やはり俺のSAOはまちがっている。   作:あすなっち

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第3話:はじまりの終わり

「ほら、これでも飲め」

 

 

「うん、有り難う・・・」

 

 

あの触手プレイの後、ひとまずはじまりの街へと帰って来た俺たちは、暗い中央広場に並んで腰かけていた。アイテムストレージに常備しているマッカン(仮)を手渡しながら、それとなく小町の様子を伺う。しかし気まずい。年頃の妹を持つお兄ちゃんとしては半ば期待・・・ゲッホゲーホ!もとい覚悟はしていたが、まさか仮想空間でマイシスターの秘密(痴態)を目の当たりにすることになるとは・・・(汗)

 

 

「ひゃ?!」

 

 

そんな俺の思考などお構いなしに、突然小町が抱き付いてきた。色々考えすぎてて、変な声が出ちまったよ。まぁ、無理もないか。よほど怖かったのだろう。いかにバーチャルとは言え、年頃の女の子にあの演出はキツすぎる。なんて素晴らし・・・ゲホゲホ!酷いことを!ふざけるなよクソ運営!(手のひら返し)そして、当然のように妹の細い身体を抱き返そうとして・・・俺は動きを止めた。本当にふざけているのは誰だ?さっき俺は、モンスターに襲われていた小町を前に何を考えていた?(エッチなことです)ボソッ

 

 

「小町、お兄ちゃんを殴れ。力いっぱいに頬を殴れ。お兄ちゃんは途中で一度、悪い夢(エロい夢)を見た。お前がもし殴ってくれなかったら、お兄ちゃんはお前を抱き締める資格さえないんだ」

 

 

小町は全てを察したように頷き、レイピアを手にすると、街中いっぱいに響き渡るほどの声量でソードスキルを発動した。

 

 

「スター・スプラッシュ!!」

 

 

「ぐはあっ?!?」(クリティカルヒット)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ・・・確かに殴れとは言ったけど、いきなり8連撃ソードスキルを発動するやつが居るか!この子、馬鹿なの?もしここがフィールドだったら、あなたレッドプレイヤーになっちゃうよ?てかそれより、なんでこいつがあんな最上級の技を使えるんだ?まだ第1層だぜ?

 

 

「だってごみぃちゃん、どうせろくでもないこと考えてたんでしょ?小町的にポイントゼロだよ」

 

 

「うぐっ・・・」

 

 

さすがに言えない。天使()を見て昇天しそうになってました、とは。(再びの大爆発)

 

 

「・・・じゃあ、私は受験勉強に戻るね。助けてくれて有り難う。大好きだよ、お兄ちゃん。あ、いまの小町的に超ポイント高い♪」

 

 

ようやく元気を取り戻したのか、朗らかに言うと素早くメニュー画面を操作する小町。細い指先がログアウトボタンへ伸びる。ほぅ・・・実に慣れた手つきだな。まるでベテランプレイヤーみたいだ。

 

 

「ちょっと待て」

 

 

「ぎくぅ?!」

 

 

ああ、いくら俺が妹に甘いとは言え、さすがにこのままログアウトさせるわけにはいかん。確かめなくてはならないことがある。それは・・・

 

 

「お前、どうやってログインしたんだ?」

 

 

そう、繰り返しになるが比企谷家にナーヴギアはひとつしかない。いや、正確にはこれも小町が福引きで当てたアミュスフィアも有るんだが、そっちはALO専用機だ。そして、そのたったひとつのナーヴギアは現在俺が使用中。ということは・・・

 

 

「な、なんのことでせうか?」

 

 

「そこ、歴史的仮名遣いになってるぞ?」

 

 

「あうぅ・・・」

 

 

とうとう観念したのか、あいつは真実を語り始めた。

 

 

「えっとね・・・この間、お父さんにおねだりしたら、ナーヴギア買ってくれたの。お母さんには絶対内緒にするって条件で」

 

 

それ絶対バレちゃうパターンのやつだ。下手すりゃ母ちゃんがぶちギレて、家庭崩壊するまである。そもそも受験生にゲーム買い与えちゃダメだろ、オヤジ。

 

 

「はぁ・・・それで夜な夜な、部屋でフルダイブしてたってわけか」

 

 

「そ、そんなことないよ!SAOのプレイ時間はほんの少しだけだった・・・かも?」

 

 

俺に聞かれても知らん。つか、なぜに疑問形?

 

 

「そもそもお前、そんなにゲーム好きじゃなかっただろ。受験そっちのけでハマるような理由があったのか?」

 

 

捩くれた俺なんかとは違い、小町はある意味徹底したリアリストだ。現実を見失って、ヴァーチャルにのめり込むようなやつではないはず。ならば、なにがこいつをここまでSAOへ駆り立てたんだろう・・・

 

 

「・・・この1か月間、お兄ちゃんがとっても楽しそうだったから」

 

 

「俺が?」

 

 

予想外の返答に、思わず聞き返す。こいつは何を言ってるんだ?

 

 

「うん。たぶんSAOのおかげで、お兄ちゃんだけの『本物』を見つけたんだろうなって思ってた。だから私も・・・」

 

 

がはっ?!ちょ、ちょい待ち!なぜに小町がそのことを?!?お兄ちゃんのライフはもうゼロよ?

 

 

「え?雪乃先輩も結衣先輩も言ってたよ。お兄ちゃんがふたりのスカートに縋り付いて、号泣しながら哀願したんでしょ?それでも俺は本物が欲しいって」

 

 

・・・あ、あいつら、ぺらぺらとひとの黒歴史を・・・しかも微妙に余計な脚色までしてやがる・・・どうやら明日は、ボス戦の前に倒さなきゃならん敵が増えたみたいだな。(逆ギレ)取り敢えずここは、話題を変えねば。

 

 

「ごほん!そ、そのことは忘れろ。(汗)ところで小町、さっきのソードスキルはどうやって会得した?ありゃ、よっぽど長時間プレイしてなきゃものに出来ない、超高等技だぞ?」

 

 

いまはむしろ、こっちの方が由々しき問題だ。まさかこいつ、徹夜の受験勉強にかこつけて廃人プレイを・・・

 

 

「そ、そうなの?さっきも言ったけど、SAOはちょっと息抜きでやってただけだよ」

 

 

明らかに視線が泳ぐ小町。もはや聞かずとも、答えは出たようなものだ。

 

 

「ほぅ・・・じゃあ、それ以外の時間は何をしていたんだ?」

 

 

俺は知っている。最近、朝まで小町の部屋は電気が点けっぱなしだったことを。え?妹の部屋を覗いていたのかだって?違う!断じてあれは覗きなんかじゃない!見守り隊だ!(ギルティ)

 

 

「そ、それは・・・(汗)って華の乙女が夜中にひとりで部屋の中ですることなんて決まってるでしょ!って言うか実の妹に何てことを言わせるんですかごみぃちゃんやっぱり変態なんですねいますぐ出直して来て下さいごめんなさい」

 

 

その言い回し・・・どうやら我が天使(小町)は、どこぞの小悪魔(いろはす)から悪影響を受けているらしい。明日はボス戦の前に、あざとい後輩もぶちのめす必要がありそうだ。

 

 

「まあ、おおむね事情は分かった。もう遅いから、お前はログアウトしてさっさと寝ろ」

 

 

「うん、おやすみなさい。明日のボス戦、頑張ろうね」

 

 

「ああ、おやすm・・・ちょっと待てい!」

 

 

「きゃ?!」

 

 

反射的に小町の肩を掴む。あまりにナチュラルな態度だったんで、危うくスルーしそうになったわ。

 

 

「お前、まさか攻略組だったのか?!そんな危ないこと、お兄ちゃん許さんぞ?!」

 

 

「ちっ・・・たかがゲームでしょ?それに私、かなり時間かけてレベリングしてるから結構強いんだよ・・・あっ!」

 

 

語るに落ちたな。やはり俺の妹が廃人プレイするのはまちがっている。てか小町ちゃん、君いまお兄ちゃんに向かって舌打ちしなかった?(大ショック&遅めの反抗期)

 

 

「お願い!お兄ちゃん!小町、この時のためにレベリング頑張ってきたの!きっと役に立つから!」

 

 

一転、今度は泣き落としにかかる小町。涙目&上目遣いのコンボとか、俺の妹がこんなにあざといわけがない。やはり一色、お前の仕業だな?!長引かせれば面倒なことになると直感した俺は、奥の手を出すことにした。

 

 

「・・・お前、模試で総武高校D判定なんだろ?」

 

 

「ぐはあっ?!痛いところを突かれた小町のライフはもうゼロだよ?!」

 

 

その言い回し・・・どうやら我が妹は、どこぞの捻デレぼっち(お兄ちゃん)からも悪影響を受けているようだ・・・(汗)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、小町は明日のボス戦に参加することになった。次回の模試では少なくとも、総武高校B判定以上を取る、という条件付きで。(甘過ぎ)ここでS判定とかA判定と言わないあたり、さすが現実を直視できるマイエンジェルだけのことはある。こらそこ!敗北フラグとか言わない!

 

 

「もう一度聞くが、本当にB判定以上を取れる自信はあるんだな」

 

 

「うん、大丈夫だと思う。たぶん、ネイビー(Navy)・・・」

 

 

「そうか、期待してるぞ。あと、それを言うならメイビー(Maybe)な。ここで海軍(Navy)出てきても意味ないから」

 

 

「ぐはっ?!」

 

 

お兄ちゃんは小町の学力が心配です。(汗)これでホントに総武受けるのかよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

明けてボス戦当日。リアルで言えば土曜日で、集合時間は午後1時。ディアベルたちはどうやら、夕食前にはログアウト出来るようなスケジュールを組んだらしい。なんでも最初は平日の午後に招集をかけようとして、社会人プレイヤーたちから総スカンを喰らったとか。(笑www)なるほど、ディアベルはん、ワレ学生かヒキニートやな?あ、誰かさんの口調が・・・

 

 

やがて遅刻、欠席者無く時間通りに集まった俺たち攻略組は、迷宮区の奥にあるボス部屋へ向けて出発した。ふぅ・・・今朝は小町にモーニングコール頼んでおいて正解だったぜ。じゃなきゃいまごろ、まだ寝ていた可能性まである。(二度寝)ちなみにだがSAOに乗り物という概念は無いので、全員徒歩での移動だ。めんどくせぇ・・・

 

 

「ふふ・・・はちまん君ってプリキュアが好きなんだ」

 

 

「ええ、毎週日曜日の朝はテレビに齧り付いてますよ」

 

 

目の前では、初対面なのにすっかりパーティーに溶け込んだ小町が、早速同学年のアスナと盛り上がっている。なんというコミュ力・・・ええい!比企谷家の娘はコミュ力おばけ(連邦のモビルスーツは化け物か)?それとその話題はやめて!!戦う前にお兄ちゃん爆散しちゃうから!あと、パーティーの名前が知らぬ間に『月夜のパンさん黒猫風林団』に決まっていたんだけど、若干語呂が悪くないですか?

 

 

「いよいよだね、お兄ちゃん!」

 

 

アスナとのガールズトークが一段落したらしい小町が、やや興奮気味に話しかけてきた。全身から覇気が溢れている。そのやる気、少しは受験にも向けてくれ・・・

 

 

「兄妹で枕を並べて戦えるなんて、小町感激だよ」

 

 

そんなことを口にしつつ、実に良い笑顔を浮かべる我が妹。もちろん俺もだぜ。だけど小町ちゃん、それを言うなら(くつわ)を並べて、だからね?枕を並べたら、ふたり揃って討ち死にしちゃうから。(爆)てかやっぱあいつ、こんな国語力じゃ絶対総武なんて無理だろ・・・今日のボス戦終わったら、第2志望は海浜総合高校を書くように言っとくか・・・

 

 

妹の学力不足に頭を抱える俺の傍らでは、戦いを前にキリトが静かに闘志を燃やしている。最近、コミュ障っぽい雰囲気が消え、益々イケメンオーラを醸し出すようになってきた。そろそろこいつ、現実世界でもリア充の仲間入りしちゃうのかな・・・べ、別に差をつけられて悔しいなんて全然思ってないんだからね!

 

 

「何かあったのか?」

 

 

「え・・・?はぁ・・・やっぱり、はちまんには敵わないな・・・」

 

 

何となく気になって声を掛けると、やつは頭を掻きながら嘆息した。ん?どゆこと?

 

 

「実は・・・妹と話したんだ」

 

 

言いながら、柔らかい表情を見せるキリト。そのひと言で、同じ妹を持つ身としておおよその事情は察せられた。なんだよ、ただのイケメン主人公かと思ってたけど、しっかりお兄ちゃんの顔も出来るんじゃねえか。

 

 

「そうか・・・良かったな。ま、知らんけど」

 

 

当たり障りのない返答をすると、やつは意外そうに目を見開いた。

 

 

「えっと・・・それ以上は聞いてこないのか?」

 

 

「当然だろ。他人の問題に首を突っ込むような趣味はない」

 

 

「そっか・・・はちまんらしい答えだな。実を言うと、妹じゃなくて正確には従妹なんだけど・・・」ボソッ

 

 

なん・・・だと?!なぜそれをもっと早く言わない?!その辺りをさらに詳しくオナシャス!巨乳(推測)の美少女従妹と同居してるイケメンのお兄ちゃんとか、そんなんもう、変態や!(どストレート)

 

 

やがて攻略組御一行は、無事ボス部屋の入り口に到着した。てか、ここまで無駄話しかしてないよな、俺。

 

 

「みんな!勝とうぜ!」

 

 

ディアベルの雄叫びに、全プレイヤーたちの声が重なる。え?もちろん俺は口パクだったけど何か?

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

薄暗いボス部屋に、凄まじい咆哮が響き渡った。声の主はイルファング・ザ・コボルト・ロード。第1層のフロアボスにして、まだ練度の低いプレイヤーたちを恐怖の底に叩き込む存在だ。ついでに言うと、戦闘の最終局面ではβテスト時と違う武器を使ってみたりするお茶目さんでもある。あれ?なんで俺、こんなこと知ってるんだろう?え?原作知識?なにそれ美味しいの?(すっとぼけ)

 

 

しっかしこの王様も、新たにSAO二次小説が出る度に引っ張り出されて大変だわな。社畜扱いで同情しちまうぜ。

 

 

俺がとりとめもないことを考えているうちにも、攻略組プレイヤーたちの絶え間ない攻撃を受け、やつのHPゲージは削られてゆく。エギルやクラインはかなり腕を上げており、ディアベル、キバオウなんかもそれなりは戦えているようだ。それよりいちばん驚いたのは、シリカたん。なにあの子、めちゃくちゃ強いんですけど?!難易度の高いソードスキルを連発する姿に、称賛と感嘆の声が上がる。相当やりこんでいるに違いない。でもお兄ちゃんは、やっぱり彼女のリアルが心配です。学校楽しい?体育の時間にペアを組む相手が居ないとか、運動靴が校舎の裏に捨てられていたりとかしてない?(実体験)あれ?いかん、戦闘中なのに目から汗が・・・

 

 

ん?そろそろボスゲージもゼロに・・・どうやらフィニッシュが近いようだな。

 

 

はい?いくらなんでも戦闘シーンを省略しすぎじゃないか、だって?そんなの他作品で散々読み飽きているし、どうせ誰が書いても似たり寄ったr・・・ごふっ?!(流れ弾)

 

 

まあ、少しだけ補足しておくと・・・俺のパーティーメンバーが軒並みヤバいやつらだった件について。(自費出版ラノベタイトル) キリトは言うまでもなく、女子もハイレベル揃いで、正直ボス周辺にポップする取り巻きの撃破なんて朝飯前だった。しかも俺を含めて全員が二つ名持ちとか、なにそれ初めて聞いたんですけど?!

 

 

なんでもキリトは、早くも『黒の剣士』の異名を持ち、女子の皆さんはまとめて『閃光の四姉妹』とか『五等分のネトゲ嫁』なんて呼ばれているらしい。要するに、みんな美少女かつスピード重視のレイピア使いってことだ。あぁ、ひとり計算が合わないのは、由比ヶ浜だけは戦闘向きじゃなかったってことだな。(笑)でも、あいつの笑顔には回復ポーション以上の効果があるんだとか。スキル名はずばり『スマイル0円』。このネーミング、マックに怒られない?

 

 

て言うか、小町は絶対ネトゲの嫁になんてやらんぞ!!(昭和の頑固オヤジ)あとあいつ、やっぱり廃人ランカー受験生だったのね・・・なお、俺の二つ名に関しては全員が言葉を濁した。なぜだ?(お約束)

 

 

「グオォォォォォ!!」

 

 

遂にボスが断末魔の叫びを上げた。もはや、あいつのHPゲージはほぼゼロよ?(錯乱)あとは、やつが武器を持ち替えたところに総攻撃を加えればゲージ破砕成功、晴れて第1層はクリアとなる。さて、そろそろ俺たちも前に出るとしますか・・・誰もが、このまま終わると思っていた。リーダー(ディアベル)のひと言を聞くまでは。

 

 

「よし!あとは俺がやる!みんなは下がれ!」

 

 

「「えっ?!」」

 

 

思わぬ指示に、各パーティーの連携が乱れる。その間隙を縫うように突進したディアベルが、走りながらソードスキルの予備動作に入った。それに応じてボスが武器をスイッチする。野太刀へと・・・

 

 

「?!ディアベル!後ろに飛べ!」

 

 

何かを察知したらしいキリトが、叫びながら走り出す。予想外の強力な一撃が、ひとり突出したディアベルへ向けられようとしていた。ダメだ、もう回避は間に合わない。だが、ここであいつが殺られたら間違いなく攻略組は崩壊する。伸るか反るか・・・片手剣を振りかぶりながら、敢えて俺は禁じ手の賭けに出た。恨むなよ、剣豪将軍・・・

 

 

「おい材木座!!」

 

 

ぎょっとしてこちらを振り向くディアベル。その足が止まり、彼の身体をボスの斬撃が掠めた。てか、やっぱビンゴかよ!材木座がディアベルって、そんなんもう、ディア木座や!(支離滅裂)

 

 

「ディアベルはん?!」

 

 

キバオウたちの悲鳴に続いて、ディアベル改めディア木座が吹き飛び、床に叩き付けられる。あまりの事態に、ほとんどのプレイヤーは動くことさえ出来ず棒立ちのままだ。そしてそんな彼らの頭上を、苦し紛れに俺が放ったソードスキルが切り裂き、コボルト王へと伸びてゆく・・・

 

 

だがそれを最後まで確かめることなく、俺は材木座の傍らに膝をついた。まずはこいつの救助が先決だ。ボスの方はキリトたちが何とかしてくれるだろう。知らんけど。

 

 

一方、倒れ伏したディア木座のHPゲージはすでにレッドゾーン。直撃こそ免れたものの、やはり至近距離であの一撃を浴びては、無事では済まなかったらしい。

 

 

「材木座・・・」

 

 

敢えて小声で呼ぶと、やつはゆっくりと目を開き、弱々しく言葉を発した。

 

 

「ラインハルト様・・・宇宙を・・・手にお入れ下さい・・・」

 

 

「ああ、もちろんだ。お前と一緒にな、キルヒアイス」

 

 

・・・て思わず付き合っちまったよ!!つか、この状況でネタぶち込むか?!普通。

 

 

「傷は深いぞ、しっかりしろ」

 

 

「お主、それ・・・怪我人に対してここで言う・・・?」

 

 

あっさりいつものキャラに戻った材木座が呟いた。はぁ・・・全く、最後まで笑わせてくれる中2野郎だぜ。

 

 

「い、いつから気付いてたのだ・・・はちまん」

 

 

「最初からだよ。いくらアバター弄っても、声を変えなきゃバレバレだ。それにこの1ヶ月間、お前リアルじゃ不自然にSAOの話題を避けてたしな」

 

 

「ククク・・・われ、一生の不覚なり」

 

 

この期に及んで、まだ剣豪将軍を演じ続ける中2デブ。外見がイケメンなだけに、違和感が半端ない。心の中で大爆笑しつつ、俺は回復ポーションを取り出した。

 

 

「な、なんのつもりだ?どうせわれは、功を焦った愚か者として断罪されるのであろう?いまさら助ける価値など・・・」

 

 

お前(材木座)のためじゃない。まあ、どうせろくでもない理由で飛び出したんだろうが、ここでディアベルが死んじまったら攻略が滞るからな」

 

 

背後の攻略組に、一連の会話は聞こえていないはず。つまり、まだこいつには『みんなのディアベルさん』を演じ続けてもらう必要があるのだ。最後まで責任とって下さいね、中2せんぱい?(いろはす風)

 

 

「は、はちまん、お主・・・」

 

 

一瞬驚いたあと、喜色満面の材木座義輝ことディアベル。あ、逆か。つーか、そのイケメンで頬を染めて見詰めないで!はち × よし、キマシタワ~!いや来ねぇよ。

 

 

「ククク・・・よかろう。そのポーション、受け取ってやろうぞ。ところではちまんよ、ひとつ頼みがある」

 

 

「なんだ?」

 

 

「ラストアタックボーナス、われにちょうだい?」

 

 

「バルス」

 

 

「は、はちえも~ん?!」

 

 

回復ポーションを引っ込め、例の手鏡を取り出す。次の瞬間、やつの身体は見慣れた眼鏡デブに戻り・・・ポリゴンの欠片となって飛び散っていった。ああ、これ?なんかストレージのごみ箱に残ってたから使ってみたわ。(超適当)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてと・・・そろそろキリトあたりがボスにとどめを刺す頃合いかな。中2病将軍を現実世界へと吹っ飛ばした俺は、立ち上がると剣を構えて辺りを見回した。ところが・・・あれ?ボスはどこ?

 

 

「Congratulations!この勝利はキミのものだよ、はちまん君!」

 

 

気付けばエギルたんが、萌え萌えな笑顔で称賛の言葉をかけてきた。

 

 

「おめでとう、はちまん。さっきのソードスキル、凄かったぜ」

 

 

これはキリト。どういうことだ?

 

 

「ふふふ・・・思ったよりやるじゃない、中2谷君」

 

 

腕を組んで挑戦的な眼差しを向けてくる雪ノ下。あとその名前、ほとんど材木座だよね?

 

 

ここでやっと理解した。どうやら苦し紛れだった俺の攻撃が、コボルト王を倒してしまったらしい。マジすか?いつの間にか頭上には『Congratulations!!』の文字がポップアップしている。そうか、終わったのか・・・

 

 

僅かな静寂のあと、ボス部屋に歓喜の声が響き渡ったのだった・・・

 

 

 

 

 

 

おわり(仮)

 

 

 

 

 

 

いや、だからまだ終わらんよ?たぶん、ネイビー・・・あ、間違えた。(汗)

 

 

「やっぱり、いちばんあざといのはせんぱいですよ。普段は怠そうなのに、最後はあんな格好いいなんて」

 

 

「そ、そうね・・・それは認めざるを得ないわ。甚だ遺憾なのだけれど」

 

 

「ヒッキー・・・」

 

 

「はちまん君・・・」

 

 

次々とツンデレモード(ガチ)に突入する知り合いさんたち。WHY?ほかのプレイヤーたちも、なぜだか生暖かい目を向けてくる。やはり仮想空間でも俺の青春ラブコメは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでや!なんでディアベルはんを見殺しにしたんや!」

 

 

脳内がお花畑になりかけていた俺を、突然の罵声が現実へと引き戻した。喜びを分かち合っていたプレイヤーたちも、一瞬にして静まり返る。驚いてそちらを見れば、キバオウがなぜかキリトを指差していた。はぁ・・・またお前か。(ぐったり)

 

 

「見殺し・・・?」

 

 

一方、予想外の言葉を投げつけられて固まるキリト。何が起こったのかはよく分からんが、まだ中学生のあいつには、些か荷が重いシチュエーションだな。

 

 

「だってそうやろが!ワレはボスの攻撃パターンが変わるのを知っていたやないか!前もってそれを聞いてたら、ディアベルはんは死なずに済んだはずや!」

 

 

キバオウの糾弾で、喜びに包まれていた場の空気が冷えてゆく。困惑はやがて、明らかな敵意へと形を変えていった。俺にとっては、散々見慣れた光景だ。

 

 

「ワイらのリーダーやったディアベルはんは死んだ!何故や?!」

 

 

「坊やだからよ」ボソッ

 

 

雪ノ下の返しは、幸いにも興奮したキバオウには聞こえなかったらしい。つかゆきのんさん、いちばんおいしいところ、取らないで貰えますかね?たぶんいまごろディア木座は、恥ずかしさのあまり、部屋の中を転げ回っていることだろう。ま、いつものことだけど。ラノベ書いてもネトゲやっても黒歴史更新とか、さすがは未来の大先生だぜ。(嘲笑)

 

 

「誰も答えられへんみたいやから、ワイが言ったる。なぜならそいつがβテスターで、肝心の情報を独り占めしてたからや!」

 

 

頭の中で剣豪将軍をめった斬りにしていたら、目の前ではキバオウがさらに加速していた。つーか、またその話・・・?

 

 

「そんな・・・ち、違う!俺は・・・」

 

 

「黙れよ、裏切り者!!」

 

 

「そうだそうだ!!」

 

 

驚愕したキリトの叫びはしかし、より大きな怒鳴り声にかき消された。さっきまで味方だったはずのプレイヤーたちから罵声を浴び、言葉もなく立ち尽くす黒の剣士。事態が最悪の方向へと転がり始めていることは明らかだ。視界の端では、雪ノ下が絶対零度の冷え冷えとした空気を纏い始めているのが見えた。まずい、このままじゃ間違いなく氷の女王が暴発する。そうなれば、彼女はSAOでの居場所を失うだろう。むろん、キリトも・・・そして俺が手にした、かりそめの『本物』も消える・・・ここで言葉を尽くしてキバオウを論破するのは可能だが、残念ながらこの状況でそんな悠長なことをしている暇はない。

 

 

はぁ・・・仕方ないか。こうなったら・・・許してくれ、雪ノ下、由比ヶ浜、そして小町。やっぱり俺には、こんなやり方しか出来ないんだ・・・心の中で大切な3人に詫びつつ、俺は敢えて俯くと腹の底から嘲笑を絞り出した。え?あぁ、一色も4人目にカウントしておくから大事な場面で邪魔しないで下さいごめんなさい。

 

 

「「ふはははははっ!!」」

 

 

ボス部屋に重なるふたつの高笑い。そう、敢えて悪役を演じ、この場を収めるのだ。何かを守るためなら我が身をも駒として使う。なぜなら、それがいちばん効率的、最適解への近道だからだ。あなたのやり方、嫌いだわ。ああ、自分でもそう思う。ほんと成長してないわな、俺・・・雪ノ下の言葉を反芻しながら、自己嫌悪の中に本音を隠す・・・

 

 

「な、何がおかしいんや?ワレ」

 

 

ゆっくり顔を上げれば、ぎょっとして固まるキバオウ&攻略組エトセトラ。そりゃ、俺みたいな目の腐ったやつが急に高笑いし始めたらビビるわな。さあ、ここからが捻デレぼっちの真骨頂だぜ!なお、プレイヤーたちの最後列で頭を抱えている小町は見なかったこととする・・・ん?ちょっと待って。シリアスな展開を邪魔して悪いんだけど、高笑いが()()()・・・??ってまさかキリトも同じことしてたのかよ?ふたりで同時におんなじ作戦とか、バカじゃねーの?俺ら。(正解)

 

 

気まずい沈黙の中、キリトと互いの視線が交錯する。あいつもあいつで精一杯悪ぶった表情を浮かべているが、キャラじゃねえよ。無理をしているのがバレバレだ。自分で全部背負(しょ)い込もうなんざ、100年早いぜ・・・衆人環視の下、目だけで会話する。お前が降りろ。いやお前こそ・・・不自然な()が空き、キバオウたちが頭に疑問符を浮かべ始めた。くそっ!外見に似合わず強情なやつめ。ええい!こうなったらもう、突き進むしかねぇ!(敗北確定)相手を小馬鹿にしたような口調で、俺は切り出した。

 

 

「いや、あんたらの馬鹿さ加減が笑えてな・・・確かに俺はβテスターだ。ゲームもリアルも、弱肉強食が基本だろ?だから美味しい情報は独り占めにさせてもらった。お前らみたいなビギナーに、いちいち足を引っ張られるのは御免なんだよ」

 

 

「なっ?!」

 

 

よし、これでヘイトはこちらに向くだろう。あとは全てをひとりで背負い、ニヒルに立ち去るのみ・・・

 

 

「ああ、その通りさ。俺も低レベルの初心者に合わせるのは苦労したぜ。βテスター嫌いのキバオウさんよ」

 

 

ちょ?!キリトお前、俺の決め台詞に絡んで来るんじゃねえよ!ここは先輩に譲れ・・・

 

 

「だけど、それも今日限りだ。あとはソロで好きにやらせてもらうぜ、じゃあな」

 

 

一足先に言い捨てると、背中を向けて歩き出す黒の剣士。慌ててこっちもその後を追う。あれ?なんか俺、完全にキリトにお株を奪われてない?敢えて言おう!間抜けであると!(爆)だが一度やり始めた以上、もう止まることは許されない。てか、ここで尻切れトンボになったりしたら、カッコ悪すぎて恥ずか死んでしまう。

 

 

「お、同じく、俺も抜けさせてもらうぜ。あぁ、心配するな、今後もボス攻略だけは協力してやるよ。どうせお前らだけじゃ、無理なんだろ?」

 

 

なんとか悪役ウェーブに乗り遅れまいと、煽るような捨て台詞を吐いたものの、どうにも二番煎じの小物感が半端ない。

 

 

「ま、待って!はちまん君!キリト君!ウソだよね・・・」

 

 

「アスナ、あんたともここまでだ。あばよ」

 

 

またもキリトに言いたい台詞を先取りされる俺。てかこの二次小説、主人公って俺じゃなかったの?ああそうでしたか分かってましたごめんなさい。

 

 

「そう言うことだ。もう俺とは関わらないでくれ」

 

 

こちらも敢えて冷たく突き放し、パーティーもフレンド登録も解除する。これでいい。あとは背中に拒絶と悲哀を漂わせ、第2層へ続く階段を上るだけだ・・・横に並ぶキリトが、目障りなことこの上ないが。(台無し)

 

 

突き刺すような多くの視線を感じつつ、歩みを進める。ああ、俺はまた、間違えようとしているのだろう。せっかく見つけた『本物』を、自ら手放そうとしているのだから。

 

 

「待ちなさい、比企谷君。また逃げるつもりなのかしら?」

 

 

凛とした声が、そんな俺の足を床に縫い付けた。て言うか雪ノ下さん、あなたプレイヤー名って概念理解してる?どさくさ紛れでひとのリアルネーム、勝手にバラさないでもらえますかね?

 

 

「比企谷?」

 

 

「ヒキタニって誰?」

 

 

「あいつの本名じゃね?」

 

 

攻略組の間から沸き上がる疑問の声。おいだからちょっと待て。おかしいだろ。なんであいつらがヒキタニ読みの方を知ってるんだよ。

 

 

「そんな偽物(猿芝居)、私には・・・いいえ、私たちには通用しないわ」

 

 

真っ直ぐにこちらを見て断言する、ゆきのんこと雪ノ下雪乃。華奢なその身体から発せられる圧に、俺は何も言い返せず立ち竦む。そんな彼女の後ろでは、由比ヶ浜や一色も真剣な表情を見せている。

 

 

「それからキリト君。いまのうちにその『拗らせ中2病』は治しておくことをおすすめするわ。完治しておかないとどうなるか・・・賢いあなたなら分かるはずよね?なんせ目の前に、最高の反面教師が居るのだから」

 

 

「そうだな・・・わかった」

 

 

分かっちゃうのかよ?!てかあなた、さっきあれだけ強情を張っといて、あっさりそれで納得しちゃうの?つーか、その反面教師ってもしかしなくても俺のことだよね?

 

 

「えっと・・・それはどういうことや?ゆきのはん」

 

 

急展開についていけない様子のキバオウが、恐る恐る口を開いた。まぁ、そうなるな・・・あとお前、何気に雪ノ下を下の名前で呼んでるの、気付いてるんか?(適当な関西弁風)

 

 

「気にしないで下さい。自称捻くれぼっちが相手にして貰いたくて、ちょっとデレただけです。そうですね・・・猫ちゃんが毛玉にじゃれて来るようなもの、と言えばお分かり頂けるでしょうか」

 

 

「ぐはあっ?!」

 

 

一瞬でメンタルを全損した俺は、強烈なノックバックを喰らってよろめく。やはり仮想空間でもゆきのんはまちがっていなかった。

 

 

「見ておくがいい・・・戦いに敗れるということは、こういうことだぁ!」(ランバ・ラル大尉)

 

 

次の瞬間、羞恥心のパラメーターが天元突破した俺の身体は、ポリゴンの破片となって砕け散っていった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、そう言えばラストアタックボーナスもらうの忘れてた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・」

 

 

数分後。仕方なく再度ログインした俺は、ボス部屋の前へと降り立った。非常に気まずい状況だが、ボスを倒した俺がラストアタックボーナスを受領しなければ、プレイヤーたちは次層へ進むことが出来ないのだ。

 

 

中に入ると、早速キリトが駆け寄って来た。他の連中は・・・何やら空気感がおかしいが、派手に自爆した俺への対応に迷っているのだろう。やっぱ恥ずい。

 

 

「待ちかねたぞ、はちまん」

 

 

「待たせたな、小次郎」

 

 

「え?」

 

 

・・・さすがに平成生まれのキリトに、このネタ(巌流島)は厳しかったか・・・あれ?俺も平成生まれだけど??

 

 

「済まん。さっさと終わらせるわ」

 

 

全てを軽く流してメニュー画面を開き、ラストアタックボーナスを・・・あれれ?

 

 

「ええ、見ての通りよ。ラストアタックボーナスがドロップしていないの」

 

 

困惑する俺に状況を説明するゆきのん。そう、彼女が言うように、本来あるべき報酬アイテムが出現していないのである。肝心なところでバグかよ?

 

 

ふと見上げれば、先ほどと変わらずボス部屋の中空に浮かぶ『Congratulations!!』のポップ文字。第1層のボスを撃破したことは間違いない。ではなぜ・・・?微妙な空気感の原因はこれだったのか・・・別に俺のことなんて、誰も気にしてなかったのね知ってましたごめんなさい。(自意識過剰)

 

 

「運営に問い合わせてみる?」

 

 

「でもネトゲのお問い合わせフォームって、まともな返事が来たためしがないぜ?」

 

 

「勘弁してくれよ。これじゃ、頼んだピザが冷めちまう」

 

 

攻略組の間からも、次々と疑問や不満の声が上がり始めた。ん?最後の台詞はクラインちゃんだったみたいだけど、あなたキャラが()に戻ってない?

 

 

「じゃあ私、いまから直接、レクト開発部のひとに聞いてきます」

 

 

そう言いながら、素早くログアウト操作をするアスナ。なら、頼むわ・・・って、はい???

 

 

「ちょっと待てくれ。お前って、そんな凄い人脈があるのか?」

 

 

まさかアスナ自身が天才ゲームプログラマーだった、とか言うオチ?いや、でも確かこの子、ネトゲ初心者だったよね?

 

 

「えっと、その・・・なんと言うか私の父、レクトの社長なんです」

 

 

「「「「え・・・?えぇぇぇぇぇ?!?」」」」

 

 

仲良く揃ったみんなの大合唱。こりゃ最後に、どでかいネタが待ってたな。つかマジかよ?!なんとなくセレブっぽい匂いはしてたけど、まさか雪ノ下に続いてふたり目のリアルお嬢様だったとは。しかも実質、SAOのCEO令嬢・・・ラスボス、キマシタワ~!え?どこでアスナの匂いを嗅いだのか、だって?そんなの例のお風呂d・・・グシャ!(一撃大破)

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

「あれは・・・?」

 

 

だが、話はこれで終わらなかった。驚きの声が収まったあと、誰かが指さす方を見れば・・・そこには、まだ幼さの残る少女が佇んでいたのである。攻略組にあんな子は居なかったはず。いつの間に・・・?純白のワンピースと黒髪のコントラストが印象的な、透明感のある美少女だ。シリカと可愛さのベクトルは違うが、たぶん同い年くらいだろう。一色の言葉を借りれば、末恐ろしい仔猫ってところか・・・(爆)しかし、どうも様子がおかしい。装備を持っていないし、何よりHPゲージが無い。と言うことはNPC・・・?

 

 

いや待て。頭の上には『ラストアタックボーナス』のテキスト。つまり、そういうことらしい。ふむ、フロアボス撃破の報酬が、かわいい女の子・・・いったいどこのエロゲーだよ有難うございます。( ≧∀≦)ノ ワーイ だけどこれ、本当に大丈夫?貰ったあとで黒鉄宮送りにされたりしない??

 

 

「遂に本性を現したわね、ロリ谷君」

 

 

「ヒッキー、なんか顔がキモくなってるし・・・」

 

 

「粗大ごみぃちゃん・・・」

 

 

「せんぱい・・・ここにはシリカちゃんも居るんですよ?!」

 

 

パーティーメンバーから突き刺さる、容赦ない誹謗中傷の数々。いやおかしいでしょ。特に一色、おまいう?!成り行きとは言え、俺って一応第1層突破の功労者だよね?とにかく、これ以上何か言われる前にこの子はゲットしておこう。じゃないとストーリーが進まないしな。他のプレイヤーたちからも、明らかにゴミを見るような視線を浴びながらメニューを操作すると・・・シンプルな選択画面が表示された。

 

 

 

 

ユイちゃんをどうしますか?

 

[ 持ち帰る / 放置する ]

 

 

 

 

敢えて言おう!変態であると!てか文面がヤバすぎるだろ。背徳感を味わいつつ、ゆっくり左側の選択肢をタップすれば・・・軽やかな電子音が鳴る。そしてそれは第100層へと続く、長い旅のはじまりを告げる音でもあった・・・

 

 

 

 

 

 

最終話:はじまりの終わり END

 

 

 

 

 

 

待て待て待て!綺麗に終わらせる前に、この子の名前どうすんの?由比ヶ浜と区別がつかんぞ。ま、取り敢えず全部後回しで、先ずは落ちる(逃げる)か。完全な逃げ腰モードになった俺が、ログアウトボタンに手を伸ばしたその時・・・ボス部屋に怒鳴り声が響いた。てか、またお前かよ!!

 

 

「なんでや?!なんでお前だけ、そんなかわいこちゃんを!ロリコンの元βテスターなんて、そんなんもう、()()()()や!!」

 

 

「「「えっ?!」」」!!(⊃ Д)⊃≡゚ ゚!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!

 

 

キバオウの爆弾ワードに、その場のほぼ全員が何らかの反応を見せた。オイ!完全にきょとんとしていたのは、シリカくらいか。ふぅ・・・お兄ちゃん、君が良い子に育ってくれて安心したよ。で、俺のパーティーメンバーたちは・・・ゆきのんとユイは恥ずかしそうに俯き、小町は不自然なまでに無反応、壱式はなぜかソードスキルの練習を始めていた。(?)アスナに至っては両手で顔を覆い、悶えている。敢えて言おう!やはり変態だと!え?女子プレイヤーの反応をいちいちチェックしてる俺が、いちばん変態だって?

 

 

「あの・・・()()()()って、何ですか?」

 

 

「がはぁ?!」

 

 

そしてシリカの無垢な攻撃を喰らったキバオウは、羞恥と罪悪感にまみれて爆散していった・・・意外と根は純情なやつだったのかもしれない。ふむ、綺麗なキバオウか・・・これは使えそうだな。(丸パクり)おっと、こんなことしてる場合じゃなかった。みんながやつの壮絶な最期(笑)に気を取られているうちに・・・

 

 

今度こそ現実世界へ逃亡・・・げふんげふん!ログアウトしようとした瞬間、まだ目の前に居たユイが初めて言葉を発した。そう、俺にとどめを刺すひと言を。

 

 

「はじめまして、()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり俺のSAOはまちがっている。 おわり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けてお兄ちゃん!今度はALOでサラマンダーたちが攻めてきたの!」

 

 

「頼むから、はやく受験勉強してくれ・・・」




次回第4話:ようこそ実力至上主義のSAOへ(前編)



「そう言えば、茅場ってどうなったんだ?」


「ふふふ・・・わたくしたちにお任せ下さい。直ぐに探し出してみせましょう」


「なっ?!お、お前たちは?!その銀髪と茶髪・・・ってお前ら、そもそも学校の敷地外に出られんの?」


「それがご都合主義というものですよ、はちまん君」
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