転生したと思ったらママになっていた件   作:大神降ろし

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お待たせしました。
ターエル防衛戦が決着します。
それではどうぞ。


第二十話

 

 場面は変わり南側の正門に移る。

 人間側とゴブリン側、お互いに拮抗しているがここでゴブリン側に動きがあった。

 

「た、大変だー!?ボスが向かってくるぞー!」

「くそっ!撃て!撃ちまくれ!」

 

 いつまでも落とせない町に業を煮やしたのか、苛ついたような表情を浮かべながら町に向かって走り出した。一体だけでなく三体が町に全速力で向かっている。

 他のゴブリンと違い鎧を着て武器も他より洗練された物を持っており、間違いなく壁の上に登られたら被害が倍増する。隊長もそれを危惧し弓隊に撃つように命令したが、乱戦状態で且つ狙って撃つには兵士達の練度が足りていないのでボス達に悠々と回避されている。ならばとハンター達が狙い撃つがそれすらも回避するか持っている武器で叩き落されている。

 

「マジかよ!?」

「矢を落とすとか相当な強者だぞ!?」

「マズい!壁に取りつかれるぞ!?」

「登らせるなー!」

 

 兵士とハンターが登らせまいと矢や石を落とし多少は当たるがそれをものともせず壁の上に登る事を許してしまった。

 

「「「グオオオォォォ!!」」」

「うわあー!?」

「げはっ!?」

「や、やめ、げべぇ!?」

 

 ボス達は近くにいた兵士達を剣と斧と棍棒で次々と殺しまわっている。

 

「これ以上はやらせるかよっ!」

 

 ゴブリン相手に奮闘していたゴルドが斧を持ったボスに突撃していった。

 ボスは斧を振るがゴルドはそれに合わせるように斧を振って周囲に甲高い音が響いた。そのまま鍔迫り合いが続き双方至近距離で睨み合いが続いている。

 その間に他のボスはそれぞれ動き出し、棍棒を持ったボスはそのまま壁の上を進撃し、剣を持ったボスは町に侵入した。町に侵入したボスは自分を苛立たせる人間達を抹殺すべく近くにいたハンターに襲い掛かった。

 

「させんっ!」

 

 そこにルゥトが割り込みボスの攻撃を受け止めた。

 

「こいつは俺がやる!他は任せたぞ!」

「わ、わかった!」

「死ぬなよ!」

 

 援護しようと身構えていたハンター達はルゥトの言葉に一瞬戸惑うもすぐに切り替えてゴブリンに対処し出した。

 ボスが力を込めて剣を押すもののルゥトは一歩も引かず金属同士が擦れあう音が響いている。

 

「グオオオォォォ!」

「その程度で!」

 

 ボスが怒りのままに剣を出鱈目に振るうがルゥトは冷静に剣の軌道を読んで受け流している。どれだけ攻撃しても全て受け流され、段々と焦りが出てきたボスは大上段からの振り下ろしを放ったが、ルゥトはそれを冷静に横に一歩ズレる事で回避した。

 ボスが判断を誤ったと気づいた時には既に遅かった。

 

「はぁっ!」

 

 ルゥトの気合いと共に放たれた一閃でボスの首が飛んだ。ボスの顔にはありえないと言っているような表情をしており、首が地面に落ちたと同時に身体も崩れ落ちた。ボスが倒された事で周囲にいたゴブリンは一様に浮き足立ちお互いの顔を見合わせている。

 

「やったぜ!」

「さすが〈四剣〉だ!」

「俺達も続くぞっ!」

「「「「「ウオオオォォォ!!」」」」」

 

 ハンター達は勢いに乗り浮き足立つゴブリン達を次々と薙ぎ払っていっている。

 町の中が優勢になっている時、壁の上ではゴルドが斧を持ったボスと力比べをしていた。出鱈目に振るうのでは無くお互い一撃重視で渾身の一撃をお見舞いしている。

 

「グオオオォォォ!」

「ハッハッハ!どうした!?そんなもんか!?」

 

 ボスは怒りに満ちた表情をしているがゴルドは笑っていた。ボスの方は相当力を入れているのか汗を流しているがゴルドは涼しい表情だ。

 ゴルドはもっと力が強く重たい一撃を持った魔物と何度も正面から渡り合った経験がある。それに比べたら雲泥の差だった。

 

「そろそろ仕舞にするか!ふんっ!」

「グオ!?」

 

 下段からの振り上げでボスの斧を弾き、ボスは弾かれた衝撃で体勢を完全に崩している。

 

「オラアアアァァァ!!」

 

 ゴルドの大上段からの渾身の振り下ろしが炸裂し、ボスの身体は真っ二つに切り裂かれた。

 その勢いは凄まじく叩きつけられた地面はクレーター状に砕け、周囲にも衝撃波が起こってゴブリンは吹き飛ばされ、兵士とハンターは倒れないように踏ん張っていた。煙で辺りが覆われるが次第に晴れて肩に斧を乗せたゴルドが姿を現した。

 

「まっ、ざっとこんなもんよ」

 

 あれだけの威力を放ちながらも未だに余力を残し笑っているゴルドにゴブリン達は恐れをなして逃げ出してた。

 

「す、すげえ…」

「すごいとは思っていたが、ここまでとは…」

「化け物かよ…」

 

 あまりの威力に人間側も驚いて手を止めてしまっており逃げ出しているゴブリンをそのままにしてしまっている。

 

「…って、おいおいお前ら!?戦いはまだ続いてるぞ!?ほら動け動け!」

「「「「「っは!?」」」」」

 

 驚きのあまり手が止まっていた兵士とハンター達を気づいたゴルドが一喝する事で我に返った。逃げ出したゴブリンは放っておいて他の場所で戦っている味方の援護に急いで走っていった。

 

「ったく…さて、俺も行くか。確かもう一体いたな」

 

 ゴルドはまるで散歩に行くかのような気軽さで歩いていった。

 そのターゲットにされたボスは別の場所で無双していた。

 

「グオオオォォォ!」

「うわあああぁぁぁ!?」

「と、止めろー!」

「ダメだ!近づけねえ!?」

「くそっ!ただ振り回してるだけなのに!」

「このやr、ぐはあ!?」

「があ!?」

 

 身の丈ぐらいある木の棍棒を振り回しながらボスは人間達を蹂躙していた。

 吹き飛ばされた兵士やハンターは壁に叩きつけられたり、壁の上から落とされたりしており、まだ息がある者もいたがボスの後ろに控えているゴブリンによって止めを刺されている。ボスは人間達が恐怖している様を見て嗜虐心が刺激され歪んだ笑みを浮かべている。

 そしてさらに恐怖を煽るように棍棒を振り回すのを止めて一人一人を叩き潰すように変えた。目を背けたくなるような惨たらしい光景が量産され、人間側の士気に大いに悪影響を与えている。

 

「う、うわあああぁぁぁ!?」

「も、もうダメだ…」

「お、俺は逃げる!こんなとこで死にたくないっ!」

「お前ら、待て!?くっ…!こうなる事を見越してこいつは…!」

 

 恐怖に耐えきれなくなった兵士達が次々と逃げ出し、隊長は憎々しげにボスを見ているが手を出せずにいる。ボスは他のボスより身体が一回り大きく頭以外を分厚い鎧などで防御しており、生半可な攻撃では歯が立たずここにいる面々でその防御を突破できる攻撃力を持った者はいなかった。

 そう、いなかった、だ。

 

「【ライトニング】!」

「グオオオォォォ!?」

 

 一条の雷がボスの身体を貫き、ボスはたまらず膝をついた。普通なら多少のダメージだけで膝をつかないが、金属製の全身鎧を纏っているので感電し動きが鈍っている。

 ボスに魔法を放ったのは別の場所で壁の外のゴブリンに対処していたセレムだった。ボスが登ってきた時に向かおうとしたが登ってきたゴブリンに邪魔をされ倒すのに時間が掛かった。

 

「これ以上はやらせないんだから!」

 

 セレムは再び魔法の準備に入った。

 それを阻止しようとゴブリン達が殺到するが残った兵士とハンターが身を挺して食い止めている。

 

「やらせるかよ!」

「こっからは通さねえ!」

「ちくしょう!やってやる!やってやるぞっ!」

「よくも俺の友達を!」

 

 自分達ではボスに太刀打ちできない。

 悔しいが彼らはそれがわかっていた。だから代わりにやってくれる彼女を全力で守っている。そしてそれを理解し答えようとセレムは少なくなってきている魔力を使い切る覚悟で搾りだしている。

 

「【フレイムピラー】ッ!」

 

 赤い魔法陣がボスの足元に現れ、そこから全てを焼き尽くすような火柱が立ち上がった。

 

「■■■■■ッ!?!?」

 

 炎によって喉が焼かれ声にならない悲鳴を上げているボスだが、炎は緩む事無くボスを焼き尽くしている。僅か数秒ほどで火柱は消えたが、そこには黒ずんだボスだったものがあった。それも地面に倒れると灰のように崩れた。

 ボスの死に様を見てゴブリン達は発狂したかのように悲鳴を上げて逃げ出した。梯子すら使わずに壁の上から飛び降りて逃げ出すゴブリンを人間達は容赦無く追撃している。

 ボスを倒したのを確認してセレムは力無くその場にしゃがみ込んだ。立つ事すら覚束ないほどフラフラで顔色も青白く息も荒い。

 

「お、おい!大丈夫か!?」

「はあ、はあ、だ、大丈夫じゃ、ないか、な…はあ、はあ…ちょ、っと魔力、使いす、ぎたみ、たい」

「無理するな。後は俺達に任せろ」

「ゆっくり休みな」

「はあ、はあ、ご、ごめん、後、おねが、い」

 

 動けないセレムを後方に運んだ後にハンター達はゴブリンとの戦いに戻った。

 ボスの討伐により第一陣の士気はガタ落ちで、残っているゴブリンは逃げ出すか自棄になって特攻したりとバラバラに行動している。ゴブリンの陣地からも見えた火柱を見て残っていたボス達も重い腰を上げて動き出した。

 

「「「グオオオォォォ!!」」」

 

 ボス達の掛け声とともに残っているゴブリン全てが一斉に走り出し、ボス達も遅れて走り出した。

 

「第二陣が来るぞー!」

「撃て撃て!手を緩めるなー!」

「撃てる奴は魔法も撃てー!」

 

 弓隊は残っている矢を全て使い切る勢いで撃ち始め、魔法隊も魔力に余裕がある者は次々と撃ち始めている。

 

「う、動かないと…」

 

 セレムは腰のポーチから濃い青色の水薬を取り出し一気に呷った。

 セレムが飲んだのは上位の魔力回復の水薬で全快ではないが全体の半分ほどの魔力を回復してくれる魔法使いにとっては必需品と言える物だ。

 

「うげえぇ…」

 

 ただ唯一の欠点は吐きそうなほどの不味さだ。味を変えようとすると効果が下がってしまうので皆、眉間に皺を寄せて耐えながら飲んでいる。水薬の不味さに耐えつつセレムは迎撃に参加すべく立ち上がった。

 

「私もやるわ!」

「大丈夫なのか!?」

「ポーションも飲んだ!足りなくなったらまた飲む!赤字になるけど!」

「ハッハッハ!確かに赤字も赤字!大赤字だ!後でギルドに請求してやろうぜ!」

「おいおい、そんなことしたらギルドも大赤字だぞ?」

「ハンター皆大赤字か!ハッハッハ!笑えねえ!」

 

 セレムの切実な懐事情で笑いが伝達しイイ感じに緊張が解けてきた。

 

「よおし!やるぞ!」

「「「「「オオオォォォ!!」」」」」

 

 全員気合いを入れ直しゴブリンの迎撃に力を注いでいる。迎撃で数は減らしているもののやはり数の暴力で再び壁の上に登られているが、そこには既に迎撃準備が整ったハンター達が勢揃いしていた。他のエリアからも応援が続々とやってきて、数では劣るものの第一陣の時のような被害は最小限となっている。

 だがそれもボスが来るまでだった。

 現れたボスはそれぞれ剣と槍と棍棒を持っている。ボス達はハンター達を無視して町への侵入を優先した。町に入れば先ほど見た火柱は出せないと踏んでの行動だった。

 跳躍してハンター達の頭上を飛び越えて町へと降り立ったボス達が見たのは、ルゥトを先頭に勢揃いしたハンター達だった。ゴブリンの知能の高さから壁の上は部下に任せて町への侵入を優先してくると読み、町の方でも迎撃準備を整えていた。

 

「来やがったぜ!」

「こっちは準備万端だぜ!」

「よし!弓、放て!」

 

 ルゥトの合図で数人のハンターが一斉に矢を放った。

 剣を持ったボスは腰から盾を取り出してそれで防ぎ、槍を持ったボスはなんと棍棒を持ったボスを盾にして凌いだ。盾にされたボスに容赦無く矢が刺さりボスはそのまま息絶えた。その遺体をボスは持ち上げてハンター目掛けて投げ付けてきた。

 

「あぶねえ!?」

「うわあ!?」

「あいつ、味方を盾にしやがった!?」

「あいつの中じゃ味方じゃないんだろう!」

「来るぞ!構えろ!」

 

 槍を構えて真っ直ぐ突っ込んできたボスを迎撃するハンター達。

 ルゥトは盾を構えたボスと一騎打ちをしていた。

 

「(このゴブリン、さっきの奴とは全然違う…隙が全く無い)」

「グウウウゥゥゥ…」

 

 ルゥトが隙を窺うものの全く無く攻めあぐねている一方で、ボスの方も強者の存在に警戒しており慎重になっている。お互い距離を取りつつ睨み合いが続いているが状況がそれを許さなかった。

 

「ギャギャア!」

「へっへっへ!てめえを殺れば俺は英雄だっ!」

 

 動かないルゥトを隙だらけと勘違いして襲い掛かったゴブリンと欲に目がくらんだハンターがそれぞれに襲い掛かった。

 

「なっ!?待て!くっ!?」

「グル」

 

 ルゥトは止めようと声を張り上げるがゴブリンに邪魔をされ対処している間にハンターはボスに首を落とされていた。駆け出しではないハンターを容易く首を落としたボスは勢いのままにルゥトに襲い掛かった。ゴブリンを斬り捨てたルゥトは猛攻を仕掛けてくるボスに押され苦戦している。

 

「くっ!(先手を取られた!流れは向こうにあるか!だが凌いでいればチャンスは必ず来る!)」

「グオオオォォォ!」

 

 剣と盾を使って猛攻してくるボスをルゥトは防ぎ、避け、受け流してひたすら機会を待っている。

 ルゥトが防戦一方な頃、もう一体のボスの方は厳しい状況に置かれていた。

 ボスは身の丈を超える粗末な大槍を振り回していてハンターが近づけないでいる。矢を撃っても切り払われ、魔法を放っても見た目にそぐわず俊敏な動きで避けている。大盾を持ったハンターがボスの攻撃を何とか防いでいるが大盾に亀裂が入り始めており長くは持たない。

 

「くっそ!?これじゃ近づけねえ!?」

「矢も当たらん!早すぎる!」

「魔力も残り少ない!」

「ぬぐう!?このままじゃ盾が持たん!」

「鋼鉄の盾だぞ!?どんな怪力してんだ!?」

 

 必死の攻防が続く後ろの方で弓を構えてジッと待っている者がいた。

 レネイはエルフという種族で森に住む事が多く弓の扱いに長けており、レネイも例外ではなく命中率は九割を超えるほどの腕前だ。レネイはボスが隙を見せるのをただひたすらに待っていた。

 ボスは槍をふりまわして大暴れしているが後先考えずに動いており段々と動きに精細が欠けてきた。そして後ろに下がって呼吸を整えようとした瞬間レネイが動いた。

 

「そこだ!」

 

 レネイの弓から矢が放たれ寸分違わずボスの額に突き刺さった。矢は深く突き刺さりボスはそのまま後ろに倒れた。

 ハンター達は突如ボスが倒れて固まっており、矢が飛んできた方をゆっくりと振り返っていた。

 

「「「「「…」」」」」

「ん?何だ?」

「何か…すっごく横取りされた気が…」

「お前もか。実は俺もだ」

「助かったと言えば助かったけど…」

「それはなくね?」

「せめて事前に言っといてくれよ…」

「さっさと倒さない方が悪い。被害も抑えられて良い事尽くめだ。何か問題でも?」

「そうだけどよ…」

「なーんか、釈然とせん…」

「ええい!いつまでもゴチャゴチャと五月蝿いぞ!まだ敵はいるんだ!さっさと動け!」

 

 レネイの言っている事は間違ってはいないのだが、見事に横からかっさられた事でハンター達は釈然としない気持ちでいっぱいだった。それでもまだゴブリンはいるのでモヤモヤした気持ちを抱えつつ戦闘に戻った。

 一方ルゥトの方は膠着状態になっている。

 ルゥトは幾度か攻撃を仕掛けているが全てボスが持つ盾に防がれている。盾も使ったボスの猛攻に徐々に追い詰められている。

 

「(普通に攻撃しても盾に防がれる。ならば盾ごと奴を斬るしかない)」

 

 ルゥトはボスの攻撃を敢えて真正面から受け止め鍔迫り合いに持ち込んだ。至近距離で睨み合いが続く中、ルゥトは魔法を唱えた。

 

「【エンチャント・フレイム】!」

 

 ルゥトの持つ剣に光ったと思ったら次の瞬間には剣が炎に包まれた。

 属性付与魔法。

 ルゥトが使える数少ない魔法である。

 剣が炎に包まれてから徐々にルゥトが押し始め、ボスの剣から嫌な音が響き始め遂に折れた。ボスは慌てて下がるがルゥトは千載一遇のチャンスを逃さなかった。

 

「魔戦技【爆炎斬】!」

 

 ルゥトが叫ぶと炎がさらに強くなりそのままボスに勢いよく振り下ろされた。

 ボスは盾を構えるが拮抗すらなく盾ごとボスを切り裂きボスの身体は爆炎に包まれた。火の粉と衝撃波が辺りに広がりゴブリンやハンター達もそれに吹き飛ばされたり耐えたりして動きを止めている。煙に包まれているがそれが引くと真っ二つになり所々炭化しているボスの身体が地面に転がっていた。

 ゴブリンからは悲鳴が、ハンター達からが喝采が上がった。

 

「やったぜ!」

「さすが〈四剣〉だ!」

「これでボスは全滅だ!」

「ゴブリンのボスは討ち取った!残ったゴブリンを追い返すぞ!」

「「「「「ウオオオォォォ!!」」」」」

 

 ルゥトの掛け声で息を吹き返した兵士とハンター達は一気呵成に攻めたてた。

 ボスを失ったゴブリン達は統率を失い逃げ出す者、自棄になって襲う者に別れている。襲ってくるゴブリンは斬り捨て、逃げるゴブリンは後の禍根を断つべく可能な限り討ち取っている。それでも数十体以上は逃げられており、非戦闘員も合わせて数百体は逃げ出した事になる。

 

「ちっ!逃げられちまった!」

「まあ、しゃあねえよ。数が数だしな」

「後でギルドも討伐依頼を出すさ。今回はこれぐらいにしておこうや」

「…はあー、そうだな」

「そうそう。流石に俺は疲れたよ」

 

 逃がした事に怒りを露わにする者もいるが、今から追いかけても追いつかず返り討ちに合う可能性もあるので仲間の制止に従った。町の中や壁の上からゴブリンはいなくなり、森の中などに逃げ込むゴブリン達を皆が眺めていた。

 

「ゴブリン達はいなくなった!俺達の勝利だー!」

「「「「「ウオオオォォォ!!」」」」」

 

 勝利の立役者となったルゥトの勝鬨にその場にいた全員が勝利の雄叫びを上げた。

 ターエル防衛戦は人間側の勝利に終わった。





作中に出た〈魔戦技〉ですが簡単に説明すると魔力を使って繰り出す技です。
ドラクエに例えるとMPを使ってかえんぎりなどを放つといった感じです。
詳しい説明などはいずれそのうちに。
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