先生は周りにバレずに意識させたい 作:名無しのRちゃん
どうも、ゲーム中にコトハが脇腹を突っついてきたのに対してこちょこちょをして、最初は「ちょ、や、やめてください!ちょっかいかけたのはあやまりますからぁ!」と笑い泣きしながら懇願をしてくるコトハにいきなり羽の付け根を触って「ひゃあ♡」と甘い声を出させて気まずい空気にさせたい先生です。
さて、今日のシャーレ当番はゲヘナ学園の2年生、給食部所属の愛清フウカだ。
フウカは学園全体の給食を一手に引き受ける給食部の部長で、4000人の食事を1人で賄うという誰がどう見てもオーバーワークな仕事量をこなしている生徒だ。なんだかとても親近感が湧いてくる。
それと話は変わるが、フウカが角に髪の毛をかけているの⋯⋯良くない?さながらフウカ本人を引き立たせる背景にも見えてくるよ⋯⋯。
……これは浮気じゃないよね?何故かは分からないが小さめの体型の生徒を見ると口が止まらなくなってしまう。
やはり私の性癖が『コトハ』だからだろうか。
きっと私の身体は全ての事柄にコトハを結び付け、興奮できるよう構築し直されたんだろうな。すっごい困る。興奮するならコトハだけに留めといてくれよ私。コトハが大好きなのは分かっているからコトハに似たものでも発情するのは勘弁してくれ。そこまで行くとただの発情期の猿なんだよ。どこでも興奮マシーンなんだよ。思春期の男子高校生かよ。私は子供を導く立場だぞ?ここは自重してコトハにだけ発情しような?私。
「先生、コトハ、おはようございます」
おっと、そうこう言っているうちにフウカたんがシャーレにインしたみたいだ。
「おはよう、フウカ」
「おはようございます!フウカちゃん!」
うん。今日もベリベリキュートだよ、コトハ。先生、最近思うんだ。コトハは見た目だけで言えば中学生、それも発育途中の。それなのにもう子供が産める身体なんだなって。先生なんだか感慨深いよ。
初めてコトハと会った時、私の姿を見るやいなや急にふらふらし始めて身体も震えだして、その時は動揺を隠しながらも平静を装っていたけど、誰が見ても心配するくらいには隠せていなくて、次にシャーレに来た時は生き急ぐかのように、命に代えてまでもその使命を果たすかのように仕事を手伝い始めてね。コトハは上手く隠せてると思っていたのかも知れないけど、その時はコトハに対して愛を向けていない、自覚していない私でさえも分かるくらいには、「何か」に脅えていた。
そんなコトハが今はすっかり天真爛漫な元気っ子に。なんかね、昔のコトハをよく知っている身からするとね、元気になって良かったって思う気持ちも勿論あるんだけど、その、簡単に言うなら、すっごく興奮するよね。これが「本能」かな……?
と、思い出話に耽っちゃったな。でも、振り返るってことはやっぱりいいな。生徒たちとの思い出で溢れかえって心が浄化されていく感じがする。それと今じゃ見られない昔のコトハも、記憶を振り返れば思い浮かぶしね。ふわふわした雰囲気を醸し出しているいつものコトハに対して、あの焦燥感に塗れて雰囲気やら目つきが鋭くなったコトハはすごく心がキュンとする。今思えばこれがギャップ萌えってやつなのかなぁ。これに心を打たれる人が居るって言うのも納得だ。あれは先生であるにも関わらず、思わず手を出すところだったよ。……いや、えっちな意味じゃないよ。なんて言うんだろうか……その……抱きしめたく……なる……みたいな……。……この話はここでやめようか。というか、あの常套句を使っても話が止まってなかったな。これもコトハの魅力のせいだ。うん。あと私がボロを出したのもコトハのせいだ。なんもかんもコトハのせいにしてる訳じゃないんだよ?これはね、褒めてるんだよ、コトハ。……本当だよ?
さて、本当に話し続けちゃうし昔話はまた別の機会にでも回して、とりあえず今日の作戦を実行するために昼休憩まで仕事をしよう。このまま行くとコトハの話だけで今日の業務終了時間まで話し込んでしまう。それもそれでコトハの魅力が更に伝わるし最高なんだけどね。先生だから、生徒のためにも責任は果たさないとね。
「それじゃあ、そろそろ今日の業務を始めよう!」
「はい、頑張りましょう!」
「フウカちゃんのお昼のために頑張ります!」
作戦の本筋をネタバレするのはやめようねコトハ。もうこのまま説明しちゃうけど、フウカが当番の時は有難いことに弁当を作ってきてくれるんだ。そしていつも弁当を作ってくるコトハには、フウカ特製のおかずセットが作られている。ここまで聞いて、なんでフウカが作ってきてくれるのにコトハは弁当を持ってくるんだ、と思った人は少なからずいるだろう。私も例外ではなく、以前コトハに聞いてみたのだが、コトハからすれば朝のお弁当作りはルーティーンみたいでそれをしないと眠気が覚めないのだと言う。だがそれはそれとしてフウカが当番の日はおかずの量を少なくしてお米の量を増やしている。ちゃっかりさんめ。そんなところも好きだぞ、コトハ。
少し話が逸れたが、今回の私の目的はお弁当交換と銘打ってコトハの手料理を食べることだ。出来ればあ〜んもしてもらいたいが、これに関してはなんならの因果律操作が加わっている気がするので今回は望まない。先生、安定を取るタイプなんだ。お弁当交換の理由は……うん。アドリブで何とかしよう。大丈夫だ。とりあえずその時になってから考えても遅くは無いさ。とりあえずお昼までにお腹を出来るだけ空かせておくためにも、仕事を頑張らなきゃな。
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「いい時間だし、そろそろお昼にしよっか」
「わ〜い!私お茶淹れてきますね!」
……一瞬でキッチンに向かって行ってしまった。私の想像以上にフウカの弁当が楽しみだったみたいだ。これは私のコトハ完全マニュアルを更新しないとな……。
「はい、先生。今日のお弁当です」
「ありがとうフウカ」
「それにしてもコトハ。凄い勢いでお茶を淹れに行きましたね」
「フウカのお弁当はすごく美味しいからね。私も、フウカのお弁当なら毎日食べたいくらいだよ」
「……ッ!……わ、私は……先生さえ宜しければ構わないのですけど……じゃなくて!ほら!コトハも来ましたし食べますよ!」
「?うん。それじゃいただきます」
「「いただきます」!」
さてと。いきなりだが手詰まりだ。どうにかいい感じの理由をつけてコトハのお弁当を食べれないだろうか。え?そのままコトハに言えばいいだろって?いやいや、そんなことしたらフウカに私がコトハの手料理が食べたすぎて手段を選ばずに、みっともなくその可能性に縋っている醜い大人だと思われるだろう?そもそもそれで断られたらどうするんだ。私この後何も出来なくなるぞ。……それにしてもどうしようか……このまま何もせずいたら前と同じようにコトハが先に食べ終わってしまう……。う〜む。……ん?何故かフウカがコトハのお弁当をじっと見ているぞ?……このままじゃ埒が明かないしね。聞いてみようか。
「フウカ?コトハのお弁当をじっと見てどうしたの?」
「……!せ、先生。えーと、これは、その……」
「どうしましたかフウカちゃん?私、特に気にしませんよ?」
「いや、本当に些細なことなんだけど……コトハの手料理を食べてみたいなって」
!!!まさかフウカも私と同じ理由だったとは!この大チャンス。乗らない訳にはいかない!
「フウカ……奇遇だね。私もコトハのお弁当を食べてみたくてさ。……そうだね、みんなでおかず交換でもしない?」
「私はフウカちゃんのおかずが増えるだけなので大丈夫なんですけど、私の手作りで釣り合いますかね?」
「それはもちろん。私たちが食べたいんだからね。何も気にしなくて大丈夫だよ」
「うん。私もコトハの手作り食べてみたかったし」
私とフウカでこっそりグータッチをし、話を着々と進めていく。ここから作戦が頓挫することなど有り得るわけが無いな。これは勝った……。
さて、そうと決まれば早速!コトハの!手作りの!おかずを!頂くとしよう。
「えーとじゃあ、私からは卵焼きをあげますね」
私とフウカで目を合わせる。とうとうだ。念願のコトハのお弁当……。コトハが朝イチで、その可愛い手で、私のために作ってくれた愛の1品。先生として、コトハの未来の夫……いや、お父さんとして。じっくり味あわせて貰おう……。
「それじゃあ「いただきます」」
私たちはその卵焼きを口に含みじっくりと味わった。口に入れた瞬間、ほろ苦さと卵の濃厚な味わいが混ざり合い……ほろ苦さが苦いへと変貌し、卵の濃厚さ、旨み、コクを全て破壊した。
「「ゴハッァ!!」」
私たちは吐いた。それも、盛大に。しかし、それも仕方の無いことだ。口に含み、舌がじわじわと中の物を理解し始めた途端の衝撃。不意に醤油を口に含んだかのような反射での嘔吐。私はこんなものを知らない。未知との領域だった。普段からコトハはこれを食べているのか……?料理が下手でもコトハのことは絶対に嫌いにならないが、さすがにこれは放置出来ない……。そのレベルでこれはダメだ。フウカなんて美食研究会に拉致された時よりも目が死んでいる。なんならこれ死んでないか?ヘイローチカチカしているのだけれど。
「あ、あれぇ!?な、なんで私の卵焼きを食べただけでこんな死屍累々みたいになってるんですか!?私、塩と胡椒とあと少しだけ醤油を入れた……だ……け。…………なんだか醤油を入れたにしては色が薄いような……」
「……ゴフッ!……朝だからね……昨日の夜とかにでも……調味料を置きっぱにしていて……間違えてそれを……入れた……とかじゃ…………ない……か……な。バタッ……」
「あ、あー!先生、大丈夫ですか!さっきからピクリと動いていないフウカちゃんも!昨日の夜は豆腐を手作りして食べただけで……」
「それ!絶対それでしょ!」
「うわぁ!ってフウカちゃん!良かった……目覚めたんですね。私このままだとキヴォトスで、卵焼きを用いて2人の人を殺めた生徒として指名手配されるところでしたよ……。七囚人入りするなら毒卵の天使とかですかね……あはは」
「そんなこと言ってる場合か!絶対コトハ醤油じゃなくてにがり入れたでしょ!それも大量に!」
「あ、あ〜。た、確かに醤油を入れたのに色が変わらないなとは思っていましたけど……そういえばにがり置きっぱでした……てへ」
「てへ!じゃない!先生完全にグロッキーになってるって!」
「あぁそうでした!先生大丈夫ですか!」
「ふふ……大丈夫だよコトハ。先生コトハのてへが聞けただけでこの世を去れそうだよ」
「ダメです先生!まだ先生にはやり残したことがいっぱいあるじゃないですか!」
「確かにそうだね……コトハ……。よし、コトハ。今から先生を膝枕してお弁当をあ〜んしてくれ。そのまま先生の耳元で、先生♡私は先生のものですから……何をしてもいいんですよ♡って囁いてくれ……。大丈夫だよコトハ、私は先生だからね。しっかり避妊はす「大丈夫じゃないみたいですね先生。フウカちゃん、先生を仮眠室に運びましょうか。あ、引きずっても大丈夫ですよ」
「え、あうん、分かったけど……え?今の先生?…………見なかったことにしよ」
こうして先生は、1人の生徒には雑巾のように扱われ、もう1人の生徒には自らの痴態を見て見ぬふりをされることを代償に、コトハの手料理を食べることに成功したのであった。
毒卵の天使による殺戮卵焼きレシピ
卵2個に対し 塩小さじ1 胡椒お好み にがり大さじ34
健康にはなる。飲み込めたらの話だが。