弾幕は、パワーだぜっ!? 作:霧雨、お前……やれるのか?
「かーわーいーいー!」
「確かにこれは……!」
「おい、落ち着けって二人とも」
確かに皆すっごい可愛いけどさ。
「そう言うあんたもそのカラス? 嬉しそうに撫でてるじゃん」
「撫で心地良いからつい、な……でも先に名前決めてやらないとだろ、だから落ち着けって話」
「あ、確かに!」
んー、と悩み始めるメイプルとサリー。私もどうしようか、このカラスの名前。安直なので良いのか?
「この子の名前は『シロップ』! 二人合わせてメイプルシロップになるんだよ! どうかな?」
「♪」
「え、と……お、『朧』じゃダメ……?」
「っ!」
ふむふむ……どうやら二人の名付けに喜んでる様子、良かったな二人とも。んー……私のはなぁ……どうするか。
「んー……『ナハト』、ってのはどうだ?」
「カァ!」
「喜んで……るのかな? 良かったよ」
しかしこのカラス……と言うよりこの卵から生まれたモンスター、中々なステータスだな。
ナハト
Lv1
HP 100/100
MP 150/150
【STR 50】
【VIT 40】
【AGI 80】
【DEX 20】
【INT 50】
スキル
【狩りの一撃】
【狩りの一撃】
【STR】と【AGI】の合計値の半分の値で計算する。
中々パッとしないなこれ……【AGI】高めではあるが。
「卵を孵化させたプレイヤーのステータスに似た配分になるのかもね、この子たち」
「ん?」
にしては【VIT】高くないか? 【STR】はまだギリギリわかる、【侵食】で補正だけは掛かってるからな、【INT】とおんなじなのは……ん? もしかして……。
「……鳥ボス討伐時、私に掛かってた補正で判断してるのか?」
「カァ?」
討伐時は【彗星のオーラ】で【VIT】に補正があった……としても納得がいかない部分はあるが。
「二人ともー! この子たちのレベル上げしようよ!」
「そうしたいとこだが、すぐにやられそうなのがな」
うちの子は私よりタフそうだが、現時点でも。それを言い始めると【STR】も負けてるのか、悲し過ぎるんだが。
「ふっふっふ、その心配はないよ! じゃじゃーん!」
「……コウモリ? なんで動いて……ぁ」
南無三、メイプルに狙われたのが運の尽きだったなコウモリよ。
「良いの?」
「うん!」
「ありがと! 朧、【狐火】!」
「わぁー!」
動けない中、無残にも燃やされるコウモリ……まぁ、これからどんどん燃やされそうだが。
「シロップ、【喰らいつき】!」
「ナハト、【狩りの一撃】」
ふむ、威力は申し分ないかな? コウモリだけじゃあんまり参考にはならないが。
▼少女育成中…
ナハト
Lv3
HP 120/120
MP 150/150
【STR 65】
【VIT 55】
【AGI 100】
【DEX 20】
【INT 60】
スキル
【狩りの一撃】【暗き影】【休眠】【覚醒】
【暗き影】
所持者の影に触れた対象の【VIT】と【AGI】を0.9倍にする。
影に触れている間だけ効果は持続する。
【休眠】
指令で指輪の中で眠って安全に体力を回復させるスキル。
【覚醒】
指令に応じて指輪から出てくるスキル。
「シロップたち、【休眠】と【覚醒】を覚えて良かったねー」
「まぁこんな霧の中じゃ絶対見失うからねぇ」
「【絆の架け橋】があれば見失っても大丈夫そうではあるけどな」
試そうとは思わないけど。リスク高いし。しかし濃いなこの霧……暗闇なら私が役に立つんだがなぁ、残念。
「……あ、あの壺が原因かな?」
「そうっぽいな」
「じゃあ調べて……うわっ!?」
「サリー!?」
「! ……落とし穴か」
性格悪いだろ本当に、こんな霧の中に落とし穴とか。
「ねぇマリサ、中からサリーの声がするけど……」
「少なくとも中にいるってことか……金属音もするし何かと戦ってるっぽいな」
「むむむ……今行くよサリー!」
「は? ちょ、待てってば!?」
いくら何でも飛び込むなよ!?
「ああもう! 飛ぶぞ箒星!」
いくら不意打ちでもサリーなら即死はしない。だから慎重に降りるべきだってのに……。
「……死んではいないだろうけど」
なーんか嫌な予感が……金属音も止まらないし。
「……見えた! おーい二人とも! 大丈夫か!」
「「……」」
「……二人とも?」
「【毒竜】!」
「うぇっ!? ……【ファイアストーム】!」
いきなり攻撃して来ただと!? パーティメンバーにはダメージは通らないし、そもそもメイプルが狙う理由が……。
「あははっ! 【パワーアタック】!」
「危なっ! 離れろっての! 【スターダスト】!」
星型弾を撒き散らして……当たらないか、流石に。
「……っても偽物か」
本物は避けて攻撃しに来るし。改めて考えておかしいな?
「……ふぅ、まずは使用回数の決まってるスキルを使わせる、討伐はそれから……だっ! 【フォトンレーザー】! 【ダークボール】!」
「【カバームーブ】、【悪食】……【毒竜】!」
ちゃんと偽サリーを守りに行くAIで助かったよ! スキルの出し惜しみとかもしなさそうだ。
「つっても辛いのに変わりは……ないっ、けどなぁ! 偽サリー!」
「あはははっ!」
偽物と言えども侮れない。ちょっとでも攻め手を許したら切り刻まれるかもしれん。
「【スプラッシュウォール】! 【ウィンドカッター】!」
「! ……あはっ、【蜃気楼】」
よしよしこれで一回目……時間かかるなこれ。回避してくる分サリーのスキルを使わせるのがきつい。MPは無限じゃないんだぜ?
「【毒竜】!」
「そっちもなんか謎ギミック搭載しちゃってさ……!」
毒を再利用ってどう言うことだよ。それで連発できるんだからこっちとしてはたまったもんじゃない。
「ふぅ……良いぜ、掛かって来な、偽物ども」
本物ならともかく、偽物に負けるほどマリサ様は弱くないぜ?
「……永い戦いになりそうだな!」
▼少女戦闘中…
「……」
戦い始めて、かれこれ三時間ほど。有限のスキルは使い切らせたけど素の能力から厄介な二人だからな。
「あの二人ほど残りのHPって概念に希望を見出せない相手はいないな」
偽メイプルは【瞑想】で地味回復してくるし、その傍らには偽サリーの【ヒール】……こう言うところだけちょっとだけ本物っぽさがある。
「メイプルの防御も、今の【侵食】と【過剰魔力】を加味した上なら、私の【INT】でも微量のダメージが与えられる」
私の【INT】でダメージを与えられるんだから相当な補正なんだろうな。偽サリーの攻撃を若干避け切れていない今の状況がプラスに働いてる。
「お陰で全身模様だらけだけどな……本当にどうにかしないとだ」
運営の配慮か、顔は広がってなかったんだけどな、前見た時。だから手足に包帯巻くのもあり……っとと!
「MP無限とか、羨ましいにも程があるよ、本当に」
「「……」」
今の私は【魔力の息吹】とMPポーションで繋いでる、ナハトはこの状況じゃ出せる筈がない。だったら正攻法しかない。
「偽サリーからだ!」
「あははっ!」
「【スターダスト】! 【ストーンバレット】!」
「!」
避けるよな、だったら全部持ってけ!
「【魔女の小瓶】……の失敗作だ、受け取れ!」
【魔女の小瓶】は作成者の【INT】に比例して成功率の変わる道具だ。それは私も例外じゃない。成功すれば魔法が込められ、失敗すると……。
「込めた魔法種の、最初に覚える魔法に変更される……この量を避けられるか、偽物」
この道具の欠点の所為で、込めた魔法に指向性を持たせられないけどな。おかげさまで何度、私に飛んで来たことか。
「弾幕は……パワーだぜ!」
「!?!?!?」
「スターダスト……の幻想曲? としとくか! それっぽく言うなら」
「っ……」
「あとは偽メイプルだが……」
うわぁ、あの量の星型弾幕受けてダメージ受けてない……やっぱり【過剰魔力】がないとダメージは入らないか。
「つっても……」
【毒竜】は避けられるし、他の技は【毒竜】ほどでもない。
「……地道に削るかぁ」
【瞑想】の回復力とのチキンレース……うん?
「通知?」
魔術師の先輩の時みたいに何かしらのスキルの条件を満たしたらしい。何だろうか。
【無謀なる努力】
与えるダメージが1.1倍。
【STR】と【INT】の値の20%の数値が加算される。
取得条件
自身の【STR】か【INT】のステータスが200を越えている。
自身の【STR】か【INT】のどちらか優れている方よりも高い【VIT】を持つ相手に、倒すことなく三時間攻撃し続ける。
「……えぇ」
何だこの壊れスキル……要するに火力1.32倍ってことだろ? ややこしく書いてるけどさ。
「……まぁ、これならあのメイプルにもまともな打点ができるか」
……あとは消化試合か?
▼少女奮闘中…
「疲れたな」
思ったより時間がかかった。一人になった途端に大楯の使い方が上手くなる罠の所為でバフ込みでもダメージが通らないとか言う事件。上げて落とされたんだが。
「……お、メイプル」
「フレー……あ、二人とも! ……本物だよね?」
「本物だが……」
「……確認させて」
「あなたは小学六年の時に予防接種を受けて大泣きしているところを私とマリサに目撃されたメイプルですか?」
「な、なななんでそれ覚えてるの!?」
「あー……そんなこともあったよな、懐かしいぜ」
「懐かしがらないで良いよ!? 忘れてぇ!?」
「あっははは! これは本物だね、なんとなくわかってたけど」
あの頃は驚いたなぁ、いつものほほんとしてるメイプルが大泣きしてたんだから。
「……」
「にしても懐かしいこと覚えてたなぁ、私なんて今言われて思い出したぞ」
「まぁね」
「今防御に全振りしてる理由の一つだったりして……?」
「あはは、流石にそれだけじゃないとは思うけど」
「待って」
「うん?」
「まだ私が確認してない」
「え」
「あ……」
メイプルの変なスイッチを入れてしまったみたいだなこれ。……どうするかなぁ。
「あなたは中学生の時、お化け屋敷に入り、途中で腰を抜かしてマリサに背負われて泣きながら非常口から出て来たサリーで間違いないですか!
「あ」
「わー!? そんなこと覚えてなくて良いからぁ!?」
確かあの時は……メイプル、サリー、私の順番でお化け屋敷に入って……腰抜かしてるサリーを見つけたんだっけ。
「よく覚えてるよな二人とも……」
「まだまだあるよ! ゲームにハマりすぎて、自分で考えた奥義をノートに書いてたあのサリーですか!?」
「わああ!? ごめん! 悪かったからぁ!?」
「うわぁ……暴露されると恥ずかしい奴」
「ううう……か、関係ないみたいな顔してるマリサだって、中学生の頃の先輩に借りた少女漫画を読んで倒れてたでしょ!」
「うぇっ!? わ、私関係ないだろ!」
「こうなったら道連れよ! 一緒に落ちて!」
「まぁマリサって見た目通りに乙女だもんねぇ、靴箱の中に手紙が入ってて、それを顔真っ赤にして相談して来たり」
「え」
「ちょっ!? それは誰でもそうなるだろ!?」
それは少女漫画を読んだ数日後くらいの出来事だった所為で色々チラついた所為だからな、決してそう言う性分なわけではない!
「まあ結局、感謝の手紙だったんだけどねー」
「そうなんだ……ま、まぁこの話はこの辺にして、メダルとかさっきのモンスターについて色々整理しない?」
「私完全に巻き込まれただけだけどな……」
巻き込み事故、良くない。私被害者、始めたのサリー……まぁ良いか。皆無事生還した訳だしな。
第二回と第一回のボリュームの差が……。まぁ第一回は三時間で第二回は体感時間が七日間だしそりゃそうだって感じではありますが。
マリサちゃんの火力補正は一体どこまで上がるんですかねぇ、これでもメイプルの数値に届かない事実、まぁ補正高くても大元の数値が……。