転生したと思ったらママになっていた件   作:大神降ろし

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第五十三話

 

 朝となりシリウスはいつも通り身支度などを終えて朝食を取った後、再びルーデニックの町の散策へ向かった。今日は昨日行った南地区以外の所を散策し帰りに食料の補充をする予定だ。

 ルーデニックは東西南北の地区に別れておりシリウスが泊っている宿屋は東地区にある。シリウスは東地区から北地区へ行き西地区を通って南地区へ向かう事にした。

 東地区と西地区は外へ出る門があるので宿屋やハンターや旅人が使う物を売っている店などが多くあり、北地区には居住区が広がり、南地区は商業区画で中央に町長の屋敷やギルドなどが建っている。東地区では多くのハンターや旅人が店に入ったり、露店で品物を見ていたりしている。

 シリウスはそれを横目に見ながら通りを北地区の方へ歩いている。外から店の中を見たり露店の品物を見たりしているが特に惹かれる物は無かったのでそのまま歩き去った。北地区の居住区は家が所狭しと並んでいて通りを子供達が走り回って遊んでいたり、家の中にいる女性達が窓に洗濯物を干していたり、奥様方が道端で井戸端会議をしている。シリウスは遊んでいる子供達の横を通って居住区の中を歩きながら家々を観察している。

 

「(みっちり詰まってるな…家もちょっと狭そうだ。将来、住むなら町じゃなくて村の方がいいか?いやでも利便性を重視させるなら町の方が…だが町じゃ犯罪が…でも村じゃ魔物が…ぐぬぬ…)」

 

 あっちが立てばこっちが立たずな状態になり悩むシリウスだったが、しばらくしてまだ先の話だと考えるのを止めた。

 そのまま歩き続けて北地区を通り抜け西地区へとやってきた。西地区は東地区と同様でハンターや旅人が使う物を売っている店があるが、こちらは武器防具などを多く扱っている。身体が大きい男が店先に展示されている斧を見ていたり、優男が新品同様に磨かれた剣を見て満足そうにしていたり、女の魔法使いが魔具の店の前で財布の中を見て溜め息を付いていたり、男が露店の商人と値段交渉が白熱して言い争っていたりと大変賑わっている。

 

「ターエルでも見た光景だな…皆は元気にしているかな?」

 

 ターエルで知り合った人達の事が脳裏に浮かんだ。シリウスが思いを馳せている時、ターエルでは変わらない日々が続いている。

 

「ぬうわあああぁぁぁん!もうイヤあああぁぁぁ!」

「り、リヤンちゃん…が、頑張らないと、終わらないよ…」

「無理、もう無理いいいぃぃぃ…」

「はぁ~…先が思いやられる…」

 

 ギルドの一室でヴァレットの座学の教導が行われており、ハンターの基礎知識を問われる問題集を全部解くまで帰ってはいけないと言われ教導を受けている者達は必死に問題を解いている。リヤンは泣きながら頭を抱えており、ミーリも目から光が消えかけている。他の新人ハンター達も似たようなもので皆頭から煙を出したり、虚ろな表情をしている。死屍累々な状況に教導をしているヴァレットは溜め息を付いている。

 そしてまた別の所でも似たような光景が広がっていた。

 

「む、無理。無理無理無理、無理だって…!」

「もう!そんなんじゃいつまで経っても他の人と喋れないじゃないの!」

 

 ミネアの店でラトミシアがフリルがいっぱい付いた可愛らしい服を着ていた。ラトミシアの人見知りを改善しようとミネアが今日一日自分の店で接客させようとしているのだが、ラトミシアは全力で拒んでいる。泣き言を言うラトミシアにミネアは喝を入れるのだが逆効果だった。

 

「うぅ…ひっく…」

「はぁ~…先が思いやられるわ…」

 

 ついにべそを掻いて泣き出してしまいミネアは溜め息を付いている。

 そしてミネアの店の向かいのマロスとコニーの店でも似たような事が起きていた。

 

「お、おじいちゃん、おばあちゃん、む、無理だって…!」

「何を言ってるんだマイロ。やらなきゃ先には進めんぞ」

「そうよ。大丈夫、失敗しても皆笑って許してくれるわ」

「そ、そういう問題じゃない…!」

 

 マロスとコニーがマイロの人見知りを少しでも緩和させようと受付の仕事をやらせようとしているが、マイロは全力で拒んでいる。

 

「む、無理!」

「あっ!?マイロ!?」

「はぁ~…先が思いやられるわね…」

 

 マイロは二人の制止振り切って自室へ逃げ込み、コニーは溜め息を付いている。

 

「…何だろうな。見知った人達が大変な目に合ってる気がする…リヤンとミーリとラトミシアさんとマイロさんか?まあ、リヤンとミーリは置いといて、ラトミシアさんは大丈夫だろうか…マイロさんは…うん、ファイト」

 

 ちょっと!?、シリウスちゃん!?、助けて~…!、僕だけ雑…!?と情けない声が聞こえた気がしたがシリウスはスルーした。

 気を取り直して散策を続けるシリウスは西地区の店や露店を覗きながら南地区の方へ向かおうとした。

 

「うわぁ!?」

 

 するとシリウスの進行方向で小競り合いが起きた。優男がハンターの一団に突き飛ばされ地面に尻もちを付いている。

 

「いい加減にしろ!何度言わせるつもりだ!」

「ま、待ってくれ!?何でそんな急に!?」

「別に急じゃないわ。少し前から皆と話し合って決めた事よ」

「馬鹿に分かるようにハッキリ言ってやる!クルフ!お前はクビだ!」

「な、何で!?」

「何でだ…?テメエが足手まといだからだよ!」

「なっ!?」

「大口叩いたくせにすぐに泣きつくし」

「勝てもしない相手に突っ込んで負けるどころかこっちも巻き沿いにするし」

「大して活躍してないくせにさも自分がやったかのように吹聴する」

「男爵の子供だから多少支援を受けれると言ったくせにそれも一切ねえ!口だけの馬鹿はいらねえんだよ!」

「ま、待ってくれ!頼む!」

「うるせえ!近寄るな!」

「ぐわぁ!?」

 

 仲間だった大男に殴られて優男は路地裏に積まれていた箱の山に突っ込んだ。箱は崩れその下敷きになった優男を元仲間達は見捨てて立ち去った。

 

「(あーあー…可哀想ではあるが最優先はポラリスとアトリアだから関わらない)」

「ちょっとシリウス、まさか助けるつもりじゃないでしょうね?」

「助けないよ。今さっき聞いた感じだと自業自得でもあるしね」

「ならいいわ。あんた、お人好しだから助けるんじゃって思ったから」

「流石にそこまでじゃないよ」

「どうかしらね…」

 

 中々辛辣なピーニの言葉に苦笑しつつシリウスは少し迂回して南地区へと向かった。南地区の昨日訪れなかったところへ向かうと生鮮食品を売っているエリアがあり、夕食の買い出しにきた奥様方や飲食店の店員が数多くいた。シリウスは人混みに押し潰されないように避けながら商品を見ている。

 

「魚がやっぱ多いな…デカいな、ポラリスぐらいなら丸呑みにされそうだ。こんなのが川にいるのか。おっかねえ…こっちはウナギっぽいな。前のとこより倍以上長いな…小っちゃい魚もいっぱいいるな。この辺が食卓によく出る奴だな。こっちはカミツキウオか、焼いたら美味しかったな。こっちのはデカいというよりデブだな。え?中に卵が入ってるの?だからか。そして値段も高い…一匹5000リクルは流石に手が出せないな。貝類もいっぱいあるな。こっちも前のとこよりデカいな。一個で何人分食えるんだろうか…こいつは小っちゃいな。シジミみたいだな。こっちは野菜か…マルイモとナガニンジンとカラタマは補充しといて、これは…タテイモ?マルイモの仲間?種類が違うのか。少し買ってみるか。おっ?トマトだ。これも買いだな。葉っぱ系も買うか?でもそんなに持たないからな…一人用のちっさいのは無いのか?」

 

 どんな料理を作ろうか考えながら日持ちする食品を中心に買っていたらポラリスとアトリアのお腹から可愛らしい音が聞こえた。ちょうど昼時だったのですぐに食べられる手頃な物が無いかと辺りを散策したらオシャレなカフェを見つけた。貴族や商人だけでなくちょっと贅沢したい町民も店に入っており繁盛していた。

 

「カフェか…軽食もあるみたいだな。久々にコーヒーでも飲むか」

 

 シリウスが店内に入ると店にいた客が入ってきたシリウスの方を向いた。シリウスは気にも留めていないがシリウスはかなり上位に入るぐらいの美少女であり、その美少女が子供を連れているので注目が集まっている。

 

「見て…」

「見ない顔だけど、かなりの美人ね…」

「子連れだけど…まさかあの娘の子供?」

「それにしては若すぎない?」

「綺麗ね…」

「妬ましいわ…」

「おおっ…なんという美人…!是非ともお近づきになりたいものだ…」

「可憐だ…」

「ねえ…?彼女が目の前にいるのにそんなこと言うの…?」

「うえ!?い、いや、その、これは…!?」

「(うるせえな…静かに飲めよ)」

 

 ヒソヒソしながらこちらをチラチラ見てくる周囲に煩わしさを感じながら空いている席に着いた。

 

「いらっしゃいませ。こちら、メニューとなります」

「ありがとうございます」

 

 店員からメニューを渡されて見てみると前世のカフェと特に変わりはなかった。

 

「(特に変わらんな)…コーヒー一つとサンドイッチ一つ。後、子供でも食べれる物ってありますか?」

「でしたらクッキーはいかがでしょう?お飲み物にホットミルクもございますよ」

「ではそれを二人分お願いします。あ、後コーヒーはミルクと砂糖は無しで」

「かしこまりました…え?」

「「「「「!?」」」」」

 

 注文を聞いた店員は思わず声を漏らした。周囲の人達も驚愕の表情で一斉にシリウスを見つめている。

 

「どうしました?」

「いえ、その…本当にミルクと砂糖無しでよろしいのでしょうか?」

「ええ」

「…相当苦いですよ?」

「大丈夫です」

「わ、分かりました。少々お待ちを」

 

 店員はメニューを回収して厨房へ向かった。

 

「あの苦いのをそのまま…!?」

「ミルクと砂糖をたくさん入れないととても飲めたものじゃないのに…!?」

「あんな泥水をよく飲むものだわ…」

「そうね。私は紅茶で十分」

「あ、あの苦いのを飲むのか…中々豪胆なお人だ…」

 

 色々と囁かれているがシリウスは全て無視してポラリスとアトリアと手遊びして注文の品が来るのを待っている。

 

「お待たせしました」

 

 注文した品がやってきてテーブルの上に置かれた。シリウスが注文した卵と野菜のサンドイッチとコーヒー、ポラリスとアトリアのクッキーとホットミルクだ。

 

「ごゆっくりどうぞ」

「ありがとうございます。じゃ、いただきます。ポラリス~、あ~ん」

「あ~。あ~♪」

「アトリア~、あ~ん」

「ぅ、ぁ…ぁ、ぉ♪」

 

 二人にホットミルクを飲ませクッキーを食べやすい大きさに砕いて食べさせている。ほんのり甘いクッキーを気に入ったのか二人とも笑顔で食べており、シリウスはそれを微笑ましそうに見つめている。

 

「じゃあ私も、あむっ、うまっ。カペラ~、あ~ん。ピーニもはい」

「(プルプル)♪」

「やっぱり卵は美味しいわ~♪」

 

 カバンで隠してカペラとピーニにもサンドイッチを食べさせると二人も美味しそうにしている。

 

「ズズッ…うん、苦い。やっぱコーヒーはこうじゃないとな」

 

 コーヒーをブラックで飲んでご満悦なシリウスだが、周囲の人達は美味しそうにコーヒーを飲むシリウスに驚愕していた。

 

「ほ、本当に飲んでる…」

「あれを飲める人がいるなんて…!」

「あれってここの店主が道楽で出してたのよね?」

「ええ。知り合いから貰ったけど誰も飲めなかったから飲める人を探してたはずよ」

 

 周囲の人達が再びヒソヒソしているがシリウスは気にも留めず久々のコーヒーを堪能していた。そこへ先ほどの店員とは違う初老の男性がやってきた。

 

「失礼します。私、ここの店主をしている者です」

「はあ、どうも」

「失礼ながらコーヒーを飲まれたとお聞きしたのですが?」

「ええ、飲みましたよ」

「…もしよろしければお譲りできますがいかがでしょう?ああ、もちろん代金は頂きませんのでご安心を」

「えっ!?いいんですか!?」

「もちろんです。貰ったのはよかったのですが苦くて中々減らず、このままでは捨てる事になりかねなかったものですから」

「是非ください!」

 

 店主との交渉の末、残っているコーヒーの豆五袋のうち、三袋をゲットできたシリウス。久々にコーヒーを飲めてさらにタダでコーヒー豆を手に入れる事ができてご満悦なシリウスが食事を終えて店を出た後再び散策しているとブーナガストからの追手の姿が見えた。まだ町に滞在していたらしく今度は道行く人だけでなく子供も確認していた。

 

「(おいおい、マジかよ…絶対アトリアを探してるじゃん。くそっ、考えが甘かったか…!とにかく見つからないように迂回して宿屋に戻ろう)」

 

 良かった機嫌も一気に下がったシリウスは直接東地区に向かわず西地区と中央を経由してから宿屋に戻った。幸い道中で追手に出くわさずに済んだが、宿屋に乗り込んで確かめてくる強硬手段に出ないとも限らなかった。

 

「考えが甘かった。明日、早いうちにここを出るぞ」

「やっぱりアトリアを探してるの?」

「ああ。子供も確認していたからな。多分間違いない」

 

 シリウスの真剣な表情から事態が良くない方向に転がっている事を察してピーニも眉をひそめており、ポラリスとアトリアも良くない空気を感じたのか泣きそうな表情をしている。

 

「う~…ま~」

「ぅ、ぅ…ま、ま」

「ポラリス、アトリア、大丈夫。ママが絶対守るから」

 

 泣きそうな二人を抱き締めてあやしながらシリウスは絶対に二人を守ると心の中で誓った。

 

「それでここを出てからどうする気?」

「町を出たら道を通らないようにしながら次の町に向かう予定だ。道は見張られてる可能性が高いからな」

「でしょうね」

「奴らは多分アールレディアの方に向かうはずだから私達はこのまま王都の方へ向かう。確か方角が違うはずだからそっちの方に行けば出くわさないはずだ」

 

 アールレディアはルーデニックから南西の方角にあり、王都は西の方角だ。明朝、すぐに出れるようにシリウスは荷物を整理し始めた。

 

「これをこっちに、これはこっち…よっと。これでよし。水は出る直前に補充しとこう。ん?ポラリス~、アトリア~、大丈夫だよ」

 

 準備を整えたシリウスは不安そうに自分を見上げるポラリスとアトリアを抱き上げた。頭を撫でたり、頬擦りしたり、高い高いをしたり、頬にキスしたりとあやしまくった。その甲斐合ってポラリスとアトリアに笑顔が戻った。

 

「んふふ~♪ポラリス~♪アトリア~♪」

「ま~♪」

「ま、ま♪」

「(プルプル)」

「カペラもおいで~」

「(プルプル)♪」

「まだやってる…よく飽きないわね…」

 

 小一時間ほどイチャついているシリウス達にピーニは呆れたように見ている。ピリついた空気は一新されいつもの空気が戻ってきたところで夕食を食べに下へ降りた。

 

「いらっしゃい。今日のオススメは魚と貝のトマトスープだよ」

「ではそれを」

「その子達のも持ってくるからねー」

「ありがとうございます」

 

 何も言わなくても察してくれたウェイトレスに感謝しポラリスとアトリアをあやしながら町を出た後の事を考えている。

 

「(道は通らないようにするから森の中を通っていくか。幸いピーニがいてくれてるから精霊に周囲の警戒をお願いできるか聞いてみよう)」

「お待たせー…それとちょっといい?」

「ありがとうございます。何ですか?」

「…ちょっと前にガラの悪い男達が来てさ、客に子連れがいないかって聞いてきたんだよね」

「!…それで?」

「いないって言っといたから安心して。どう見てもヤバい連中だったからね」

「ふぅ…すいません」

「いいよ別に。ただあいつらまだこの町にいるつもりらしいから早めに出た方がいいよ」

「ありがとうございます。そうします」

 

 すでに宿屋を訪ね歩いているらしく危うく鉢合わせするところだった。ポラリスとアトリアとカペラに食べさせつつ思考は止まらなかった。

 

「(マズいな…もうこの辺まで来てたのか。散策してた時に見られてたかもしれん。マジで明日の早朝に出ないとならんな。最悪、一戦交える事も考えとかないとな)」

 

 せっかくの美味しい食事も味わう余裕も無く、周囲を目だけを動かして警戒しこちらを見ている者がいないかを確認している。皆が満足すると残った食事を一気に流し込んで早々に部屋へ戻った。

 

「もうちょっと味わってもよかったんじゃない?」

「そうしたかったんだけど…あんな話を聞かされたんじゃそうもいかんよ」

「それはそうだけど…」

 

 ピーニにも言われて味わって食べれなかった事をちょっと後悔し、その恨みをいつか追手にぶつけると心に決めた。食べ物の恨みは深いのだ。

 その後はいつものように歯を磨いて寝間着に着替えて寝た。

 

「…いないな。よし行こう」

「ふわぁ~…さむっ」

「寝てていいぞ。森に入ったら起こすけど」

 

 翌日の早朝、日の出前に宿屋を出たシリウスは水を補充した後、誰かに見られないように気をつけながら西門へ向かった。腕の中のポラリスポラリスとアトリアが寒くないように外套で包み、二人はシリウスにピッタリ引っ付いて寝ている。

 周囲を警戒しながら早足で進み誰にも見られずに西門に辿り着くとそこには門が開くのを待っているハンターや商人がいた。そしてそれに紛れてその場にいる人達を観察している悪人面した男達が壁際に立っていた。

 

「ちっ、いやがった。どうするか…」

 

 シリウスは門近くの家の陰に隠れながら打開策を模索している。するとそこに商人の馬車がやってきた。

 

「…これに隠れながら進むか?でもあいつらも確認するよな…」

 

 中々いい案が浮かばず、モタモタしていたら門が開いてしまった。待っていた人達は続々と外へ向かい、男達もより一層注意深く見ている。

 

「ええい、行くしかない…!」

 

 シリウスは意を決して馬車に並走するように動き、男達がいる位置と対角線上になるように位置取りし可能な限り見えないように歩いている。馬車の下から男達が動いていないか逐一確認し、馬車が門を潜ろうとした時、男達のうちの一人が反対側を確認しようと動き出した。シリウスは男達の死角の馬車の前の方へ早歩きで移動しそのまま町の外に出た。男が反対側を確認した時にはシリウスは他の人達に紛れて町の外におり、男は仲間の所へ戻っていった。

 

「…もう、大丈夫か…?いや、まだこのままで行こう」

 

 しばらくの間商人やハンターに紛れて歩いていたが、町から十分離れたのを確認してから速度を落として最後尾に移動し誰も見ていない事を確認してから森の中へ入った。

 

「…ふぅ~、取りあえず一安心」

「もう大丈夫なの?」

「多分な。このまま森の中を移動するぞ」

 

 誰も付いてきていないか確認しながらシリウスは森の奥へ入っていった。

 

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