向日葵のフレア   作:Aa_おにぎり

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#14

ヴァルハラという単語と共に謎の場所に来たクラウディア達はそこで謎の施設の調査を行なっていた。

 

「此処はヴァルハラと呼ばれる場所の様ね……」

「なるほど……」

 

施設の調査中に見つけた書庫の中で陽奈は調査を続けていた。部屋に全員が入り、外に先ほどの鎧を纏った化け物から身を守っていた。

此処にある本は駒込達でも読める物も置いてあり、翻訳は任せていた。

 

「私は他の所を見てくる」

「お供します」

 

すると人の兵が護衛を志願したが、彼女は断った。

 

「いや、来なくて大丈夫だ。むしろ被害が増える」

「しかし……」

 

すると陽奈はその兵士の持っていた無線を手に取る。

 

「コイツを借りてく。なんか問題があったら連絡するよ」

 

そう言い残すと彼女は書庫から出て行った。

 

 

 

 

 

書庫から出た陽奈はそこでこの建物……ヴァルハラと呼ばれる建物の中を歩く。

 

「……」

 

その中の一枚、何かの戦場を描いた壁画を見て陽奈は半分ため息をつく。

 

「過去の敗北を認められない…か、また犬っころに喰われれば良いものを……」

 

そう呟くと、陽奈は持っていた弓矢の力を少し強めると呟く。

 

「どうした?なぜ足を止め……」

 

そして軽く踏み込み、振り向く。

 

「正気を逃す」

 

その瞬間。彼女の両目は向日葵色の太陽の様な瞳を見せ、待ち構えていた無数の死せる戦士たち(エインヘリャル)に弓矢を構えていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「なるほど……」

 

陽奈がヒョロヒョロと入って行った書庫の中で駒込は短く頷く。

 

相変わらずフラフラとどこかに行ってしまう彼女であるが、今回はそれが功を奏したようだ。

 

「これは英語で書かれているのだな……」

 

古びたハードカバーの本を呼んでいると外でクラウディアが陽奈の出て行った外が気になる様子だった。

 

「心配か?」

「……ああ」

 

なにせ無線を持って行ったが、一人でいる状況だ。何が起こるかわからない現状、近くに居てくれた方がありがたいのだが……。

 

「あいつなら大丈夫だ」

 

そんな心配を他所に駒込は本を閉じる。その答えにクラウディアは首を傾げていると駒込は続ける。

 

「あいつは……必ず帰還するんだ。大概ではぐうたらだの散々な言われようだが、そんな事はない」

「……」

 

そこまで信頼をしていると言うのかと、クラウディアは驚いていると駒込は本を片付けながら言う。

 

「クラウも見ているだろう?あいつの鋭さは」

「ああ……」

 

少なくとも自分の命を賭けて友人二人を救出してくれた事には感謝していた。するとそこで駒込は言う。

 

「その鋭さと、必ず生還するその強さから初期の……里見司令が館山に左遷された頃のあの空域を抑えていた」

「……」

 

話を聞いている限り、それほどの実力を持っている彼女が逆に何故館山に引っ張られたのかが気になるところだ。

 

「アイツは司令に拾われたんだ。前の基地で暇を弄んでいた所を、厄介払いされながら司令が連れて来た」

 

駒込は次の資料を探しながら本庄さん達から聞いた話をする。

 

「初期の頃は凄かったらしい。その時、園香はまともに戦えない状態だった。だが、ピラーの襲撃はあった。だから一人であの戦場を戦い抜いてきた」

「単機で……!?」

 

あり得ない事だ。通常、戦少女は四名構成で戦闘をするのが基本だ。それを単機で戦うなど自殺行為だと言うのに……。

 

「その話を聞いた時、本庄さん達は『まるで神様のような活躍だった』と言っていた」

「神様……」

 

その時、ふとクラウディアは陽奈に呼び出されて屋上に来た時のことを思いだす。あの時、逆光でよく見えなかったが、よく覚えているのは彼女の発する言葉に何処か恐ろしさを感じた事であった。

 

「しかしすごいな、単機でピラーを撃墜していたとは……」

「ああ、正直今のあの姿を見ていると考えられないからな」

 

そう言い、次の読める資料を見ていると彼女は言う。

 

「だが、その当時の状況を見ていた本庄さんや三馬鹿は同じことを思ったそうだ。『恐ろしい』とな……」

「恐ろしい……?」

 

クラウディアは首を傾げると駒込は続けた。

 

「そう、恐ろしい……その戦いぶりを見ていた三馬鹿はそんな風に言っていた。事実、私も恐ろしいと思った……」

「え?」

 

彼女が本気で戦っているのを見たのかと疑問に思っていると、駒込が言った。

 

「お前はあの富士ピラーの時、アイツの戦い方に恐ろしく思わなかったのか?」

「え?いや…そんな風には……」

 

少なくともいつも通りの雰囲気であったと思い返していると、銃を持つ兵士の一人が徐に呟く。

 

「俺たちが普段姉御と呼んでいる人と、戦場で暴れている時の姉御は違いますよ」

「そうだな」

「理解できる」

 

そう口々に彼らは言うと、そのうちの一人。陽奈が館山に来た頃からを知っているという隊員が言う。

 

「自分、直接姉御の戦いを見ましたが。その……なんと言うか。見てはいけないものを見ているような気がして、今でもたまにゾッとする時があります」

「……」

 

クラウディアはそこで驚く、まさか皆が同じことを思っていたと言う事実。そして、自分だけが何も感じていないと言う事に……。

 

「だからこそ、クラウが基地に来た時に私は違和感を感じた」

「違和感?」

「クラウは陽奈に何も感じなかったんだ。同じ空間にいたにも関わらず。うちらとクラウで違うのは何か……」

 

そこで駒込はある仮説を立てた。陽奈がいないこの空間だからこそ、駒込も言う勇気があったのだろう。

 

 

 

「私は……陽奈が人じゃないんじゃないかって思っている」

 

 

 

その仮説に部屋にいた全員が驚いた。

 

「そんな事が……?」

「あり得ない話ではないだろう?」

 

そう言い、彼女はさらに続けた。

 

「この世界にはオーディンという神様がいるんだ。一度くらいは考えた事はないか?戦乙女や英霊機のような特殊な事をできる神様が他に居るんじゃないかって……」

「それは……」

 

無い訳では無い。それがクラウディアの答えだ。確かに、オーディンという人と能力を超えた力を持った人物が現れたからには、他の神様もいるんじゃないかと考えた事はあった。

 

特に日本でも神社や寺院に参拝をする人が多くいる。この終わりなき戦争の行方に人々は不安が募っているのだ。そしてその祈りの依代は戦乙女にも向けられている。通常兵器で対抗しようがない今、頼れるのはそれくらいしか無いから……

 

 

 

 

「クラウとウチらの違いは()()()()()()()()()()()()()。そこだと私は思っている」

「日本人……」

 

クラウディアはそこで考える。まだ眉唾物に等しい仮説ではあるが、一理あるかもしれないと思ってしまった。

 

「私はニューヨーク生まれの帰国子女だが、日本国籍を取得しているし、日本国籍を選んだ。そしてここにいる中で、クラウだけは日本国籍を持っていない」

「そうだな……」

 

言われてみれば当たり前な話だ。クラウディアはイギリス国籍であり、パスポートもイギリスのそれを持っていた。

 

「まぁ、あくまでも仮説に過ぎないし、何より証拠がなさすぎるから今のところはお手上げだがな……」

 

そう言うと彼女は資料を読み終えた様子で本を元の位置に戻すと言った。

 

「さて、証拠も揃った。あとはあの弓矢持った馬鹿を連れ戻して帰ろう」

 

そう言うと、駒込は全てを理解したような満足げな表情で呟く。

 

「ここを見つけた陽奈には感謝だな……」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「いた!あそこだ!!」

 

ヴァルハラを歩き、ある一枚の壁画の前で立っている陽奈を見つける。

 

「おい陽奈!」

 

駒込に呼ばれてこちらを見た陽奈に一瞬クラウ以外の全員がギョッとなった。その違和感はクラウディアも少し感じ取れた。

 

「(何だ…この違和感……?)」

 

立っているのは普段と変わらない陽奈であるのだが、どことなく違和感を感じるのだ。この感覚は何というか……。

 

「(オーディンを見ている様だ……)」

 

それに近い神々しさと、畏怖を持ち合わせたその雰囲気に駒込達の足は一瞬止まると、徐に陽奈はこちらに弓矢を向けると叫んだ。

 

「伏せろ!!」

 

そう叫んだ瞬間。全員が頭を下げると弓矢が発射され、飛んでいった矢は後ろの何かの突き刺さった音がした。

 

「「「え?」」」

 

後ろには何も無かったと思って振り返ると、そこにはさっき此処を周回していたあの鎧で覆われた巨人が立っていた。目には矢が刺さっているのにも関わらず、その巨人が近づいていた。

 

「逃げるぞ!」

「走れ!」

 

そして一気に逃げ出した六人だったが、そこで駒込から悲鳴が上がった。

 

「きゃうっ!?」

 

走り出したところで何かを踏んづけたようでずっこけていた。

 

「痛たぁ……っ!?」

「危ない!」

 

コケた駒込にクラウディアと陽奈が近づき、陽奈が駒込を拾い上げクラウディアが鎧の兵士の攻撃を日本刀で受けていた。

 

「くっ!!」

 

攻撃を抑えていると、不意にクラウディアの持っていた日本刀が輝き始め、鎧の兵士の打撃を退けていた。

 

「走れ!!」

「あ、あぁ……」

 

駒込は姿勢を直すとそのまま走り出す。現在、あの鎧の兵士の攻撃を退いているのはクラウディアの光り出した日本刀だ、今の頼みの綱はあの刀だけ。銃弾は効果が全く見られない。

 

「あの場所まで行くわよ」

「あぁ」

「分かった」

 

すると陽奈は隊員に持って来たC4の在処を聞く。

 

「C4は?」

「こちらに」

 

そう言い、起爆装置とC4を見せる陽奈は言う。

 

「それをまとめた爆薬をこの先曲がったら投げ込んで」

「わかりました」

 

後ろから鎧の兵士が追っかけてくる中、六人はそのままヴァルハラの入り口まで走って行く。

 

「今!」

 

曲がり角の先でC4を投げ、鎧の兵士に当たった所で起爆。大爆発を起こして爆炎が目の前を掠めて行った。

 

「今のうちに!!」

 

そう言い、走る六人の後ろを傷ひとつついていない様子の鎧の兵士が近づいてくる。

 

「C4でも死なないってか」

「そんなこと言う前に逃げろ!!」

 

駒込と隊員を先行させ、クラウディアと陽奈がそれぞれ刀と弓矢を持って鎧の兵士と対峙する。既に何本もの矢が顔面に突き刺さっているものの、一向に止まる気配はない。

 

「うおりゃぁぁああああっ!!」

 

そして入って来た金の門を走り抜け、最後にクラウディアが抜けた所であの鎧の巨人の手から伸びた蔓のような物が彼女の足に絡み付いた。

 

「っ!!閉じろ!ヴァルハラ!!」

 

そう叫ぶと、金の門は閉じていき、クラウディアをつかんでいた鎧の兵士も何か言葉を残すとそのまま金の門の奥に残ったまま消えて行った。

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