なんちゃってサイヤ人(偽ターレス)で実況プレイ風 作:ハンマーしゃぶしゃぶ
子供の成長は早い実況プレイはーじまーるよー。
前回は、未来の嫁御ヤマトちゃんと始めての共同作業を成功させたとこまででした。
カイドウに赤ん坊で拾われて、直後にはクイーンもさらっと入団し、その後すぐワノ国に拠点作って、なんと気づいたら後の大看板〝旱害のジャック〟までいますね。時が経つのは早いものです。
さて、ヤマト、サル、ジャックの三人組は5歳児トリオ。おまけですが、ブラックマリアは6歳児。
マリアやジャックは公私をきちんと分けるタイプなので、ヤマトとは全然接点ありません。
ヤマトが話しかけても、二人は「鬼姫様、おはようございます」という他人行儀対応に終始します。
実は、百獣海賊団には他にも子供団員が増えてきていますが、全員こんな対応です。
マジの赤ん坊の頃から、カイドウとキングに直接育てられているサルくんが特別に美味しいポジションなのです。
ほとんど養子扱いですからね。
キングママに育てられ、カイドウパパにどつかれつつ鍛えられ、クイーンおじさんに遊んでもらうという面白おかしい日々を過ごします。
その間、ジャックやマリアとも信頼関係を構築していきましょう。
未来の大幹部と幹部ですから、幼い頃からの信頼は将来非常に役に立ちます。
あとはせっせとヤマトも攻略します。
ヤマトは、まだおでん狂いになっていませんが、ワノ国育ちで大分ワノ国文化に染まっています。
もうサムライ好きになっていて、武士に二言はないぞ!とか良く言っているので、この単純バカな性質を利用しましょう。
いつものように、サルとヤマトは勝負をして遊んでいますが、この勝負の中で〝これに勝った方は何でも一つ言う事を聞く〟というものを漕ぎ着けます。
まるでルフィとウタのようですね。
幼馴染関係…尊し。
「よーし、この勝負おれの勝ちだなヤマト!」
「くそ~~!なっとくいかないぞ!だいたい鼻からパスタすする対決ってなんだい!別の勝負でやりなおそうよぉ!」
「お?武士になりたいんじゃなかったのか?武士は一度した約束は守るんじゃなかったのか?」
「…うぅーー…仕方ないな。わかったよ!武士に二言はないさ!ぼくに何でも言っていーよ!」
ほっぺを膨らませているロリヤマトは可愛いですね。
そしてここがチャンスです。
〝騙して悪いが〟を実行させてもらいます。
「よし、ヤマト…おっきくなったらおれの嫁になれ!」
「え、えーーー!?」
「「「えぇーーーー!!!?」」」
ヤマトと同時に、遠巻きに見ていたキングやクイーン、ジャックやマリアも驚いています。
クイーンの、まるでエネル顔のような驚きっぷりは板についていますね。似合ってます。
カイドウは、飲んでいた酒でゴフッとむせています。
「ぼ、ぼくが君のお嫁さん!?」
「そう!なれ!」
「な、ななな、なんで!?ぼ、ぼくら友達だろう?」
「友達は嫁にしちゃいけねぇのか?すっごい好きな奴は、友達も親友も超えた、嫁ってのになるって、前にマリアに聞いたんだ」
「だ、だ、だって…お嫁さんは…友達同士で…なるものじゃないよ。こ、恋人になって…そこから、チューして…お、お嫁さんになるんだって、前にマリアが」
マリア…後に花魁達の元締めになる女で、恋愛好きな奴ですが…どうやら有ること無いこと、サルとヤマトに吹き込んだようです。
「なんだ…お前もマリアに聞いたのか?…よし、わかった!」
よしいけサルくん。選択肢はこれ一択…!そして突然のQTE!ですが私は負けません。ヤマトちゃんとのいちゃらぶ生活の為に。
…!成功です。行ったぁーーー!
――チュー♡
「…っ!!!!!????」
サルくんのガルチューが、ヤマトの口に炸裂。
ヤマトが固まってます。
カイドウも固まってます。
クイーンも固まってます。
キングだけが、「ほう」という顔で腕を組んでいるのが印象的ですね。
キングは育ての親ですから、サルくんの〝やる時はやる。決める時は決める〟男に育っているのを実感して感慨深いのでしょうかね。
「キング!!!サルをこっちに連れてこい!!!!」
「了解、カイドウさん」
あ~、ヤマトちゃんとの初チュー中でしたのに、無情にもキングにむんずと尻尾を掴まれ、哀れサルくんは連行されてしまいました。
ヤマトは固まったままで、そしてだんだんとリトマス試験紙のように赤くなってますね。
「っっ!!あ、あ、ぅ…!ひゃ、ひゃ~~~~~っ!!!!?」
まるで辛いものを食べた時のような反応をして、真っ赤な顔のまま目を回してバターンと倒れました。可愛いですね。
ですが、こっちはまるで可愛くありません。
ゴゴゴゴゴゴ、という擬音が物質化しているかのような迫力で、カイドウの顔面がドアップになって、チビのサルくんを数センチまで距離を詰めてガン飛ばしてます。
「サル…!てめェ、おれの娘に手を出すたァ…覚悟は出来てんだろうなァ!!」
「おう!おれ、ヤマト大好きだ!嫁にくれ!おやじ!!」
すこーーーーん、とバスターホームランばりの雷鳴八卦がサルくんの脳天に炸裂。
サルくんは、キレイな放物線を描いて夜空のお星さまになったのでした。
一見、信頼がガタガタになったかのように思えるイベントでしたが、全然へっちゃらです。
この後、普通に百獣海賊団の皆からは〝鬼姫様の許嫁〟という目で見られるようになってさらに一目置かれるようになります。
カイドウも、実はサルくんの将来性を買っているのもあって、目をかけてくれてしますから普通に認めてくれます。
「そんな体たらくじゃあ、ヤマトの婿とは認められねェぞ、サル!」とか言ってきて発破かけてきたりしますが、そのセリフは逆にフィアンセとして認めてくれている証拠です。
ヤマト本人は、後々も「あれは君が無理やり!」とか「あんな小さい頃の口約束、む、無効だろう!」とか言ってきやがりますが、
「どんな形であれ約束は約束…。約束を破るのか?」
とでもサルくんに言わせれば、ヤマトは押し切れます。ちょろいですね。
ヤマトにも楔を打ち込んでやったので、後はいつも通り喧嘩したり遊んだりして、好感度稼ぎ&レベルアップに励みます。
倍速します。
倍速ストップ。
そうこうしているうちに、鈴後にゲッコー・モリア一味が上陸して襲ってきます。
サルくんは、すでに前線に出ても怒られないだけの実力があるので、この戦争には勿論参加します。
サルくんにとって、この時点では圧倒的格上ですが、攻撃を食らわすだけでも経験値が美味しいので積極的にモリアを攻撃しましょう。
適当に攻撃して、後はボコされてるだけでも時間制限で勝手に百獣海賊団が勝ちますから、思い切り戦います。
経験値おいしいですね。
…。
カイドウさんがモリアをぶっ飛ばしました。
ゲッコー海賊団、生き残った人間はモリアだけになって涙目潰走です。
リューマの剣と死体は、別にサルくんにとってどうでもいいので、ワノ国土産&ゲッコー海賊団全滅のお悔やみにくれてやりましょう。餞別です。
また倍速…。
倍速ストップ。
さて、8歳です。
8歳というと、いよいよワノ国乗っ取りが佳境に入り、おでんをぶっ殺すイベントが始まります。
ここが正念場です。
ここで、ヤマトにおでんの釜茹でを見せてしまうと、染まりやすい絹糸のヤマトちゃん8歳は、おでん教狂信者へと洗脳されてしまいます。武士好きからおでん狂いにクラスチェンジです。
同じように、おでんと真正面から決着をつけられず、しかもカイドウ的に超イケてる死に様を見せたおでんは、カイドウさえ洗脳しておでん教狂信者にしてしまいます。
うーん、この親子。
では、こっそりヤマトを連れ出して戦場へ飛び出しましょう。ヤマトを連れ出すのが大事です。カイドウ海賊王とヤマトいちゃ婚を両立させたい人は、きちんとこの決戦にロリヤマトを連れ出しましょう。
すでにサルくんは、真打ちに抜擢されています。なんだこの8歳児。
なので、前線では雑魚味方から頼られる存在ですし、戦場ではある程度自由裁量権もあるので勝手に走りまくります。百獣海賊団のみんなが「鬼姫様!?」「なんでここに!!」とか驚かれてますが、カイドウパパやキングママ、クイーンおじさんなどにバレないように注意。
開戦前に幹部以上に見つかると、その時点で怒られてヤマトがおうちに帰されちゃいます。
…おでんと赤鞘が来ました。
カイドウは出来たばかりの新築我が家を壊したくないと言いつつ、全力でおでんを出迎えます。きっと新築大事は本音でしょう。
もう開戦したから隠密プレイは終了です。サルくんとヤマトちゃんは適当に赤鞘の一人と遊びつつ、カイドウとおでんの決闘をチラチラ見守ります。
「っ!ゆガラ、ミンク族かあ!?同胞が…なぜワノ国を裏切ってカイドウに!!」
「良く見抜けたな。見た目からじゃ、尻尾ぐらいしか特徴がないのによ」
「そのエレクトロの力…!嫌でもわかるぜよ!ミンク族の恥晒しがあ!」
「おれはてめェらゾウのミンクに捨てられた…。なんでも、おれは忌み子の災邪なんだとよ!おれの親はカイドウさん…!そして仲間と家族は百獣海賊団だ!おれは…鬼ヶ島育ちのサイヤ人だー!!」
ミンク族同士の殺し合いです。そういえば赤鞘にはミンク族が2人程いましたっけね。
さすがのナチュラル・ボーン・デストロイヤーのサルくんも、経験値の差が出まくって押されていますが、自分を捨てた同族への怒りで一時的にパワーアップしていますね。
ゲッコー海賊団戦の時のように、無理攻めはせず経験値稼ぎつつ死なないように頑張りましょう。
そしてカイドウさんを見守ります。
まだ見守ります。
まだまだ。
まだ見守ります。
カイドウさんが、おでんの〝桃源十拳〟でクリティカルヒットを貰っても我慢です。
…。
今です。
ババアが、モモの助の姿で人質作戦をしようとしてます。
おっと流れ弾が!
悲しいかな、サルくんの〝エレクトロ・ホロブレスもどき〟によってババアは黒炭から消炭になってしまったで候。べべん。
え?そんな事して大丈夫?ババアの横槍なければカイドウさん、おでんに殺されない?
そんな疑問を抱く視聴者もいるかもしれませんが、大丈夫です。
実は、この勝負はカイドウさんもおでんも、どちらが勝ってもおかしくない50/50。
ルフィとの戦いを見てもわかるように、カイドウさんの真骨頂は、どんな攻撃も効かない頑丈な体…以上に、どんなダメージをくらっても何度でも立ち上がり継戦できる超タフネスです。
どうしても攻防力に目が行きがちですが、カイドウさんの体力はこのゲームのキャラ中最高値。
ぱっと見、血を吐いてやばそうな演出されても我らがカイドウさんは立ち上がってくれます。
カイドウさんが負けたらリセットしましょう。(2敗)
…。
だいぶボロボロですがカイドウさんが勝ちました。バカヤローおまえカイドウさんは勝つぞ。
おでんと全力の真正面決闘を制して、カイドウさんはこれで不動の自信を得ます。
これによって覇気が原作よりも強化されるのです。
なんと、このゲームでは原作の展開はカイドウさんの覇気が萎える弱体化イベントだったんですね。
おでん処刑の時に「せいぜい強くなれ」と言われて、体だけはめっちゃ鍛えるカイドウさんでしたが、心の奥底では、おでんへの申し訳無さとか未練とかで心と魂は萎えていました。イコール、覇気の衰えです。
おでん戦を、カイドウさんが自力で制する…これは海賊王への必須条件です。
そして…見てください。
ヤマトちゃんの、カイドウとおでんを見るこのキラキラお目々。
あの歴史に残る大激闘を目の当たりにしたヤマトちゃんは、おでんへの尊敬と同時にカイドウへの尊敬も抱きます。
おでんポイントがカイドウにも振り分けられる事で、原作での、あのイカれたおでん狂いっぷりが緩和されて、カイドウさんへの嫌悪っぷりも緩和されます。まさに一石二鳥。
これが重要で、このイベントを起こすことでカイドウの下に収まりつつ、ヤマトともいちゃいちゃできる条件が揃います。
なので怒られる危険性があっても、この戦いにヤマトを連れてくる必要があったんですね。
カイドウさんがおでん戦を制すると、そのまま赤鞘も限界を迎えて弱体化して、その全滅などいとやすし。
…。
皆殺しにしました。この世界、胴体貫いても〝生命力すごかった〟とかで生きてる可能性大なので、きちんと首を刎ねておきます。これをやっておくとバラバラの実を食っている奴以外はきちんと殺せます。
ですが、赤鞘の中には、1人スパイが入り込んでます。
皆さんご存知、カン十郎です。
今は赤鞘と一緒に死んだふりしてますが、死体検分のふりしてそのまま治療を施し解き放ちましょう。
これで、後々の残敵掃討がグッと楽になります。
あとは、光月トキのしゃらくさい20年後大作戦の阻止です。
これは楽ちんです。
サルくんによる速攻を仕掛けましょう。
サルくんとヤマト以外は、激戦直後で疲れ切っているので、連れて行く兵隊は拠点でお留守番している子供組を連れていきます。
ガキンチョ児軍団出撃ー!(サル、ヤマト、ジャック、マリア)イクゾー! デッデッデデデデ!(カーン)デデデデ!
ヤマトは、いつものようにサルくんに流されるがまま付いてきてくれますし、ジャックとマリアは抜け駆けとはいえ、初の実戦に喜び勇んで付いてきてくれます。
独断専行、みんなでやれば、怖くない!
一気に九里の城まで突っ走ります。
そして、有無を言わさず天守閣にエレクトロ・ホロブレスをシュート。連打しましょう。
瓦解した九里城に、ジャックが目を血走らせて突撃してきます。
将来の大看板のイカれっぷりは既に健在のようですね。
…よし、城兵全滅です。
トキとモモの助と日和も、サルくんが直接手を下して首刎ねを確認。光月トキの時間とばし発動にはタイムラグがあるため、有無を言わさぬ無慈悲な速攻を決めてやれば、トキトキの実も怖くありません。
これにて光月は全滅です。
スキヤキの爺さんが実はまだ生きてて、オロチによって幽閉されていびられてますが、それは調査したふりをした後にカイドウさんにチクってやります。
これをすることで、光月スキヤキが天狗山飛徹として暗躍する事を防げます。
つまり、キビキビの実が流出して、お玉ちゃんがギフターズキラーと化す事も防げます。
その後、みんな元気にカイドウさんにこってり怒られました。
■
激戦を制したカイドウは、生々しい傷もそのままに、大宴会を開いていた。
あのロジャーや、白ひげにも匹敵しそうな程の、並々ならぬ大敵と思えた光月おでんを一騎討ちの決闘の末に打倒したのだ。呑まず終わらせては嘘だろう。
分厚い胸板には、深々とした刀傷が残ったし、角も片方が折られた。片目も潰され、片腕も肘から先を失った。
しかし、それらの傷はカイドウの力を弱めるものではなく、寧ろ誇りとなって、カイドウの覇気を充実させ高める。
失った目や四肢など、クイーンの絡繰技術でいくらでも補える。
「あの時…黒炭のババアが余計なことをしようとした。だが…」
大盃をぐびりと飲んで、カイドウは一人呟く。
思い返せば、子飼いのサルは狙ってあのババアを攻撃したのだ。
恐らく、見聞色の才覚まで花開かせて、おでんとの決戦に集中していた自分よりも早く的確に、周囲の未来を読んで、そして自分の為にサルは黒炭ひぐらしを殺した。
(サルめ…おれの矜持を守りやがった!!)
ウォロロ、とカイドウは笑う。
これでは、ヤマトの唇を勝手に奪った件や、ジャックらを率いて九里城にて光月一族を皆殺した暴走など、まともに怒る気が失せてしまう。
おまけに光月スキヤキ生存の情報もどこからか掴んできていて、すでにオロチに話をつけて彼の身柄を数億ベリーで引き取れた。歴史の本文対策も、思い掛けず出来てしまっていた。
「ふん…困った野郎だぜ」
「どうしたんだ、カイドウさん」
カイドウのすぐ側に座る事を許されている大看板、キングが、口だけをプテラノドンに変化させながら器用に飲食を楽しんでいた。
「キング…てめェの息子の話だ」
「…サルの抜け駆け九里攻めの件は…おれからもキツく言っておく。すまないカイドウさん」
「キツく言う気になれねェから困っているんだ。サルの野郎…見る目がある」
「確かに…鬼姫様に唾つけるのも、おでんの妻子を殺すのも、正しい判断ではあるからな」
「あ゛ァ!?唾つけただァ!?」
「すまない。言い方が正直過ぎた」
全く物怖じしないキングの言い方に、カイドウは凄んで見せるが、キングとカイドウの絆は何よりも深い。
これも所詮はじゃれ合いだった。
「…だが、実際あのお転婆姫に釣り合うのは、サルだけだと思うが…あんたはどう思う?カイドウさん」
キングは、じゃれ合う空気の中にも鋭い目線をカイドウに向けながら、ズバリ核心に迫る。
カイドウも、数秒の間キングの目をジッと見返し、やがて深い溜息をついて返した。
「チッ…まァ認めてやらねェわけでもねェがな」
「あんたらしくない、迂遠な言い回しだ」
「あ~~~~~…分かっているが、まァ…もうちょいサルの育ち具合を見てからだ。正式に決めるのはな」
キングはマスクの下でにやりと笑い、カイドウも不敵に笑っていた。
彼らの目に映るのは、大宴会場の真ん中で、盛大に食いまくるヤマトとサルの姿だ。
「…ぱくぱくぱくぱくっ!むしゃむしゃっ!ごくんっ!っっぷはァ!うぅ…もうお腹が…」
「ガツガツガツガツガツガツガツガツガツッ!!!」
両者は対抗するように食べまくっていたが、よく見ればヤマトはサルの為に新しい皿を近づけてやったり、食べ難そうなモノを切り分けてやったりと細やかな世話もしていた。
「…ぅう~~おなかいっぱい…やっぱり食べ比べだと、サルには敵わないなァ。くそー」
ぽこりと膨らんだお腹を撫で回しながら、もはや競い合うのを止めたヤマトは、まだまだ勢いの衰えないサルの為に、周囲の三下海賊団員に指示を飛ばして、特に美味しそうなメニューを彼の周りに集めさせていた。
幼馴染と些細なことも勝負に持ち込み、その勝負に負ける度に悔しがるような言葉を発するヤマトだが、この大食い競争の時は負けてもあまり悔しそうではない。
寧ろ、サルの威勢のいい食べっぷりを眺めてニコニコしている。
そんな光景が度々目撃されていて、今もその様子がカイドウとキングにつぶさに観察されていた。
「………♪……ん?あ、お、お父さん」
鼻歌まで出そうになっていたヤマトが、父からの視線に気付くとサルを眺めるのを、咳払いとともに止めた。
そして、少しの間目線を泳がせから、何かの意を決したように…自分からカイドウの元へとことこ歩いてきたのだ。
これは実に珍しい事だった。
「お、お父さん」
「…何かようか?」
サルに影響されて、カイドウが眉をひそめるような〝良い子ちゃん〟っぷりが目立たなくなってきたとはいえ、まだまだヤマトとカイドウのお互いの相性は悪い。
だからこそ、何か余程の用事が無ければ互いに干渉はしない。話しかけない。まだそんな親子関係だった。
「あ、あのね」
「………なんだ。早く言え。酒が温くなる」
なかなか言い出さぬ娘に、燗された酒が微温くなるまで待つなどゴメンだぞ、とカイドウは不機嫌そうに唸った。
キングは、そんな親子を静かに見ている。
宴会場のあちらからは、場を際限なく盛り上げるクイーンのダンスと熱唱が響いた。
「――…あのね!おでんと戦っているお父さん、とってもかっこよかった!!」
ヤマトが叫ぶように言った。
「…は?」
あのカイドウが、ぽかんと口を開けて、そして大盃を落とす。
そこをすかさずキングがキャッチしてやった。
「――おい、ヤマト、今何て」
「~~~っ!!」
普段のカイドウからはとても想像できぬ声で、カイドウはヤマトを止めようとした。
本当に今聞こえた言葉が合っているかどうか確認がしたい程だった。
しかしヤマトは恥ずかしそうに走り去って、そしてまだ食らい続けているサルの背中へダイビングするのだった。
「…プッ」
まだポカーンとしているカイドウの横で、キングが吹き出していた。
「ほら、カイドウさん。あんたが落としかけた酒だ」
「……………あァ」
カイドウはぼんやりと、大盃を受け取ると、そのままぐびりと一口で飲み干す。
「微温くなっちまっているが…構わないか?」
「…いや、うめェぞ。………これは、うめェ」
その日、カイドウの酒量は、人生最高記録を刻んだ。