弾幕は、パワーだぜっ!? 作:霧雨、お前……やれるのか?
『ガオー! New World Onlineの記念すべき第一回イベント! バトルロワイヤルを開始するドラ!」
「お、あれが司会役か」
なんとも言い難いドラゴンもどきだなぁ。運営のマスコットキャラだろうか……まあ宣伝という意味では良くも悪くも印象に残りそうではあるな。
『ルールを改めて説明するドラ! 制限時間は三時間! イベント用に作られた専用マップドラ! ちなみに僕はドラぞう! このゲームのマスコットなので、初めての人は以後よろしくドラー!』
ふーん……まあバトルロワイヤルだしそんなもんか。にしても専用マップってまた豪華だなぁ、気合いが入ってる。
『それではカウントダウンを始めるドラ』
結局楓とは合わなかった訳だが、ごめんな理沙。
『3』
このイベントに参加していたりするのだろうか、だとしたら勝負……はほどほどに、楽しいかとか色々聞きたいな。
『2……1』
「……ワクワクするな……にしし」
『……0! ゲーム開始! 皆頑張るドラ!』
瞬間、周りのプレイヤー共々光に包まれ、思わず目を瞑る。再び目を開いた先に広がるのは……。
「……ちゃんと森の中だな」
薄暗い森の中である。日の光をあんまり通さないマップか。身を隠すなら便利だな。
「ひゃっはぁ!!」
「! っとと! ……随分といきなりじゃないか、おっさん!」
「当っ然! バトロワなんてやられた方が悪いからなぁ! 一点目貰うぜ嬢ちゃん!」
「そりゃこっちのセリフだぜ! 【スプラッシュバレット】!」
「うおっと!?」
紙一重で避けられるかぁ……イベント参加者とだけあって手強そうだなぁ、このおっさん。
「へへ、結構良い威力してんじゃねぇか」
「だろ? なんてったって……」
私のモットーだからなそりゃ、良い威力でなくては困るぜ。
「
「っ!? まだまだァ!」
星型弾幕を突っ切って、こちらに迫るか、良い根性してるぜ。
「なぬっ!? うわわっ!」
「オラオラっ!」
結構早いラッシュだな、やっぱりそこそこ強い枠だろこのおっさん。
「ガハハ! 目が慣れて来たしそろそろ……」
「……なんてな! 【フラッシュ】!」
「うがっ!?」
よく迫ったが、とうとう終わりの時だぜ。こんな薄暗い中なんだ、結構眩しいだろ?
「言い残すこと、あるか?」
「……畜生それが狙いかよ!」
「【ウィンドカッター】」
最大で【INT】400越えの魔法でおっさんの首が落ち、ポリゴン片に変わる。
「……まだ外は明るいのかね?」
私に向いてないぜこのイベント。三時間で夜に変わるか怪しいしなぁ。
「うーん……どうしようかね」
今から空中爆撃しても良いんだけど、それだと残ったプレイヤーからヘイトを買いまくる可能性があるからなぁ。
「物理は当たらなくても魔法は飛んでくるしな、ペラペラな上にスキルの所為でそうそう被弾できない」
ギリギリを見極めるのって難しいからなぁ。不特定多数のプレイヤー相手だと特に。
「……そうだ、森なら……」
▼少女移動中…
イベントマップ、薄暗い森の中にて。
「うぉーっ! そろそろ倒れろよっ!」
「こっちのセリフじゃいっ!」
複数のプレイヤーが、ポイントを獲る為に争っていた。
「【ファイアボール】!」
「【超加速】! 当たんねぇなっ!」
中には上位層ほどでなくとも、名のある中堅プレイヤーも混ざっていただろう。
「しつけぇ……?」
「なんだ……と?」
そんな激戦の最中に、ある異変が起こった。
「綺麗……」
「何が……?」
木々が生い茂り、わずかな隙間からのみ差し込む光が辺りを照らす世界にて、無数の光が森の奥に現れたのだ。
「イベントか?」
「バトルロワイヤルにそんなのあるかよ」
「じゃあいった 」
「え?」
目の前の奴が謎の光に撃ち抜かれた。一撃だったらしい、同じ様な被害者が周りにはそこそこいる。そして……。
「……俺も……?」
自分もまた、撃ち抜かれ倒れ伏そうとするものの一人であった。
「……まさか、あれ……」
「きゃあっ!?」
「うおおっ!?」
森の奥地から、無数の光が次々とプレイヤーを撃ち抜いている。それが表す意味は……。
「あれ、全部魔法、かよ……クソッタレ……」
そう言い残し、男は砕け散った。
「……おし、作戦通りだな!」
▼少女移動中…
トラ・トラ・トラ、ワレ奇襲ニ成功セリ……ってな。
「用意したアイテム、早速役に立ったな」
【魔女の小瓶】、【過剰魔力】との併用ができない代わりに、込めた魔法の威力は使用時の【INT】で計算するという、作るだけお得になる壊れアイテム。
「MPの消費が格段に下がるんだよなこれ」
まあちゃんと欠点はあるけども。狙いが定まらないんだよな。小瓶は所有者の手を離れて数秒で破裂、中の魔法が発動する仕組みだ。
「ただし魔法はどこに飛んでいくのはわからないと来た、痛かったなぁ……」
お陰で試しに込めた【ファイアボール】で一回死にかけたし。侵食もちょっとだけ進んだよ、踏んだり蹴ったりだ。
「【マジックミサイル】がここぞとばかりに輝くな」
ミサイルとは名ばかりの微ホーミングレーザーだが、流石に使用者の方にホーミングするなんてアホな性質はしてなかったからな、ちゃんと相手の方に向かってくれる。
「おっさんも強そうだったけど、あれくらいなら問題なし……目指せるかもな、上位」
ペインとかドレッドだっけ、上位プレイヤー。調べなくてもよく聞く名前はそんくらいだったけど、化け物らしい。楽しみだな。
「何人倒したっけな……ま、上から十番目くらいは目指すかな」
最大の目標としてはトップを目指すんだけどなぁ、強いプレイヤーと戦いたいし……当然長引く可能性もある訳だからそんなキル数に構ってられないかもっていうジレンマ、辛いなぁ。
「後一時間半……そろそろ出るか」
後半分なら、早々に的当てゲームにはならん筈だし、森の中のプレイヤーもほとんどいなくなったしな。
「飛べ! ここからはマリサ様の独壇場だぜ!」
まだまだ小瓶はたくさんあるんだ、止まるつもりはない。
「よっと! 行ってこい!」
ばら撒かれるは【魔女の小瓶】、もちろん中身は【マジックミサイル】、多分それ以外の魔法を込めることはない、下手したら私が死ぬ。被ダメージ1.5倍だからな。
「あっはっは! 人がゴミの様だ! ……なんてな」
流石にそれは失礼だけど。
「んーでも、思った以上によく当たる、しかも反撃されないし……なんでだ?」
私が考えても仕方ないんだけどな。やっぱり気になるじゃん。結構ばら撒いてんだけど。
「……見えてない? それはない……なら当てられない? そもそも撃ってない」
んー……???
「……わからねー……って、あれは」
私と同じ髪色で、ピンクのリボンを付けた魔法職……と来れば?
「にしし……見つけたぜ! フレデリカ!」
「今までどこ隠れてたのさー! マリサ!」
「ちょっと森の中にいたぜ、私だって蜂の巣は嫌だからな」
「あー……あの状態のマリサ、目立つし私なら撃つって考えるからわかんなくもないか」
「だろ? だから人数が減るの待ってたんだよ」
「……ま、そのお陰でこうしてマリサと二人っきりなんだし、それで良かったかもねー」
「なはは! さぁて、じゃあご要望通り
「強引だね、あんまりだと嫌われるよ?」
「そんな私は嫌いか?」
「んー……あは、嫌いじゃないよ!」
「それなら良かったぜ! 私もだ! 【フォトンレーザー】!」
「お互い様だねー! 【マジックバリア】!」
んー? 【結界魔法】って私の【フォトンレーザー】防げるほど……あぁ、なるほど?」
「【属性強化】で結界まで強くなってるのか!」
「バレちゃったか、そういうこと! 敵に塩を送ったね! ありがと!」
「どういたしまして! そうこなくちゃな! 【ファイアジャベリン】!」
「【スプラッシュジャベリン】!」
あっはっは! 【INT】は私の方が高い筈なのに、上手いこと凌がれてるぜ、流石フレデリカだな。
「そろそろこっちからも行くよー? 【多重水弾】!」
「!? うわっとと! 【スターダスト】!」
うぇ!? なんで複数同時に魔法が……そういうスキルか?
「同時展開とはまた凄いスキルだな!」
「そうでしょ? これなら今まで隠してた甲斐があった……ね! 【多重炎弾】!」
「【スプラッシュバレット】! ……相殺しきれてないか!」
普通に属性の相性で打ち消しに行っても物量で返される。だったら……!
「凄いなフレデリカ、下手したら今の私より火力あるんじゃないか?」
「だったら嬉しいなー……けど、私にとってはまだまだ大きな壁だけどね! 【多重光砲】!」
四つの……おそらく【フォトンレーザー】か……避けれるけど……この状況を打破するなら……。
「っ……流石に痛いな……!」
敢えて受ける、もちろん掠ったりさせての調節はいるけどな。
「? ……なんで受けたの?」
「なんでって……私の奥の手見せる為、だぜ? ……ほら、来るぞ」
「え?」
ダメージを受けたことにより【黒蟲の呪い】の条件を満たした。【侵食】状態に変化する。ちなみにこの【侵食】、死ぬまで効果が持続するらしい。お陰様で最近は回復魔法を重ね掛けする毎日だったぜ。
「めっちゃ禍々しいじゃん!? なにそれ!」
「あっはっは! これでもある意味強化なんだぜ! 【フォトンレーザー】!」
「っ!? 【多重障壁】!」
フレデリカの【多重障壁】とぶつかって……少しだけ貫通する、結構な補正かかるんだなこれ、まぁデバフの重さにしてはアレだけど。
「うー! まだまだ上には上があるってことね! 【多重炎弾】!」
「私も早々に超えられても困るからな! 【ファイアジャベリン】!」
まだまだ遊ぼうぜフレデリカ! 魔法職だとあとはミィくらいしか魔法職友達いなくて張り合いがないんでな!
「見せてやるぜ! 【スターダスト】!!」
「【多重風刃】……って、なんか増えてるっ!?」
【スターダスト】はたった一つの星型弾を飛ばす魔法……ではなかった。どうやら星型弾一つの威力は据え置きらしく、【過剰魔力】で魔力を込めると数が増える仕組みだったらしい、最近知った。
「ぐ……きゃあっ!?」
「私の勝ち、だぜ!」
「うー……悔しい……次は負けないからね、マリサ」
「ああ、待ってるぜフレデリカ」
……さて、どうするかな。今回のイベント一番の楽しみとも言えるフレデリカとの戦いが終わっちゃったなぁ。
「他の上位プレイヤー探して……」
『残り時間が一時間になったドラ! 現在の順位は、一位ペインさん、二位ドレッドさん、三位がメイプルさんドラ! ここからは上位三名の居場所をマップに表示されるドラ! 上位三名を倒した方にはその得点の三割が譲渡されるドラ! 一発逆転を狙えるドラから、頑張って欲しいドラよー!』
「へぇ、上位三名ね」
ペインとドレッドはさっきの通り知ってる名前だ。だがメイプルってのは……。
「……メイプルねぇ……ん? 案外近い場所にいるなメイプルってプレイヤー」
やばいって言われるプレイヤー二人に並ぶプレイヤーか。……良いね。
「行かなきゃ損だろ! 飛ぶぞ箒星!」
一体どんなプレイヤーなんだろなっ!
▼一方その頃…
「……ふんふふーん♪」
お絵描きをしている件の要塞さんはと言うと……。
「……? 誰か来る?」
黒いモヤにはまだ上がある(ネタバレ)。
禍々しくなったマリサは火力がさらに増加します、つよい。
それでも尚、大楯の少女には勝てません、やばい。