向日葵のフレア   作:Aa_おにぎり

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#3

クラウディアが着任した日の夜。

 

「みんなコップは持ったな!?」

 

服の上からもわかるマッチョ三人組がそれぞれジョッキを持って問いかける。

 

「「「「「おぉーーーっ!!」」」」」

「お、おぉ……?」

 

答えるは宮古は困惑するクラウディア。

 

「我らが館山の新たな天使!クラウディア・アルフォードにぃぃ…!!

 

 

 

乾杯ぁぁぁぁいいっ!!」

「「「「「乾杯〜!!」」」」」

 

館山基地にてクラウディアの歓迎会が行われる。

 

「いえ〜い!」

 

会場で派手に盛り上がる宮古に、片手に盆を持った陽奈は一言。

 

「はしゃぐな馬鹿。特に宮古!あんたまた英霊機から飛び降りやがって!!」

「わぁ、痛い痛い!!お盆で殴らないで!!」

 

そう言い、陽奈から逃げるように宮古は歓迎会の会場を走り回る。実に騒がしい、けれど面白い。

 

「おっ、姉御が結構怒っているぞ」

「こりゃ一時間コース確定だな」

「俺もそろそろ怒られてぇ……」

 

そんな事を言うのはこの基地のシールド隊である三人組、通称ロン毛、金髪、グラサンと言われている人物達だ。怒られたいとはなかなか変な話だが。

 

「そこの馬鹿三人は放っとけ。そこ!人の名を飲みコールにすんな!!」

 

駒込が大声で愚痴り、歓迎会は盛り上がる。

そんな会場となっている基地の食堂の一角。空いていた座席にクラウディア達は座り込む。

 

「ごめんね〜。騒がしくて」

「お前が言えたことか」

 

駒込がツッコミをかけると、宮古は座りながら言う。

 

「本当は色々と話したいこととかあったけど。それはまた明日にして、騒げや踊れい!カンパイリターンズ!」

 

コップを持ってそう言った彼女にクラウディアはやや驚く。

 

「お、踊るのか?!」

「踊るのだ!」

「踊らんでいい!」

 

駒込はいつもの如くツッコミ役をしており、そんな中クラウディアは見当たらなかった。

 

 

 

 

 

歓迎会は盛り上がり、至る所で騒ぎあっていた。

 

ある場所では基地のオペレーター主催の飲み対決が行われ。また別の場所ではシールド隊の三人がクラウディアに近づこうとして宮古に返り討ちに会ったりしていた。

 

「やっ、楽しんでいるかい?」

「司令……」

 

話しかけてきたのは里見であった。

 

「見ての通りこっちが楽しんじゃっているけど」

「そのようで……」

 

そう言い、自分の事ほったらかしで盛り上がっている様子を見て苦笑気味に答える。

 

「盛大な歓迎に感謝します。ありこう言ったことに慣れていないので、戸惑いもありますが……」

「まぁ、少しずつこの空気に慣れていくさ」

 

そう言うと二人の間に駒込が入った。

 

「冗談じゃない!」

「アノニューム……」

「どしたの駒込」

 

すると駒込はクラウディアに勧告するように言う。

 

「いいか新入り。これ以上馬鹿とサボり魔が増えるのはごめんだ。看過されないようにしっかり自衛しろ!」

 

そう言うと近くに来た宮古が溌剌とした声で言う。

 

「大丈夫だよアズ!なんかよく分かんないけどクラウは私が守る!」

「最悪だそれは!!」

 

駒込のツッコミに宮古は純粋な疑問を投げる。

 

「なんで?」

「お前が馬鹿の親玉なんだよ!!」

 

カッとなって駒込は叫ぶと、クラウディアに言う。

 

「いいか、とにかくこいつに一番気をつけろ」

 

しかし、そこで園香が追加説明をした。

 

「気にしないでください。アズちゃん独占欲が強いから」

「おソノ、しれっと出鱈目吹き込むな」

 

駒込が常にツッコミをかけまくっていると感じていると駒込は溜息を漏らしていた。

 

「全く……」

「苦労性だな」

「ああ、これ以上その種が増えない事を期待するよ」

 

そう話していると、顔を赤くし。既に出来上がった様子の本庄が里見に近いて話しかける。

 

「司令。そろそろ……」

「おっ、そうだな」

「お開きですか?」

 

クラウディアがそう聞くと、里見は鼻で笑うように答える。

 

「何言ってんの、歓迎会はこれからが本番だ」

「え?」

「さあさあ、各自準備を始めてくれ」

 

すると、片手にマイクを持った金髪とロン毛が高らかに声を上げる。

 

「隠し芸大会を始めるぞーーーっ!!」

「待ってましたぁ!!」

 

その様子を見てクラウディアは苦笑気味に呟く。

 

「長い夜になりそうだな……」

 

その時、里見はクラウディアに言う。

 

「クラウディアちゃん、ついでに陽奈も呼んできてくれないか?」

「陽奈ですか?」

 

そういえば彼女の姿を見ていないと思うと、里見はややつまらなさそうな顔をして言う。

 

「彼女、自室でゲームをしているだろうから」

「は、はぁ……」

「彼女はあんまりこう言う騒がしい会場には参加しないんだ」

 

こう言うのが苦手なのかと思ってしまうが、余計な詮索はしないでおこうとクラウディアは思い、食堂を出て陽奈の住まう寮に向かっていった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

陽奈を呼びに向かったクラウディアは彼女の部屋に向かう。軽くノックして彼女は扉越しで呼ぶ。

 

「陽奈。司令が呼んでいたぞ」

『ん、分かった』

 

短く返して部屋の扉が開く。相変わらず糸目で何を考えているのか分からない顔をしているが、クラウディアはふと気になって部屋で何をしていたのだろうかと覗き込む。

 

するとそこには無数の書類や付箋が貼り付けられ、パソコンには前に対峙したあのクジラピラーの情報を記していた。

 

「気になる?」

「え?あ、いや……」

 

少し微笑んだ様子で彼女は聞き、クラウディアは反射的に否定するが、すぐに言い直した。

 

「……いや、少し気になる」

 

そう言うと陽奈はクラウディアを部屋に案内した。

 

「汚いのが気にならないのであれば、見てもいいよ」

「そ、そうか……」

 

断った方がいいのかもしれないが、ここでは興味の方が勝っていた。クラウディアは部屋に入ると、その情報量の多さに驚く。

 

「こ、こんなにもピラーの情報が……」

「世界中に存在するピラーの情報を纏めて居る。この前のクジラピラーだって戦闘形態、大きさ、稼働時間、撃破方法。全て記録して国連軍戦略データベースに送っている」

「すごい……」

 

彼女は実にミステリアスな部分を含んでいる。いつもは基地の中でも最もぐうたらだと言ってはいるものの、こうした情報を作っている辺り彼女の能力の高さが窺える。

 

「まぁ、半分バイトみたいなものでね。私は報告ついでにピラーの研究を行っている」

「ピラーの研究……?」

 

すると彼女は置かれた資料に手を触れて呟く。

 

「彼らはどのようにして生まれてきたのか。

枯渇現象を生み出す生命力とは何なのか。

それらピラーはなぜ人類に対し、敵対的な行動を取るのか。

ピラーはどの様にして繁殖するのか。

 

 

ピラーに対する全ての疑問を、私は研究している」

「……」

 

クラウディアは内心驚く。もしや、彼女が戦乙女として戦う理由は……。

 

「ああ、そうだ。私はピラーと言う生命力を他者から吸い上げて活動する。自然の摂理から外れた生物を直接観察する為に、戦乙女に志願した」

「っ……!!」

 

クラウディアは驚く。まさか、ピラー自体の生態を研究する者がいたとは……今まで聴いたこともなかった。すると彼女はさらに続けて話す。

 

「元々、オカルト関係には精通している身だ。ピラーの生体的なサンプルが手に入れられないかとも思ってしまうね」

「そんな事をすれば……」

 

ピラーはあらゆる生物が生きるための生命力を動力源としている。生体サンプルが取れたとしても、人の寿命を縮める可能性のある危険なものとなる可能性が高い。

 

「ああ、分かっている。だからしようとは思わないさ」

 

クラウディアの警告に頷く様に陽奈は自分の言葉を否定する。しかし、強い願望はまだ残っているようだ。

 

「だからこそ、私はピラーの生態を調べ。選抜された戦乙女が命を賭して戦う戦場を少しでも有利にしたいの」

「そうか……」

 

世間一般的に戦乙女はピラーに対する切り札であり、彼女達が来ればピラーのは倒せると思われているが。実際はそうじゃない、()()()()()()()と言うだけで実情は自身の腕前が関わってくる。そして、新人の戦乙女が初陣にて死亡する例も無いわけではない。

 

そこで彼女は少しでも有利な位置。すなわち、ピラーの弱点を探しているのだろう。

これはこれでアノニュームとは別口の研究なのだろう。情報を収集し、ピラーに有効な手立てを考えている。

 

「素晴らしいな……」

「いや、同個体のピラーがなかなか発生しない以上。研究も全く捗らんよ。攻撃パターンも予測できない」

 

そう言い、陽奈はパソコンをスリープ状態にするとクラウディアと共に部屋を出る。

 

「先ほど司令から聞いたのだが、陽奈はゲームをするのか?」

「ん?そうだねぇ…ゲームはよくしているよ」

 

食堂に向かう途中、クラウディアは先ほど里見から聞いた話を思い出す。

 

「私、ああ言うどんちゃん騒ぎは苦手でね。よく部屋にこもってゲームをしているよ」

「どんなゲームだ?」

「良くやっているのはエー○コンバットだね。オリジナルコックピットを作ったりして、楽しいんだこれが」

 

やや興奮気味に語る陽奈に対し、クラウディアは純粋な疑問が出る。

 

「何だ、それは?」

「え?!知らないの!?」

 

まさかのあの有名なゲームを知らない事に陽奈は驚愕した。嘘だろ……?

 

「超有名なゲームなのに?」

「あぁ、そう言うゲームがあるのは理解したが……」

「マジか……」

 

陽奈はそこでエ○コンの魅力を布教しようとした矢先、遅かったからか迎えに来た様子の宮古に声をかけられる。

 

「二人とも〜!もう隠し芸大会始まっちゃうよ〜!!」

「ああ、分かった」

 

クラウディアはそう答えると、やや小走りで食堂に入る。その後ろ姿を見ながら陽奈は呟く。

 

「あれが主人オーディンに愛された娘か……」

 

あのロリコン野郎め。

 

内心、あの男の趣味に飽き飽きとしながら陽奈はクラウディアの後を追う様に食堂に入っていった。

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