転生したと思ったらママになっていた件   作:大神降ろし

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第百二十四話

 

 ミグラントの手引きによってトルプナートを脱出したシリウス達。

 ライトの魔法を使って灯りの無い秘密の抜け道を照らしながら歩く事十数分後、ようやく出口が見えてきた。そこは藪が生い茂った岩場で意図して見ようとしない限り気づかないように巧妙に作られていた。

 

「へぇ~…よく考えて作られてるんだな」

「シリウスちゃん、本当に行く気は無いのよね?」

「私は考えるって言っただけで行くとは一言も言ってないぞ」

「ほっ…」

 

 外に出た事よりもシリウスがミグラントとデートに行くかどうかの方が気になって仕方が無いエルフィナとシェネドだが、シリウスの言葉でようやく安心した。

 

「そこまで焦らなくてもよくね?」

「焦ってないわ。ええ、ぜーんぜん焦ってないわ」

「べ、べつに、あせって、ない、よ?」

「嘘つけ。全く…ポラリス達がいるんだからそんなの行くわけ無いだろうに」

 

 シリウスから目を逸らしながら言うエルフィナとシェネドに呆れながらシリウスは周囲を確認している。

 

「…誰もいないな」

「そうね。今のうちにさっさと行きましょう」

 

 シリウス達はトルプナートの次の町へ向けて歩き出した。だが夜間の移動は危険が伴うのである程度道を歩いた後、脇に逸れて天幕が張れそうな場所を探し、岩場の陰にちょうど良さそうな場所を見つけた。天幕を張って焚き火をおこし夕食を作りながらようやく一息ついた。

 

「ふぅ…色々、あった」

「本当にね。まさかあんなに分からず屋だとは思わなかったわ」

「追い掛けてくると思うか?」

「アッデイの方は都市の守護があるから大丈夫だけど、ファデル商会の方はどうかしらね…追い掛けてくるかもしれないし、噂だけ広げるかもしれないわ」

「噂って?」

「シリウスちゃんが悪い奴だっていう噂よ。そんな事されれば行く先々で後ろ指刺されるし、場合によっては物が買えなくなるかもしれないわ。たかが噂って思ってると痛い目を見るわ」

「商人は、陰湿。嫌い」

「まあ、先の事はその時考えればいいさ。ほら夕食ができたぞ」

 

 昼食をまともに食べていなかったので三人は温かいスープに舌鼓を打っている。

 

「おいしい…」

「あんな事が無ければ宿屋でのんびり夕食を取れてたのにね…」

「スピカ~、あ~ん。次の町に着けばたっぷり食べれたいいさ。次の町までどのくらいなんだ?」

「次の町まではちょっと距離があるわね。いくつかの村を経由するから…十日ほどかしらね」

「結構掛かるな…食料が持つかどうか…」

「水は川から汲めばいいし、お肉なら動物とか魔物を狩ればいけるけど、野菜とパンはね…村で買えればいいけど…」

「どこも自分の事で手一杯なんだろうな…村で依頼を受けてその報酬を食料にしてもらう事はできると思うか?」

「あー…余裕がある所ならいけるかもね。依頼を頼まれたら交渉してみましょうか」

 

 夕食を食べ終えてエルフィナは周囲の確認をしに行き、シェネドが食事の後片付けをしている間、シリウスはポラリス達とぬいぐるみを使って遊んでいた。

 

「ほ~ら、兎さんが来たぞ~。ピョンピョン♪」

「あ~♪う~♪」

「ままー。きゅーま。きゅーま」

「ふふふ。熊さんは…こっちだ~♪ガオ~♪」

「キャッキャッ♪」

「スピカ~。鼠さんがやってきたぞ~。チューチュー♪」

「ふわふわねずみさん…」

「(プルプル)!」

「ブルブル…」

「シャー!」

「ウー…」

 

 ポラリスとアトリアとスピカとぬいぐるみで楽しく遊んでいたら、カペラとウェズンとハダルとリゲルが抗議の声を上げだした。いつもポラリス達と遊んでいたのは自分達だったのにぽっと出のぬいぐるみにポラリス達を取られて嫉妬していた。シリウスは可愛らしい嫉妬に目尻が下がっていたが、シリウスが声を掛ける前にリゲルが動いた。

 

「ワン!ガウゥ!」

「あ~!」

「あーうー!りけりゅー!」

「ひぅ…」

 

 ポラリスが遊んでいた兎のぬいぐるみの足を咥えてブンブンと振り回した後ポイッと放り投げてしまった。

 

「こら、リゲル」

「ワフ?」

「シリウスちゃん。ぬいぐるみが飛んできたけどどうしたの?」

 

 放り投げられたぬいぐるみはエルフィナが回収してくれたがシリウスはそれどころではなかった。

 今までこんな事は起きなかったので考えもしなかったが、流石に今回は何も無しに流す事はできなかった。本当はしたくないが心を鬼にして、自分がやった事が分かっていないリゲルに向き直った。

 

「リゲル、めっ!」

「!?」

 

 今まで怒られた事が無かったリゲルだが、シリウスの怒った顔と今の言葉に叱られたと理解して愕然としていた。ガーンという擬音が聞こえてくるほどショックを受けているリゲルにシリウスは取り消して慰めたいという思いと戦っていた。

 

「(めっちゃショックを受けてる…やっぱ今のナシって言って慰めてあげたい…!でも母親としてここはグッと我慢…!ぐおおおぉぉぉ…!)」

 

 一方叱られたリゲルはあまりのショックにヨタヨタと後退りして座り込んでおり、そのまま暗い顔で俯いて落ち込んでしまっている。

 

「グフッ…!うぅ…!ぬぐぅ…!」

 

 その痛々しい姿を見てシリウスの方がダメージを受けており、もう許そうかな、いやでも、と内心の葛藤がエルフィナとシェネドにも分かるぐらい顔に出ていた。

 

「あらあら…リゲルちゃん。悪い事をしちゃったらね、ちゃんとごめんなさいってするのよ」

「キューン…」

「私にじゃないわ。ほら、ママにごめんなさいって」

 

 エルフィナに促されてヨタヨタとシリウスに近づくリゲル。

 

「キューン…」

「んんっ…!」

 

 シリウスの足に縋りつきながらリゲルは上目遣いで消え入りそうなか細い声でごめんなさいと言った。その可愛らしさにノックアウト寸前のシリウスだったが、ギリギリで踏ん張り持ち直した。

 

「コホン…もう、あんな事しちゃ駄目だよ」

「クゥーン…」

「ん、ならよし。ほら、ポラリス達にもごめんなさいって言おうね」

 

 シリウスに押されながらポラリス達の前に立ったリゲルは、耳が垂れて身体を縮めこませながら低い体勢になり全身で反省しながら謝った。

 

「キューン…」

「ポラリス、アトリア、スピカ。リゲルがごめんなさいってさ」

「あ~」

「あーい」

「わ、わたしは、きに、してない、よ…」

「はい、これでおしまい。ほら、仲直り」

 

 リゲルをポラリス達の手が届く所に置くと、ポラリスとアトリアは何も気にする事無くリゲルを撫で始め、スピカも遠慮しがちにリゲルを撫でた。許してくれたと分かりようやくリゲルは笑ってポラリス達をペロペロと舐め始めた。

 

「あ~♪う~♪」

「りけりゅー♪あーい♪」

「わ、わ、わ…!?」

「ワン!ワン!ハッハッハ!」

「(プルプル)」

「ヒィン」

「シュー」

 

 リゲルが怒られていたのを静かに見ていたカペラ達も終わったのを見計らってポラリス達に近づき混ざり始めた。実はカペラ達もリゲルと同じようにぬいぐるみを放り投げようかと思っていたが、シリウスに怒られるリゲルを見てやってはいけない事だと分かり反省していた。

 

「ワン!ワン!」

「むおっ。ふふふ、くすぐったいぞ」

 

 リゲルは一頻りポラリス達を舐めた後シリウスにも駆け寄り舐め始めた。怒られたからかいつも以上に甘えておりシリウスの顔は唾液でベトベトになっていったが、シリウスはただ笑顔だった。

 

「シリウスが、怒ったとこ、初めて見た」

「ポラリスちゃん達がいい子だからシリウスちゃんが怒るような事はしないもんねー。今回はリゲルちゃんが構ってほしくて我慢ができなかったのよねー」

「ワン!ハッハッハ!」

「あら?ふふふ。おばちゃんにもしてくれるの?」

「わぷっ!?わ、私は、別にいいよぉ…!」

 

 リゲルはエルフィナとシェネドの顔も舐めて、眠るまでテンションが高く駆け回ったり、誰かの顔をペロペロと舐めたりしていた。その後遊び疲れて電池が切れたように眠ったのでシリウス達も眠った。

 翌朝。いつもより少し早めに起きて朝食を取り天幕を片づけた後足早に出発した。

 

「…後ろ、来てるか?」

「…いえ、大丈夫ね。奴らが移動するなら馬か馬車になるはずだからなるべく早く行きましょう」

 

 ファデル商会の者が追い掛けてくる前に少しでも距離を稼ぐために早歩きで移動している。その頃トルプナートの一角ではシリウス達を見つける事ができなかったファデル商会の下っ端達がブルヌと会長の息子に怒鳴られていた。

 

「この役立たずがっ!」

「ぐわあ!?」

「ったく、どいつもこいつも使えねえ…女一人すら探し出せねえとはな…」

「ルデルの兄貴、どうする?」

「町は…もう離れただろうな。今から馬で追いつくといえば追いつくが…アッデイの奴が不甲斐無いとはいえ退けるぐらいの力は持ってるって事だからな。うちの連中を使っても返り討ちに合うのは関の山だな」

 

 ファデル商会の会長の息子であるルデル・ファデルはブルヌに殴り倒された下っ端の上に座りながら思案している。

 

「そうだな…あちこちで噂は流すとして…そうだ、あいつらを使おう。そろそろ手を切りたいと思ってたし、上手くいけば儲け物。失敗しても俺達は一切損はしない。よし、それでいこう」

 

 何か良からぬ事を思いついて一人ニヤついているルデルにブルヌは首を傾げている、何か良い事を思いついたのだろうと思い下っ端達へのお仕置きを再開した。

 また別の場所では…

 

「この馬鹿者が!みすみす取り逃すとはどういう事だ!」

「申し訳ございません!」

 

 軍の司令部でアッデイがシリウス達を見つける事ができなかった部下に怒鳴りつけていた。

 

「直ちに部隊を編成して追い掛けるのだ!」

「おっと、そこまでだ」

 

 アッデイの指示に待ったを掛けたのはシリウス達を逃がしたミグラントだった。

 

「俺達の仕事はトルプナートの守護だ。流石にそれは越権行為だぞ」

「何を言う!このまま取り逃がせば我らが笑い者だぞ!それに越権行為なら以前の貴様もそうではないか!」

「そもそも賊かどうかも分からないんだ。別に問題無いだろ。それと前の盗賊討伐は放置すればいずれトルプナートにも危害が及ぶ可能性が高かった。ギルドからも正式な要請もあったし、巡り巡ればトルプナートの守護にも繋がるからそっちも問題無い」

「詭弁だ!」

「既に侯爵様への報告は済んでるし、お咎めも無い。むしろ良くやったとお褒めの言葉も貰ってるしな」

「貴様ぁ…!」

「悪いな。さっきの命令は取り消しだ。仕事に戻ってくれ」

「ハッ!」

 

 隊長同士の口論を気まずそうに聞いていた部下を下がらせてミグラントはアッデイを真剣な表情で見た。

 

「今まで大目に見てきたけど流石に目に余るぞ。これ以上ファデル商会の言いなりになるのはよすんだな」

「黙れぇ!それ以上は許さんぞ!」

「ったく、ここまでとはな…とにかく僕は忠告、いや警告したからな」

 

 顔を真っ赤にして怒るアッデイを横目にミグラントは部屋を出て仕事に戻っていった。

 

「おのれおのれぇ!どいつもこいつも使えん!何故会長殿の言う事を信じぬのだ!嘆かわしい!」

 

 部屋で一人荒れるアッデイ。その怒り様はアッデイに報告書を持ってきた部下が怒鳴り声を聞いて即座に回れ右するほどだった。

 そんなトルプナートから離れて次の町へ向かうシリウス達は今、道を外れて狩りをしていた。トルプナートの物価が高すぎて何も買えなかったので食料などが心許ないのでポラリス達の休憩も兼ねて狩りをする事にした。

 

「ギイイイィィィ!」

「はあっ!」

 

 群れから逸れたジャイアントアントの触角を斬り落とし、悶え苦しむジャイアントアントの首筋に剣を突き立てて止めを刺した。息絶えたのを確認してから解体作業に入り、ジャイアントアントの虫肉を回収している。

 

「…これでよしっと。甲殻は…まだ余裕もあるし、何かしらに使えるか」

「シリウスちゃーん、戻ったわー」

 

 シリウスと別れて一人でリトルホーンを追い掛け回していたエルフィナが戻ってきた。無事に仕留めたらしく袋いっぱいに肉が入れられていて、毛皮と角も持っていた。

 

「これだけあれば私達は何とかなるか」

「そうね。むしろ少し多いかも。村で物々交換してもいいかもしれないわ」

 

 シリウスとエルフィナは手を洗ってから茂みに身を隠しているポラリス達とシェネドの所に戻った。

 

「ま~」

「ままー!」

「かあさま…」

「(プルプル)」

「ヒィン」

「シャー」

「ワフ」

「あ、おかえり」

「ただいま。ポラリス~、アトリア~、スピカ~、カペラ~、ウェズン~、ハダル~、リゲル~、ただいま~」

「いっぱい獲れたわ。これだけあれば十分ね」

 

 しばらく食いつなげるほどの食料を確保したので出発しようと道に戻ろうとした時、一台の馬車と護衛の武装した男達がシリウス達の目を通っていった。

 

「あの馬車って…」

「横にファデル商会のマークが合ったわ」

「…まあ、どうせ抜かれると思ってたしな。何かあっても何とかなる。いや、する」

 

 この先のファデル商会からの妨害の対処法を話し合いながらシリウス達は歩き出した。

 トルプナートを出てから二日後に村に辿り着き、食料の売買もしくは交換をしてもらえないか交渉するべく村に入った。エルフィナが村長と交渉している間、シリウスとシェネドが外で待機していると村人達が遠巻きにシリウス達を見ていた。

 

「なんか、見られてる」

「子連れが珍しいのか、それとも既に噂が広がってるかのどっちかだな。気にしても仕方が無い」

 

 村人達の視線を無視してシェネドと話したり、ポラリス達をあやしたりしていると子供が一人シリウスの方に歩いてきた。

 

「ねえねえ、おねえちゃんはわるいひとなの?」

 

 ど真ん中ストレートで聞いてきた子供にマジかこいつという表情をするシェネドを横目に見て苦笑しながら子供に目を合わせるためにしゃがんだ。

 

「どうしてそう思ったの?」

「えっとね、このまえね、おみせやさんがきてね、おねえちゃんはわるいひとっていってたの」

「そうなんだ。お姉さんはね、何も悪い事はしてないよ」

「でもおみせやさんがそういってたよ?」

「そうなんだよね~。何もしてないのにそんな事言われて困ってるんだよね~」

 

 心底困ってますという風に溜め息を吐きながら子供の質問に答えていると話を聞いていた遠巻きに見ていた村人達も噂は嘘なのではと村人同士で話し合っている。

 

「シリウスちゃん、戻ったわ。リトルホーンの毛皮とジャイアントアントの甲殻とそれぞれのお肉半分で野菜とパンを交換してくれるって」

「分かった」

 

 荷物から交換の品を取り出し、村長も数日分の野菜とパンを持ってきて交換が成立した。

 

「さて、それじゃあさっさと行くか」

「そうね。あまり注目されるのも、ね」

 

 噂は嘘なのではと思い始めている村人達と噂は本当だと信じシリウス達に厳しい視線を送っている村人達が言い争っており、これ以上ここにいても良い事は無いと判断してさっさと村を出た。

 

「この先の村でも似たような事になるんだろうな…」

「そうね…うーん…食料が心配だけど…でも…うーん…」

「他に道があるけど問題があるからどうしようってか?」

「…分かっちゃうか。まあシリウスちゃんなら分かるわよね。そうよ。この先で道が二手に別れるの。一つは次の町、エレザントへ行く道。もう一つはエルヴェの森を通ってエレザントの次の町のビリアへ行く道」

「その森と距離が問題なのか?」

「ええ。その森、結構強い魔物がゴロゴロしてるし、未確認だけど妙な魔物もいるって話よ。それにその森を抜けるのに七日は掛かっちゃうの。でもエレザントを通っていくよりも三日も速くビリアへ行ける最短ルートでもあるわ」

「大回りしてエレザントの町経由でビリアに行くか。エルヴェの森を通って近道してビリアに行くかって事か。大回りの方は補給ができるけど噂の所為でそれも不透明だし、厄介事に巻き込まれる可能性大。近道の方は厄介事はスルーできるけど魔物がたくさんいて危険だし補給無し、か…」

「一応森の幸もあるから全く補給は無いって事は無いけどね。私は大回りの方を推すわ。ポラリスちゃん達を危険には晒せないし、厄介事に巻き込まれても私の名前を出せば多少は収まるはずだし」

「私は、近道が、いい。色んな人に、怒鳴られるの、もう嫌…」

「どっちをとっても大変なのは変わらんか…うーん…」

 

 大回りして村を経由してエレザントへ向かうか、近道をしてエルヴェの森を通ってエレザントの次の町のビリアへ向かうか悩むシリウス。悩みながらも歩き続けていたら道が二手に別れている三叉路に着いた。シリウスから見て右がエレザントへ向かう道で、左がエルヴェの森へ向かう道だ。道を交互に見ながら悩むシリウスだったが、右の道から多くの足音が聞こえてきたので思考を一旦打ち切った。

 

「誰か来るな…」

「この足音の数は結構いるわね…嫌な予感がするわ。隠れましょう」

 

 左の道の脇にある茂みに身を隠ししばらくするといかにも盗賊という風貌の男達が武器を手に現れた。

 

「本当に来るのか?」

「あいつはそう言ってたけどな」

「へっへっへ!女三人を好きにしてもいいなんて良い依頼主がいたもんだ!」

「おい、三人じゃなくて二人だ。子供を抱いている女は手を出さずに引き渡す約束だ」

「それでも二人いるんだ。しばらくは楽しめるぜ」

「前のはやり過ぎて壊れちまったからな。売っても端金にしかならなかったな」

「今度は壊すなよ」

「持ってる荷物は全部貰えるんだ。これだからこの仕事は止められねえな!」

「全くだ!」

「「「「「ギャハハハハハ!!」」」」」

 

 シリウス達はここを通るのを知っていたかのように盗賊達はエレザントへ向かう道を封鎖してしまった。

 

「あれ、私達狙いだな」

「他の商会が襲われて荷物を持ち去られる事件があったけど、やっぱり盗賊を使って襲撃していたのね」

「うぅ…」

 

 茂みに身を隠しながら様子を伺っているが、今見えている者だけでなく少し離れた所にも数人潜んでいるのを見つけた。

 

「見事なまでに道を塞がれたな。こりゃエルヴェの森に行くしかないな」

「倒すにしてもあれだけじゃないはずだしね」

 

 否が応でも左の道を行くしか選択肢が無くなったので右の道を諦めて音を立てないように移動した。盗賊達が見えなくなったのを確認してから道に戻り歩いていると道の先に深い森が見えてきた。

 

「また森か…今度は何も無かったらいいんだけどな…」

 

 初めて森を通った時にフォレストエイプの襲撃にあい、ハンターになって初めての外での依頼の時にゴブリンの大移動に出くわし、薬草採取の時にフォレストエイプのボスと戦い、フルメタルスパイダーが乱入してきてあわや全滅の危機に瀕したりとこれまで森を通って良い事があまり無かったシリウスは今度は何も起こらない事を祈りながら森に入っていった。

 

 

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