転生したと思ったらママになっていた件   作:大神降ろし

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第七十七話

 

 依頼だったフォレストビーの巣の攻略は完了したが、ハンター達にとってはある意味これからが本番だった。

 

「さーて、邪魔者はいなくなったな」

「へっへっへ♪お楽しみの時間だぜ♪」

「よーし!道具は持ったかお前らー!?」

「「「「「おおおぉぉぉ!」」」」」

「蜂蜜が食いたいかー!?」

「「「「「おおおぉぉぉ!」」」」」

「そんなお前達に朗報だ!今日は取り放題だー!行くぞー!」

「「「「「うおおおぉぉぉ!!」」」」」

 

 外の安全な場所に置いておいた荷物から大きな樽や瓶を大量に取り出し、持ってきた鋸で巣の壁を切り出して中にある蜂蜜を採り始めた。

 

「よーし!僕も行ってくるよ!」

「オラも行くだ!」

「は、蜂蜜…!」

「ガッハッハッハ!大量だー!」

 

 戦闘が終わったので護衛は不要と判断しクルフとエベッタとテゴンとガッソムも蜂蜜を採りに走り出した。

 

「…皆、元気だな」

「シリウスは行かなくていいの?蜂蜜よ?」

「痛みが引いてからな…まだ痛い…」

「無茶するからよ、全く…」

「ま~」

「ままー」

「…ぁ、ぅ…」

「(プルプル)」

「大丈夫だよー…」

 

 先ほどまで激しい戦闘をしていたのに疲れを見せずにイキイキと蜂蜜を採る皆に呆れながらポラリス達をあやしている。

 

「…さて、そろそろ私も行くか」

 

 しばらく休み、頭痛がマシになってきたのでシリウスは荷物から瓶を取り出して立ち上がった。皆がしているのを真似て壁を剣で傷つけてそこから垂れてくる蜂蜜を瓶に入れている。甘い匂いが辺り一帯に立ち込めて我慢できずにその場で蜂蜜を食べ出す者が出始めていた。

 

「むほー!うめー!」

「あっ!?てめえ!」

「ずるぃ!俺も!うめー!」

「馬鹿ばっかりね…」

「そ、そうだねー…」

「…あんた、食べたでしょ?」

「ギクッ!?そそそそんな事、な、無い、よ…?」

「お前ら…食うのは構わんがちゃんと採れよ」

 

 数個の樽にギッチリと蜂蜜を入れた後、蜜蠟を切り出して袋に入れ始めた。

 

「蜜蠟か。やっぱりあれも美味いんだろうな」

「そりゃそうでしょ。フォレストビーの蜂蜜はとっても甘くて美味しいのよ。私達フェアリーだって滅多に食べられないんだから。というわけで私もー!」

「あーあー…全く…見つかるなよ」

「うまー!」

「聞いちゃいねぇ…そういやロイヤルゼリーとかもあるのか?…ちょっと見て回るか。ピーニ、行くぞ」

「のわぁ!?放しなさい!私の蜂蜜がー!?」

「うるせぇ黙ってろ」

 

 口の回りと手が蜂蜜でベトベトなピーニを掴んでシリウスは少し奥の方へ向かった。クイーンがいたであろう場所に着くとその辺りを注意深く見て回った。

 

「んー…この辺りにありそうなんだが…」

「何を探してるのかは分かんないけど、きっと食べれば分かるわよ。さあ、開けなさい!」

「食いたいだけだろ、ったく…でも開けてみないと分からんか」

 

 シリウスは目の前の巣の壁を傷つけて穴を開けた。そこから垂れてきたのは黄色っぽい蜂蜜ではなく乳白色のクリーム状の液体だった。

 

「おお…ビンゴ」

「なあにこれ?」

「ロイヤルゼリーっていってな。クイーンが食べる蜂蜜みたいなもんだ。普通の蜂蜜より栄養が高い、らしい」

「へー…取りあえず味見…うっま!?何これうっま!超濃厚!」

「静かに食え」

 

 シリウスはロイヤルゼリーを夢中で食べているピーニに呆れつつ瓶に入れている。

 

「シリウス、どこにいるんだい?」

「シリウスー」

「クルフとエベッタか。こっちだ」

 

 いつの間にかいなくなっていたシリウスを探してクルフとエベッタが奥までやってきた。

 

「シリウス、いただ」

「こんな奥でどうしたんだい?」

「これ食ってみな」

「何だいこれ?」

「良い匂いがするだ…あむっ、!!う~ま~い~だ~!!」

「そ、そんなにかい?あむっ、!?凄い濃厚!!」

「なんだなんだ?」

「どうした大声出して?」

「これ凄い美味しいよ!」

「これがか?」

「蜂蜜には見えねえが…!?超うめえ!」

「すげえ濃厚だな!これは採らねば!おーい!樽余ってないかー!」

 

 手前で蜂蜜を採っていた皆も集まって味見した結果、満場一致でロイヤルゼリーも採取される事になった。蜂蜜と合わせて十数個の樽と百個ほどの瓶が採取され荷車に載せられた。それでもまだまだ余っており、もし無事なら後日手が空いている者が採りにいく事になり一度王都へ帰還する事にした。

 

「いやー、大量大量♪」

「素材も大量に手に入って言う事無しだな!」

「ちょっと、言う事あるでしょうが」

「そうだぞ。ギルドに依頼書と書かれてた事が違うって言わなきゃならんだろうが」

「…そうだった!?」

「蜂蜜を採るのに夢中で忘れてた!?」

「いい加減な仕事しやがって!思い出したら腹が立ってきた!」

「絶対追加報酬ふんだくってやるわ!」

 

 依頼書と書かれた事が違ったお陰で危ういところだったのを思い出して全員怒りが再燃していた。

 

「…まあ、俺らが無事なのは嬢ちゃんのお陰だけどな」

「そうだな。俺らがやいのやいの言ってる間に作戦を考えてたしな」

「この人数であの大きさの巣を攻略できたなんて今でも信じられないわ…」

「だよな。普通ならこの倍は欲しいしな。これだけで攻略できたなんて奇跡みてえだ」

「時間は掛かったが依頼は達成できたし、蜂蜜も手に入ったし、何より生きてる。終わり良ければ総て良し、だ」

「それはそれとしてギルドに文句は言うけどな!」

 

 話題に上がったシリウスは今回の功労者なので蜂蜜が積まれた荷車に乗ってのんびりしていた。

 

「楽ちんだ」

「ま~、う~」

「ままー、あーうー」

「…ぇぅ、ぁ、あ、ぅ…ぅぅ…」

「ごめんね~。これはポラリス達は食べられないんだよ~」

「う~」

「うー」

「…ぅ、ぅぅ…」

「ごめんね~。帰ったら美味しい物買ってあげるからね~」

 

 ポラリス達は甘い匂いが漂ってくる蜂蜜を食べたくて強請っているが、シリウスは何とか諦めさせようとしている。一歳を超えているか分からないポラリスには怖くて上げられず、アトリアとスピカだけに食べさせるのは流石にポラリスが可哀想過ぎるので三人とも食べさせない事にしている。

 

「どうして駄目なんだい?」

「赤ちゃんはまだ身体ができていないから蜂蜜を食べさせると病気になるんだ」

「そうなのかい?」

「ほへー、そうなのかー」

「シリウスは博識だね。そういう知識はどこで覚えてくるんだい?」

「あー…色んな本を読んでるからな。どこで見たかは覚えてないが」

「そうなのか。僕も読書した方がいいかな…」

 

 前世の記憶からとは流石に言えないので当たらずも遠からずな答えを言うとクルフも納得していた。荷車に揺られて約二時間後、森を抜けて王都に戻ってきた。森を抜けた辺りで体調も回復したシリウスも荷車を下りて歩いている。一行は町に入るとギルドへ真っ直ぐ向かった。

 

「依頼完了の報告に来ました。それと苦情も」

「はいはい、依頼達成ですね…苦情?」

「この依頼書には巣は中の下ぐらいだって書いてあるが…全然違ったじゃねえか!」

「ポイズンビーとかアーマードビーも出てきて大変だったのよ!」

「あの巣の大きさで二十人は少なすぎだ。結構危なかったんだぞ」

「依頼書には巣が大きくなる可能性もある、なんて事は一言も書いてないですよね?これはそちらの調査不足では?」

「そんなはずはありません。我々はキチンと調査しました。いい加減な事を仰らないでください」

「そこまで言うなら実際に見てください。それでハッキリします」

「…いいでしょう。明日にでも調査員を派遣しましょう」

「なら公平を期すためにこっちからも人を出しましょう」

「なら俺が行こう」

「俺も付き合うぜ!」

「私も!」

 

 シリウスとギルド職員との静かな攻防の結果、実際に現場を見て判断される事になり、依頼達成の報酬は確認後に支払われる事になった。

 

「…という事になった。明日、ギルドの調査員が現場を見に行くから報酬は彼らが帰ってきてからだ。大体昼過ぎぐらいかな?そのぐらいにまたここに集まってくれ。それと皆にはこの半紙を渡しておく。これは今日、この依頼に参加したっていう証みたいなものだから無くさないように。一応皆の顔は覚えてるけど、それも絶対じゃないから」

「おう分かった」

「細かいところまで気が利くな」

「これなら参加したって嘘を言う奴も出てこないわね」

「無くさないようにしないと」

「おーい!素材の分配するから集まってくれー!」

 

 諸々の伝達事項も終わりお待ちかねの素材分配の時間がきた。フォレストビーの素材は数十体分はあるので全員に行き渡るが、ポイズンビーとアーマードビーは数体分しかなかった。

 

「まず、これが嬢ちゃんの分だ」

「…待て。フォレストビーは別に構わんが、何でポイズンビーとアーマードビーを一体ずつ渡すんだ。駄目だろ」

 

 シリウスにはフォレストビーが五体分とポイズンビーとアーマードビーがそれぞれ一体分渡された。

 

「受付で話してる間に皆と話し合ってな。やっぱ今回の功労者を労わないとってなってな」

「そうそう。持っていきな」

「全員が無事に帰ってこれたのは嬢ちゃんのお陰だからよ。遠慮すんなって」

「えぇ…はぁ…分かったよ。後で文句言うなよ」

 

 誰からも反対が無くここでゴネても強引に受け取らされると察して渋々素材を貰った。

 

「さーて!素材の分配の再開だー!」

「「「「「うおおおぉぉぉ!!」」」」」

「うるせえな…何の騒ぎだ?」

「フォレストビーの素材の分配だってよ」

「ああ…蜂蜜か。もうそんな時期なんだな」

「それにしても素材の数、多くないか?」

「確かにな。それに比べて人数は少ないな…」

「どうやら巣の規模が違ったらしいぜ。さっき受付で揉めてた」

「おいおい、マジかよ」

「あいつら、よく無事だったな…」

「普通なら何人か死んでてもおかしくねえが…」

「怪我すらしてねえな…」

「どんな手を使ったんだろうな?」

「頭が切れる奴がいたんじゃねえの?」

「それが本当ならどんな奴だろうな?」

「案外あそこにいる奴だったりな」

「あの赤子を抱えてる若い女の事か?まさか」

「だよな。ガッハッハッハ!」

 

 シリウスは皆が素材を分配している場所から少し離れた椅子に座り、膝の上にアトリアとスピカを乗せてあやしながら貰った素材を確認している。

 

「ポラリス~、いい子だね~。フォレストビーの素材は全部売るか。確かジャイアントアントと同じで生活用だったしな。アーマードビーは使えそうだが…牙はソルジャーアントより短いな。メインには使えそうにないから短剣にでもしてもらうか。貰ったショートソードが無かったらサブにしてたな。どうしたアトリア?ほ~ら、むぎゅ~。甲殻は…脛当てかな?羽は今のところ使い道は無いな。これも売ってしまおう。針は…一応取っておくか。ポイズンビーは…どうしよう…顎と甲殻と羽は売るとして、針と毒腺はどうしたら…毒武器もありっちゃありかもしれんが…スピカ~、よしよし、いい子だね~。針と合わせて毒のレイピア風にでもするか?汎用性は低そうだな…これで毒防止の魔具とか作れたらいいんだが…聞いてみるか。何も無かったら売るで」

「いやー、大量だー」

「くぅ…ポイズンビーもアーマードビーも貰えなかったよ…」

 

 シリウスが素材の使い道を模索していたらクルフとエベッタが素材を持ってやってきた。残念ながら二人ともポイズンビーとアーマードビーの素材は貰えなかった。

 

「数が少ないから、仕方が無い」

「オラは蜂蜜が食えたらそれでいいだ!」

「エベッタは前向きだね…」

「ガッハッハッハ!大量大量!」

「あ、シリウスさん」

 

 二人と話していると素材を貰ったガッソムとテゴンもやってきた。

 

「おうシリウス!お前さんのお陰で稼がせてもらったぜ!」

「し、シリウスさんのお陰でしばらくは、も、持つそうだよ。あ、ありがとう」

「私はただ依頼を受けただけだ。気にしなくていい」

「ガッハッハッハ!謙虚だな!だが気に入ったぜ!俺は今暇だからよ、また何か合ったらいつでも声を掛けな!じゃあな!」

「ぼ、僕は住んでる所の手伝いとかがあるから、と、時々だけど、ま、また、一緒に仕事、したい、です…じゃ、じゃあまた!」

 

 ガッソムとテゴンはシリウスに挨拶をした後、素材と蜂蜜を持って帰っていった。

 

「シリウス!オラ達も蜂蜜を貰いにいくだ!」

「そうだよ!蜂蜜を手に入れるためにこの依頼を受けたんだしね!」

「分かったから落ち着け。蜂蜜は逃げんぞ」

 

 素材を貰った後、皆小分けにされた蜂蜜とロイヤルゼリーを貰ってホクホクした顔をしている。クルフとエベッタは待ちきれず小走りで蜂蜜とロイヤルゼリーを貰いにいきシリウスはゆっくりと歩いて向かった。

 

「よう、嬢ちゃん。今回は助かったぜ」

「気にしなくていい。私は自分ができる事をしただけだ」

「ハッハッハッハ!嬢ちゃんはきっと大物になるな!おっと、蜂蜜だろ?嬢ちゃんの分もちゃーんとあるぜ」

 

 シリウスに渡された分は他の者よりも明らかに多く、両手で抱えるほどの瓶が三つも合った。

 

「…多いんだが」

「そらぁ、今回の功労者だからな」

「またそれか…はぁ…どうせ何を言っても渡す気満々なんだろ?」

「ハッハッハッハ!分かってるじゃねえか!そうそう、外にある荷車を使っていいってよ。荷車は明日ギルドに持ってきてくれってさ」

「いいのか?助かる」

 

 クルフとエベッタに手伝ってもらいながら荷車に瓶を積んで宿屋へ戻る事にした。

 

「シリウス、多いね…羨ましい…」

「いいなー」

「一応言っとくが私は増やせとか多くしろとか何も言ってないからな…そうだ、二人とも水飴を売ってる店って知らないか?」

「水飴かい?僕は知らないな」

「オラも知らないだ…」

「そうか。いや、知らないならいいさ」

 

 蜂蜜は食べさせられないので代わりに水飴を食べさせようと考えおり、宿屋へ戻る道中も売ってる店が無いか探しているものの結局見つからなかった。

 

「すまんな、宿屋まで運ぶのを手伝ってもらって」

「気にしなくていいだ!」

「これぐらいどうってことないしね。それじゃあ、また明日」

 

 新緑の安らぎ亭の前まで運ぶのを手伝ったクルフとエベッタは自分達の宿屋へと戻っていった。

 

「やっと帰ってきたな…」

「あっ!お帰りなさい!凄い荷物ですね」

「ハンターのお姉さん、おかえりー!」

「おかえりー!良い匂いがするー!」

「うん、ただいま。これはね蜂蜜だよ」

「「蜂蜜!」」

「蜂蜜採ってきたんですか!?」

「ええ。結構大変でしたよ。よっと。ちょっとここに置かせてもらいますね」

 

 大瓶を右手一本で持ち上げて一つずつ入り口近くの空いているテーブルに置いた。

 

「ふぅ…これ、どうするかな…ん?」

「「「(じー)」」」

「…そうだな、そうするか。良かったらこれ、貰ってくれますか?」

「…へ?」

 

 ポラリス達には食べさせられずシリウス一人では確実に余ってしまうので、だったら皆に振る舞おうと思い立った。コルルは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして固まっている。

 

「もしもーし」

「…はっ!?い、いやいやいや!?だ、駄目ですよ、そんなの!」

「いいんですよ。私一人じゃ絶対食べきれないので」

「(ちょっとシリウス!?それ私の蜂蜜!)」

「(これとは別に瓶で取ってきてあるからそれで我慢しろ)」

「えーと、その、あの、あばばば…!?」

「あーあー、バグっちゃった」

「いいのー?」

「もちろんいいよ」

「蜂蜜ー!」

「もう…一体何を騒いでるの?」

 

 コルルがどうすればいいか分からず、セイルとセネルが蜂蜜を貰って無邪気に喜んでいると奥からコルルの母親が出てきた。

 

「お母さん!ど、どうしたら…!?」

「落ち着きなさい。何が合ったの?」

「は、蜂蜜!いっぱい!くれるって!」

「蜂蜜?」

「ああ、女将さん。この蜂蜜、貰ってくれます?」

「…え?」

「蜂蜜を採ってきたはいいんですが、如何せん多くて…私一人では食べきれないのでお裾分けです」

「「蜂蜜ー♪」」

「セイルちゃんとセネルちゃんは嬉しそうですよ?」

「あ、あの…ほ、本当に?」

「ええ、もちろん。何ならご近所さんに下っても構いませんよ」

「…ち、ちょっと、お待ちくださいね」

 

 コルルの母親は家族と相談すべく奥へ戻っていった。戻ってくるまでの間、シリウスはポラリスとアトリアとスピカをあやしながら食べたそうにしているセイルとセネルに蜂蜜を上げていた。

 

「はい、あ~ん」

「あー!甘ーい!」

「私も!私も!」

「はいはい、あ~ん」

「あー!美味しー!」

「ちょ!?二人とも!?」

「お母さん、美味しいよー!」

「とっても甘いよー!」

「二人ともズルい!」

「あー、コルルさんもどうです?」

「食べます!」

「コルル!?」

「…本当にいただいてよろしいのですか?」

「もちろん。皆さんで食べてください」

「…分かりました。有難く頂戴します」

 

 コルルの父親はシリウスから蜂蜜を受け取り厨房へ持っていった。

 

「な、なあ女将さん?」

「あの蜂蜜、俺達も欲しいなー、なんて…」

「…そうね、私達だけというのも悪いしね。皆さんにもお配りしますわ!」

「「「「「うおおおぉぉぉ!!」」」」」

 

 食堂にいた客や甘い匂いに釣られてきた近所の人達は歓喜の声を上げた。

 

「嬢ちゃん、ありがとー!」

「蜂蜜久しぶりだな!」

「あの甘いのをまた食べられるなんて…」

「大袈裟だなぁ…」

「いやいや。蜂蜜は結構高いんだよ」

「そうそう。拳大ぐらいの小瓶で3000リクルはするんだよ」

「たっか…」

「だろ?だから皆喜んでるんだよ」

「あ、そうだ。どなたか水飴を売ってる店を知りませんか?」

「水飴かい?それならうちが作ってるよ。持ってくるから少し待ってておくれ。ああ、お代はいらないよ」

「あ、いや、普通に買いま…行っちゃった…」

 

 食堂は蜂蜜を分けてもらうために近所の人達で満員状態となった。皆は蜂蜜が食べられると笑顔で、シリウスも蜂蜜の代わりにポラリス達に上げる水飴も見つかり笑顔でおり、その場にいる誰もかれもが笑顔だった。

 

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