DYNA&GAMERA -Rebirth-   作:くろしゅー

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UA数が1000を突破しました。自分の作品をこれほど見ていただけるなんて、感謝の極みです。これからも精進いたしますので、応援よろしくお願いします。



第9話 融・合

 

 

 

 

 

 

 大地に降り立った竜王、カイゼルグリッドナイト。

 

 対峙するは、ギロンとバイラス、二体の怪獣。

 

 睨み合いの末、仕掛けたのはギロンからだった。

 

「グオオオオ!」

 

 咆哮と共にカイゼルグリッドナイトを斬りつけたギロンだったが、超振動ブレードはカイゼルグリッドナイトに握られる形で止められる。

 

「ッ!?」

「今までのお返しだ!」

 

 ナイトのその声に反応する間もなく、ギロンは背負い投げの要領で地面に叩き付けられる。

 そこを触手で攻撃しようとしたバイラスだったが、カイゼルグリッドナイトのジャンプで躱される。

 

「「「「「「うおおおおおおおおおっ!!」」」」」」

 

 叫び声を上げながら、カイゼルグリッドナイトはバイラスの触手を掻い潜っていく。避けきれないものは、手刀を叩き付け、自身の道からどかしていく。合体したことで防御力も上がった今のカイゼルグリッドナイトには、バイラスの電撃を纏った触手も大したダメージにはなっていなかった。

 

「くらえ!! カイゼルナイト、ダブルサーキュ……」

 

 そして、相手の懐まで入ったところで決着をつけるための必殺技を発動し……。

 

 

ようとして、突然体が沈み込んだ。

 

「うわあっ!?」

 

 突然体のバランスが取れなくなり、蓬の口から思わず声が出る。カイゼルグリッドナイトはそのまま転倒。地面に倒れ伏す。

 

「な、なんだ……!?」

「体が、重い……!」

 

 突然のことに暦は困惑し、夢芽は自身に感じる違和感を口にする。ただ、その違和感は夢芽だけではない。全員が体にとても重い物を乗せられたように体が動かなかった。

 

「これは、重力操作か……!?」

 

 この異変を、ナイトは自身の経験から推測する。もちろん、こんな能力が使えるのは、今この場に一体しかいない。

 

「テメエ、まだ能力隠し持ってやがったな……!」

「ギュイイ」

 

 ガウマの声もどこ吹く風といった様子で、バイラスは自身の手前で突っ伏しているカイゼルグリッドナイトを見下す。

 動けないカイゼルグリッドナイトに、バイラスは何度も触手を叩き付ける。防御もまともに取れないカイゼルグリッドナイトは、少しずつダメージが蓄積していく。

 触手による何度目かの殴打が終わったところで、カイゼルグリッドナイトの体が、今度は意に反して宙に浮いていく。今度は重力を軽くされたのだ。

 

「う、浮いてるぅぅぅぅ!」

 

 ちせはそう叫びながらコントローラーを動かす。が、カイゼルグリッドナイトの両手がバタつくだけで、重力の捕縛から逃れられない。

 そうこうしているうちに、チャージの終わったバイラスが、頭部から荷電重粒子ビームを放つ。それはカイゼルグリッドナイトに直撃し、空で巨大な爆発を起こす。

 

「「「「「「うわあああああああっ!!」」」」」」

 

 地面に落下するカイゼルグリッドナイト。落ちたところに間髪を入れず、触手が殺到する。両手両足を拘束し、高圧電流を流して攻撃した後、ビルに頭から叩き付ける。

 

「ぐっ……」

 

 その猛攻にカイゼルグリッドナイトが立てていないうちに、再び重力操作で地面に押しつける。

 さらに、そこへギロンが飛びかかる。カイゼルグリッドナイトの上まで到達したギロンは、その体を急降下させる。重力操作はカイゼルグリッドナイトを含めた一帯に干渉しており、必然的にその範囲に入ったギロンの自重も急激に増加する。それにより、先ほどまでより更に威力の増した回転斬りの一撃がカイゼルグリッドナイトを襲う。

 

「グオオオオ!!」

「「「「「「あああああああっ!!」」」」」」

 

 ズドォン!!!

 

 と、重たい音が街に響き渡る。ギロンの一撃は凄まじく、大地を揺らし、カイゼルグリッドナイトを中心にクレーターが出来る。

 

 そこへ、ダメ押しと言わんばかりにバイラスは再度、荷電重粒子ビームを発射。それによって引き起こされた爆発は街を照らし、爆風が街を駆け抜ける。カイゼルグリッドナイトはビームの直撃を受け、地面を数百メートル転がる。

 

 そこからは、バイラスたちの圧倒的優勢だった。カイゼルグリッドナイトの硬い防御でダメージは抑えられていたが、逆に言えばそれだけ。遠距離攻撃が通じない以上、接近して攻撃するしかないのだが、近づくと重力操作の範囲に入ってしまうため、迂闊に近づくこともできなかった。結果、攻撃すらさせてもらえず、一方的な攻撃が続く。

 

 何度目かの攻撃で、地面に倒れるカイゼルグリッドナイト。

 

「クソ、このままじゃ……」

 

 息も絶え絶えで呟くガウマ。その言葉の続きは言われなくとも、全員が分かっていた。

 

 

 このままじゃ勝てない。

 

 

「……ダメ。それだけはダメ」

「夢芽……?」

「ここで勝たなきゃ、またアヤメに戦わせることになる。そんなこと絶対に、ああっ!?」

 

 そんな夢芽の呟きを一蹴するように、触手による殴打でカイゼルグリッドナイトを転がすバイラス。

 

 

 

 すると、ギロンはカイゼルグリッドナイトを挟み込むように、バイラスの反対側に回る。

 そして、咆哮とともに高く跳躍。空中で前転をしながらカイゼルグリッドナイトに迫る。

 

「またあれか!?」

 

 ガウマから焦った声がでるが、こちらが回避するより相手の方が速く、逃げようがない。ギロンの凶刃がカイゼルグリッドナイトに迫る。

 

 

 

 

 

 その時だ。

 

 空が一瞬、強く発光する。

 

 そして。

 

『ネオ超電導、キック!』

 

 赤と銀のメカニカルな巨人が、ギロンを横から蹴り飛ばした。

 

「グオッ!?」

 

 ギロンを蹴り飛ばした巨人は地面に着地。舞い散った瓦礫と砂塵が晴れたそこには、懐かしく、そして勇敢な、彼らの親友であるヒーローがそこに立っていた。

 

 

 

「グリッド、マン……」

 

 

「ごめんみんな、遅くなった!」

 

「裕太!!」

 

 蓬の呼びかけにグリッドマン、そして彼と一体化している響裕太が頷く。

 

『立てるか? グリッドナイト』

「……ああ、もちろんだ!」

 

 グリッドマンの手を借りて、カイゼルグリッドナイトは立ち上がる。

 

『私たちも加勢する。共に怪獣を倒すぞ!』

「「「「「「はい(おう)!!」」」」」」

 

 この地に降り立った二大ヒーローは、背中を預ける形で怪獣たちに向かい合う。

 

 

 

 

 

『コイツは私たちが受け持つ!』

「助かるぜ、大将! なら、俺たちはコイツに集中だ!」

 

 ギロンに向き直ったグリッドマンの言葉に、ガウマがそう返す。

 そしてグリッドマンはギロンに、カイゼルグリッドナイトはバイラス目掛けて地面を蹴って走り出す。

 

 

 

 一方のギロンは、近づいてきたグリッドマンに超振動ブレードを振るう。それを手前で止まって避けるグリッドマン。

 

『テアッ!』

 

 そのかけ声とともに、ひざ蹴りをギロンの顔に当てるグリッドマン。怯んだギロンだったが、すぐさまブレードを振るって反撃する。

 グリッドマンはそれをバク転で回避。更にくる残撃に、左腕を構える。

 

『グリッドライトセイバー!』

 

 グリッドマンの左腕に装着されているアクセプターから光剣、グリッドライトセイバーを伸ばし、ギロンの超振動ブレードを受け止める。グリッドマンとギロンは互いの剣で、幾太刀も斬り結ぶ。

 

『ハアッ!』

 

 そして、ついにグリッドマンの一撃がギロンの背中に入る。

 

 

 

 もっとも、ギロンの体表に切り傷一つつけられなかったが。

 

 

「グオッ?」

「うそっ!? 効いてない!?」

 

 痒そうに背中を掻くギロンを見て、動揺の声を上げる裕太。

 

「グオオオ!」

 

 ギロンは自身の剣で、グリッドライトセイバーを一撃でたたき折る。

 

「なっ!?」

 

 そこから突きを繰り出し、グリッドマンを吹っ飛ばす。グリッドマンは宙を舞い、後ろにあったビルに突っ込む。

 

『ぐああっ!』

 

 先ほどから邪魔ばかりされているギロンは苛立っており、グリッドマンを睨み付けるその目は、先ほどまでより更に獰猛だった。

 

 

 

 

 

 

 所変わって、カイゼルグリッドナイトVSバイラス。

 先ほどより戦況は良くなったとはいえ、カイゼルグリッドナイトにとって苦しい状況は未だ続いていた。

 何本もある触手に、重力操作による攻撃。一度業を煮やして技を撃ったのだが。

 

「「「「「「レックスグリッドファイヤー!!」」」」」」

 

 ダイナミックキャノンから放たれた炎の奔流は、バイラスのバリアに阻まれる。

 

「クソっ! これでもダメか……」

 

 蓬は歯噛みする。前回の戦いから思っていたことだが、この怪獣だけ色々と規格外だ。バリアの出力も他の怪獣とは段違いである。

 このままでは、先ほどと同じになるだけだ。触手と重力操作の攻撃を避けながら必死に頭を回す。

 何か……、何か打開策があるはずだ。それを思いつかないと、この怪獣に勝てない。

 

 すると、夢芽が思いついたように言う。

 

「バリアの中、入れないかな?」

「えっ? どゆこと?」

 

 蓬の問いに夢芽が答える。

 

「だから、バリアの中に入っちゃえば光線も防がれないんじゃない?」

「なるほどな。確かにそれならいけるかもしれねえ!」

「ええ? ちょ、ガウマさん。大丈夫なんですか? そんな単純な方法で」

 

 夢芽の案に賛同するガウマに、蓬は待ったをかける。

 

「大体、近づいたら重力操作でさっきと同じ目に遭いますよ!?」

 

 確かにバイラスのバリアには、質量を止める力はない。だが、近づいたところで重力操作で止められてしまうのは目に見えてる。

 

「重力操作を回避する方法も考えないと……」

 

 と、蓬がそこまで言ったところで、暦が口を挟む。

 

「じゃあさ、それを前提に攻撃すればいいんじゃない?」

「え? どういうことっすか、先輩」

 

 ちせの疑問に、暦は作戦を説明する。

 

「いやだからさ、重力操作してくるなら、その重力を計算に入れて動けばいいじゃない? アイツは近づいたら重力を重くしてくる。だから、その前に上にいれば、重くされてもアイツにたどり着けるでしょ?」

 

 その説明を聞いていたガウマは、暦に言う。

 

「……暦、おまえ天才か!?」

 

 その言葉に、蓬はずっこける。

 

「ちょっと待ってください、ガウマさん! そんなに上手くいくわけないじゃないですか! 相手が別の重力操作してきたら、こっちが攻撃くらうだけですよ」

「つってもよ、蓬は他に作戦あんのか?」

「それは……」

「ないなら、この作戦やってみる価値はあるだろ」

「そうだな。今は打てる手を打つしかあるまい」

 

 ナイトもガウマの言葉に同調するように頷く。

 

「それに大丈夫だ。俺たち、こんなピンチなんて、いくらでも乗り越えてきたろ? 今回だって上手くいく!」

 

 そんなガウマの励ましに、蓬は思わず笑みがこぼれる。無茶苦茶だけど、それでも安心できる何かが、自分たちの間にはあった。

 

「分かりました。それでいきましょう」

「よし、決まりっすね。さあ、皆さん頑張りましょー!」

 

 ちせもやる気のようだ。あとは実行するだけである。

 

 カイゼルグリッドナイトは遠距離攻撃を完全に止め、バイラスの本体に近づくことだけを考える。バイラスは、近づいてくるカイゼルグリッドナイトに触手を何本も向かわせる。

 進行を阻んでくる触手に悪戦苦闘しながらも、カイゼルグリッドナイトは徐々にバイラスに接近していく。

 

「こんだけ近づくのを阻んでくるってこたあ、バリアの弱点は夢芽の考えた通りってことで良さそうだな!」

 

 触手を地面に叩き付けながらガウマが言う。ガウマの言うとおり、バイラスに近づこうとすると、やたら触手で拒んでくる。ということは、接近されたら攻撃を防ぐ手立てがないのだろう。頭部から放つビームも、すぐそばまで接近されたら死角に入ってしまって当てられなくなる。だからこそ、接近されないようにしているんだろう。

 

 どうやら、光明は見えたようだ。

 

 そしてついに、バイラスまであと少しというところまで接近する。

 重力操作を仕掛けてくるならここだろう。

 そこで、ムチのように振るわれた触手をジャンプで避け、それを踏み台にして、残りの触手を飛び越える。

 バイラスもそれは予想外だったのだろう。重力操作で落下させようとするも、それが逆に仇となり、カイゼルグリッドナイトは一気に懐に飛び込むことに成功する。

 そして、目の前に来たバイラスの顔をアッパーで殴り飛ばす。それを食らったバイラスはたまらず転倒。たたみかけるように、カイゼルグリッドナイトは両腕をバイラスに向ける。

 

「カイゼルナイト、ダブルストーム!」

 

 両腕から放たれた紫のビームは、バリアに阻まれることなくバイラスに直撃する。

 

「当たった!」

「よし、いけるぞ!」

 

 夢芽の嬉しそうな声と、希望の混ざったガウマの声が響く。

 そして、カイゼルグリッドナイトが更に追撃をかけようと腕を構えた時だった。

突然、突風が吹くとともに、バイラスを覆っていた爆煙が吹き飛ばされる。その代わり、上に向かって何かが飛び出す。

 

「隊長! アレ!」

 

 ちせが指を指したところに目を向ければ、そこには上下逆さまのバイラスがいた。

 

「えっ? な、なんだあれ!?」

「と、飛んでる?」

 

 暦と夢芽が困惑の声を上げる。

 

 そう、バイラスは飛んでいた。上下逆さまという何とも珍妙な体勢で。触手を花の蕾のようにして全身を覆い、その触手の口からはガメラのような青白い光を放ち、それと重力操作を推進力にしながら、バイラスはどんどんその高度を上げていく。

 

「アイツ……! 逃がさねえぞ!」

 

 カイゼルグリッドナイトも後を追おうと地面を踏みしめた瞬間、下を向いていたバイラスの頭部が開かれる。そこに青白い光が集まり、荷電重粒子ビームがカイゼルグリッドナイト目掛けて放たれる。

 

「うわあっ!?」

 

 ギリギリ避けたカイゼルグリッドナイトだったが、続けて二発目が飛んでくる。

 

「クソっ! ヤツめ、このまま上から俺たちを撃ち続けるつもりか!」

 

 ナイトの言葉通り、バイラスはもう地上に降りるつもりはないらしく、今のバイラスはまるで、衛星砲を搭載した人工衛星のようだった。

 

 

 

 

 

 そして、グリッドマンもまた、ギロンに苦戦していた。最初こそ互角だった戦いは、グリッドマンの動きのクセを見抜いたギロンにあっさり対応され、今では防戦一方だった。

「グオオオオ!!」

「っ!?」

 グリッドマンが地を転がった隙を見て、ギロンは飛びかかりからの回転斬りを放つ。

『ぐっ!』

 グリッドマンは白羽取りでギロンの超振動ブレードを受け止める。だが、ギロンは焦ることもなく、そのまま自身の体重をかけて、グリッドマンを地面に叩き伏せる。

 

『ぐああっ!』

 

 起き上がろうとするグリッドマンの顔を前脚で押さえ込むギロン。そして、ブレードを振り上げ、グリッドマンの首を狙う。その目は今度こそトドメを刺さんとする殺意に満ちていた。

 

「グオオオオオオオッ!」

 

 そして、ギロンのブレードは振り下ろされ、グリッドマンの首を切り落とした。

 

 

 かに思われたが。

 

 

「……?」

 

 構えていた衝撃が来ないことにグリッドマンがギロンのブレードに目を向けると、そこには金色の巨大な剣が、ギロンのブレードを抑えていた。

 

「ま、待たせたな、グリッドマン」

 

 突然のことに驚くギロン。そこへ更に、砲弾、ミサイル、レーザーがギロンへと撃ち込まれ、たまらずグリッドマンの上から飛び退く。ギロンが攻撃が来た方向を見ると、そこには青い戦闘機、ドリルの付いた戦車に大砲を二門背負った巨大な装甲車両がいた。

 

「はあ~あ、遅刻、遅刻っと」

「ったく、めんどくせー結界張りやがって。おかげで俺たち、完全に出遅れたじゃねーか!」

「遅れてすまない、グリッドマン!」

「新世紀中学生の皆さん……!」

 

 裕太にそう呼ばれた彼ら、アシストウエポンはグリッドマンの元に集結する。

 

『皆、ありがとう! さあ、今こそ全員の力、合わせるぞ!』

「「「「おう!」」」」

 

 グリッドマンの呼びかけに、全員が勢いよく応える。

 それぞれのアシストウエポンは変形し、グリッドマンと合体していく。装甲車両、バトルトラクトマックスはグリッドマンの腕に。青い戦闘機、スカイヴィッターはグリッドマンの足に。ドリルの付いた戦車、バスターボラーはグリッドマンの胸部、そして頭の兜となる。そして、その手には金色の大剣、グリッドマンキャリバーが握られ、その胸にもグリッドマンキャリバーの盾が装着される。

 

「「「「『超合体超人、フルパワーグリッドマン!!!』」」」」

 

 全員との合体を果たした無敵の超人、フルパワーグリッドマンが立ち上がる。

 

 

 

 

 

「グオオオ……」

 

 合体したグリッドマンに警戒するギロンだったが、それでも退く気はないらしく、構えたフルパワーグリッドマン目掛けて回転斬りを仕掛ける。

 そして、その超振動ブレードは猛然とした勢いで振り下ろされるが、フルパワーグリッドマンはそれをグリッドマンキャリバーで易々と受け止める。そして、そのままギロンを後ろへと押し返す。

 押されたことで体勢をよろけさせたギロンに、フルパワーグリッドマンはさらに剣を振る。

 ギロンもすぐさま体勢を立て直し、その攻撃を受け流すが、グリッドマンに先ほどの軽さはない。質量でのギロンの有利はなくなっていた。

 

「グオッ!」

 

 ならばと、ギロンはビルの上を飛び回り、機動性で翻弄しようとするが、フルパワーグリッドマンはそのスピードにもついてきた。一見重そうに見えるフルパワーグリッドマンだが、アシストウエポンの出力もあり、機動力が低いなんてことは全くない。そのため、ギロンのすばしっこい戦闘スタイルにも十分渡り合えていた。

 

 そしてついに、斬りかかってきたギロンのブレードを掴むことに成功する。

 

「グオッ!?」

『ハアッ!』

 

 掴んだギロンのブレードに、フルパワーグリッドマンは全力の手刀を叩き込む。すると、数瞬ののち、ギロンのブレードが根元から砕ける。

 

「グオオオオオッ!?」

 

 痛みと焦りでのたうちまわるギロンを両手で掴むと、ジャーマンスープレックスの要領で地面に突き刺す。ギロンが地面に埋まったのを確認すると、フルパワーグリッドマンは空へと飛び上がる。

 

『フルパワーチャージ!』

 

 フルパワーグリッドマンはグリッドマンキャリバーを空へ掲げ、全身のエネルギーをその剣へと注いでいく。全身は黄金のオーラに包まれたことで必殺のチャージは完了する。

 

「「「「『グリッドォォォォ、フルパワー、フィニッーーーーシュ!!!』」」」」

 

 そのかけ声とともに振り下ろされたグリッドマンキャリバーから放たれた黄金の光線は、ギロンを一刀両断し、そのまま木っ端微塵に爆破した。

 

 

 

 

 

 一方のカイゼルグリッドナイトも、攻撃されてばかりではなかった。相手が射程外から撃ってくるなら、届く距離まで近づけばいいだけのことだ。

 何射目かの荷電重粒子ビームを回避したカイゼルグリッドナイトは、今度こそ地面を蹴り、スラスターで空へと昇っていく。

 バイラスは迫ってくる敵を撃墜しようとビームを連射するが、カイゼルグリッドナイトはそれを次々と避ける。

 

「んな攻撃当たるかってーの!」

 

 ちせの言葉通り、ダイナゼノンだけでなくゴルドバーンとも合体しているカイゼルグリッドナイトの機動力は、見た目に反して凄まじい。

 猛スピードで近づくカイゼルグリッドナイトに対し、バイラスは射撃を止めてさらに上へ逃げようとする。

 

「逃がす、かぁ!」

 

 スラスター出力を上げてさらに加速すると同時に、ダイナセイバー射出機構も展開する。

 

「ダイナセイバー、出力最大! いつでもいけます!!」

「よし!」

 

 暦の言葉にナイトは頷く。チャンスは一瞬だ。最速で最大出力を叩き込む。

 

「いくぞ!!!」

「「「「「はい(おう)!!!」」」」」

 

 全員の声が揃い、カイゼルグリッドナイトはバイラスを視界の真ん中に捉える。

 

「カイゼルゥゥゥ、ナイト!!」

 

 カイゼルグリッドナイトの左手にエネルギーが収束する。嫌な気配を感じ取ったバイラスは、一発逆転を狙って荷電重粒子ビームを放つ。

 

 が。それも遅い。

 

「「「「「「サーキュラアアアアアアアアアア!!!!!」」」」」」

 

 居合いのように振り抜かれた特大のカイゼルナイトサーキュラーは、荷電重粒子ビームとバリアごとバイラスを一刀両断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 真っ二つになって落下するバイラスを見て、蓬は深く息を吐く。

 

「ふう……」

 

 今回はかなりギリギリの戦いだった。裕太とグリッドマンたちが助けにきてくれなかったら、負けていたかもしれない。それほど相手の怪獣たちは強かった。

 それらとこれまで一人で戦っていたガメラとアヤメのことを考えると、その負担がいかに大きかったか簡単に想像がつく。

 夢芽は大丈夫だろうか。まだ落ち込んでるかな、と思考を巡らせていたときだった。

 

「ん? なんだありゃ?」

 

 ガウマの声に蓬も外に視線を向けると、落下するバイラスの死骸の中に、光る物体が混じっている。

 

『それです!』

「うわっ!」

 

 突如、通信で割り込んできた二代目に驚く蓬。ナイトも二代目の発言の意図が分からず、聞き返す。

 

「二代目。それ、とは?」

『ザノンの核です! 蓬さんたちの話を聞いてからずっと疑問だったんです。なぜ、ずっと本体も宇宙船も姿を見せないのかって。でも、今回の戦いでも怪獣たちの動きでハッキリしました。ザノンはあの怪獣の体内に潜んでいたんです! そうじゃなきゃ、わざわざあの怪獣だけ、他の怪獣たちを使ってまで蘇生する意味がありません!』

「じゃあ、あれが……」

『ええ! あれがザノン本体です!』

 

 落下するダイヤモンドのような透明の結晶。確かにそれは周りのバイラスの肉片と違い、明らかに別の物質でできていた。

 

『皆さん、撃墜してください!!」

「分かりました!」

 

 二代目の言葉に、蓬を始め、全員が頷く。

 

「カイゼルナイト……!」

 

 そして、カイゼルグリッドナイトが両腕にエネルギーを貯め始めたときだった。

 

 

 

 下に赤い光が見えたと思った次の瞬間、カイゼルグリッドナイトに高出力レーザーが命中する。

 

「「「「「「うわああっ!」」」」」」

 

 バランスを崩すカイゼルグリッドナイト。咄嗟にレーザーが飛んできた方向に目を向ければ。

 

「な、んだ、アレ……?」

 

 

 

 

 

 蓬の目に映ったのは、血のように赤い翼を広げたギャオスだった。ただし、先ほどの個体より何倍も大きい巨躯に、顔には襟巻きのような膜と、いくつもの目を付けたギャオスだったが。

 

 

 

 

 それは地上にいる裕太たちも確認していた。

 

「なんだ、あの怪獣……。空中で、立ってる?」

「いや、恐らくあれは……」

 

 裕太の言葉を否定したマックスが自身の考えを話す前に、ギャオスの足下に変化が起きる。

 今まで何もなかった空中に、金属の壁が現れる。それは徐々に姿を現し、透明のベールを剥いでいく。

 

「なるほどね。ずっと近くで見てたってわけか」

 

 ヴィットが納得したように呟く。

 

 

 

 

 巨大ギャオスの足元に現れたのは、見紛うことなき、ザノンの宇宙船だった。

 

 

「ギャオオオオオオオ!!」

 

 ギャオスは大きな声で鳴くと、舌を結晶体へと伸ばす。その舌は確実に結晶体を捕縛すると、一気に本体へと戻っていく。

 

「あっ」

 

 蓬がそう声を漏らしたときには、結晶体はすでにギャオスの口へ。次の瞬間には、喉の奥へと消えていった。

 

「アイツ……、ザノンを食いやがった……」

「いや、違う。おそらく……」

 

 唖然とするガウマの言葉を、ナイトは否定する。

 

「これがザノンの目的だったのだ。さっきまでの戦いは、あれを起こすための時間稼ぎに過ぎないのだろう」

「何だと!? ってことは……」

 

「さっきの怪獣より、強い、ってことですか……?」

 

 暦の口から漏れ出た疑問に皆が答えるより早く、巨大ギャオスの口が開く。顔の周りにある反射膜、そこに稲妻を走らせるギャオスの口に、赤い閃光が光る。

 

「っ!? マズい! 避けろ!!」

 

 ナイトの言葉とほぼ同時。放たれた超高出力の超音波メスは、辺りの雲を蹴散らしてカイゼルグリッドナイトに到達。極大の爆発が起こる。

 

「「「「「「うわああああああああああっ!!!」」」」」」

 

 その一撃の威力は凄まじく、カイゼルグリッドナイトは一瞬でバラバラに。グリッドナイトに至っては変身解除に追い込まれる。

 

「蓬! みんな!」

 

 地上でその様子を見ていた裕太が叫ぶ。

 

「マズい! 我々でヤツを止めるぞ!」

「「「『おう!』」」」

 

 マックスの言葉に全員が返事し、フルパワーグリッドマンは飛び立とうとする。しかし、巨大ギャオスのほうが先に宇宙船から飛び降りる。

 翼をばたつかせるギャオスだったが、体重が重すぎるのかその体が浮き上がることはなく、ほぼ自由落下する形で地上へと着陸する。

 先ほどまでの戦闘で地上に溜まった粉塵を、その翼で吹き飛ばし、ギャオスは咆哮を上げる。

 

『ぐっ! 来るぞ!』

 

 グリッドマンの言葉に、全員が気を引き締める。

 

 その姿を見て、巨大ギャオス、もといSギャオスは嗤っているような顔でグリッドマンを睨み付けた。

 

 

 

 

 




ガメラの霊圧が、消えた……?

ちなみに、グリッドマンはプライマルファイターの姿です。なぜその姿なのかは、多分、今後どこかで書くと思うので、気長に待っていただけると幸いです。
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