古城の地下で魂を引き剥がすという悍ましい光景を見たが、シリウスは人形師ならやっても不思議ではないという偏見から大して衝撃を受けなかった。だがエルフィナとシェネドは違い、あまりの悍ましさにルジャナフスクへの警戒度が倍増し、夕食時も口数が少なく頻繁にルジャナフスクの方をチラチラと見ていた。ルジャナフスクはそうなると分かっていたのでエルフィナとシェネドの視線を無視しているが、流石に何度も見ているとレネも疑問に思い始めた。
「どうしたー?さっきから坊ちゃまをチラチラチラチラ。まさかレネちゃんのご飯が美味しくないけど自分じゃ言えないから坊ちゃまに言わせようとしているのかぁ。そうなのかぁ。もしそうならぷんすこーだぞ。ぷんすこー」
「いやいや、美味しいですよ。二人は…まあ、色々あって」
「そうだ。だから気にする事は無い」
「うっま!シチューうっま!シリウス!そっちのお肉もちょうだい!」
「はいはい。というかそんなにがっつくなよ」
「美味いのがいけないのよ!私は悪くないわ!うっま!」
静かにしているエルフィナとシェネドの代わりにピーニが美味しいと騒いでいたが、そのピーニのおかげでお通夜みたいな夕食にならずに済んだ。夕食を食べ終えて部屋に戻るとシリウスはポラリス達をベッドの上に置いてからエルフィナとシェネドにテラス近くまで連れられた。
「さて…シリウスちゃん。地下で見たあれ、別に否定はしないのね?」
「まあな。否定できるほど私は偉くないし、さっきも言ったけど手段が違うだけで私も似たようなもんだし」
「シリウスは、違う。絶対に、違う」
「違わんよ。あの子達を守るためとは言ってるけど命を奪ってる事には変わらん。私の手は血に塗れてる。本当ならあの子達に触れる事すら許されないほど」
「シリウスちゃん、それ以上言ったら怒るわよ」
シリウスの言葉を聞き逃せないエルフィナは眉間に皺を寄せてシリウスを睨んでいる。
「血に塗れてるとか、抱く資格がどうとか、そんな事どうだっていいのよ。他の人が何を言ってもあの子達の母親はシリウスちゃん、あなただけなの。あの子達だってあなた以外を母親って絶対に認めないわ…って、話が逸れたわね。私もね、あの後考えてみたの。シリウスちゃんの言う通り手段が違うだけで同じだって事も、ルジャナフスクの言う通り否定する事ができないって事も認めるわ。でも…ごめんなさい。ちょっとずつ頑張って理解していくつもりだけどまだ全部受け止める事はできないの」
「私も…あれは、まだ、受け入れられない…」
「いいよ、無理しないで。受け入れる私の方が異端なんだから」
シリウスには前世のサブカルチャー関連の記憶もあり、それらからの偏見によって容易く受け入れられたが、本来はエルフィナとシェネドの反応の方が正しい。それほどまでに魂を無理矢理引き剥がすルジャナフスクの行動は悍ましく嫌悪されるもので、少しずつとはいえ受け入れる事を選択したエルフィナの発言は相当勇気が必要なものだ。
「はいはい。真面目な話はもうおしまい。ポラリス達がさっきから待ってるし、明日何するか考えよう」
手を叩いて話を終わらせたシリウスはポラリス達が手を伸ばして呼んでいるのでベッドの方へ戻った。
「シリウスは、どうして、受け入れられたんだろ…」
「そうね…シリウスちゃん、まだ何か隠してるみたいだけど…無理矢理聞き出すのもね…まあ今はいいわ。それよりも…ポラリスちゃーん、アトリアちゃーん、スピカちゃーん、カペラちゃーん、ウェズンちゃーん、ハダルちゃーん、リゲルちゃーん、フィナおばちゃんも今から行くわー」
「ば~」
「ふぃーばぁば!」
「おば、さま…」
「(プルプル)」
「ヒィン」
「シャー」
「ワフ!」
笑顔が無く暗い表情や真剣な表情ばかりしていたシリウスとエルフィナがいつもと同じ笑顔に戻ったので、不安げな表情だったポラリス達にも笑顔が戻った。本当は明日の事を話し合うつもりだったが、ポラリス達と遊んでいるうちにいつの間にか忘れてそのまま眠ってしまった。
翌朝、皆起きて着替え終わったところでレネが呼びにきたので食堂で朝食を取った。
「さて…昨日聞きそびれたけど、いつ頃出発する?」
「そうねぇ…体調は整えられたし、いつでも行けると言えば行けるけど…」
「えぇ…もう、行くの…?」
「あのねぇ…いつまでもここにいたら迷惑でしょ?」
「居たいだけ居ても構わんぞ。我は困らんし、レネもいつもより明るくなっておるしな」
「え、そうなの?」
「数百年も二人でおる故な。客人が来る事は無いし張り切っておる。お主らが良いのなら好きなだけ滞在するとよい」
「だってさ。どうする?」
「うーん…それならもう少しぐらい…いや噂が…でも時間が経てば…ぐぬぬ…」
盛大に悩み始めたエルフィナだったが、地下の件以外は居心地が良いのでもう少しだけ滞在する事に決めた。
それからシリウスは三日ほどは蔵書室で本を読んだり、ポラリス達と遊んだり、鍛錬したり、客人がいると騒ぐレネにうざ絡みされそれを諫めたり、ルジャナフスクの気紛れ魔法講座を受けたり、レネの猛攻を喰らって友達になったりとシリウスにとっては充実した日々を送った。エルフィナとシェネドも地下での出来事以外はルジャナフスクには危険は無いと分かり、普段通りに接するようになった。
「いやー…居心地良過ぎて長居しちゃって悪いね」
「以前も言ったように別に構わん。それにシリウスのおかげで色々新しい発見もあるのだ。生活の面倒を見るぐらい何ら問題無い。クックック…このように充実した日々は何時以来であろうな」
悪役染みた笑い方だがルジャナフスクは本当に機嫌が良いみたいで雰囲気は非常に穏やかだった。
現在シリウスはルジャナフスクの部屋で魔法講座を受け終えたところであり、何度か行っているのでお互い名前で呼び合うほど仲が良くなっている。ちなみにポラリス達は部屋でエルフィナと一緒にお昼寝中だ。
「そうだ。聞きたい事があるんだ」
「何だ?」
「召喚魔法ってどうやって会得できるの?」
「召喚魔法を会得するためには前提として魔物の魂を所持せねばならんが…ふむ、持っておるな」
シリウスの胸の辺りを凝視したルジャナフスクはシリウスの他に魔物の魂があるのに気づいた。魂の簒奪という禁術を行えるルジャナフスクには生物の魂が見えるようになっている。
「以前ドラコウルフから託されてね」
「ほう、ドラコウルフか…あのリゲルとやらの親か?」
「まあね。リゲルに実の親に会わせてやりたいし」
「そうか。召喚魔法に関しては面倒な儀式を行わなければならん。後日してやろう」
「それ、毎回しないといけないの?」
「いや、最初だけでよい。その後は簡略化される故直ぐに呼び出せる」
「最初の儀式でちゃんと契約する感じ?」
「そう取って問題無い」
「そっか。ならよろしく…後、一つ相談があるんだけど」
「…察しは付くが一応聞いておこう。何だ?」
「べんきょ~、おわったにょ~?」
「あしょぼ~」
「あちゃまのうえ、たかいにょ」
「むふ~、きょっちのほうがたかいにょ~」
「あたちも~」
「この子達、どうしたらいいと思う?」
シリウスとルジャナフスクの周りにはシリウスに付いてきている精霊達が伸び伸びと思い思いに過ごしていた。シリウスとルジャナフスクの頭の上に陣取ったり、シリウスの腕を引っ張ったり、ルジャナフスクの身体をよじ登ったりと好き放題している。
「これからも精霊達と共にありたいと思うのであれば契約以外に選択肢は無い」
「やっぱそれしかないよねー。うーん、でもなー…」
「何を悩んでおる?」
「契約するって事は縛り付けるって事でしょ?見た目幼女のこの子達にそれは…後、幼女に力を借りる大人はかなり情けない気が…」
「我にはトカゲや鳥など動物にしか見えんがな」
「やっぱ人によって変わるのか?」
「それが定説ではあるが、本当のところは未だに不明だ」
シリウスは自分の手を引っ張る水の精霊を改めてよく見た。
水の精霊は頭からクラゲを被っているように見える全身が水色の二頭身の可愛らしい手の平サイズの幼女だ。シリウスに見つめられているのに気づいた水の精霊は不思議そうに首を傾げている。
「どうちたにょ~?」
「んー…もう直接聞くか。皆~、集まって~」
シリウスが呼びかけるとルジャナフスクを登頂しようとしていた精霊達もフワフワと浮いて集まってきた。
「ちょっと聞きたいんだけど…これからも私と一緒にいたい?」
「いたいにょ~」
「じゅっといっちょ~」
「はなれちゃや~」
「むぎゅ~」
「わたちも~」
精霊達はシリウスから離れたくない、ずっと一緒だと言って抱き着いた。ここまで言われてしまえばシリウスも無下にはできず受け入れるしかなかった。
「ふぅ…分かった。これからも一緒だよ」
「「「「「わ~い」」」」」
精霊達は無邪気に笑いながらシリウスに抱き着いたまま頬擦りをしている。
「(となると名前を考えなくては…水金地火木土天海冥から取るって決めてはいたけど…あれって神様の名前だっけか?流石に神様は…あまり仰々しいのもあれだし…うーん…でも他に候補は無いし…)」
「ところでだ。火と水と土と風と氷はおるようだが、雷の精霊はおらんのか?」
「いないよ。というより雷の精霊っている方が稀じゃない?」
「そうでもない。生み出そうと思えばできるがどうする?」
「え?精霊ってそんなに簡単に生まれるの?」
「その属性の魔力を魔力が濃い場所に散らせば大体生まれる。今回なら地面に雷属性の魔法を放てば一晩で生まれるはずだ」
「えぇ…そんな簡単でいいの…?って、違うそうじゃない。ペットじゃないんだからそんな簡単に生み出していいもんじゃないでしょうが。ちゃんとご飯を上げたり、やっていい事と悪い事を教えたりしなきゃいけないんだから」
「…まさか精霊達も自分の子供にする気か?」
「え?普通そうじゃないの?だって契約すれば専属になるんでしょ?」
「違うに決まっておろうが。精霊と契約しても生活の面倒を見る必要は無ければ四六時中一緒にいる必要も無い。精霊も自由に過ごして呼びかけがあれば赴く。それが本来の精霊の契約だ」
「えー、幼女をほっぽり出すなんてできないよ」
「やはり見た目で引っ張られておるな。そう見えるのはお前だけだ。人によって見た目は変わるが精霊の姿は変幻自在。精霊の気分で自由に変えられる。今は幼児に見えてもそれは精霊の気紛れであり、飽きればいずれ別の姿に変わる」
ルジャナフスクから気にし過ぎだと言われても自分に懐いてくれる幼女姿の精霊達を用があるまで放置などという仕打ちはシリウスには到底できなかった。
「にゃかま、ふえりゅ~?」
「え?」
「ふえりゅ~。わ~い」
「にゃかま、ふえりゅ~。やった~」
「わ~い」
「えっ、ちょっ、まっ…あー…もう手遅れか…」
「だな。クックック…では庭へ行くとするか」
精霊達の喜ぶ姿を見て今更増やさないとは言えず、止む無く雷の精霊を招くことになった。ほとんど成り行きで新しい精霊を招き入れる事になったが、そうなってしまったのであれば仕方が無いと気持ちを入れ替え、どんな子が来るのかと少しワクワクしている。シリウスの楽し気な表情を見て精霊達もシリウスの肩の上などで嬉しそうにニコニコしている。
「それで雷の魔法を地面に撃てばいいんだっけ?私、ライトニングとサンダースピアとスパークウェブしか使えないんだけど」
「そうか。では我がやろう。ふむ、どれにするか…要望はあるか?」
「あー…そうだな…なら中級で威力が高いので」
「…ではあれだな。下がっていろ」
ルジャナフスクはシリウスを下がらせると魔法を準備し始めた。
「【サンダーフォール】」
空中に魔法陣が出現しその中心に雷が集まりだして一瞬溜めた後、轟音と共に勢いよく地面に落ちた。
「ぬおっ!?」
「「「「「うひゃあ!?」」」」」
思っていた以上の衝撃と轟音に驚いた精霊達は大慌てでシリウスの服の中に隠れた。サンダーフォールが落ちた地面は抉れて黒焦げになっていた。
「今のは空中より雷を落とす中級魔法のサンダーフォールだ。天井が低い所では使えんが威力は高い故覚えておいて損は無い」
「くっふ!ちょっ、そこくすぐった、ふふふ!」
「こわいにょ~」
「ど~ん、や~」
「ブルブル…」
「はにゃれにゃいで~」
「ふわふわ~」
「ちょっ!そこ駄目だって!あはははは!」
ルジャナフスクが魔法の説明をしながら振り返るとそこには笑い転げるシリウスの姿が合った。精霊達に服の中に入られてルジャナフスクの言葉に反応する暇が無くしばらくの間笑い転げていた。
「ぜぇ、ぜぇ…ほ、ほら…もう大丈夫だから、皆出てきて…」
「「「「は~い」」」」
「ふわふわ~」
「こらこら、どこに入ってるの」
「うわ~」
胸の谷間でシリウスの柔さを堪能していた精霊を服をはだけさせて摘まみだした。
「…我は人形ではあるが男でもあるのだぞ。嫁入り前の年頃の娘がはしたない行動は慎め」
「え?あ、ごめん」
「あああぁぁぁ!」
「びえええぇぇぇ!」
「!!ごめん、話は後で!」
ポラリスとアトリアの泣き声が聞こえたのでシリウスはルジャナフスクの話を中断して大急ぎで部屋に戻っていった。
「…そういえば子供達は昼寝をしていると言っておったな。寝ている時にあのような音が鳴ればこうなるか。後で謝罪せねばな。ほれ、お主らも来い」
ルジャナフスクは地面の跡を確認した後、シリウスに置いていかれた精霊達を回収してシリウス達の部屋に向かった。
「あああぁぁぁ!」
「びえええぇぇぇ!」
「(ガタガタ)」
「(プルプル)」
「ブル…」
「シュー…」
「キャン!キャン!」
「よーしよしよし!ポラリス~、アトリア~、スピカ~、カペラ~、ウェズン~、ハダル~、リゲル~、もう大丈夫だよ~。よーしよしよし!」
「ほーら!怖いものは何も無いわよー!よーしよしよし!」
お昼寝をしていたポラリス達だったがサンダーフォールが落ちた時の轟音で叩き起こされて号泣しており、大急ぎで戻ってきたシリウスと傍で一緒にお昼寝していたエルフィナが必死にあやしていた。数分ほど必死にあやし続けたおかげでべそは掻いているが何とか泣き止んでくれた。
「う~…ひっく…」
「ぐすっ、えぐっ…」
「ぅぅ…」
「(プルプル)」
「ヒィン」
「シャー」
「ワフ」
「よしよし、もう大丈夫だよ~」
「ふぅ…突然轟音が鳴り響いてビックリしたわ。何があったの?」
「ちょっと庭で魔法を使っちゃって」
「そういうのは言ってからやってよ、もう」
「ごめん」
「謝るのはシリウスではない」
頬を膨らませて怒るエルフィナに頭を下げるシリウスだったが、精霊達と一緒に部屋に入ってきたルジャナフスクがそれを否定した。
「どういう事?」
「魔法を放ったのは我だ。故に謝罪しなければならないのは我である。シリウスが頭を下げる必要は無い」
「いや、でもさ…」
「でもではない」
言い縋ろうとするシリウスをピシャっと切り捨てたルジャナフスクはポラリス達の前でしゃがみ込み躊躇なく頭を下げた。
「我の所為で泣かせてしまった。済まなかったな」
「ひっく…う~?」
「ぐすん…うにゅぅ?」
「ぅぅ…ぅ?」
「大きな音を立てたのはこの、えーっと…おじちゃんがやっちゃったんだ。だからごめんねって言ってるんだよ」
首を傾げるポラリス達にシリウスが説明するとポラリス達はルジャナフスクをジッと見つめた。
「あ~、う~」
「あーい」
「…ぅ…わ、たし、は、べつ、に…」
「許してくれるみたい。皆~、偉いね~。よしよし」
「そうか。だが泣かせたのは事実。何か詫びを…ふむ…何があったか…」
「いや、そこまでしなくてもいいって」
「そういう訳にはいかん…ふむ、確かあれが…いや、あれを気に入るか?取りあえず持ってくる故待っている」
「あ、ちょっ…行っちゃった…」
「何を持ってくるのかしらねー?」
シリウスの制止を聞かずにルジャナフスクは部屋を出ていき、しばらくすると手に何かを持って戻ってきた。
「これだ」
「うーん…これは…」
ルジャナフスクは手には色違いの木の人形が三つあったが、ギョロっとした目とニタァという擬音が聞こえてくるように嗤っているような笑顔をしており、シリウスが唸るほど不気味な見た目をしている。
「ふえええぇぇぇ…」
「うー…やー!」
「ぅぅ…」
「やはり駄目か」
「流石に怖すぎるよこれ。こんなぬいぐるみの方がいいって」
怖すぎる人形を見てぐずりだしたポラリス達をあやしながらシリウスは手作りのぬいぐるみを取り出した。
「これは…ふむ…なるほど…このような造形もありか…布は…相分かった。二、三日待つとよい。まずは倉庫で…その後は…どのような造形に…」
一通りぬいぐるみを検分したルジャナフスクは独り言を呟きながら部屋を出ていった。
「うに~、にゃきやんで~」
「ほっぺちゃ、ぷにぷに~」
「おっきなふわふわくましゃんだ~」
「ふわふわうしゃぎしゃんもいりゅ~」
「これにゃあに~?」
ルジャナフスクが連れてきた精霊達がぐするポラリス達をあやすのを手伝ってくれてポラリス達も泣き止んで精霊達とぬいぐるみで遊び始めた。
「聞きそびれたけど何で魔法を使ったの?」
「精霊達の事を相談してたら、話の流れで雷の精霊を生み出そうってなって」
「…ん?え?精霊ってそんな簡単に生まれるの?」
「まあ、そうなるよね。魔力が濃い場所で属性の魔法を撃てば一晩もあれば精霊って生まれるみたい」
「えぇ…そんなのでいいの…?」
「だよねぇ…そういえばピーニとシェネドは?」
「二人共蔵書室で読書よ。本の山に囲まれて幸せようだったわね…そういえばさっきの音でその山が崩れたりしてないかしら?大丈夫かしらね…?」
エルフィナの不安は的中しており、蔵書室で本を読み耽っていたシェネドは読み終えた本の下敷きになっており、同じく本を読んでいたピーニも巻き添えを喰らっていた。
「キュウ…」
「んー!んー!」
その場面を容易く想像できたシリウスとエルフィナだったが、まあ大丈夫だろうと助けにはいかなかった。ちなみにしばらくの間本の山に埋もれていたピーニとシェネドは様子を見にきたレネに救助された。
「相変わらず本が好きだねぇ…そういえば呪法の本は?まだあそこにあるの?」
「呪法の本ならルジャナフスクに言って別の場所に移してもらったわ。だからシリウスちゃんも探しちゃ駄目よ」
「えー…覚えるだけでもいいじゃーん」
「駄目」
「ぶーぶー」
「ぶ~」
「ぶー!」
「ぶ、ぶー…?」
「「「「「ぶ~」」」」」
「ぐふぅ!?そ、それは、卑怯よ…」
シリウス達の可愛らしさに胸を抑えて悶えるエルフィナにポラリス達が群がって甘えており、精霊達もぬいぐるみと遊んでいる。シリウスはカペラ達を甘やかしていて束の間の平和を謳歌している。