人を〇すと処刑されるデスゲームから、謎の超生物を暗殺する学園コメディに転生した件   作:暦月

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 ストーリーの都合上、原作の流れが前後します。
 修学旅行前に消化したいイベントが幾つかあるので。
 
 また、全ての感想に返信はしませんが、コメントは見させてもらってます。




来襲の時間

 

 

 5月△日。この日最後の授業はビッチ先生の英語(ALT)。前に皆の前で予告した通り、彼女の授業はテストに出る問題よりも実践的かつ応用的だ。

 

 

「いい? 難しく捉える必要なんてないの。日常会話なんてどこの国でも適当よ」

 

 

 日本人の英語教育が先進国の中で遅れているのは有名な話。その国の国民性を揶揄するエスニックジョークでもその事が取り上げられており、それだけ日本人にとって英語は馴染みのない言語(もの)となっている。

 ビッチ先生は先ずその苦手意識を無くす事から始めていき、単語と文法に重点を置いている日本の教育とは全く異なるアプローチで授業を展開していった。

 

 

「例えばそうね……“マジ凄え”や“マジやべえ”だけで会話を成立させる奴、周りに一人はいるでしょう? その“マジで”に当たるのが英語で言うreallyよ。木村、言ってみなさい」

 

「えっ…と、リアリー」

 

「はいダメ―! L(エル)R(アール)がゴッチャになってるわ。最低でもこの2つの発音の区別は付けられるようになっておきなさい」

 

 

 最初の頃に比べ態度が軟化してからは生徒の覚えもよく、教え方も丁寧で分かりやすい。

 これで殺せんせーの授業も受けられるのだから、英語に関しては少なくとも本校舎より環境が良いのは間違いないだろう。

 

「これから先発音は常にチェックしていくわね。もしLとRを間違えたら……公開ディープキスの刑よ」

 

 ただし、外部の人には絶対に見せられない光景だけど。

 

 

 

 

 

「しっかし卑猥だよなビッチ先生の授業。下ネタ多いし」

 

 そう思っているのは僕だけじゃなかったみたいで、下校中に杉野が正直な感想をぼやいてた。

 

 

「でも分かりやすいよ。潜入暗殺が専門だから話術が上手いし、間に挟む経験談も聞いてて飽きないしさ」

 

「それはまあ確かに。でも正解してもどっちみち公開ディープキスするのは最早痴女だろ」

 

「空も授業中のビッチ先生は咎めないしな。お陰で伸び伸びやってるよあの人」

 

 

 あはは。もうすっかりお目付け役みたいになってる。

 一度セクハラを仕掛けて反撃を食らってからは大人しくしてたけど、その後授業中かつ空さんに絡まないなら問題ないと気付き、以降はずっと今のスタイルで教鞭を執っていた。

 

 

「でも最近は矢田と倉橋…あと意外だけど歌舞谷もビッチ先生と一緒にいるよな。あれって何してるんだ?」

 

「何でも接待術を仕込まれてるらしいよ。暗殺も勿論だけど、社会に出たとき役立つからって」

 

「ほほー、流石は元ホステス。生真面目そうな見た目とは裏腹に余念がない」

 

 

 そうなんだよね。空さんが諫める側だから、てっきり歌舞谷さんも同じかと思ったらむしろ乗っかってきたのは意外だった。

 

 最初は矢田さんと倉橋さんも距離感を図りかねていたのに、今では元A組の先入観も取り払って普通に友達してるのだから驚きだ。

 空さんの方は……歌舞谷さん経由で話す場面も見かけるけど、それより圧倒的に働いてる時間の方が長い。僕らが躊躇しているのもあるけど、そもそも彼女がクラスメイトとの交流に意義を見出しているかも謎だ。

 

 と、そんな事を考えていたら前が騒がしくなってきた。どうしたんだろう…?

 

 

「おい何だよ早く前行けよ。山から下りる道ここしかないんだからさ」

「何かあったの?」

「あっ、渚! 聞いて大変なんだよ!」

 

 

 此方に気付いた茅野が興奮した様子で話しかけてきた。大変という割には凄い嬉しそうだけど。

 

 

「いま麓の方にね! 凄い有名人がいたんだよ! 誰だと思う? 誰だと思うっ!?」

 

 

 早口で捲くし立てる茅野に只事ではないのを察した僕らだったが、直後その答えが向こうの方からやって来た。

 

 

「ぇ…おいアレっ、まさか……嘘だろ!?」

「マジ、本物!!」

「どうしてこんな所に」

 

 

 その人物は思っていたより速く…それでいて急いでいるのを感じさせない足取りで近付いてくると、スカートの裾をたくし上げて見惚れるようなカーテシーを披露して見せた。

 

 

 

「お騒がせしてしまい申し訳ありません。妹が此方に在籍していると聞き及んだのですが、今は何処に?」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃職員室では。パソコンを操作する烏間と、机を挟んだ向かいには慣れない教師と暗殺の両立に愚痴を漏らすイリーナ、そして彼女のおっぱいを景色に見立ててお茶を飲む殺せんせー(ターゲット)の3名がいた。

 

 

 

「ヌルフフフ。生徒達に興味を持たせる技術と経験を生かした実践的な授業、実にお見事でした。貴女が私を殺しに来てくれて本当に良かったです」

 

「それがっ、なんのっ、自慢になるのよ! 私は殺し屋よ! 肝心のアンタを殺せないなら意味ないじゃない!」 

 

「焦るな。腰を据えてじっくり機会を窺うためにお前は教師になったんだろうが」

 

 

 

 律儀に着物に着替えてお茶まで立てている標的目掛けてナイフを振るうも、その悉くが虚空を切る。無論、こんなので傷を負わせられるとは双方思ってないだろうが。

 

 

「しかしですねイリーナ先生。それなら何故空さんに殺しのサポートを依頼しないのですか」

「…! それはっ」

 

 その一言でナイフを持つ手が止まり、幾分かの逡巡を挟む。

 

「今の貴女なら彼女の特殊性に気付いてる筈です。一人で()るよりも誰かに協力してもらった方が可能性はあるのにどうしてしないのでしょうか」

 

 

 結局その指摘に答えが出ないまま、逃げるように部屋を立ち去った。

 

 

「…気が立ってますねえ」

 

「誰かさんのせいでな」

 

「おやそれは心外です。彼女を焚き付けたのは烏間先生、貴方()なんですよ」

 

「……」

 

 

 

 

 

Fuck(クソッ)…あのタコ、必ず殺してやるわ」

 

 

 生徒がいなくなった教室で、一人愚痴る。

 でも有言(それ)を実行するにはアイディアが纏まらないと。現状、私に打てる手で奴に通じそうなのはそう多くない。どころかほぼ0と言って良い。

 

 独自に身に着けた暗殺術も、ターゲットを仕留めるにはまだ練度不足。意識外からの致命傷でないと逃げ切られるため、相手が人間はともかく奴には通じないだろう。

 

 

 

――“最近訓練を始めたばかりの自慢の生徒です。凄いでしょう? 少なくとも罠に掛かったフリをして簡単に炙り出せるプロよりもずっと厄介です”

 

“プロとしての常識に捕らわれ過ぎだ。生徒達の方がよほど柔軟で手強い暗殺をする。それこそ空さんみたくな”

 

“タネが割れた暗殺者なら素人の私でもどうにかなります”――

 

 

 

(生徒(ガキ)達からの信頼は(恐らく)得た。暗殺する環境も整った。なのにターゲットからは軽くあしらわれる始末。私がこの仕事をやり遂げる上で一番必要なものを、空は持ってるのに…)

 

 

 これが才能の差というやつか。暗殺に触れたばかりの生徒には技術で上を行かれ、不器用な同僚に気を遣われる。皆、私が暗殺できるとは思っていないのだろう。

 

 

(こんな所で足止めを食うわけにはいかない。殺し屋の業界で名を馳せるのはこれからなの、に――ッ!)

 

 

 ふいに誰かに腕を掴まれ、後ろへと引っ張られた。

 

 幾ら自分が正面切っての近接戦闘が苦手とはいえ、流石に素人相手に不意を突かれるほど弱くはない。

 しかし振り返った先にいたのは、素人は素人でも普通の気質(カタギ)ではない相手。今まさに思い浮かべていた女子生徒が自分の手を掴んでいた。

 

 

「危ないですよイリーナ先生。そこ(・・)、トラップが仕掛けられてます」

「え…?」

「巫山戯た真似をしてくれますね。朝からコソコソ嗅ぎ回ってるかと思えば、勝手に仕掛けなんて作られて私が黙っているとでも思いましたか」

 

 

 よろけた拍子に収まった空の腕から顔を出し、先程立っていた場所を見る。

 そして……あった。丁度真上にワイヤーが設置されており、あのままあそこに居たら身体を宙吊りにされていただろう。一体誰が……

 

 

「烏間先生から暗殺者が今日入るとの報告は受けてません。しかもターゲットがイリーナ先生ということは私的な用事でしょうか。どちらにせよ修繕費は徴収しますからね」

「…それは済まなかった。馬鹿弟子との軽い挨拶のつもりだったんだ。金は色を付けて請求してもらっても構わん」

 

 

……! この、声は――ッ

 

 

「しかし驚いたよ。優秀なメイドがいるとは聞いていたがまさか此処までとは。そしてイリーナ、お前が教師などやっていた事にもな」

師匠(センセイ)…!!」

「子供相手に楽しく授業、生徒達と親し気な帰りの挨拶。まるでコメディアンのコントを見ているかと思えば、こうして守られる姿はどこぞのRPGゲームの攫われ役を連想させてくれる」

 

 

 何故、師匠がここに。腕利きの暗殺者を引退してからは私のような後進の暗殺者を育成している彼がどうして日本に居るのだろうか。

 

 

「何の騒ぎだ。イリーナ、空さんと……誰だ」

 

「お初にお目に掛かる。私はロブロ。イリーナ・イェラビッチをこの国の政府に斡旋した者、と言えばお分かりかな」

 

「…! では貴方が」

 

 

 師匠(せんせい)は後進を育てる傍ら、彼らの仕事を斡旋してもいた。暗殺とは縁の無かった日本政府にとっては貴重な人脈であり、そこから派遣された烏間や、彼に部分的に雇われている空よりも実質的な立場は上である。

 

 

「これは大変失礼を。私は平良空。ここでメイドを務めさせていただいてます」

「畏まらなくていい。日本にこれ程優秀な人材がいたとは私も驚くところだ。そして君が(・・)居ながら暗殺できていないターゲットの強大さにもな」

 

 

ッ~~! まただ。今度はあの師匠(せんせい)までもが空を認め、惜しみない称賛を浴びせている。それがどうしようもなく私の心を不安に掻き立て、事実から目を背けようとする。

 

 

「しかしお陰で答えが出たよ。今日限りで撤収しろイリーナ。この仕事はお前じゃ無理だ」

師匠(せんせい)ッ、それは…!」

 

 

 だけど無慈悲に告げられた解雇処分(クビ通知)がその行為すら赦してくれない。反射的に異を唱えようにも身体に教え込まれた上下関係が邪魔して一睨みで気概を抑圧される。

 

 

「…失礼ですが、随分勝手に決めるんですね。イリーナ先生はロブロさんが推薦したのではないのですか」

「現状を見て考えが変わったのさ。最早こいつはこの仕事に適任ではない」

 

 

 

 正体を隠した潜入暗殺なら確かに比類ない才能だ。しかし一度素性が割れてしまえば一山いくらの殺し屋に成り下がる。そう師匠(せんせい)は私を評した。

 

……実際その通りだから何も言えない。

 

 そもそも女を生かした私の暗殺スタイルに高度な戦闘技術は不要だと、むしろ訓練された動きは暗殺対象を警戒させるため無用の長物になると教わった私は一般人並みの戦闘力しか持たない。だから一番の強みである色仕掛けが通じない相手に私はとことん無力だ。

 

 

 

「ここの仕事は適任者に任せろ。日本政府は今、水面下で2人の特殊な暗殺者を転校生として送り込もうとしている」

 

 

 その者達は数か国の科学技術を結集して人智を超えた能力を持つそうだ。一人はまだ調整に時間がかかっているようだが、もう一人の方はもう間もなく実践に投入されると聞く。

 

 

「分かるか? そうなったら武器を失った暗殺者は不要ということだ。だからこうして惨めな思いをする前に自分から辞退することを勧めているんだ」

「……」

「相性の良し悪しは誰にでもある。さっきお前は発音について教えていたが、この教室こそがお前にとってのL(エル)R(アール)じゃないのかね」

 

「半分正しく、半分は違いますねぇ」

 

 

 旗色が悪くなってきたところで、にゅるっと会話に混ざって来る存在がいた。奴だ。

 何故か顔の半分を〇×の模様で区切っている上に、私の鼻と師匠(せんせい)の眉間を触手で吊り上げて嫌がらせまでしてきた。殺す。

 

「確かに彼女は暗殺者としては恐るるに足りません。クソです」

「誰がクソだあ!!」

 

 その上で暗殺対象(ターゲット)直々のお墨付きまで添えてきた。マジで何しに来たのよこのタコ!

 

「ですが…彼女という暗殺者だからこそ、この教室に適任なのです」

「…!」

「ほぅ」

 

 

「殺し比べてみれば分かりますよ。彼女と貴方、どちらがより優れた暗殺者なのかね」

 

 

 

 

 

 

 殺せんせーが二人の間に割って入ったのを見て、私は事の結末を悟りました。

 普段から頼りなくて女性とお金にだらしない殺せんせーですが、こと教育にかけては手を抜きません。私が細心の注意を払ってメイド業務をこなすのと同じく、彼にとっては教育と暗殺こそが聖域なのです。

 

 大方あのロブロさんを納得させる方法でも考えているのだろうと当たりを付け、用事もなくなったのでこの場を離れようとしました。

 

 しかしそこで、既に帰宅している筈の級友の声が聞こえてきたのです。

 

 

「ん、何だ? もう下校の時刻はとっくに過ぎているぞ」

「忘れ物でしょうか」

 

 

 その声は段々と校舎に近づいてきました。しかも引き返してきたのは一人二人の話ではなく、もっと多くの――ッ!

 

 

「やれやれ。親御さんも心配するでしょうし早く帰らせねば……空さん?」

「どうかしたのか」

 

「何で、ここに…ッ」

 

 

 この場で中立な教師二人が私に声をかけてきました。ですが普段ならともかく、今それに返事するほどの余裕が私にはありません。

 

 なぜなら――超高校級の才能を駆使して感覚を辿った先に、クラスメイト達に混じって本来この校舎にいる筈のない人物の気配を捉えたからです。

 しかもそれが私にとって大事な人ともなれば、脇目も振らずに駆け出すのは至極当たり前の行動と言えよう。

 

 

「待て空さん! 一体どうしたというのだ!」

「こらっ、廊下を走ってはいけません! ……って、なんだか初めて教師らしいことを空さんに言えた気がします」

「言ってる場合か!?」

 

 

 急ぎ、走る。そのスピードは出遅れたとはいえ烏間先生たちをあっという間に置き去りにし、気配があった場所まで矢のように飛んでいきました。そして行く先にいた生徒達の集団を視界に収めます。

 

 

「あ、空――って、(はや)ぁっ!」

「どうしたの凄い焦って」

 

(杉野さん、渚さん。それから――)

 

 

――居た。集団を形成していた内の一人に、彼女(・・)の姿があった。

 

 皆がこの学校の制服に袖を通す中、キッチンウエストエプロンを巻き付けたワンピース型のメイド服に、レースをあしらったカチューシャ、そしてリボンといった衣装に身を包んだ少女こそ、私がここに来た目的そのものであった。

 

 

 

「………空?

 

「ッ――、」

 

 

 

 離れて暮らすようになってからも、会話自体は何度も重ねていた。電話越しに声を聴くだけで寂寥の念に襲われ、帰りたいと思うことも一度や二度じゃなかった。

 

 だって、ずっと二人で生きてきたんだから。

 

 前世の記憶を取り戻したからと言って嫌いになる訳じゃない。むしろ彼女(・・)の記憶の一部を有してからは以前より更に身近に感じるようになった。

 

 それでも……自分の気持ちを押し殺してでも優しい巣の外に飛び出した以上は、もう引き返すことなど出来ない。そうしないと姉さんを救えないのが分かってるから。

 何度忠告してもあの男(・・・)から離れないため一方的に怒鳴りつけ、時には口論にもなり、話が平行線のまま逢えない時間だけが過ぎていった。

 

 

 しかし今日。今までずっと遠ざけていた――いつかは向き合わないといけないし、本音では待ち焦がれていた――再会が突如実現したのだ。

 

 

「こうして直接会うのも久しぶりですね……姉さん(・・・)

 

「空ぁっ!!」

 

 

 躊躇いがちに顔を俯かせていたのが、私の一声で堪え切れなくなったのか途端に破顔し、数か月間空けていた距離を一気に埋めてきた。

 ああもう、こんなに涙なんか流して。後でクリーニング代を請求しますからね。

 

 

「ごめんねっ、あの時酷いこと言って。空は頑張ってるのに私が余計なことを言っちゃったせいで」

 

「もう何度も聞きました。それについては気にしてないと何回も言ったはずですが」

 

 

 感極まってるところ申し訳ないんですけど、早く用件を言ってくれませんか。クラスメイトの前で姉と抱擁するのって恥ずかしいどころの話じゃありませんよ。

 ほら、カルマさんが変な噂を広めてしまう前に離れてください。一応貴女、結構な有名人なんですからね?

 

 

「それよりどうして此処に。今更顔を出せたのには何か訳があるんですよね」

 

「うう…空が冷たいよぉ。その通りなんだけど」

 

 

 いいから早く。私に会うのを怖がってた姉さんを突き動かす要因なんて、ほぼほぼ希望ヶ峰関係の厄ネタしか有り得ないじゃないですか。

 もしかしたら姉さんを通して黒幕側の動向を追えるかも…。

 そう期待する私でしたが、まさかその予想を上回る衝撃のセリフが飛び出すなど、この時は思いもしませんでした。

 

 

「怖かったよね空。もう大丈夫だよ、お姉ちゃんが助けに来たから」

 

「……は?」

 

「たった一人の家族だもん。大切な妹が月を破壊するような危険人物なんかと同じ教室にいると知って、黙っていられる訳ないよ」

 

『―――!!』

 

 

 偶然その事を知って、居ても立っても居られなかったんだ……そう語る姉さんに気の利いた反応を返すことが出来ません。周りで見ていたクラスメイトも今の発言を聞いて、皆さん唖然としています。

 

 それもその筈。殺せんせーに関する情報は全て国家機密だと烏間先生がこれまで何度も念押ししており、例え家族だろうと打ち明けることが出来ないでいます。

 勿論私が姉さんに殺せんせーの事を漏らす筈ないので、そもそも心配で駆けつけるという事自体が異常なのです。

 

 故に何処でそれを知ったのか、誰かにこの事を話してないか訊こうとしたところで――

 

 

「姉さん、それを誰にm「ねえ空」

 

 

――私の言葉を、遮った。 

 

 空気が、ギチギチと重くなる。

 

 

 

「貴女にこんな危険なことをさせているのは、誰?」

 

 

「ヒッ…!」

 

 

短い悲鳴が誰かの口から漏れる。否、その人だけではありません。

 

ギチギチギチギチと……まるで空間そのものが悲鳴を上げているようでした。

 

 

 

「脅されてるんだとしたら尚更教えて欲しいな? せめて貴女だけでも逃がしt」

 

「全員無事か!? なんだこの重苦しい気配は!」

「あっ――烏間先生!」

 

 

 まさに間一髪でした。無意識に溢れ出た殺気(・・)が生徒達の心を決壊させる前に烏間先生が到着し、それを見て明らかに皆の表情が良くなります。

 

 

「烏間、先生(・・)…?」ピクッ

 

 

 

 でもそれは、怒りの矛先を向ける相手を探していた姉の防波堤になることを意味する。

 

 

 

 

 

お ま え か

 

 

 

 

 

 中途半端な情報しか持ってなかった姉は、あろう事か烏間先生を(くだん)の月爆破の犯人と早合点してしまった。

 頭に血が上り、普段の冷静な判断が出来なくなった『超高校級のメイド』が次にする事。それは例えば妹を背に守ることだったり……目の前の脅威の排除であったり。

 

 

 

「烏間先生っ、避けてえッ!!」

 

 

「君はッ――平良茜!」

 

「あはッ! もう遅いんですよ♪」

 

 

 

 それは前世で〖殺戮人形兵器(モノクマ)〗3体を素手でブッ毀損(こわ)した女の一撃だった。本来人に尽くすべきメイドの技量が、この時だけは目の前の()を屠るために振るわれれたのだ。

 咄嗟にガードした腕は身体ごと弾き飛ばされ、接触の余波が近くの木々を揺らし、その威力は衝撃を可視化させた…!

 

 

 

ドゴッッ、ドオォォッ――ン!!!

 

 

 

 





 【平良茜】(メイドのすがた)

DRA一作目(ダンガンロンパアナザー)におけるメインヒロイン。才能は【超高校級のメイド】

 不健全なことを除いたメイド業務で常に最高評価を受けており、その性格や容姿も相まって務めた先々で神格化されている凄腕メイド。
 コロシアイ生活には当初から否定的で、それを強いるモノクマや団結を乱す一部の仲間には強く当たることも。よく言えば優しい仲間思い、悪く言えば感情的。
 高校生になるまで学校に行ったことが無く知識に乏しいが、裁判中の様子から地頭は悪くないと思われる。
主人公である【前田勇気】に友好的で、彼が周囲から疑われピンチに陥った際には強い言葉で鼓舞し、心の支えとなるが……


 ストックが尽きたので、毎日投稿はこれにて終了です。
 続きは気長にお待ちください。

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