弾幕は、パワーだぜっ!? 作:霧雨、お前……やれるのか?
「ガァァ……!」
「キシシ!」
「ああもう鬱陶しいぜお前ら! 【フォトンレーザー】!!」
焼き払っても風穴開けてもどんどん来やがる。
「生半可なダメージだと永遠に追って来るし」
空中戦に強い奴らばかりである。運営からの悪意を感じる。
「目的地はどこなんだ……!」
小屋ってのはどれだけ奥地にあるんだ!? 結構奥の方まで来たのにそれっぽいものの影すら見えやしない。
「【スターダスト】! 【スプラッシュバレット】!」
どんだけ湧いて出てくる……って何か見えた!
「アレか!」
随分とボロボロになってるが、アレが小屋だな!
「けどまだまだモンスターが多い……!」
小屋にまで着いて来られると厄介でしかない、というか多過ぎだってば!
「【ファイアストーム】! 全部まとめて燃え尽きやがれっ!」
【過剰魔力】で強化した【ファイアストーム】だ、そこに加えて……!
「【ウィンドストーム】!」
取得しておいた風魔法の練度が上がり使えるようになった魔法だ、さっき買ったばかりだが、上がった【INT】と、こいつらの数を合わせたらサクサクと練度が上がっていったんだよな。
「ぐぎゃっ!?」
「キィヤァァァァァ!?」
【ファイアストーム】と、【ウィンドストーム】が重なり、凄まじい熱量を放っている、離れてる私すら燃えそうだし、逃げられずに吸い込まれて行くモンスターが結構いる。
「……ふぅ、魔法はパワーだぜ」
これで安心して中に入れそうだ……うん、本当にボロボロだな。よく形を保ってるもんだ。
「お邪魔しまーす」
「痛い……あぁ……誰か……」
「……あんたか、爺さんの友人ってのは」
「痛い……苦しい……あぁ、ぁああぁ……」
「聞いちゃいねぇか、まあ……【ヒール】」
傷だらけ、血まみれの男に【ヒール】をかけてやる。こんなところにまでグラフィックの良さを持って来なくても良いだろうに。
「あぁ……痛い……」
「【ヒール】……酷いなこれ」
効き目が悪い気がする。
「【ヒール】……んん?」
「あ、がぁあ……辞めてくれ……これ、以上はぁ……!」
再度傷が広がり始めた、いや何これ……このモヤか?
「んー……【リフレッシュ】……お、効いた効いた」
どうやらこのモヤは状態異常の類のようだ、【リフレッシュ】でどうにかなり……ならなそう。
「ありゃ、まーたモヤが……傷も広がってるし……」
うーん、どうするかなぁ、これじゃイタチごっこだ。この男の苦しみが増えるだけになる。
「……【ヒール】と【リフレッシュ】を同時にかける? さっきの見た感じじゃ出力が……【過剰魔力】で……MP足りるか?」
外をチラッと見ると……おお、夜だ、良いタイミングだぜ。
「頑張れよ、おっさん」
「あ、ぁ……」
「ここからが、
気合い入れろよマリサ、【過剰魔力】のMP調節は私にかかってるんだ。
「んぐ……ポーションでMPもオッケー……っし、やるか!」
「【リフレッシュ】、んで【ヒール】」
モヤを晴らした部分から、どんどんと治して行く。今はまだ回復重視で良いな。
「っと、来やがったな」
「あぐぁ……痛い……!」
「【リフレッシュ】多めにして、とにかくモヤを消す」
良いぞ、モヤがどんどん小さくなって……ってええ!?
「あああぁっ!? 痛い痛い痛いっ!?」
「マジかよっ!?」
なんか中から出て来たんですけどっ!? 気持ち悪!? 傷口抉りながら出てくんなってばドロドロやろー!
「ぐぅぅっ!?」
「マリサ様に勝てると思うなよっ! 【リフレッシュ】!」
こいつが状態異常の元なら、完全に出るまで【リフレッシュ】が強い方が良い! 耐えてくれよおっさん!
「このおっさんから出てけ!」
「ギギッ!? ……ギギギィッ!」
「って宿主を私にするつもりか!」
追い出されてご立腹なドロドロは、腹いせに私に矛先を向けたようだ。
「っ……来い! この私をそう簡単に呪えると思うなよっ!」
「ギギッ!」
ドロドロが私に纏わりついて……うえ、気持ち悪……くはないな、そこら辺は配慮されたのか? まあ何とかなりそう。
「っし! 【ヒール】!」
「あ、あ……」
傷がどんどん治って行くな! やっぱりあの虫もどきが原因か。これなら治るしMPも足りる。
「……あり、がとう……」
「どういたしまして」
「……流石は、あの方の……呪いを、押し付ける、形に……すみ、ません……」
またあの魔術師の知り合いかよ。どんだけ細かく作られてんだこのシナリオ。
「構わないぜ、来いって言ったの私だしな」
「……そう、ですか……」
「逝くのか?」
「……ええ、改めて、ありがとう……」
それが良い人そうなおっさんの、最後の言葉だった。
「……戻るか、あんまり納得してないけど」
これが誰も救われない物語って奴かぁ。あんまり体験したかないなぁ。ゲームでも現実でも。
▼少女移動中…
「戻ったぜ爺さん」
「……その様子ですと、友人は逝きましたか」
「ああ」
「……呪いまで引き受けさせてしまいましたか、申し訳ない限りですな」
「気にすんなっての……で、これで終わりか?」
「ええ、目先の目標は達成されとりますからな……これをお受け取り下さい」
クエスト、【代行者としての義務】をクリアしました。
【流星】を獲得しました。
【黒蟲の呪い】を獲得しました。
「……またお会いできる日を楽しみにしております」
「まだ何かあるのか?」
「少なくとも、あなた様がそのペンダントを付けている限りは、逃れられぬものでしょう……では」
ふむ、これ以上続けたくないならこれ外せってか。
「……無難に強いし多分一生外さないんだよなぁ」
【スキルスロット】が強すぎるからな、うん。付けたら外せないとは言えど自由にカスタマイズできるのは強い。
「って、スキル確認しなきゃだ」
【流星】
一分間の間【AGI】の値を70%上昇させる。
使用中、一定以上の速度になると【彗星のオーラ】状態になる。
使用後三十分分後に再使用可能。
【彗星のオーラ】
この状態中は、【AGI】の値の半分が【VIT】に加算される。
一定値より速度が下回った場合に解除される。
【黒蟲の呪い】
被ダメージが50%加算。
ダメージを負うごとに【侵食】される。
このスキルは廃棄不可。
【侵食】
回復の効果が80%減少する。
【侵食】の度合いによって【STR】【INT】【AGI】が上昇する。
【侵食】の度合いは目視可能。
「……なんか面倒なのが増えた気がするな」
上二つは良い、単純に強化だし、事故した時に死ぬ可能性が単純に減る。
「これがあの時悪さしてたドロドロか……?」
何か違う気がするけど……まあ良いや。要するにダメージ受けるなってことだろこれ。
「ま、どうにかなるな、やることは変わらないし」
と言うかこれでようやく鍵を試せる。長かった……ん?
「……工房ってどこだっけ」
店のおっちゃん、鍵はくれたけど場所教えてくれなかったな。
▼少女捜索中…
「ここか」
【太古の工房の鍵】が使える……と思われる。店のおっちゃんも詳しくは知らないらしい。
「結局【???の鍵】の使う場所はどこにも無かったな」
やれることが多過ぎて疲れる。けどまあそれだけやりがいはあるんだし、どっちもどっちだなぁ。
「鍵で……おお、開いたな」
中は……長い間放置されていたにしては綺麗だな。にしてもごちゃごちゃしてるけど。
「うーん汚い……荒らされた、ってより元々こんな感じだったのかこれ」
使うにしても掃除からかぁ。気合い入れなきゃな。
「工房というより家の方が近い気がするが」
あの魔術師の住処は館だと思ってたんだけどな、泊まり込み作業でもしてたんだろうかね。
「真実は闇の中……っと、見つけた」
ようやく見つけたぞ、作業台らしきもの。んーと、使い方は、と……。
【魔術師の作業机】
道具に魔法を込めることができる。
込められた魔法はMPを消費せず使用可能。
成功率は所有者の【INT】の値に比例する。
「ふむ……魔法のストックか、要するに」
色々悪さしそう。
「HPのポーションとか、その辺が要らなくなる訳か」
まあ今まで使ったことないんだけどな、あいつはアイテム欄でずっとお留守番してるよ。
「試しに……お、良さげな小瓶があるしそいつにしてみるか」
込める魔法は……新しく手に入った【マジックミサイル】ってのにしてみよう。ミサイルなのにこれ、ただの微ホーミングレーザーなんだよなぁ……星要素どこ行ったし。
「……お、できた……のか?」
【魔女の小瓶】
封入魔法【マジックミサイル】×1
最大ストレージ数×1
ふむふむ、ものによって込められる魔法の数が決まってるのか? まだまだよくわからんな……。
「……ま、色々やってみるか!」
……これがのちのイベントにて、『空中テロ』『火力厨魔女』などと呼ばれるようになるプレイヤー、マリサのきっかけとなるのであることは、まだ誰も知らない。
HPポーションくん:(・∀・)ソンナー
MP節約のためとか、そういう理由でも使われなくなってしまったポーションくんが不憫で涙が止まらない。
……え、節約以前に使われなかったって? ナンノコトデスカネ。