弾幕は、パワーだぜっ!?   作:霧雨、お前……やれるのか?

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めちゃくちゃ長くなりました。


第2話

「【ファイアボール】!」

 

「きゅっ!?」

 

「あ、そっち逃げたぞ!」

 

「はいはーい、【ウィンドカッター】!」

 

「きゅきゅ!? きゅう……」

 

 私の魔法は避けられても、フレデリカの魔法までは無理だった様だな!

 

「へへ、悪いな兎さん、私たちの経験値になってくれ」

 

「見た目すっごい可愛いんだけどねぇ」

 

「油断してたらポリゴン片になるのは私たちだしな」

 

 あの兎、見た目の割に案外攻撃力あるんだよな。私やフレデリカが単純に脆いだけなのかもだけどな。

 

「ま、当たらなければどうって事はないけどな!」

 

「すっごい自信だね」

 

 ふふ、このマリサさんに間違いはないからな。フレデリカも覚えとくと良いんだぜ?

 

「にしても、流石にこの辺りのモンスターにも慣れてきたね」

 

「まだまだ蜂の相手はちょっと面倒臭いけどな」

 

 良さげなアクセサリー落としてくれたし、悪くはないんだけどな。

 

「あー……でも苦戦はしないし良い方なんじゃないかな、あれってただ単純に当たらないってだけなんだしさ」

 

「んー……ま、それもそうか」

 

「それにさ、もう結構経ってる」

 

「あ、そうか」

 

 楽しくて時間のことすっかり忘れてたな。私は良いんだけどフレデリカは……。

 

「もうそろそろアウトって感じか?」

 

「そうなんだよね……ごめん、先に街に戻ってログアウトするね」

 

「気にすんなよ、フレンドにはなってるから、お互いタイミングが良い時にまた冒険できるだろ」

 

「うん、わかった」

 

 そう言って街の方へと歩いて行くフレデリカ。いやー初日に彼女と出会えて良かったな。二人の日は一人の日よりめちゃくちゃ効率良いし。

 

 

マリサ

Lv14

HP 35/35

MP 11/21

 

【STR 0】

【VIT 0 〈+8〉】

【AGI 40】

【DEX 0】

【INT 90〈+13〉】

 

装備

頭 【空欄】

体 【初心者のローブ】

右手 【初心者の杖】

左手 【初心者の杖】

足 【空欄】

靴 【空欄】

装飾品 【フォレストクインビーの指輪】

【空欄】

【空欄】

 

スキル

【火魔法V】【水魔法II】【光魔法Ⅳ】【杖の心得II】【魔法の心得II】

 

 

 初めたばかりにしては上出来ではなかろうか、まだ続けるにしても。この指輪も地味に便利なんだよな、雀の涙みたいな耐久力の私でもわかる、自動回復は強いしありがたい筈だ。

 

「面白そうなスキルは手に入らなかったかー」

 

 このゲーム、特定の行動をするとそれに応じたスキルが貰えたりするっぽいんだが、調べてないし特段変な行動した訳でもない所為か貰えなかったな、残念無念。

 

「手に入っても魔法職(わたし)と噛み合わなかったら廃棄だしなぁ、世知辛い世の中だ」

 

 余程噛み合いが悪くなければ基本採用するけどな。意外なシナジーを見つけたり新しく組み合わせたりする作業って楽しいよな。

 

「ふっふっふ、今から考えるだけでもワクワクするなぁ」

 

 まあ組み合わせるスキルはないんだがな。どうにか魔法を組み合わせたりって考えたりもしたけど、基本的に発動した魔法はそのまま狙ったところに飛んでいくからな、合わせる暇がない。

 

「フレデリカの使ってた魔法とか便利そうだったし、そろそろ買ってみるか」

 

 結界魔法、低耐久な魔法職には必須級なんじゃないか? 私みたいに避けるなら話は別だけど。

 

「あーあ、これならフレデリカと一緒に戻れば良かったなぁ」

 

 走ればまだ追いつけるか……? いや、一度別れたんだし今更追いついてもか。

 

「……うん?」

 

 おかしいな、街に向かって歩いていた筈なんだが。いつの間にか私は大きな屋敷の門の前に立っているではないか。

 

「あれ? なんでだ?」

 

 街中まではまだ距離があった筈だよな、それにこんな屋敷があるならマップに……。

 

「……【魔術師の館】?」

 

 んー? ってここ森の中じゃないか、どうなってんだ。

 

「あ、ダンジョンか?」

 

 それなら納得が行くけど行かないな。なんで来た道戻ってたらダンジョンに着くんだよ。

 

「とりあえず中に入らせて貰おうか」

 

 ダンジョンなら不法侵入だなんて文句は言われないだろうし受け付けない。

 

「中は案外広いな、結構荒れてるけど」

 

 なんて言うんだろうか、The洋館って雰囲気だ。サリーはあんまり好きじゃなさそうだなこれ。

 

「いや、案外いけるかも……お化けとかゾンビみたいな実物がいるわけじゃないし、明るいし」

 

 まあサリーが来る前提で話しててもだけど、私だって二度目があるとは限らないしな、偶然来たんだし。

 

「と、どうやらお出迎えが来たみたいだな」

 

 探索していたら、目の前に出てくる三体の影。

 

「動物型のモンスターか……へぇ、面白いな」

 

 要するに使い魔だろ? 魔術師の館って言うくらいだしな。

 

「へへ、楽しくなってきたな!」

 

「ガァ!」

 

「シャッ!」

 

「フキャア!」

 

「おっととと! 焦らなくても遊んでやるよ! 【ファイアボール】!」

 

 カラスに猫二匹、初ダンジョンの相手としては申し分ないな! 小手調べの【ファイアボール】はどの程度効いてるのか。

 

「フーッ!」

 

「シャァア……!」

 

「ガァッ!」

 

「ありゃ、全然効いてなさそうだな」

 

 これは予想外。初心者向けの狩場にあるダンジョンなんだし多少効いてても良さそうなもんだけどな、調整ミスか?

 

「じゃあこいつでどうだ、【ファイアストーム】!」

 

 文字通り炎の渦だぜっ! おそらく今の私の最高火力、出し惜しみはしない。

 

「ガ……」

 

「シャ……」

 

「フシャアッ!」

 

「ってまだ残ってんのかよ!?」

 

 黒焦げだけどまだ生きてやがる、なんだここ!?

 

「【フォトンレーザー】!」

 

「フキュッ!?」

 

 おー……お? なんとなく効き目が良い気が……気のせいかな。というより今のでレベルアップしたせいでなんとなくここの難易度察したんだが。

 

「森の中でレベルアップしたばっかなんだけどな」

 

 間違いなく長期戦になるなこれは。私の勘がそう言ってる。

 

「……行けるところまで行ってみるしかないな」

 

 扉閉まってるし……これ作った運営は間違いなく性格が悪い、初見殺しにも程がある。

 

「ポイントは……MPだな、倒せるんならあとは回数を増やさねぇと」

 

 せめて他属性の魔法を買ったりさせて欲しかったなぁ……他にも便利そうなのいっぱいあったのに。

 

「さあ来いよ使い魔ども! このマリサ様が退治してやるぜ!」

 

 

▼少女移動中…

 

 

「……ボス部屋、だよな?」

 

 うん、今までの部屋より厳重そうな扉だし間違いない。他は粗方調べた筈……変な仕掛けがなければ。

 

「にしてもつっかれたぁ……」

 

 確かに来いとは言ったさ、全部で数十体いるとは思わないじゃんか。お陰でMPのポーションを使い切った。

 

「あの時スキルを買い過ぎなくて正解だったな」

 

 魔法三つと、残りの資金でポーションを買ったり、その後も定期的にポーションを買いまくってた貯蓄のお陰で私は今ここにいる。本当ならもう一個くらい買えてたからな。

 

「そのお陰で便利なスキルも手に入ったしな」

 

 

【魔力の息吹】

 MPが30%以下の時に発動する。

 三秒ごとに最大MPの2%MPを回復する。

 効果持続時間は一分。

 発動後から十分で再使用可能。

 

 取得条件

 【杖の心得III】と【魔法の心得III】を所持し、一時間以内に最大MPの五倍の量を消費する。

 

 

【過剰魔力】

 魔法の発動時にMPを多く消費することにより威力が上昇する。

 込めた量に比例して威力増加。

 

 取得条件

 魔法に強い耐性を持つモンスターを、ダメージを受けず、三時間以内で魔法のみで五十体倒す。

 

 

 これあれだ、【魔力の息吹】はレベルが上がれば上がるほど取りにくくなって行くタイプのスキル。私は運が良かったな。五倍なんてそう使えないし。

 

 しかし【過剰魔力】、なんだそのふざけた取得条件は、取らせる気ないだろ。このダンジョンと言い運営は何を思ってこんなの設定したんだろうか。

 

 

 

「魔法に強い耐性持ってたのかあいつら」

 

 そりゃ渾身の【ファイアストーム】でも倒せねぇよな。後の方から出てきた奴とか【ファイアストーム】二回でも倒れないレベルだもん、明らかに壊れてる。

 

「ってことはボスもそれだけ強い可能性があるのかー……」

 

 ここまででも、散々死にかけた訳だが。おそらく一撃でも当たれば死ぬしな、ペラッペラだぜ。

 

「ローブと指輪合わせても+8……つまり攻撃に当たらないように、かつ魔法耐性の凄い敵に魔法で勝たないといけない、と」

 

 うーん、控えめに言って最高だな、ワクワクするぜ!

 

「あっはっは! これくらいの難所、乗り越えずしてゲーマーは名乗れないよな!」

 

 そうと決まればボスの部屋に突撃だ! 悔いはない!

 

「……誰ダ……我ガ領域を侵ス不届キ者ハ……」

 

「私だぜ、お前がここの主か?」

 

「イカニモ……我ガ領域ニ踏ミ込ム雛鳥ヨ、ソノ未熟ナ魔法デヨク我ガ使イ魔ヲ全テ倒シタモノダ……ソコダケハ褒メテヤロウ」

 

「そりゃどーも、私だって魔法使いの端くれだからな!」

 

「……ダガ、我ガ領域ニ踏ミ込ミ、使イ魔ヲ倒シ、アロウコトカ我ノ手ヲ煩ワセルコト……ソノ命ヲ持ッテ償ウガイイ」

 

 ふむふむ、ボスの名前は妄執ノ魔術師(ロストマジシャン)、見るからに強そうな魔法使いだな、骸骨だけど。

 

「先手必勝! 【ファイアストーム】!」

 

 ゴウ、と骸骨を包み込む炎、さてさてこれでどれだけ削れるか……。

 

「無駄ナコトヲ……」

 

「げ、お前も耐性持ちかよ!」

 

「当タリ前ダロウ……【ファイアボール】」

 

「うぇっ、嘘だろ!?」

 

 魔術師が発動した【ファイアボール】は私でも使える魔法だ、けども……デカすぎだろ!?

 

「【過剰魔力】……か?」

 

「我ガ眷属ヲ倒シタノナラ、貴様モ持ッテイルノダロウ……ダガ、コノ我ヲ超エルコトハデキヌ」

 

「さてな、やってみなきゃわからないことだってあるだろ?」

 

「生意気ナ……ナラバソノ目ニ、我トノ差ヲ焼キ付ケテ死ニ絶エヨ、【ウィンドストーム】ッ!!」

 

「【ファイアストーム】!」

 

 炎の渦と、風の渦がぶつかり合い……炎の渦が競り負ける。だけど当たらなきゃどうってことはない!

 

「【スプラッシュバレット】! 【ファイアボール】!」

 

「効カヌ! 【ストーンバレット】!」

 

 水弾と火球が、石弾……もはや岩の塊とも呼べる魔法に消し潰される。けど狙いはそっちじゃないんだなこれが!

 

「【フォトンレーザー】ッ!」

 

「!?」

 

「へへ、やっぱりな!」

 

 避けたな? 先輩! 使い魔に効きやすいなーってなってたから、試してみたら、大当たりだな!

 

「お前、光に弱いんだろ」

 

「貴様……!」

 

「そうだよな、見るからに屋敷の外に出てなさそうだもんな……偶には日光を浴びてみたらどうだ?」

 

「調子ニ乗ルナ……! 貴様如キノ魔法ナゾ、上カラ押シ潰スコトナゾ簡単ニ出来ル! 【スプラッシュレーザー】!」

 

「当たるかよっ!」

 

 威勢良く返して見るものの、戦況は私が不利だし、このままならジリ貧なのは目に見えてる、MPもさっきの【フォトンレーザー】で空っぽだ。【魔力の息吹】はその前から発動してて後三十秒ちょい、ってところかな。

 

「……どうするかな」

 

 このままじゃ本当に押し潰されるんだよなー……。【魔力の息吹】ギリギリまで待てばもう一回【フォトンレーザー】がギリギリ使えるけど、【過剰魔力】抜きだと削り切れるか怪しい。

 

「見るからにHPは少なそうだけど……なっ!」

 

「チョコマカト……!」

 

 使ってくる魔法に、そこまで理不尽は感じない、私の使ってる奴の上位互換的な奴が混ざってるし、【○魔法X】辺りはちゃんと取ってそうだけど。

 

「……ん?」

 

 何この通知、今来られても困るんだけどな。えーと……新しいスキル?

 

「これは……」

 

「ヨソ見トハ、フザケタ真似ヲ……! 塵モ残サズ燃エ尽キロ……【ファイアジャベリン】!!」

 

「へへ……ふざけてねぇよ、大真面目さ! 【フォトンレーザー】!!」

 

 【魔力の息吹】でピッタリ回復したMPで、【フォトンレーザー】を放つ。骸骨のは……【火魔法】スキルの上位スキルか、私が覚えてないってことはそうなんだろうな。

 

「ソノ程度デ……!?」

 

 骸骨が驚いてる驚いてる、作戦大成功だな。

 

「アリ得ヌ! 一体ドコカラコレダケノ魔力ヲ……!?」

 

「はは、教えるかよ! そのまま吹き飛べ!」

 

「アリ、得ヌ……アリ得ヌ! 我ハマダ、名ヲ轟カセテハ   

 

「届いたよ! 嫌になる程凄かったぜ先輩!」

 

「!?」

 

 何が轟かせてないだ、私に散々見せつけたじゃねぇか。全く、始めたばっかとは言え、初のボス戦から自信無くすぞ私。

 

「あんたの力は十分私に轟いたよ! 大勢じゃなくて悪いけどさ!」

 

「……そうか」

 

 覇気の消えた、人間味のある声でそう呟いた骸骨は、極太の光に飲まれ、消えていった。

 

「……勝った……?」

 

 頼むから裏ボスとか出て来ないでくれよ、万策尽きたぜ? ……とと?

 

『スキル【星魔法I】を獲得しました』

 

「……宝箱、それにこの通知ってことは……」

 

 ここはダンジョン、最後の場所に現れる宝箱と言えば、ボスを倒した時に貰える()()()()()だ。

 

「……しゃ」

 

「よっ……しゃーーーっ!!!」

 

 やったぜ! ソロでボス討伐してやったり! しかもすっごい難しい奴だしな! ああ……やり遂げたぜ私!

 

「最後の最後に……運が良かったな、本当に」

 

 まさかの土壇場で手に入れたスキルが、あの場面での最適解だったからな。

 

 

【一度限りの奇跡】

 MPが0になった時、一度だけMPが全回復する。

 発動後から二日後に再使用可能。

 

 取得条件

 杖を装備した状態で、MPが十回0になっても、同じダンジョン内で一人戦い続ける。

 

 

 おそらく、魔術師ソロで戦うことを推奨されてないってのもあるんだろうな、パーティを組むメリットは計り知れないほどあるしこのゲーム。そう考えると意図して取ろうとするとすっごいきつい上限だなぁ。

 

 まあそれを踏まえてもぶっ壊れだ、二日間のクールタイムがあるとは言えども、一回だけ倍の魔力を扱えるんだからな。

 

「あ、そうだ宝箱宝箱」

 

 感傷に浸るのもいいが、やっぱりこれを見ないとだな。何が出るかなー? オープン!

 

 

【ユニークシリーズ】

 単独でかつボスモンスターを初回戦闘で撃破しダンジョンを攻略した者に贈られる、攻略者だけの為の唯一無二の装備。

 一つのダンジョンに一つきり。

 取得した者はこの装備を譲渡できない。

 

『幻想ノ黒夜帽子』

【破壊成長】【魔術師からの贈り物】

【INT+25】【MP+15】

 

『星降ル夜ノ魔女正装』

【破壊成長】【魔女の証】

【INT+25】【AGI+25】【MP+5】

 

『流星箒』

【破壊成長】【夜空に尾を引く箒星】

【INT+13】【AGI+39】

 

【一人前のペンダント】

【スキルスロット】

【INT+7】【AGI+6】

 

 

【破壊成長】

 壊れても強くなり再生する。

 

【魔術師からの贈り物】

 暗闇に完全耐性を付与し、MPの消費が半分になる。

 

【魔女の証】

 INTの数値に+50%の補正がかかる。夜の間には更に+50%の補正がかかる。

 

【夜空に尾を引く箒星】

 飛行能力を持つ、速度は所有者の【AGI】の数値に比例する。

 

【スキルスロット】

 自分の持っているスキルを捨てて武器に付与することが出来る。こうして付与したスキルは二度と取り戻すことが出来ない。

 付与したスキルは1日に5回だけMP消費0で発動できる。

 それ以降は通常通りMPを必要とする。

 スロットは15レベル毎に1つ解放される。

 

 

「うぇっ!?」

 

 何この壊れ装備たち……え、怖。装備の数値とスキルで現在の私を、軽く超えそうじゃん、えげつない。

 

「夜じゃなくてもかなりの補正があって強いなこれ」

 

 というか【一度限りの奇跡】と【魔術師からの贈り物】、組み合わせたらMP四倍ってマジ? 【過剰魔力】の補正がどんなものかわからんけど、これかなりやばいでしょ。

 

「……あれ、まだ奥になんかあるのか」

 

 正直お腹いっぱいなんだけどな……。

 

 

【ウィッチクラフト】

 魔法を込めた道具を作ることが出来る。

 成功率は所有者の【INT】に比例する。

 

【???の鍵】

 ???

 

 

「……えと、ペンダントに付けるスキルはまた今度考えようかな……うん」

 

 能力的に【ウィッチクラフト】は生産職系……だったら私が持ってても良い筈。そう言えば【星魔法I】ってどんなスキルなんだ?

 

 

【星魔法I】

 星型の魔力弾を放つことが出来る。

 他の属性と組み合わせ可能。

 

 

「うーんと、使いやすそうな弾幕ってことで良いのかな」

 

 えーと、あれがこうなるんだから……ダメだ頭が働かない。

 

「今何時……え!? もうこんな時間なのか!?」

 

 やばいって明日学校だぞ!

 さっさと街に戻ってログアウトしないと!

 

 

▼少女移動中…

 

 

ーとある運営秘話ー

 

「……ん?」

 

「どうした?」

 

「……【魔術師の館】が完全クリアされてる……」

 

「「「え!?」」」

 

「待て待て待て、ただのクリアじゃ無くてか!?」

 

「ああ、大魔女装備一式も、ペンダントも、星魔法もウィッチクラフトも鍵もだ」

 

「はああぁっ!? あの作った俺たちですらドン引きしたあれが!?」

 

「杖を装備してるプレイヤー以外見つけることも不可能なあれを!?」

 

「その癖してモンスターは全て光系以外の魔法にアホみたいな耐性持ってるあれか!?」

 

「そうだその大馬鹿ダンジョンだ」

 

「……あれって完全クリアの条件なんだっけ」

 

「そうだな……まず見つけることは大前提として、初回ソロノーダメージ攻略かつ屋敷内の使い魔モンスターの全滅、そしてボスモンスターの真正面突破と和解だな……ふざけてんのか」

 

「改めて聞いても正気の沙汰じゃねぇよ……」

 

「だって徹夜のノリとストレスで作ったんだぜ? 攻略される気がないもん、前提に」

 

「誰がクリアしたんだ?」

 

「今映像出す……このプレイヤーだな、名前はマリサ、というらしい」

 

「見間違いか……? 初心者じゃん」

 

「お前の目は正常だ、ふむ、最初の三体は炎魔法のゴリ押しで倒したのか、INTとAGIにステータスを振り切ってる感じの火力型だな。

 

「あの時点でINTがギリ100超えてるのかー……最初の三体ってちょい弱めなんだっけ」

 

「ああ、この数値と魔法の練度値なら突破出来なくもない」

 

「お、この時に光魔法の効き目に気付いたっぽいな」

 

「しかしまあそれはそれとして彼女自身のPSも大したもんだな、ノーダメだろ?」

 

「ああ、確かに……けどこれでも足りなくね? ボスって他はペラペラだけど耐性と魔法の強さで成り立ってるタイプだったろ?」

 

「……それがな、【魔力の息吹】と【過剰魔力】をボス戦前に獲得してる」

 

「あー……確かにめちゃくちゃ条件揃ってるじゃんあのダンジョン」

 

「それでも、だよ」

 

「……そこに【一度限りの奇跡】が追加されたとしたら?」

 

「「「なん……だと……!?」」」

 

「そうか! 【魔力の息吹】で延々と回復と殲滅を繰り返せば……!」

 

「ああ、MPポーションが少ない初心者でも獲得は可能だ」

 

「ああ……俺たちの悪意の結晶がパワー負けしてら……」

 

「しかもその時のボスの呟きにしっかり100%の返し方してますねこれ」

 

「うわー……これ第一回イベント大丈夫かな」

 

「まあ大丈夫……ではないだろうが、幸いにもマリサというプレイヤーは真っ当に戦うタイプだし、当日は『流星箒』が……それだけなんとかなれば他のプレイヤーでも勝ち目はあるだろうな」

 

「とりあえず見守る、その方針で良いな?」

 

「「「了解です」」」




マリサちゃんPSはあるのよね、サリー相手にずっと戦ってたから。
メイプル<マリサ≦サリーの順番かと思われます。
初心者プレイヤーがして良い戦績じゃない? それを言わないでクレメンス。

ー魔術師の館のあれこれー

要するにソロで初見クリア、かつモンスター全滅とボスに「誇れ、お前は強い」的な事を死ぬ前に言えば完全クリアよ。
杖持ってる人じゃないと入り口にすら立てない鬼畜外道。
ボスにはHPが少しでも削られたらある魔法を使うAIが入ってたけど、光以外の魔法がまだまだ弱すぎてかすり傷すら入らなかった模様。
それなのにHPも耐久もペラペラだから、上級者レベルの光魔法なら完封出来る可能性がある……って感じ。
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