転生したと思ったらママになっていた件   作:大神降ろし

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初投稿です。
拙作ですが生暖かい目で見てください。


第一話

 

「何があった…?イヤマジで、何がどうでどうしてどうなった?」

 

 自然溢れる森の中で一人の少女が混乱の真っ只中にいる。

 

「え?ん?は?ここはドコでオレは、ん?ボクは?ワタシは?ワシは?え?だ、れだ?」

 

 状況を把握しようと自身の事を確認しようとしていたが自分自身が誰なのか全く分からなかった。

 頭を抑えながらその場に蹲り必死に記憶を辿ろうとしている。

 彼女?の頭の中にはこことは全く異なる世界の場景が映し出されていた。

 鉄の箱が走り、上等な服を着た老若男女が歩き回り、木よりも何倍もある何で作られているのか分からない建物が無数に建っている。

 それを認識した瞬間にその世界の知識が間欠泉のように噴き出してきた。

 

「がっ!?」

 

 大量の知識が溢れ出し脳が処理しきれず頭に激痛が走った。

 体勢を維持できずその場に崩れ落ち、身体を丸めて痛みに耐えている。全身から汗が滲む中、歯を喰いしばり痛みが去るのを待っている。

 数分後、何とか痛みが耐えれるほどになってきた。

 

「くっそ…何なんだよこれは…訳が分からねえ…」

 

 酷く痛む頭を抑えながら少女はふらつきながらも立ち上がった。

 幾分か治まったが未だに混乱しており、とりあえず自身の身体を見下ろしている。

 服は記憶の中にある人々とは雲泥の差で襤褸とまでは言わないがあの世界ではとてもではないが着れた物ではない。知識の中にある中世ヨーロッパの村娘が着ているようなそんな服装。

 視界の端には茶色の髪の毛が見え、手を見ると栄養が足りていないのか少しやせ細っており手入れがされておらずガサガサだった。

 

「ったく…個人情報も無しに転生かよ…転生先の情報も無しときた。クソかよ」

 

 少女とは思えない口調で現状に対して吐き捨てるように、本当に唾を吐きながら罵倒している。

 彼女は転生した。個人情報も無く説明も一切無しで。

 21世紀の日本からこの世界、剣と魔法があり様々な種族や魔物がいるファンタジーな世界へ転生した。

 少女は溜め息を吐いた。苛立ちや怒りなど負の感情を込め、身体から全て吐き出すようなそんな深い溜め息を。

 ようやく落ち着いてきた所で周囲を見渡すと木しか見えず、上を見上げると太陽が沈みかけていた。風が木を揺らす音しか聞こえず静かなものだった。

 

「―――」

「ん?」

 

 故に微かにそれが聞こえた。

 人の声のような、そんな音が確かに少女の耳に入った。

 

「…まぁ、当ても無いしな…行ってみるか」

 

 当ても無く歩くよりはマシと判断し少女は音がする方へ歩いていった。

 草木をかき分けて歩いているが、音の正体が判明した。

 

「あああぁぁぁぁ!!!」

「どう聞いても赤ん坊の泣く声だよなぁ…」

 

 音量MAXの金切り声が辺りに広がり、近付くにつれ少女もうるさそうに眉間に皺を寄せ始めた。

 それでも一応姿は見ておこうと歩き続け赤子の元に辿り着いた。

 そこには服どころかおくるみすら着ていない、裸の赤子が泣いていた。

 こんな森の奥で、周囲に誰もおらず、服すら着ていない赤子が普通いるだろうか。いやいない。

 

「(どう見ても厄ネタだろこれ…)」

 

 関わりたくないオーラ全開な少女だが、未だ乳飲み子だろう赤子を放置する事は良心が痛み出来なかった。

 溜め息を吐きながら項垂れ赤子へ近づき、慎重に抱き上げた。

 

「おーおー、どした、落ち着け落ち着け、ほーれほれ」

 

 おっかなびっくり赤子を抱き上げ、知識の中にあるあやし方を見様見真似で行っている。それが功を奏したのか赤子はまだぐずりながらも泣くのを止めた。

 赤子の泣き声を聞いて肉食動物がやって来る最悪のシナリオは何とか避けられたが、未だに問題は山積みだ。

 

「はぁ~、これからどうするべ?」

「ひぐっ、えぐっ、ふええぇぇぇ…」

「あーあー、大丈夫大丈夫、よーしよーし」

 

 赤子をあやしながらこれからどうするか脳内で考え始めた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 そこは何も存在しないどこまでも真っ暗な不思議な空間。

 そんな空間にポツンとある円卓のテーブルに七人の人影が付いている。

 だが七人の人影は全員少女と同じ顔である。

 ここは少女の頭の中。これから始まるのはただの茶番である。

 

「これより第一回脳内会議を始めます。議長は“私”が行います。今回の議題は“これからどうするか”、“赤ん坊をどうするか”、この二つです」

 

 会議が始まり議長の“私”の少女が議題を上げた。

 

「意見がある方は挙手をお願「はい!」…ではどうぞ」

 

 “私”の言葉を遮りながら元気よく挙手した少女が立ち上がりながら意見を述べた。

 

「自分は赤ん坊を助けるべきだと思います!」

 

 “自分”の少女がバリバリの体育系の如く元気よくハキハキと意見を述べた。

 

「ふむ…理由は?」

「可哀想っす!」

 

 助ける理由が感情論だったので一人の少女が鼻で笑った。

 

「はっ!可哀想だから助けろって?馬鹿馬鹿しい。置いてくべきだ、足手まといにしかならねえよ」

 

 “俺”の少女が冷徹に切り捨てるべきだと主張するが他の面々から反対の声が上がった。

 

「それはやり過ぎじゃろ?」

「うむ、我輩も反対じゃ」

「そうっす!可哀想っす!」

「僕もそれはどうかと思うな。とりあえず連れていって親を探すでいいんじゃない?」

「Me、キラめいていると思わない?」

「「「「「お前は黙ってろ!」」」」」

 

 約一名、全く関係無い事を口走っていたがほぼ反対だった。

 

「ふむ…では赤ん坊については助けるということでよろしいですか?」

「「「「「異議なし」」」」」

「…けっ、好きにしな」

「MeもNo Problem♪」

「ではそのように…次に“これからどうするか”ですが…」

 

 次の議題に移るが、誰も意見を述べようとしなかった。

 議長の“私”が見回すが困った顔をしたり、悩んでいる顔をしたりするばかり。

 

「何か無いですか?」

「いや…どうするかと言われてものぉ…」

 

 “私”に尋ねられた“儂”も困った顔をするだけだ。

 

「どうすると言われても情報が何も無いから動きようがないね」

「そうじゃな。まず周辺を探索するのはどうじゃ?」

 

 “僕”の少女が冷静に分析し“我輩”の少女が提案した。

 

「土地勘が無く、目印になりそうな物も無い、そんな森の奥で探索?遭難するのがオチだろ」

「とりあえず真っ直ぐ進んでみるっす!」

「「「「「却下」」」」」

 

 “我輩”の少女の提案を“俺”の少女がデメリットを指摘し、“自分”の少女が絶対遭難するであろう提案を上げたが却下された。

 

「でもMeはStraightに進むのはGoodだと思うよ~♪」

 

 意外にも“Me”の少女が“自分”の少女の意見に賛同したので、他の少女達も真剣に考えている。

 

「遭難するかもしれないけど、他に当ても無いし…」

「確かにの…それぐらいしか浮かばんしの…」

「じゃがどっちに進む?」

「枝を立てて倒れた方に行けばいいんじゃね?」

「…では枝を立てて倒れた方に進む、それでよろしいですか?」

「「「「「「異議なし」」」」」」

「ではこれにて第一回脳内会議を終了します」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 あやしながら頭の中で茶番の脳内会議をしていた少女だったがとりあえずの結論が出たので戻ってきた。

 

「マジ茶番…はぁ~、さ~て行くか。どっちに倒れるかねぇ…」

 

 少女は赤子を抱えながら枝を立てて当ても無い旅に出ようとした瞬間、頭痛が走った。先程の激痛ではなく痛みも一瞬だったので耐えられた。

 

「っ!…ったくご都合主義かよ…」

 

 頭痛が治まった後に脳裏に残ったのは少女の記憶であろう近くにある村までの帰り道だった。

 何故こうなったのか?ここはどこだろうか?この子はいったい?この身体は誰なのか?

 色々と判らない事ばかりで先が思い遣られるが、それでも前へと進みだした。

 腕の中に小さな命を抱えて。

 

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