向日葵のフレア   作:Aa_おにぎり

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#23

「なぜだクラウディア!!なぜ滅び向かって飛ぶ?!」

 

オーディンの問いかけにクラウディアは力強く答える。

 

「滅びに向かっているんじゃない。その先の再生を迎えに!!」

 

そこでクラウディアは残り一発の魔弾を使う。翼が生え、魔法陣が浮かぶ。

 

「神を滅ぼす気か?テルウィング……最後の一つを私に向ける気か?」

 

しかし、彼女の照準が変わる。

 

「っ!やめろぉぉっ!!」

 

その向かう先を見てオーディンは叫んだ。そして木の下で立つ少女にクラウディアは今からの行動に謝罪をする。

 

「……すまない」

 

その答えに彼女は口を動かした

 

 

 

ーーありがとう。

 

 

 

その瞬間、クラウディアから最後の魔弾が発射され、真っ直ぐ少女の胸を貫いた。

そして、今までクラウディア達がいた空間はガラスが割れたように砕け、あたりは薄暗いピラー壁内へと戻っていた。

 

「よくも…よくも…よくもよくもよくも!!よくもぉぉおっ!!」

 

オーディンはその事に怒り狂い、クラウディアに矛先を向けた。

 

「避けられると思うな!我が槍グングニルは、如何なる敵をも必ず撃ち倒す!!」

 

オーディンの叫びに、クラウディアは真正面から迎え打つ。

 

「僕が与えたテルウィングはもう無い!なのになぜだ?!」

 

真っ向から突撃してくるクラウディアにオーディンは疑問を投げかける。

 

「死が!破滅が、孤独が恐ろしく無いのか?!」

 

そんな自らの心の声が漏れるかの如く強烈な言葉でクラウディアに問う。

 

「死は怖い、滅びは恐ろしい。仲間を、家族を失いたくない。だから……」

 

その姿を見て、オーディンは動きが止まった。かつての妻と同じ目をしたクラウディアに、彼は攻撃ができなかった。

 

そして真正面からぶつかったクラウディアの機体はそのままスレイプニルを貫通し、グングニルと共に消えた。

 

「さようなら……おとうさま」

 

爆発の光に包まれながら、クラウディアは最後にそう言い残していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その頃、宮古は暴風の中を突っ切りトールを目指していた。

 

「くっ」

 

しかし風が強く、むやみに接近できなかった。

 

「残弾は一発。外す訳には行かない。どこかに突破口が……」

 

するとその時、共に突入した三馬鹿から無線が入る。

 

『ミコちゃん!雷雲は気にするな!』

『トールに向かって真っ直ぐ飛ぶんだ!』

「みんな!」

 

彼らは無線で宮古に話す。

 

『大丈夫!ミコちゃんは絶対守る!』

『俺たちを信じてくれ!』

 

三馬鹿はそう言うと、宮古はそれを聞いて頷いた。

 

「……分かった。みんなの命を、私にくれる?」

 

その問いに三人は喜んで答える。

 

『おう!ミコちゃんのためなら!』

『安いもんだ!』

『おう!飛行機乗りやってて』

『『『男に生まれてよかった!!』』』

 

その瞬間、無線で宮古に連絡が入る。

 

『ーーその話、うちも混ぜてもらおうか?』

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ピラー底部では園香と、スヴァルトワルキューレの戦闘が続いていた。

 

「もうちょっと……」

 

後ろを追う、一機のマスタングを見ながら園香は気を伺う。

 

「今っ!!」

 

そして園香はフロートの端で大きく水飛沫をあげ、追尾してきた一機破水を思い切り被って水面に落ちた。

そして先に上がったマスタングを追いかけて園香も上昇する。

 

「桜さん」

 

そしてそのまま園香はマスタングを追い越して上をとった。

 

「今まで日本の空を守っていただき、ありがとうございました」

 

その瞬間、フロートを切り落とし、その落下したフロートはそのままマスタングの両翼を削ぎ落とすと、そのまま落下して墜落した。

その時、ふと園香はここにいないはずの人の声がした気がした。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『その話、うちも混ぜてもらおうか?』

 

その無線を聴き、宮古や三馬鹿は驚いた。

 

「ヒナ?!」

『『『姉御!!』』』

 

声を聞いて宮古は嬉しげに話す。

 

「生きていたんだ!やっぱり!」

『よかった…姉御の声が聞けた!』

『感無量です……よかった!!』

『姉御!今どこに?』

 

グラサンが聞くと、陽奈は答える。

 

『生憎と援護中の身でね。すぐに追いつく』

 

そう答えると、陽奈は続けて宮古に言う。

 

『宮古、あなたはそのまま真っ直ぐ飛びなさい。後ろから援護するから』

「うん!」

 

宮古が頷くと陽奈は三人衆に言う。

 

『シールド隊、あんた達は言われた通りに飛びなさい』

『はい!』

『YES!』

『喜んで!!』

 

反応を聞き、陽奈は指示を出す。

 

『よし』

 

その瞬間、三人衆のHMDにデータが入った。それは、この機器では使えないレベルの進路データだった。

 

『行け!宮古!』

「了解!」

 

そして宮古はトールに向かって突進し、その後を三人衆が追いかける。

 

一度目の電撃が襲い掛かると、グラサンの機体の主翼の端をすり抜けた。

二度目はロン毛の垂直尾翼を、三度目は金髪の尾翼に直撃した。

 

そして宮古の機体が接近した矢先、大鎚が振りかぶり、宮古に当たりかけた時。

 

何かしらのミサイルが着弾し、攻撃を爆圧で跳ね返していた。

 

そして彼女からは普通ではあり得ない、魔弾を発射できる魔法陣が浮かび上がり、彼女は叫んだ。

 

「勇者砲…

 

 

 

撃てぇぇっ!!」

 

 

 

その声と共に発射された成形炸薬弾はトールを貫通。トールは悲鳴をあげて倒れていった。

 

「……あっ」

 

トールの爆炎に包まれる直前、宮古は遠くを飛ぶ銅色の機体を見た。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

トールを宮古に任せ、駒込は一人暴風の中を飛ぶ。

 

「くっ……」

 

トールの生み出したこの暴風を抜ければヴァンドランデに辿り着く。そう思った瞬間、

 

「なっ!!」

 

突如、暴風が止み、目の前に植物の壁が立ち塞がった。トールの撃破に成功したと確信すると同時に、機首のモーターカノンで慌てて壁に穴をこじ開けていた。

 

そしてそのまま、内部に突入するとそこで駒込はキツイ胴体着陸を行った。

エンジンを切り、そのままよろめいて駒込は降りる。

 

「ここは……ピラーの中枢。ならこれが……!」

 

その瞬間、その下から声が聞こえた。

 

「よくここへ辿り着いた」

 

そこに座っていたのはオーディンだった。

 

「見事だ。クラウディアでも、ネームドでもない。ただの人間がよく辿り着いた」

 

その瞬間、フラッシュライトとアイアインサイト付きの拳銃を駒込は突きつけた。

 

「お前がここにいるってことはクラウは……」

「お前は賢い。言わなくてもわかるだろう?クラウディアだけじゃない。大勢が死んだ。これ以上何のために戦う?友を失い、味方を失い……何のために…」

「その言葉、そっくり返してやる。あんたの方こそ認めろ。神様らしく偉大なところを見せたらどうだ?」

 

駒込は銃を突きつけたままオーディンに宣告するが、彼は顔を俯けて答える。

 

「いやだ…認めない」

「お前!!」

 

オーディンは人のように恐れながら答える。

 

「なぜ、神に潔さを求める?滅びに寛容であっていい理由はない。全てを守りたいと願うのは当然だろう?」

「……」

 

今まで、目の前にいる経験してきた所業に駒込も思わず黙り込んでしまう。その嘆きを、目の前にいる一人の男の嘆きは寂しく響く。

 

「僕は、妻も子も。誰も失いたくなんかない……」

 

そして子供のように嘆き、彼はそれを否定する。

 

「失ってなど……いないのだぁっ!!」

「きゃあっ!?」

 

彼の怒りの混ざる突風が吹き荒れ、駒込は影際まで吹き飛ばされ、持っていた拳銃を手放してしまった。

そしてオーディンは吹き飛ばされ、地面に倒れたままの駒込に近づいて話しかける。

 

「今度こそ万策尽きたな。あとは外の戦士達を一掃して、戦死者の館に加える。そして彼女や、来るべき日に……ん?」

 

しかし、駒込は残った体力を使って体を起こした。

 

「なぜ立つ?往生際の悪い娘だ。まだ手立てを残しているのか?」

 

そこで駒込は鼻で笑った。

 

「まさか、いくらウチでもここから逆転する策なんてないさ。

 

 

 

……信じてるだけ。ずっと、うちのピンチに来てくれていた」

「何を……」

 

その気配を感じ取り、駒込は勝利を確信する。壁際に立ったのもその()を待っていたからだ。

 

「うちのヒーローが来るのを!!」

 

その瞬間、植物の壁が崩れ、奥から赤色のキ44が突入をしてきた。

 

「うおおぉぉぉおおおっ!!」

 

そしてキャノピーを開け、一人の少女が飛び降りた。

 

「りゃぁああ!!」

 

そして持っていた宝刀である御守刀を振って複数の太い蔓で守られたヴァンドランデを真っ二つに切り落とした。

それを見てオーディンは信じられないと驚愕した顔で動揺した。

 

「まさか……これを狙っていたのか?!」

 

すると、いつの間にか駒込は自身の英霊機に乗り込んでおり、本来であれば必要な滑走路を使うことなく魔法陣が浮かび上がって機首をオーディンに向けていた。

その連携した行動にオーディンは絶望し、強く歯噛みした後に涙をこぼして問いかけた。

 

「くっ……私と…僕とお前達で、何が違う」

 

その問いかけは宮古と駒込に向かって聞いていた。自分の過ちを探し求める、まるで子供のようだった。

 

「俺は滅びに備え、あらゆる策を講じてきた。なのに届かなかった。

 

 

 

教えてくれ。私とお前達で、何が違ったんだ」

「それは…」

 

宮古が答えようとした時、二人とは別の方向から声が聞こえた。

 

 

 

『お前自身が自分を信じきっていなかったからだ』

 

 

 

「「っ!?」」

 

その声を聞き、オーディンは納得した表情でその声のした方に話しかけた。

 

「……なるほど、君はそこにいたのか」

 

するとその陰に隠れていた女性は近づきかながらオーディンに向かって話す。

 

『予言で滅亡の未来を見たお前は、その事実を他の誰にも言う事無く()()()()()()で乗り越えようとした。それは一重に、お前自身に誰かを信じる心を持ち合わせていなかったからだ』

 

その声は女性のものであり、聞いたことのないほど響くものだった。

 

『そしてすべてのことを一人で抱え込み、ラグナロクを迎えた後、全てを失ったお前は己自身も信じる事が出来なくなった」

 

そうして現れたその女性の姿に宮古達は唖然となった。堂々と立ち、崩れ始める富士ピラーの中でその女性は背中に弓を抱えていた。

 

「北欧神話の主神オーディン、この世界に巨人はもう居ない。ラグナロクの時は永遠に来ない。それはお主自身もわかっているはずだ」

 

あえて比喩もなしに直接的に言うその女性にオーディンは苦笑した。

 

「……相変わらず貴女はキツい女だ。心に来るよ」

「前に同じことをゼウスにも言われた」

 

オーディンはそう言うと、その女性はオーディンから目を離さずに話し続ける。

 

「オーディン、貴様に処分が降った」

「……そうかい」

「覚悟は?」

「とうの昔に」

 

宮古と駒込を差し置いて行われている会話に二人は混乱していた。

 

「オーディン、最後に何か望みは?」

「ふっ、慈悲のつもりかい?」

「そんな所だ」

「そうか……」

 

後ろで女性が何か準備をする中、宮古が勇気を振り絞って聞いた。

 

「あ、あの…オーディン様?」

 

するとその問いかけにオーディンは答えた。

 

「愚かな娘よ。優しいお前が……僕は苦手だったよ」

「え……?」

 

そうしてオーディンは後ろに立つ女性に向かって最後の望みを言う。

 

「どうせなら、私はこの二人に頼みたい」

「そうか……」

 

するとその女性は構えていた弓を下に下ろした。

 

「では、それを望みとしよう」

 

そう言うと、その女性はコックピットに乗る駒込に目をやった。一歩下がり、彼女は駒込に全てを託した。

オーディンは両手を大きく開いて駒込の英霊機から逃げることは無かった。

その時のオーディンの表情は、

 

 

 

非常に晴れやかで、満足したようであった。

 

 

 

直後、一発の銃声がこの空間に響いた。

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