機動戦士ガンダムSEED FREEDOM~IF STORIES~短編集   作:フォレス・ノースウッド

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今回は前回のステラIF時空の続きかつスターゲイザー後日談編。

なんか書けば書くほど、最初からデスティニーいた方がシンのコンパスお仕事ライフはかどってね?と思わなくもない(^^;)

コンパスに出向してほどなくキラから託される形で愛機と再会する→キラに信頼されてないかもしれない不安はここで大半が払拭され、やる気満々→無論戦闘もキレがあるし、戦闘以外のお仕事にも身が入る。

しかもこのIF時空ではステラもいるし、妹同然の彼女がしっかり社会勉強積んで社会人やってるので兄的立場のシンからしても負けてらんねえと知識と教養を深めることにも貪欲になる。

いかん、イモジャさんの入る隙がない。
と言うかデスティニーも入れればこの世界線のシンはルナとステラとデスティニー三人のヒロインに囲まれてるじゃん!!
マジで『三人の嫁』じゃん!蛇柱なのに!
オルフェが善逸化して『ざっけんなよ!!』と逆ギレしそうだ(コラ


もしも種シリーズ本編とスターゲイザーのキャラが本格的に邂逅したら?①

星々の邂逅 前編

 

 シン・アスカは今日も、技術スタッフが整備やら新装備の開発やらで賑わっているミレニアム格納庫にいた。

 無重力の中、ハンガーデッキから離れない様に気を配りつつも、膝に乗せたコンピュータ端末を入力しつつ、ちょくちょくその場から顔を上げては、眼前の愛機(モビルスーツ)――《デスティニーガンダムVⅡ(バージョンツヴァイ)》を見上げている。

 

「シン~~♪」

 

 そんな彼の名を、心の底から嬉しそうに、かつ大事に抱擁するかようなほんわかとした声音で呼びながら。

 

「あ、ステラ」

 

 かつては地球連合軍の強化人間(エクステンデット)だったがゆえに戦場ではシンと相まみえながらも数奇な運命の数々で心通わせ、今はともにコンパスMS隊の一人なステラ・ルーシェが、敬愛する飼い主を見つけた猫の如く上機嫌に跳び寄ってきた。

 

「キラ兄(にい)―――じゃなくて隊長から報告書の進捗を見てきてって頼まれたんだけど?」

「それなら今――」

 

 端末内で作成して清書し終えたレポートの送信ボタンをタッチする。

 

「――送ったとこ」

 

 デスティニーの前で書類仕事(デスクワーク)をこなすのが、コンパスに入って、改修された愛機と再会してからのシンの日課の一つだ。

 今は亡き両親が二人とも故郷のオーブのモルゲンレーテ社に勤める技術者だった影響からなのか、それとも相手が今も共に戦火に立ち向かう戦友も同然なデスティニーだからなのか本人でも定かではないのだが、かの愛機がいる前でならお世辞にも得意とは言えない書類作成絡みの仕事も、不思議と集中力と意欲を維持したまま執り行えてしまうので、実質この格納庫の一角がシンの仕事場(オフィス)となっていた。

 

「これで今回もハインライン大尉の小言を聞かずに済む~~……」

「時間にと~~っても厳しいもんね、大尉って」

 

 一仕事終え、集中していた反動で息を盛大にふぅ~~と吐いておでこを腕で拭うシンと、苦笑いを浮かべて同調するステラ。

 二人の会話に今挙がった人物は、現・ミレニアムの技術部主任にしてキラと艦長のコノエの実質右腕同然の――〝極めて優秀な〟――メカニックマン、アルバート・ハインラインである。

 彼はあの《フリーダム》と《ジャスティス》を開発した一人であり、ザフト製のガンダムタイプの〝親〟同然、同じ技術者としては雲の上の〝神様〟も同然な存在であり、それ程にとんでもなく優秀なのは確かな一方、同じくらいとんでもなく早口で、とんでもなく人当りが悪い方で、とんでもなく時間には煩い人である。

 シンが初めて彼に会った時も、丁度ミレニアムの技術スタッフに超早口かつウィットに富んだ表現力も駆使して長々と叱責している最中で、上官相手でも納得いかないことにはストレートに物申す問題児気質だった彼ですら、下手なことは言わないでおこうと心に決めたくらいだ。

 それだけ彼の頭脳は評判に違わぬ超高速エンジンとスーパーコンピュータを併せ持ち、彼から見れば周囲の人間の思考も動作も、ハイスピードカメラで捉えた映像並みにスローモーションに見えてしまうのだろう。

 

 シンも戦闘にて時々、頭の中で球体っぽいものが弾け飛ぶ感覚に見舞われる事態が起きるのだが、そうなると五感も頭脳も、例えるならウユニ湖の水面ばりに明瞭(クリア)になると言うか……一種のトランス状態になる。その間、周囲の物体のあらゆる動きがスローになって、今自分が置かれている状況をどうすれば打開できるのか、もはや超能力ばりに直感的に最適解が浮かんで即座に実行できる……もっと分かり易く表現すれば頭と身体のキレが、普段と比較にならぬ域で冴え渡るのだ。

 

 これらの経験から、ハインラインの時間厳守っ振りと人当りのキツさには一定の理解を示せる一方、ほんのちょっとでも良いから加減はしてあげてほしいと、技術班の一人でアカデミーからの同期である友人のヴィーノやヨウランたちの、要約すると『大尉の早口と長話は退屈しないけどきついわ~』となるぼやきの数々を聞く度に思わずにはいられない。

 しかし実際に本人に口にしたら、それこそ彼との舌戦が勃発し、自分では全く敵わず惨敗するのは明白なので、昔よりは反骨気質が和らいだ現在のシンはその旨を胸中にしまっておけるだけの器は持ち合わせていた。

 艦内でハインライン大尉のペースに必死に追いかけ食らいついて振り回される技術スタッフたちがストライキやらクーデターを起こさないのも、その尖り過ぎた人となり以上に、超やらドやら大が付くだけの〝天才〟にして、時にはユーモアも見せたりと偏屈一辺倒な人となりなわけでもない、だからである。

 

「デスティニーがいてくれなかったら、俺も大尉から小言受ける毎日だったと思うと、ほんといてくれて有難いよ、相棒」

 

 シンは戦闘以外でもコンパスでの職務を精神面で支えてくれているデスティニーへ、掲げた握り拳から親指と小指を上げて感謝のジェスチャーし。

 

「この前もありがとうね」

 

 ステラも真似して、一緒にありがとうをかの機体へ送る。

 先日のDSSDのステーション襲撃の際、ハインライン大尉から現場への最短コースはデブリ帯と指示を受けたのだが。

 

〝僕の計算より三分も早く通り抜けましたねシン、お見事です〟

 

 珍しくハインライン大尉の口からお褒めの言葉を貰った。当然デスティニーの開発にも携わっていたので、彼なりのエスプリ混じりの心からの称賛と断言していいだろう。

 その分も込みで、もう一度デスティニーへ感謝(サイン)して微笑むシン。

 彼がこうして笑顔を見せる機会は、前大戦頃より、ずっと多くなっているのは、言うまでも無く、そんなシンの本来の明るい人間性を間近で見られるステラも貰い笑顔を浮かべているのも、言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 シンとステラは息抜きにレクルームに寄り、室内に設置されている自動販売機から缶飲料を買う。

 先にステラはピーチジュースを買い、続いてシンはコーヒー缶を取り出すと。

 

「流れ星!」

 

 どうやら窓の向こうの宇宙にて流星が煌めいたらしく、それを目にしたステラは両手を握るも。

 

「あ~~消えちゃった……三回言うの難しい……」

 

 三回言わなければならない願い事を一度目も口にできないまま消え去ってしまい、ステラは悔しがる。

 実際に願い事を叶えてもらおうとするよりは、流れ星が見えている間に〝願い事三回言い切る〟行為そのものにステラは楽しみを見出しているようだ。

《カーボンヒューマン》の肉体で生まれ変わってからの彼女は、リハビリと並行して積極的に勉学に書物を読み込んだりと、エクステンデットの頃からは想像もできないくらいの自立心と社会性と情緒を今日まで育ませていった一方、今でも時に垣間見える純真さを目にすると、こっちも気分がほっこりさせられて安らぐ。

 

「あっ……」

 

 シンも窓越しに宇宙の星々を眺めていると、幸運にも流星の輝きが見えた。

 

「シン?」

「いや、今見えた流れ星が、この前DSSDで見た《ガンダム》……《スターゲイザー》が飛んでた様に見えてさ」

 

 

 

 

 

 

 先日の《D.S.S.D》の基地施設――《トロヤ》を襲撃したブルーコスモス残党軍を無力化し終えた後のことだ。

 

「コンパスヤマト隊所属、シン・アスカ大尉であります」

「同じく、ルナマリア・ホーク中尉」

「同じく、ステラ・ルーシェ少尉」

 

 ステーション内の格納庫(残党軍の捕虜たちは片隅で全員拘束されている中、銃器を持ったDSSDスタッフに見張られている)に一旦機体を収納させてもらい降りた三人は、かの組織にて上役の立場である白衣を着こむ科学者たちと対面し、あいさつの敬礼を送った。

 齢を相応に重ねたDSSDの研究員の面々の中で――。

 

「セレーネ・マクグリフ、DSSD所属の研究員です」

 

 際立つ若く美しい妙齢の女性科学者――セレーネが、自己紹介して一礼し返す。

 緑色がかった黒髪をオールバックのワンサイドアップで纏め、双眸から芯の強さが覗えた。 

 

「ステーションへの被害状況は?」

「一年前のファントムペインの襲撃に比べたら、損害は最小限度に抑えられました、幸いにも死亡者も出ず、早急な対応に感謝しています」

 

 被害状況の確認と共有の為の事務的なやり取りを交わす中で。

 

「ところでアスカ大尉、今あなたの一番の興味はあの機体のことじゃないかしら?」

「あ、すみません、分かりますか?」

 

 セレーネは格納庫内にてあるMSへと指差し、図星だったシンは苦笑いで返す。

 白を基調をした四肢に、ところどころ内部フレームが露出している装甲、背面に接続されたリング状のパーツ、そして一番目に付くV字寄りのアンテナとデュアルアイと言った特徴から。

 

「〝ガン……ダム〟……」

 

 気になっていたシンたちを代表してステラが、そのMSの巨体見上げたまま、《G兵器》の通称を呟き。

 

「《GSX-401W――スターゲイザー》、それがこの子の名前よ」

 

 セレーネは物言えぬMS当人に代わって、その機体の型式番号と固有の名を紹介する。

 

「外宇宙惑星探査用の非戦闘MSで、アスカ大尉の機体(ガンダム)と同じ、《ヴォワチュール・リュミエール・ユニット》を初めて搭載した機体よ」

「あっ……」

「シン?」

 

 デスティニーの超高速機動戦闘を可能とする推進機構の名前を出されたシンの表情は、ばつの悪そうに苦虫を噛んでいた。

 

「その、申し訳ありません……そちらが宇宙開拓の為に作った技術を、兵器に転用してしまって……」

 

 今の簡潔な説明でも、《ヴォワチュール・リュミエール》が本来どう言う意図と経緯で生み出されたかなまじ想像できてしまい、それを戦争の道具として使われてしまっている事実(げんじつ)に、シンは罪悪感を覚え、その心情を汲み取るステラとルナマリアも、敢えて言及しない形でその気持ちに寄り添い。

 

「気にしないで、私も新しい技術(おもちゃ)が世にお披露目になったらすぐに兵器として使いたがる人類の〝悪癖〟は、よく理解していますから」

 

 セレーナも至ってにこやかに応じてはくれたが。

 

〝グサッ〟

 

「うっ……」

 

 続けて彼女の口から発せられたユーモアは、彼女なりの気遣いであろうとは裏腹にシンたち兵士(パイロット)である以前にティーンエイジャーな一同の心へと正確に突き刺す投槍(ジャベリン)となって、特にシンは良心で疼く胸を手で抑えて呻いた。

 

「それに、貴方とあの子のお陰で、救えた人命も多くいる筈でしょう?そう気落ちすることはないわ」 

「はい、お褒めに預かり光栄であります」

 

 と、愛機(デスティニー)も讃えてくれたセレーネのご厚意に、シンの心は嬉しさで温まる想いの中、別の誰かの視線を感じ取る。

 奥に格納された《シビリアンアストレイ》の一機からワイヤーで降りてきた銀色がかった髪色の寡黙そうな青年が、その視線の主であり。

 

〝ステラのこと、知ってるのか?〟

 

 青年の眼差しはステラに向けられ、めったに動揺を見せなさそうな端正な顔は、僅かながら驚きを発していた。

 

 

 

 

 

 

 それからシンたちは各々の機体と、シビリアンストレイに乗るDSSDスタッフらとともに、ステーション周辺にて残党軍の起こした戦火の後片付けに従事している。

 シンとデスティニーはステーション外壁に負ったダメージの補修作業に当たっていた。

 生死の瀬戸際での綱渡りな戦闘以外でデスティニーを動かしていると、改めて愛機の優れた可動力に感服させられる。

 人体の動きの再現を突き詰めた内部フレームと、外装の分割機構で、人の手を使った繊細さを求められながらも生身の人間では困難な作業を、デスティニーは万が一他のブルーコスモス残党軍の襲撃に備えて武装したままながら、シンの操縦に応じて着実進めてくれていた。

 しかもMS用の工具を用いなくても、出力を抑えれば《パルマ・フィオキーナ》からのビーム熱で溶接も可能としてしまう。

 アカデミー時代は、MS工学の授業やテストの度に〝なんでパイロットになるのにこんなことを覚えなきゃならないんだ?〟と疑問を過らせていたが、それでも必死に頭と身体に叩き込んだ技術がこうして戦闘以外でも生かされているのを踏まえると、学び続けようとする心意気は大事なんだと実感する。

 

「お前もこういう作業、案外性に合ってるかもな、デスティニー」

 

 呼びかけた愛機は応えようもないのだが、丁寧な手際の良さをモニター越しに見ていると、満更でもないよと、言ってるような気がするシンだった。

 

「え~と次は――」

『アスカ大尉』

 

 次の損傷地点に行こうとしたシンとデスティニーに呼びかけるシビリアンアストレイの一機。

 

「スウェンさん?」

『作業の後でもいいので、お時間を取れますでしょうか? ルーシェ少尉と一緒に』

「はい、いいですけど」

 

 シンも先のステラへの視線の理由が気になっていたので、了承した。

 

 後編に続く。

 

――――

 

《キャラ紹介》

⊡セレーネ・マクグリフ

『機動戦士ガンダムSEEDC.E.73STARGAZER』の主人公、漫画版同様生還して現在もDSSDの研究員としてスターゲイザーのAIユニット育成含めた宇宙開発事業に勤しんでいる。

コズミック・イラの戦争に余り関心がないのは相変わらずで、『ヴォワチュール・リュミエール』が兵器転用されている事実にも特に気にしてはいない。

 

⊡スウェン・カル・バヤン

『STARGAZER』のもう一人の主人公、セレーネ同様、本編ラストから生還(漫画版エピローグ時点では片足を引きずっていたがセレーネの見立て通り治っている)してDSSDに転職し、一度は諦めた『星を見る』夢をセレーネたちと共に追いかけつつも、シビリアンアストレイ部隊の指揮官も務めている。

長年心を押し殺してファントムペインの汚れ仕事を続けてきたため、余り感情は顔に出ることは希な寡黙な性格は変わらずだが、無感情と言うわけではなく、以前一目で先が長くないと看破したステラがコンパス所属のMSパイロットをやっている事実にはさしもの彼も驚きを隠せなかった。




丁度書いてる時に、良いタイミングで福田監督がハインライン大尉の初期設定のツイート出してくれたのでめっちゃ参考に。
初期では『言動が軽い』設定だったのか~~~『僕の予想より二分~~』とか『我に秘策あり』はその辺の名残だったんですね。

あとアーサーさんは実はキラが苦手……これも良いネタだ(オイ
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