なんちゃってサイヤ人(偽ターレス)で実況プレイ風   作:ハンマーしゃぶしゃぶ

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Part8(最終回その2)

なんでや。

なんでお二人がここに。というか、キャロット…死んだはずじゃ!?

 

「…ほぉ?誰かと思ったら、ビッグマムのところのペコムズ。それに…貴様は誰だったかな」

 

「私はキャロット…モコモ公国の、〝王の鳥〟!そして…最後の……最後の、ミンク族の銃士!!!」

 

バヴァ君が頭にハテナを浮かべてそうな顔をしていますが、私もです。

まぁペコムズは分かります。

ペドロがゾウで死んでいるので、ビッグマム海賊団と敵対せず無事だったのでしょう。(その分、どうやって麦わら海賊団が、ビッグマムの追撃を振り切ったのかは不明ですが、まぁ何とかしたのでしょう)それに義理堅い男ですし、仲間想いだし、友情に厚いし、同族への帰属意識も強いので、きっとビッグマム海賊団としての建前を、ミンク族としての使命が上回ったのだと思われます。

 

「ペコムズ。お前の所の海賊団と百獣海賊団(うち)とは、確か同盟が成立したはず。幹部のお前が、百獣海賊団の大看板に喧嘩を売るってのは…少しばかりマズイんじゃないか?それに実力差を考えたほうがいい。お前の所の海賊団で例えるなら、三将星に喧嘩を売るようなものだ」

 

「うるせぇ!!!!あの日…任務のついでに、モコモ公国に偶然立ち寄った時の、おれの悲しみ!怒り!貴様に分かるか!!!家族の、ダチの、同胞の…、そしてペドロの兄貴の…、あ、あんな無惨な死体を……見つけてしまった絶望が!!!」

 

「そうカリカリするなよ。ただの任務だったんだ。仕事(ビジネス)さ。お前だってビッグマム海賊団の幹部にまで上り詰めた男……分かるだろう?同族だ故郷だといって、仕事の手を抜く事は有り得ないのさ。特に、幹部なんて肩書を持ってりゃな」

 

「…!!!任務!?仕事!!?そ、そんな言葉で…そんな言葉で、片付けようっていうの!?仲間のミンクを皆殺しにした事を…!死ぬ間際の仲間を…その死を侮辱するかのような、あんな仕打ちまで、あんたの部下にさせておいて!!!」

 

今度はキャロットが怒り心頭ですね。

その怒りは分かるんですが、なぜにあの状況下から生き残ったのか。それがわからない。

 

「…あぁ思い出したぜ。お前は、あの時、犬と一緒に襲ってきた雌兎か。…だが、どうやって生き延びた?()()()()()()()()よう、部下達には言いつけてあったはずだがな。部下の誰かを誑かして、まんまと逃してもらったか?」

 

「…き、貴様…!!」

 

「てめェには血も涙もないのか!バヴァ!!こいつはな…キャロットはな…!ワンダに、命を助けられていたんだ!!瀕死の傷を負ったワンダとキャロットだが…まだ辛うじて意識のあったワンダが、気を失ったキャロットを…最後の力で隠し…そ、そして…てめェの部下共の凌辱も、敢えて目立つように振る舞って、全部一身に引き受けて!!!妹分を守ったんだ!!!それをてめェは、何も感じねぇのか!!!!お前だってミンク族だろうに!!!!」

 

なるほど~。

ワンダが身を挺して、キャロットが助かったんですね。

まったく余計なことをしてくれました。

始末し損なった奴が復讐鬼になって襲ってくるなんて、原作でもジャックが言ってた通りです。これじゃ後でジャックにからかわれちゃ~う。

でも、ジャックも同じ責任者の立場であの場にいましたし、これはジャックにも責任があるのでは?そういうことにしておきましょう。ジャックのせいです。まったくズッコケジャックなんだから。

 

「おれがミンク族…?ハッ、ハハハハハハハ!!そうだったかもしれねェが…先におれを捨てた貴様らに言われてもな。それに、おれはサイヤ人でもあるんでな。あいにく、ミンク共にかける情愛は持ち合わせちゃいない」

 

「こ、こいつ…!やはり、伝承のサイヤ人は…悪魔だ!ガオ!!!てめェは存在しちゃいけねェ!死んでいった同胞の為にも、ここで貴様を…殺す!!!」

 

「ワンダの…皆の仇!!!あんただけは絶対許さない!!!!」

 

「フッ…。バオファン!今のやり取り、撮っていたな?」

 

『もっちろんですよ~~~、バッチシ撮影済みです!』

 

「なら、ペコムズを始末する大義名分はこちらにある。この一件…同盟をこちらに、より有利にする交渉材料になるかもな。ククククク」

 

悪巧みが出来る知能もしっかり育っていますね、バヴァ君。

というわけでバヴァ君は連戦に突入です。

がんがんフル稼働している百獣海賊団ですが、我らの首領カイドウさんは未だに酒飲んで、各所の戦闘を野次を飛ばしつつ観戦中。

アプーは既にドレークに勝利していて、フリーで動き回って味方の援護に回ってます。

ドレークとキラーは…寧ろよくあれだけ耐えましたよ。アプーとナンバーズと大量の戦闘員を相手してましたから。

 

「アッパッパッパ~~~!さぁいくぜナンバーズ!おれとお前らの最強ライブで、お次の戦場を盛り上げてやろうじゃねェか!」

 

そして、そこから麦わら同盟は一気に崩れて行っている状況です。

まずアプー達が、ブラックマリアのとこに行き、もともと拮抗した戦いをしていた所に強力な増援が来て、決着はすぐに付きました。

ドレークとキラーは普通に死にましたが、ニコ・ロビンは生け捕りのようです。古代文字を読む要員は、すでに光月スキヤキがいるので、ロビンは予備兼ブラックマリアの玩具にされるでしょう。

 

「ふふふ。悪魔みたいになった時は、さすがにちょっと焦っちゃったけど…もう、あなたの抵抗も全部おしまい。この〝戦争〟のケリをつけた後で…たぁっぷり可愛がってあげるわ。あなたがどんな声で鳴くのか楽しみ♪」

 

そして、手が空いたアプーとブラックマリアが、また別の味方の援護に…という最高の循環が起きてます。麦わら海賊団にとっては最低の悪循環が発生してます。

おっ。

増援が来て、とうとうフランキーが敗北しました。

 

「はっ!おれと装甲部隊には、やっぱり誰も敵わねェのさ!」

 

「私が来たから有利になったんでしょ?」

 

「うるせェ!わかってるよ!今ぐらい良い気分でいさせろよ!」

 

フランキーはバラバラに解体されてます。この後、クイーン研究所に送られるんだそうで。

あっ。

今、うるティ&ぺーたんも勝ちました。

 

「この!ほんっっっっとうざい戦い方する奴でありんす!!こそこそ逃げ回って、遠くから変な植物生やしまくって!」

 

「おい、やめろって姉貴!その長鼻はちょうど人質に使えそうな、いい具合の弱さだったんだぞ!?やるんなら、あの骨人間にしとけって!―――…!アプー!いいとこに来た!そのトナカイは確保しとけ!姉貴に殺させるな!」

 

ウソップの戦い方に苛ついていたのか、倒れるウソップの頭に何度もヘッドバットを打ち込んでて必死にぺーたんが止めています。うるティさん、オーバーキルですよ。

アプーが慌てて人質を確保しています。いい仕事です、ぺーたんとアプー。

この動画をここまで見ている視聴者の皆様は大丈夫でしょうが、ここからは原作主人公勢ファンには辛い描写が多くなります。ご注意ください。え?今更?そうですね。

 

ビッグマムも、既に多数の援軍を襲いかからせていて、もはや余裕綽々に大笑いしてる状況で、ローもキッドも虫の息。

ゾロとサンジもそろそろやばそうですね。

ですが、一人崩せていない牙城がルフィ!さすがは原作主人公!

ジャックはとんでもないタフネスで食いついてますが、ジリ貧状態に陥ってます。

他の百獣海賊団が快勝してるのに、一人負けとかは、ジャックの親友バヴァを操作してる身としては大変可哀想なので、さっさと援護に行ってあげたい所なのですが…。

 

「バヴァ!火薬は全部氷漬けにしたよ。思いっきり暴れていいよ!」

 

「ああ、助かるぜ。……さて、という事で始めるとするか?」

 

どうやらヤマトは、バヴァと復讐鬼2人(リベンジャーズ)との対決を見守るようです。たぶん彼我のレベルの差を感じ取り、バヴァ一人で余裕と判断したようです。それに、カイドウが大事にしている鬼ヶ島の火薬庫を管理するつもりもあるのでしょう。ツンデレ娘ですね。

今宵は金色神楽。満月なので、ペコムズとキャロットの2人はスーロンという奥の手がありますが、ここは外の見えない奥まった火薬庫。しかも、カイドウは龍になって大暴れとかせず、楽しそうに酒のんで観戦してる酔っぱらいオヤジと化しているので鬼ヶ島ドームが崩壊してません。

それに、別にミンク族2人も満月は求めていないようですね。

まぁ2人がスーロン化したら、そのままバヴァ君もスーロン化するだけなので当然っちゃ当然です。

しかもペコムズは、スーロン化したら理性を失って敵味方の区別が無くなるので、下手したらキャロットと同士討ちになる可能性もあります。

 

「まずどちらから死ぬ?それとも2人揃って死ぬか?」

 

「舐めるなよ!!ガオ!!!!」

 

「エレ(クロ)!!!」

 

ニヤッと笑うバヴァに、問答無用で襲いかかってきました。

それでもバヴァ君の不敵かついやらしい、色気たっぷりの笑顔は崩れません。

 

「クククク、どうした?そんなものか?」

 

エレクトロを纏った拳のラッシュを、バヴァはニタニタ笑いながら捌いています。

まぁ捌いているのは私なんですがね。

タイミングよく、QTE!QTE!ジャストガード!回避!

バヴァ君と、リベンジャーズとの力量差もあって、かなりタイミング判定は甘いです。余裕です。

 

「く…!?ぬぅぅ!!ガオ!ガオガオガオ!!ガオオォォォォ!!!」

 

「うりゃりゃりゃりゃ!!!!」

 

片手だけで捌き切るその様は、まるで旧ブロリー映画1作目のようですね。圧倒的です。

 

「…ククク、やるじゃないか。少しかすったぜ。今のは危なかったかもな。そら、お返しだ」

 

「あぐっ!?」

 

敢えてギリギリ回避してからの、ジャストカウンター。決まりましたね。

腹パンされたキャロットが、一撃で顔色を変えました。

本気のカウンターなら、さっきのCP0よろしく貫通ものですから、大分優しくしてあげてます。これぞレディーファースト精神。

 

「こいつは悪かった。少し強くし過ぎたかな?ハハハハハハハ」

 

「ガオオオオオ!!!」

 

キャロットを庇うようにしてペコムズが攻撃してきますが、回避からのカウンターを炸裂させます。

…おっと?

 

「おれは、カメカメの実の能力者だ!そして甲羅はダイヤモンドの硬度を誇る!!」

 

そこに武装硬化を併せて防御力を底上げしてますね。

生意気なカメです。いや、ライオンです。

 

「そうかい。なら、ダイヤモンド以上のパワーで砕いてやるぜ!!!」

 

華麗に決まると思っていたカウンターを無効化されて、ちょっとカチンときちゃいましたよ。カチカチな甲羅だけに。(激ウマギャグ)

ドラゴンボール恒例、ダブルスレッジハンマーで自慢の甲羅をぶっ叩くと、床を割って鬼ヶ島の岩盤にぶっ飛んでいきました。

 

「ぐわーーーー!!!?」

 

「…確かに、思ったより硬ェな」

 

ぶっ飛ぶ瞬間、甲羅にヒビが入ったのは確認できましたが…かなり力を込めましたが、まだぶち抜けませんでしたね。

でも次で甲羅は突破できそうです。

 

「がんばれーバヴァー!」

 

「おう!」

 

あっ、ヤマト坊っちゃんめ、呑気に観戦してやがります。

親子揃って観戦モードとか、やっぱ親子か…血の因果か…。カイドウさんは、目をかけている部下に限りますが「おれの自慢の部下が負けるわけねェ」という超身内贔屓な思考があります。ヤマト坊っちゃんもあるようですね。一時停止して、ヤマトにカーソルを合わせると、吹き出しでもやもやもやぁ~んと「ぼくのバヴァが、あの程度で負けるわけないしね」と心の声が覗けます。

 

「どこまでも…私を、私達ミンク族を…!!舐めれば気が済むのよっ!!!」

 

ヤマトの声援に、片手をあげて気軽に応じる様子が、キャロット達には心底気に食わなかったようです。

実力差を痛感してしまったであろうキャロットが、とんでもない涙目の憎悪の形相で突っ込んできました。まず原作では見れない表情ですね。刺さる人には堪らない表情ではないでしょうか。

 

「おっと」

 

「っ!!!!」

 

キャロットの、ありったけの速度と覇気とエレクトロを込めた渾身の一撃は、やはりバヴァに片手で受け止められてしまいました。

 

「クックックッ…まさか今のが全力とは言わないよなァ?」

 

「そ………ん、な……ここまで…力の差があるなんて……!」

 

「ふん…おれと貴様とのレベル差も感じ取れないとはな。まだ若いぜ…このまま握り潰して―――ん?」

 

「ガオ!!!!」

 

鬼ヶ島の基礎岩盤に激突していたペコムズが、颯爽と復活して這い上がって来てました。と同時に、爪でバヴァに切り掛かってきます。

掴んでいるキャロットの拳を捩じ上げ、そのまま引っ張りキャロットごとペコムズを殴ってやりましょう。キャロット棍棒です。

 

「な、なにィ!?キャロットごと!!」

 

「きゃあああああ!!?」

 

はい。防御と攻撃がいっぺんにできました。

迫ってきていたペコムズの爪はキャロットに命中し、しかもペコムズにはそのままキャロットの体がぶち当たりました。

2人がもつれ合いながら、床に強かに体を打ちつけて転がります。

グミ撃ちチャンス到来です。

連打連打!気弾、連打連打連打!

あー、気弾弾幕の連続エネルギー弾は、ドラゴンボール好きには気が狂うほど気持ちええんじゃ。

まぁ大抵は、使った側が不利になったり、効いてなくて絶望したりするフラグなのですが。

 

「……う、ぐ……お、おれ、の…甲羅は…ダイヤ、モン、ド……ガォ……」

 

おお。

まさにあのポーズは、悟飯を庇うピッコロの大の字身代わりの構え。

 

「ペコムズ!」

 

キャロットの悲痛な声が響きます。

しかし、ひびの入った甲羅で、バヴァ君の連続エネルギー弾を全弾直撃は無理があったようですね。

 

「ご自慢の甲羅が見る影もなくなっちまったな?ハハハハハハハ!」

 

甲羅が割れ、全身から血を吹き出してペコムズが倒れました。

 

「む…?」

 

その瞬間、スカウターに表示される覇気量の数値が激増します。スカウターが指し示す方向は…キャロット?なんで?

おファ!?純毛が伸びて、目が赤くなって…この特徴はスーロンです。

 

「戦闘力3万!?」

 

というか、スカウターが測定しなくても、バヴァ君自身が肌身をもってジリジリと焼け付くような覇気を感じてます。

…今更ですが、このワンピ世界で戦闘力3万をキャロットが叩き出すという事は、完全にドラゴンボール世界での戦闘力とは一致しませんね。DB基準なら、3万は惑星破壊できますが、キャロットではとても惑星どころか島を消し飛ばす事も不可能です。ここはワンピ世界を尊重した結果でしょう。まぁワンピースのゲームですし、DB要素はあくまでDLCのオマケですからね。

 

「こいつは…、あの兎の頭上に、月光が差し込んでいるのか!」

 

あ、本当だ。いつの間にか、キャロットの周りにだけ月明かりが!

私は天井を破壊しないよう立ち回っていましたし、スーロン化もしていないキャロットやペコムズの火力では、地下の火薬庫から一気に外界に繋がる程の穴を天井にぶち抜くだけの技はありません。

これは、恐らくキングかクイーンかジャックかの誰かが、熱戦烈戦超激戦を演じるあまりにぶち抜いてしまった穴でしょう。

おおファック。私の完璧な立ち回りが、大看板の誰かのズッコケによって台無しです。

 

「バヴァ!貴様だけは!!!月襲(ムーンレイド)!!!!」

 

「く…!お前だけが、スーロンに…!っ!!!」

 

あーもうめちゃくちゃだよ。

せっかくパーフェクト勝利が目前だったのに、これでもうダメだ…おしまいだぁ…。

…。

直撃を貰いました。

気を取り直していきましょう。

 

「…フッ。それでこそ戦闘民族だ。そうでなくちゃあ、面白くない」

 

スーロン化したキャロットは、全体のステータスバフに加えて、跳躍力に更に補正がかかっていて、とんでもねえスピードで動き回ってきます。

しかし、私の、すでにこのゲームにおいては熟練の域に入った華麗なるプレイスキルと、ここまで仕上げたバヴァ君のステータスなら切り抜けられます。スーロンキャロット < ノーマルバヴァ という図式は覆せないのです。わはは。

キャロットがスーロン化に使用したあの穴も、隙があれば積極的に利用してい―――………この雌兎、さらに上階の一部を砕いて、穴を塞ぎやがりました。やってくれましたね。

 

「あんたの動きが、視える!!」

 

「…ちょろちょろと!」

 

「むぅぅ…バヴァ~~!手伝おうか!?」

 

「引っ込んでいろ!」

 

スーロン化にちょっと焦ったのは、何も私だけではなかったようです。

ヤマト坊っちゃんも、いつぞやのように、ちょっとだけデカケツを持ち上げてソワソワし始めています。

しかしバヴァに一喝されて、叱られた子犬のようにしゅん…となってます。かわいい。

バヴァ君は、普段はクールで冷酷で計算高いのですが、…この世界的にも戦闘民族と称されるミンク族の悪いとこだけを濾したような邪悪な血統(サイヤ人)なので、戦闘狂のバトルジャンキーな悪い癖が出てきてしまっています。

こうなると、友好キャラの援護を勝手に断っちゃうんです。

おのれサイヤ人、ヤマト坊っちゃんをしょんぼりさせるとは。

 

「はぁ!!」

 

「ぐっ…!調子に乗るなよ、雌兎が!!」

 

速すぎでしょこの雌兎。超高速からの息をつく暇もない連撃に、ちまちまちまHPが削られていきます。

ぬわああああん疲れたもおおおおん。私の指が腱鞘炎になっちゃぅ~~~~。

しかし、私の指に甚大なダメージを与える代わりに、ようやく慣れてきました。

…。

ここ。

よっしゃ、ようやくカウンター成功です。

 

「っ!う、ぐぅ、ああああああっ!!?」

 

「チッ……」

 

ちょいとばかし本気になったバヴァの攻撃が、カウンターとしてモロにキャロットの腹に直撃したので、さすがのスーロン状態でも一撃で大ダメージです。

しかし、少々無様な戦いっぷりに、バヴァ君は、まるでプレイヤーたる私を責めるかのような舌打ち。ターレス様からの舌打ちだと思えば、ご褒美でしかありません。ありがとうございます。

悶絶しているキャロットの首をがっしと掴み、バヴァ君が瞳を凶悪に弧にしました。

 

「……予想以上にやるもんだ。その若さで、スーロンも完全にものにしている。………どうだ、小娘…おれ達の仲間にならないか?」

 

力を示した事で、呼び方が雌兎から小娘にバージョンアップされました。おめでとうキャロット。

そしてバヴァ君は、脂汗を滝のように流して苦悶するキャロットの首を片手で掴み上げ、じりじりと締め上げながら、なんと仲間になってほしそうにキャロットを見つめています。私だったら二つ返事でターレス様の下僕になる所ですが、どうやらキャロットは違うようです。

キャロットちゃんったら、これまたすんごい形相で睨んできます。でもバヴァ君は気にも留めず、圧倒的上から目線で勧誘を続けます。

 

「ミンク族の本質は戦闘民族だ。満月を見て、おれ達が凶暴になるのは、真の姿が呼び覚ませられるだけだ。つまりは、今のお前の凶暴性こそが、ミンクの本来あるべき姿なのだ…!想像してみろ!その血の囁きのままに、獲物を狩り、肉を貪り、敵を破壊する様を!心が満たされるだろう?ミンク族は…本来、皆サイヤ人であるべきなのだ。小娘…貴様の奥底にも災邪(サイヤ)の血が流れている。どう取り繕おうと、所詮、おれ達の本質は破壊と闘争を求めるサイヤ人だ!」

 

「…」

 

「おれ達が、戦闘民族としての誇りを取り戻せる場所こそが百獣海賊団さ。おやじの…カイドウさんの求める理想こそが、戦闘民族にとっての理想郷だ。…海を気ままに流離って、好きな島をぶっ壊し、美味いモノを食い美味い酒に酔う!こんな楽しい生活はないぜ」

 

「ぺっ」

 

バヴァ君の、名言混じりのなかなかに熱の入った勧誘文句へのキャロットからの回答は、沈黙&唾吐きでした。

 

「……おいおい、そう邪険にするなよ……おれ達は生き残ったミンク族の僅かな仲間…。仲良くしようやッ…!!!」

 

「あぐッ、ぐっ、ぐ、がッ、あ゛……!!っ…!わ、私達、は…確かに、戦闘民族よ……ハァ…ハァ……がふッ…!…でも…それは、あんたが語る、ような…も、もの、じゃない!…………ゴホッ!…ぐ、ぁ…っ…あんたなんかと…一緒、に…しな、い、で………ハァ…ハァ…!」

 

「だが、貴様にも戦闘民族の誇りはあるだろう。認めろよ、小娘…その若さでスーロンを使いこなす貴様もまた、サイヤ人さ。そして……サイヤ人には、サイヤ人に相応しい生き方をしろ!」

 

「あんたと、同じサイヤ人に…なるなんて…死んでも、ごめんよ…!!ミンクには、ミンクに相応しい…生き方、が…ある!あんた、が…私の…生き方を、決める、なっ…!それに…ミン、ク、ぞぐ、が…僅、かに…なっだ、の、は……ゲホッ……あんたの、せい、だっ……!!!ころ゛して、や、る…!」

 

名言&名場面の再現に全私が感涙の嵐です。さすが有料DLC。素晴らしい再現率です。

 

「……………サイヤ人に至れぬミンクのカスめ。所詮、出来損ないの雌兎風情を、連れて行こうとしたおれが、ガラにもなく甘かったのだ!」

 

――ミシッ…ミシミシ…

 

「っっっ!!!あ゛……あ、ぁ、ッッ」

 

締め上げてから、そのまま勢いよく真上にぶん投げ、バヴァ君の「死ねェーーー!!」という威勢のよい掛け声とともに、撃たれた気功波にキャロットは飲み込まれていきました。

見目麗しい人気キャラが、このような最期を遂げて大変心が痛みますが、ここは弱肉強食の百獣海賊団のテリトリー。

キャロット死亡確認!

 

「ふん……無様なもんだ。……だが、このおれは違う!おやじの下で、何時かは真の〝最強〟となってみせる!」

 

パラパラと降ってくる、元キャロットだった塵を払いながら、とびっきりの最強を目指す宣言が飛び出ました。

実にシンプルで、戦闘民族らしい人生目標で、まさに生え抜きの百獣海賊団に相応しい言葉です。

 

「ねぇバヴァ」

 

むむ。ヤマト坊っちゃんの言葉…抑揚に妙な圧を感じますね。

しかも、このヤマト坊っちゃんのジト目…嫌な予感しかしない。

 

「さっき…その兎の事…すごく熱心に誘っていたけど」

 

「…?あぁ。一応同族だったし、意外と強かったからな。それに若い。将来、見込みがありそうだったのさ」

 

「へぇ……ああいう雌兎が趣味だったってことかい?」

 

「なに?」

 

「熱心に口説いていたよね。…ぼく以外の女を」

 

「………いや、ヤマト…お前、さっきの口説き文句は…見てて分かるだろう?女として口説いていたんじゃなくてだな…つまり、使える同胞だと思ったからで――」

 

「そうだよね。あんな可愛くて、強くて、おまけに同じミンク族だものね。確かに、君の奥さんとして使えるかもね!だいたいさ、ぼくが助太刀に入ろうとしても〝引っ込んでろ〟って大きな声で怒ってくるし!よっぽど、あの兎と二人きりで遊びたかったんだ」

 

「お、おいおい。将来有望な、強ェ奴を勧誘するのは、もともとおやじの方針でもあるんだぜ!?」

 

ほっぺをむーーっとしてヤマト坊っちゃんが怒っています。

やだ何この可愛い生き物。

しっかし、こうして見ると改めてヤマト坊っちゃんの倫理観は、だいぶ原作ブレイクを起こしていて、順調にカイドウの実子に相応しい精神性に変質していますね。

ある意味で、とんでもない尊厳破壊をしているんですが、これもこのゲームの無限の可能性と自由度を物語っている要素と言えます。

まぁそれは置いておいて、あのヤマト坊っちゃんが、坊っちゃん要素を忘れて女要素全開で嫉妬しているのは、大変ムホホ♡な限りです。

そして、ターレストレースがほぼ完璧に育成されたバヴァ君が、そんなヤマトにちょっとあたふたと宥める様は、こちらも大変に眼福でございます。よきかな…。

結局、「おれが愛する女で、妻にしたい奴は生涯お前一人」と、至極真面目な顔で宣言する事で、ヤマトは機嫌を直しました。

 

大変良いものが見れましたが、余りゆっくりしてる場合でもないのは皆様ご存知の通り。

さすがの超タフネスのジャックと言えど、ルフィの相手をがっつりするのは大変でしょう。

時間的にも、そろそろヤバい筈です。

なので援護に行きましょう。

いよいよ、我らが主人公バヴァ君が、原作主人公ルフィと出会います。イクゾー! デッデッデデデデ!(カーン)デデデデ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……やるじゃねェか…麦わら…!!だが、まだだ………ゼェ……ゼェ……まだ、終わらねェ!てめェなんぞは、おれの相手が関の山……ゼェ………ゼェ………カイドウさんの、前に…立つことすら…許されねェ」

 

「おれは、さっさとカイドウをぶっ飛ばさなくちゃいけねェんだ!早くそこをどけよ!!」

 

立ち塞がり続ける巨漢の男に、ルフィは明確な焦りを抱いていた。

優勢に戦いを続けていたものの、ルフィはすでに仲間達の気配が酷く脆弱になっていくのを感じ取っていたからだ。

カイドウを倒せば、百獣海賊団の士気は激減するだろうし、カイドウを倒した勢いのままに、ルフィは仲間を襲っている百獣海賊団幹部勢を相手取れる。

そう考えていたが、未だにルフィは大看板のジャックを倒しきれず、焦りだけが募っていく。

 

「よォ、ジャック。大分苦戦してるみてェだな。手伝ってやろうか?」

 

さらに最悪な事に、そんな場面で〝ジャック側の増援〟が来てしまった。

そいつは、一見してルフィと同程度の身長でしかなく、大柄巨漢巨人に溢れる猛者達の中ではかなり小柄と言えた。

だが、ルフィ自身がそうであるように、小柄ながらも濃紺のボディアーマーの下の浅黒い肌と引き締まった筋肉は、明らかに強靭な戦士のものだった。

 

「…あいつ、今、飛んでたのか?どんな能力者だ…?」

 

ふわりと、宙から着地したそいつを見てルフィも首を傾げた。

能力も考慮すべき問題ではあるが、ルフィにとって最も大きな問題は、眼前のジャックに手間取っている最中に、同程度に強そうにみえる者が更に2人…増えた事が由々しき事態だった。

 

「バヴァ!ヤマト坊っちゃん!ハァ…ハァ……麦わら……!これでてめェもおしまいだ…!大看板がここに3人揃ったという事実!これは、単純にてめェが、一人で大幹部3人を相手取るという以上に…てめェにとっては不都合な事実を意味する!…分かるな!?」

 

「…!」

 

ジャックの指摘に、ルフィの食いしばった歯に籠もる力が上がる。歯が、ギシリ、と鳴った。

 

「そうさ!てめェの仲間は敗れつつある!!だからここに大看板が集ったんだ!!もはやてめェらはおしまいだ、麦わら海賊団!!」

 

満身創痍だったジャックに、再び覇気が漲ってくる。

幼馴染の頼れる同志が駆けつけてくれたという安心感と、そして ――信じ切っていたものの―― 味方が圧倒的優勢である事を確信できた事。それらがジャックを〝再起動〟させるのだ。

そして、そんなジャックの左右には、腕を組むバヴァと金棒を担ぐ長身の美女・ヤマト。

彼らは、一対一の戦いを好む傾向にあるが、それも時と場合によった。尊敬する主君、敬愛する親に、強敵を近づかせぬ為というならば、ジャックもバヴァも、そしてヤマトも徒党を組んで一人を嬲り殺すのもやぶさかでないのだ。彼らは海賊であり、その中でも飛び切り凶悪で凶暴な、生粋の百獣海賊団なのだから。

ルフィの頬を冷や汗が伝った。

 

「そうか。てめェが〝麦わら〟のルフィか。…こうまでジャックを追い込むとは、なかなかやるが……兄弟揃って、上には上がいると理解しきれねぇ、バカな奴ってとこは…なるほどそっくりだな」

 

バヴァが嘲笑うように言えば、ルフィは怪訝そうな顔となった。

 

「兄弟…?お前、エースとサボを知ってるのか?」

 

「直接顔を合わせたのは、〝火拳〟のエースだけだ。威勢がいいだけの、よく吠える雑魚だったが…マリンフォードで処刑されるという惨めな最期も納得だな」

 

「…てめェ…!」

 

「クククク…何か間違った事を言ったか?全て真実だろう」

 

「エースは強ェ!おれは一度も喧嘩で勝ったことなんか無かった!!あの時だって、おれを守ってエースは死んだんだ!」

 

「麦わら。てめェのその胸の傷…聞いたぜ?赤犬にやられたんだってな。…やはり兄弟だな。エースの野郎も、胸に傷があったろ。…あの傷はおれが刻んでやったんだ」

 

「あの傷は、お前が!?」

 

「そうさ。典型的な、傲ったロギア野郎だったからな…隙だらけだったぜ。あの一撃で、やつの臓器をいくつか抉ってやったのさ……黒ひげと赤犬はおれに感謝すべきだ。おれが抉ってやったお陰で、奴らはさらに情けなくなったエースを甚振り殺すだけで良かったんだからな!ハッハッハッハッ!」

 

ルフィの脳裏に、フラッシュバックする光景。

あのマリンフォード頂上戦争で、エースは度々胸を押さえて古傷の傷みに苦しんでいた。

大丈夫か、と問うたびに「大したことはねェよ」と笑って返してきた兄だったが、明らかにエースは怪我の後遺症で弱っていた。弟の目からはそう見えた。

 

「…お前が、エースを!」

 

「そんなに兄貴が好きか?なら、兄貴と同じ傷を負わせて殺してやるぞ、〝麦わら〟」

 

怒りの炎が、ルフィの瞳に燃え上がった。

 

「どっちにしろ、お前らをぶっ飛ばさなくちゃ仲間を助けられねェ!…だったら、やっぱりぶっ飛ばすだけだ!!」

 

闘志を漲らせ突っ込んでくるルフィに、今度はジャックが吠える。

 

「そう簡単にぶっ飛ばせると思うなよ…!!おれは〝旱害〟!バヴァは〝蝗害〟!ヤマト坊っちゃんは〝氷災〟!クイーンの兄御の〝疫災〟!そしてキングの兄御の〝火災〟!!おれたちはカイドウさんを守る五つの災害!!倒せねェから、大看板よ!!!」

 

3人の災害と、ギア4へと姿を変えたルフィが、仕切り直して再激突する。

ジャックが真正面からルフィの攻撃を受けきり、そして速度を活かしてヤマトが撹乱しつつ冷気でルフィの速度を妨害。そしてバヴァの火力で苛烈に攻め立てる。

この3人は、3人共が同い年であり、古くからの馴染み。その連携練度は凄まじい。

即座にお互いのやるべきことを理解し、そして補える。

ルフィは、確かに四皇の域に達している強さを備えていたが、それでも3人の大幹部を同時に相手取るにはまだまだ若く、経験値が不足していた。

激闘が続いた。

 

「おおおおお!!!」

 

ジャックの剛腕が唸り、ルフィの横っ面を殴りぬけば、その先にはバヴァが〝気〟を充填して待ち構えて、

 

「くらえ!!!」

 

両手から巨大な気弾を放つ。

 

「うわっ!?こいつ、何の能力だ!?さっきから飛ぶし、手からビームみたいの出すし!」

 

「鳴鏑!!」

 

バヴァの攻撃に併せて、ヤマトの攻撃まで飛んでくる。

 

「っ!!ってェ~~~~!!いちちちち…!クソ…攻める隙がねェ…!時間切れになっちまう!」

 

「時間切れより、てめェの命に残された時間でも心配しな!麦わらァ!!!」

 

「マンモス男!!!ぐ、う…!!ハァ…!ハァ…!くそ…!さっさと倒れろ、マンモス!!ゴムゴムの…覇猿王銃(オーバーコングガン)!!」

 

「ぐわあああああああ!!!!」

 

今までルフィと単独で戦い続け、消耗しているジャックがとうとう致命打を受ける。

しかし、ジャックを狙った大ぶりの一撃は、ルフィに大きな隙を生んでいた。

ジャックと同格であり、数々の戦闘をこなしてきたバヴァが、それを見逃すわけもない。

 

「…でかしたぞ、ジャック!ヤマト、併せろ!!」

 

「うん!!」

 

その隙が生じたのは、偏にジャックの圧倒的タフネスに、ルフィが痺れを切らしたからだ。

ジャックごと攻撃する。そういう意志の下、一切の躊躇なく構えた2人に、ルフィの表情が歪んだ。

 

「お前ら、仲間なんじゃねぇのか!?ハァ…ハァ…!仲間ごと!!?」

 

「おれ達とお前達とじゃ、仲間への信頼の仕方が違うってだけの話だ…!!さァ、麦わらァ…ジャックとてめェと、どっちが丈夫かな…?」

 

「い…!!!?」

 

カイドウを守る災害として、絶対にカイドウに近づけてなるものかという矜持がある。そして、意識を刈り取られたジャックもまた、その矜持を示して〝自分ごと攻撃する〟のを望むと、バヴァもヤマトも確信していた。彼らは、生粋の百獣海賊団であり、幼少の頃からの親友だった。ルフィに理解できぬ価値観と信念で結ばれた、幼馴染なのだった。

 

「カラミティブラスター!!」

 

「神足白蛇駆!!」

 

バヴァとヤマトの、波長を合わせつつの渾身の一撃。

巨大な気弾と、ヤマトの神足白蛇駆が纏う覇気が絡み合い、混じり合い、バヴァのカラミティブラスターのエネルギーを巻き取ったヤマトの金棒が、ルフィに炸裂すると同時に爆炎を起こした。ルフィが放つ何らかの雄叫びも掻き消し、そのまま地面へと全てのインパクトを叩きつけた。

もうもうと辺りを包む煙塵の中、霞む視界の向こう側に薄っすらと滲む人影。

 

「…がふっ」

 

そこには、インパクトの衝撃に巻き込まれ、さらに大ダメージを受けたジャックと、白目を剥いて血を垂らすルフィがいた。

バヴァとヤマトの2人は、しばし構えたままに2人に拳を向け続けていたが、ジャックとルフィがいつまでも動かぬのを見て、ようやくバヴァが歩み寄る。

 

「…」

 

黙ったまま、ジャックの腕に触れ、ついでルフィの首を掴んだ。

 

「2人共、生きている」

 

バヴァの呟きに、ヤマトはどこかホッとした顔をして息を吐いた。

 

「…フッ。ジャック…大した野郎だぜ。おやじも、麦わらの首を獲ったのはお前だって、認めるだろうぜ」

 

ジャックに向けて、どこか優しげに微笑んだ直後、バヴァは獰猛で酷薄な笑みを浮かべると、ルフィの首を掴んでいた掌への力を徐々に込め始める。

 

――ミシ、ミシ

 

「が……っ」

 

意識を刈られたまま、ルフィは苦しみ呻きだしたが、ゴムの性質を持つ首はなかなかへし折れない。

 

「さすがはゴム人間だな。…だが、ゴムだって千切れ、潰れる。くくくくく…このまま首を握り潰してやる」

 

「やれやれ、相変わらずちょっと趣味が悪いよ、バヴァ。苦しめないで、さっさと殺してあげないと可哀想だって!」

 

バヴァの残虐行為に、非難の色を混ぜて叱責するヤマトだが、それがそこまで本気の類ではない事は一目瞭然だった。

すっかりとバヴァという男に価値観と倫理観を染め上げられていた。

彼女が生まれ持った心優しさと善良さは、今では身内にだけ向けられる。

 

「エネルギー弾を撃つと、後ろでぶっ倒れているジャックも傷つくかもしれん。…それに、思ったより弾力がありやがる」

 

「ふーん。だったら、ぼくが凍らせるから、その後で砕くか、その辺の刃物で刺せば―――うん?」

 

その時、2人の耳に音色が聞こえた気がした。

それは独特なリズムだった。

 

「…聞こえたか、ヤマト」

 

「バヴァも聞こえたなら、ぼくの空耳ってわけじゃないみたいだね」

 

今宵は金色神楽で、そして花の都では火祭りが開かれている、そんな夜だ。

ワノ国で生まれた楽器、和太鼓による力強くも原始的なリズムが、風に乗って鬼ヶ島の空にも響いている。

しかし、それにしてはやけにはっきりと聞こえ過ぎていた。

それに、このリズムはワノ国の音楽では馴染みがない。

勿論、百獣海賊団の宴会でも流れる事の無いリズム。

 

 

――ドンドットット、ドンドットット

 

 

「…!麦わらの、体内から…?鼓動か!?こ、これは…戦闘力が、どんどん上がっていく!?」

 

Pipipipipi、という電子音をたてながら、バヴァの赤いスカウターが異常数値を示す。その数値はどんどんと上がり、加速度的に上昇。ついには、尊崇する養父カイドウの領域にまで到達しようとしていた。

 

「これは…不思議なリズムだ…。何だか、心が軽やかになって、ウキウキするような…」

 

嬉しそうにするヤマトとは対照的に、一瞬、バヴァの野生の勘とでもいうものが不吉なものを感じ取る。

連戦につぐ連戦と、そして今しがたのルフィのギア4との戦いで、さすがのバヴァも消耗を感じ始めていたが、掌に込めるパワーをマックスにまで上げて一気にルフィにとどめを刺さんとした。

 

「…っ、がっ!あ゛ッ、が、あ、あああッ……あ、ひゃ……アヒャヒャ…!」

 

「こ、こいつ…笑いやがった!―――…っ!!!?」

 

完全に意識を失っていたはずのルフィが、にかっと笑い、その瞬間、バヴァのスカウターが限界を超えて破裂した。

 

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