向日葵のフレア   作:Aa_おにぎり

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#10

その日、富士プライマリ・ピラー攻略作戦の為に世界中から数多くの英霊機が集結していた。滅多に見られない光景だ。骨董品レベルの航空機が大量に集結しているが、これらは皆これからの作戦に重要な機体だ。

お偉いさん達は昨夜に休眠状態となったピラーを観測し、より一層オーディンの言う事を信じる様になった。

 

「藁をも縋る思いか……」

 

現に、オーディンの与えた加護。戦乙女のおかげで、今までピラーに対抗できなかった人類は少しだけましに戦うことができた。彼らには知性がなく、ただ命令を遂行する機械のように人類に対し、攻撃を仕掛けてくる。優先順位は戦乙女>一般人といった具合だ。

 

「ほほぅ…ランカスターB.Ⅰスペシャルまでいるんだな。すげぇや……」

 

あのトールボイやグランドスラムを乗っける為に色々削って頑張りました感を醸し出す形状は嫌いじゃ無い。ただ元の機体も十トンも爆弾詰めれる時点で紅茶の香りがプンプンするんよ。

 

ただ、英国で私が好きな機体はハボック・タービンライトなんだ。あの『絶対夜明るくするマン』って言うくらいでっかいサーチライトつけた不格好な見た目がゴッツ好きやねん。え?一番好きな機体?そりゃ流星に決まってんだろ。空戦・艦攻・偵察なんでもできる万能機じゃないか!!それに逆ガル翼大好き。←ココ肝

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「そもそも、あのオーディンが作戦立案をした時点で信用ならん」

 

ブリーフィングルームで今回の作戦指揮を執る沖田・歳三空将補の演説を終え次にオーディンの演説が始まったところで小さく陽奈は呟く。

 

「とりあえず黙っとけお前は」

「いてっ」

 

駒込に足を踏まれ、軽く悲鳴を上げる陽奈。しかし彼女は続けて言う。

 

「私が信じているのは神道だっての。あんなカルト宗教みたいな奴……」

「だが、お前も戦乙女じゃ無いか。その時点でオーディンを信仰しているようなもんだろ」

「……」

 

すっかり黙り込んでしまい、駒込はとりあえず黙らせる事はできたかと内心ほっとしたままブリーフィングを終える。まぁ、正直自分も声にして言わないが陽奈と同じ考えだ。皆が皆、彼の言葉に左右されている事が気に食わないのも事実。

 

「アズ、ちょっと里見司令に話をしてくる」

「ああ、さっきのあの話だな?」

「そう」

 

そう言い、駒込はブリーフィングルームの作戦説明中の里見司令を呼んでいた。

 

「珍しいね。君がわざわざ呼び出すなんて」

 

そう言いながら彼は作戦の説明を抜け出してきた。

 

「よかったんですか?抜け出しても」

「良いよ良いよ、昨日の時点で沖田さんから作戦概要は聞いているから」

「……え?」

 

え?そんな事前に話聞けるほど、あの人と仲良いんですか?貴方。

 

「まぁ、沖田さんとは長い付き合いだからね」

「そうなんですか……」

 

まぁ、詳しい話を聞くのは後だ。今は時間が命。

 

「司令、時間がありませんので手短に話します。作戦開始後、ピラーが動いた段階でこの基地は放棄してください」

「何故だい?」

「過去の経歴からです。欧州戦線ではプライマリー・ピラー攻略を開始した時。ピラーは必ず司令所を叩いています。証拠はこちらに」

 

そう言い、陽奈は里見にメモリを渡して続ける。

 

「そして、そうしたプライマリ・ピラー攻略作戦の際。必ずあのオーディンが戦乙女のために参列している」

「それって……っ!?…まさか君は……」

 

里見は驚愕した目で陽奈を見る。すると彼女はそんな彼に提案を持ちかける。

 

「司令、おそらく私はオーディンに()()()()()()()()()()。この戦闘、戦局が不利になった場合は私を見捨ててもらって構いません」

「っ!?」

 

里見は陽奈の言葉に驚愕する。それは、自分の部下を見捨てろと言われているという事だ。

 

「自分を助ける為に二人の戦乙女が死ぬのであれば、大いに見捨ててください。そしてこちらを……司令が沖田空将補と知り合いであったのが功を奏しました」

 

そう言い、陽奈はある情報を携帯に映し出す。それは、国連軍戦略データベースに残されていたとある情報であった。

 

「これは……っ!?」

 

それを見た里見は一瞬で冷や汗が出た。優秀な人間だと言うのが一瞬でわかる瞬間だ。様々な筋道を一瞬で想像できるのだから……。

 

「『ピラー内で回収されなかった戦乙女はピラーとなる』……今まで行われてきた戦闘の中、ピラー内部で行われた戦闘です」

「そんな事が……?そんな事、一度も聞いた事がないぞ?」

「そりゃそうでしょう。眉唾物ですし、第一そんな敵と遭遇した事がないですからね。ただまぁ……もしそんな敵が出てきた場合。

 

 

 

十中八九自分を狙うと思います」

 

 

 

何処か確信めいた様子で彼女はキッパリと言った。しかし、それはつまり……。

 

「陽奈、まさか……」

「そこはご心配なく。悪あがきはするつもりです。……ただ、私の予測が当たっていた場合。沖田空将補が何か変な事をしでかさないか監視をしていて欲しいんです」

 

陽奈の求めた内容を聞き、里見は納得する。クラウディアがここに派遣される事となった要因。それは、日本にいたS級戦乙女。沖田・桜が戦死したことにある。

 

 

 

そして、戦死した沖田・桜は沖田・歳三空将補の実娘だ。

 

「分かった……俺から沖田さんに言っておく。()()可能性があると……」

「宜しく頼みます」

 

彼女はそう言い、頭を下げるとそのまま司令所を後にした。里見も彼女の情報収集能力は認めており、こんな直前に話すのかと内心呆れも混ざっていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「これは本当か?」

 

基地の人目につかない司令室で陽奈から受け取ったメモリーの情報をパソコンに映し出しながら沖田空将補は里見に聞く。

 

「うちの優秀な情報員からの報告です。直前に入ったものですので遅くなってしまいましたが……」

「ふむ…例の橘花に乗る戦乙女だったか?」

「知っていましたか……」

「ああ、彼女の報告書は我々も読んでいる」

 

沖田はそう答えるとそのままパソコンのデータを見る。中身は先ほど里見が見たピラー内部の戦乙女の情報であった。

 

「少なくともそんな情報は聞いておらぬが……」

「彼女は眉唾物だと言っておりました。ですが、()()()の場合があります」

「……」

 

現に我々はピラーと言う未知の敵と戦っている。何もわかっておらず、挙げ句の果てには一人の神によって動かされている現状。何が起こるか分からない。

 

「……取り敢えず、予備基地の一件は把握した。作戦開始後、ピラーが動いた場合は貴様が初めに移動しろ」

「分かりました」

「私はここで指揮を執る」

「貴方も移動しないのですか?」

「無論、すべての作業を終えれば移動する。民間人が命を賭して戦っているのだ。私が最初に逃げてどうする?」

 

沖田空将補はそう答えると与えられた情報を見て少し吐き捨てる様に呟く。

 

「里見……お前の部下は偉く優秀だな」

「ええ、優秀すぎて困るほどです」

 

里見はそう言うとパソコンを閉じ、

 

「なるほど…確か天照・陽奈と言ったか。ぐうたらでやる気のない戦乙女だと聞いているが……」

「外ではそうでしょうね。でも彼女は()()()()()と言う方が正しいでしょう」

 

里見も普段の行動からそんな感想を言うと沖田は陽奈の意見に一部納得する。

 

「だが、今の一人の意見によって動かされている現状も看過できないのも事実。彼女がオーディンを信用していないのも納得が行く」

「彼女はもっぱら神道を進行しているそうです」

「なるほど、実に日本人らしいな」

 

そう答えると沖田は陽奈の意見を柔軟に受け入れ、最低限の要員を残して秘密裏に司令所の移動準備を開始した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「さて、どれだけ信用してくれるかどうか……」

 

橘花に乗りながら陽奈は小さく呟く。胴体下部のハードポイントには駒込の入った通り。二丁のガンポッドが搭載され、正面火力は増していた。

今の武装は機体下部のM61バルカン一門、ハードポイントのM134ミニガン二門を装備し、正面火力は増強されていた。

 

今回の自分の役目は少しでも新人の手助けをする事。駒込と話した結果だが、この作戦は失敗すると予測している。と言うか確実にそうだ。旧式のF4戦闘機を持ち出してまでの一大作戦。

あのオーディンが私に宣戦布告をした時点でこれは自分と彼との戦争状態だ。

 

「(妾に準備の時間を与えぬ為にこの急遽設定されたプライマリ・ピラー攻略か……)」

 

とすれば自分にオーディンは最大戦力を向けることは確実。確殺のために周到に出せる駒は出すだろう。

 

「だが、それは貴様の首を絞める結果となる事を忘れるでないぞ……小童」

 

恐らく、死者は出てしまう。現在、静岡と山梨全域にて住民の避難はすでに開始された。そう、全域だ。国はどうやら県二個丸々を戦場にする覚悟らしい。

 

「頼むから核兵器だけは使うなよ……」

 

まぁ、核兵器ですら傷つけられないことは知っている上に国際上の批判も凄いことになるだろう。現に核兵器を使用した米国、ロシア、中国は原爆を落とした地域に足を踏み入れなくなった訳だし。

 

「しかし、準備がほぼ出来なかったのが痛いところだ……。これでは防御に徹するしかなくなる」

 

だがそれは、向こう側も焦っていると言う証拠。後はこちらの準備が整えば……。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

一応、最低限の防御用の兵装は積んできた。

 

『姉御』

 

ふと無線でロン毛が話しかけてくる。出撃数分前、速度の関係から陽奈は比較的最後の方に飛んでいく。そのため、シールド隊と距離が近い為に恐らくキャノピー越しに見えていたのだろう。

 

『何か考え事で?』

「……まぁ、そんな所だな」

『姉御、何かあったら俺たちに言ってくださいよ?』

『喜んで相談に乗りまっせ!』

 

そう言うのは金髪とグラサンだ。いつもの三馬鹿、だがそれが今はありがたい。

 

「……あぁ、その時は宜しく頼むさ。お前達は若い子を優先的に守れ。私の事は後でいい」

『それは……』

『良いんで?姉御』

 

少し心配する様子の三馬鹿に、陽奈は少し不適な笑みを浮かべて言う。

 

「良いんだ。私は、逃げることには定評のあるぐうたらな戦乙女だからな」

 

そう言うと三馬鹿は少し笑った後に納得する。

 

『そうか……』

『姉御の事だ』

『違いねぇ』

 

そう言い、笑い声が漏れる。そんな彼らの気を引き締めるかの如く陽奈は言う。

 

「さぁ、行くよお前達!ピラー若きに堕とされんじゃないよ!良いな?!」

『『『押忍!!お供します!』』』

 

良い返事だ。さぁ、踊ろうか。

 

 

 

 

 

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