地良さは、この場所が人工島の地下深く……そして海底の中だということを忘れてしまう。

 

そして隣のタロはカキツバタの話題を挙げられて、何故か不満げだ。

……まぁ性格的に相容れないが、互いをそこまで嫌っては無い……筈だ。

 

「それより、いきなり弁当なんてどうしたんだ?お前料理したっけか」

 

「ちょっぴりですけどね、サンドイッチは比較的簡単に出来ますし、度々アカマツ君にも教えて貰ってますから」

 

アカマツに教えて貰ったなら味は大丈夫だと思うが……なんだか、色々彼に申し訳ない気持ちが……。

 

「さ、食べてください。味は先生好みのものになってますから」

 

タロがその箱を開けると、綺麗に具材を挟んだサンドイッチがずらりと並べられていた。

確かに美味そうだ、具材には俺の好きなチョリソーも入っている。

 

「おお、アカマツは教え方上手いな」

 

「……先生?」

 

「悪い、タロも上手に出来たな」

 

わざとこれを作ったタロではなく教えたアカマツを褒めると、あからさまに不機嫌な様子になったので即座にタロを褒める。

 

「素直にそう言ってください、お兄……先生の意地悪」

 

むすっと頬を膨らませて睨みつけられるが、可愛いの一言に尽きる。

この子は可愛いが信条だ、多少あざとさも兼ねている……そのおかげで人気もあるわけだが。

 

さて、前置きも長くなった事だし食べよう。

手を伸ばしてサンドイッチの1つを掴み、そのまま一口齧る。

 

「……うん、美味ぇ」

 

「ほんとですか?」

 

「美味い美味い、よく出来てる」

 

この辛い味付けはよくアカマツに頼んである奴と全く同じだ、教えられているから当然かもしれないが、タロがその分上手に作った事だろう。

 

忌憚のない感想を述べると、タロはまた頬を緩ませて俺が食べる様を嬉しそうに見つめていた。

 

「中のソースとかもアカマツ君に教えて貰ったんです、今度は1人で作るからその時はまた食べてくださいね?」

 

「おう、頑張れよ」

 

「……あ、口元にソースついてますよ?」

 

「まじ?」

 

一つ平らげて、タロの指摘でそれに気づいた。

すぐに指でとって舐めようかと思った……が。

 

「先生、動かないでくださいね」

 

タロが俺の手を掴み、空いた片方の手ですぐにそのソースを掬い……そのままその舌で舐めとった。

 

「ちょ、お前……」

 

「勿体ないじゃないですか、せっかく作ったんですから」

 

また朗らかに微笑む、辺りを軽く見渡すが幸い生徒の姿は見当たらない、見られては無かったか……。

 

「……ったく、一緒に食べるだけなら良いけどさ、さっきのような事誰かに見られたら誤解されるだろ?」

 

「へぇ、先生って意外とそういうの意識するんですねー」

 

「教師だからな、万が一そういう誤解を与えられたら問題だし面倒なんだよ」

 

……まぁ、前々から一緒に昼飯を食べたり休み時間でも一緒に居たり、学園内でも俺とタロがそういう関係なのか、という噂話が少し広がっているしな……しかもタロの親御さんの事を考えると、更に良くない。

 

昔少しだけ付き合いがあったとはいえ……娘の事となるとどうなるか……?

 

「……私は、それでいいのにな……それでお兄さんに私以外近寄らなくなるのなら……

 

「……悪い、なんか言ったか?」

 

「?何も言ってないですよ?それよりまだありますよ?一緒に食べましょう!」

 

そう言ってタロはサンドイッチを頬張る、何とも美味そうに。

……今考えても仕方ないが、この問題は……この子の好意にどう応えるべきか……。

 

軽く溜息をつきながら、俺は2個目のサンドイッチを口にするのだった。

 

 

 

 

◾︎◾︎◾︎◾︎

 

 

 

 

隣で食べながら、何かを考えている先生……お兄さんの横顔を横目で見る。

 

私が隣に居るのに、何か考え事をしている。

私の事だったら嬉しいなぁ………こうして欠かさず、学園がある日はほぼ欠かさずお兄さんと一緒に居るから、私との付き合いで悩んでいたら……彼にとって迷惑かもしれないけど、私は嬉しい。

 

好きな人に構って欲しい女の子って、可愛いと思いませんか?

……なーんて、カマトトっぽいことを言ってみたりする。

 

えへへ、お兄さん、お兄さん。

 

もう、離れないでね?

私の事、もう忘れさせないから。

 

お兄さんは、私との約束を忘れるような悪い大人になっちゃったんですから。

 

流石に、学生の身の上で教師とそういう関係になるのは不味いかもだけど、今の内に唾付けて置くのは大丈夫な筈。

 

………ふふふ。

 

お兄さん………。




続きは今度また書きます、良ければ感想をお願いいたします。
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