人を〇すと処刑されるデスゲームから、謎の超生物を暗殺する学園コメディに転生した件   作:暦月

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 注意:タイトルが「〇〇の時間」でない時はダンロン側の話――ネタバレや独自解釈――を多く含みます。




chapter1.【超高校級のメイド】

 

 

 3年E組残留を懸けた暗殺勝負は、先ず弟子二人の作戦が上手く嵌まり平良茜とロブロを分断させることに成功した。

 空達には対殺せんせー用に魔改造された校舎というアドバンテージがあるが、相手は暗殺とメイドそれぞれの道において二人の先を行く実力者だ。知識は言うに及ばず、こうした状況をどうにかしてきた実績と経験がある。

 

 だからこそ4人が密集して想定外の事態に…なんて事はなるべく避けたい。

 

 自分達のフィールドに引き込み、終始優位な状況を作り続ける。メイド組と大人組に分かれて対峙した後は各個撃破を狙っていき、()()方が(・・)先に(・・)片付い(・・・)たら(・・)そのまま合流して勝負に勝つというのが当初のシナリオである。

 

 そしてその目論見は今のところ順調に遂行されていた。

 

 

 

「はぁ…はあっ…!」

 

 入口に近い教室の中では、空が作った仕掛けにロブロが翻弄されていた。天井からは槍が降り、避けた先に粘着性のトリモチが待ち構えていたかと思えば横から散弾銃を浴びせられる始末。

 

正直こうなることを見越して徹底的に仕込まれた〝予想暗殺プラン対処法〟なる平良茜の教えがなければ最初の一手目で詰んでいただろう。

自分から提案した今回のチーム暗殺、どうやら当初想像していた以上に暗殺組とメイド組とで差があったらしい。

 

(相手の実力を見誤った上にこの体たらく…! 歳は取りたくないものだ)

 

 罠を用いた暗殺の成否は、準備の段階で9割が決まると言っても過言ではない。ターゲットの思考や行動パターンを網羅するのなんて当たり前。

 プロはそこから緻密に計算を重ね、時には過去の経験を活かしながら不安要素を一つずつ潰していく過程で腕が問われるのだ。

 

 故に恙無く進行していると言ったが、それはあくまで空視点の話であり暗殺という本来の領分になれば見方も変わってくる。

 

 何故ならこの仕掛けは対殺せんせー用であって、昨日急遽に対戦が決まったロブロを想定した造りになっていないからだ。一番の違いは間違いなく体の構造だが、その他にも両者は得手不得手が異なっており、そのギャップがこの狭い密室で逃げ回れる二つ目の隙を生じさせていた。

 

「これが、ゼェ……メイドを極める者の技術か。ゼェ、ハァ……惜しいな、これで暗殺の何たるかを理解していれば…すぐにプロとして殺っていけるのだが」

 

ロブロの身体には細かい(きず)こそあるものの、どれも致命傷とは程遠い。殺せんせーの教え通りに第二、三の刃を研いだまでは良いが、それに気を取られて一撃目を疎かにしたのは失敗だった。

姉の介入によるお陰とはいえ、それを見越して仕掛けを組み立てなかったのは見通しが甘いと言わざるを得ない。

 

(もしくはあの少女にとって此方の決着など二の次でしかないのか…)

 

 恐らく後者であろうなと何となしに直感する。

 空が姉の茜に対して並々ならぬ思いを抱えているのは見ていて気付いたし、実力的にもそれが妥当であるのはこの場に居ずとも思い知らされた。

 

師匠(せんせい)…」

 

「それに比べてお前は何をしている馬鹿弟子。確かにお前には不意打ち以外のスキルを教えていないが、これだけお膳立てされて老兵一人仕留められないのでは喩え勝ったとしても俺は認めんぞ」

 

 最初っから空の腕()疑ってない。ロブロが物申したいのは元より不出来な弟子の方なのだから。

 

「教え子におんぶに抱っことは本職(プロ)の矜持はないのか」

「スイッチを入れるだけならお前でなくても良いし、それで尚粘られるとはどういう事だ」

 

 迫りくる罠の群れに対して紙一重の回避を続ける様は殺し屋というよりもアクション映画のソレだった。一般人が想像するような正面きっての近接戦闘など、本来であれば作戦が上手く行かなかった時の最終プランで使われるかどうか。

 最早そうなった時点で暗殺者としては二流も二流だが、その万が一に備えていたからこそ現役を退いて尚ギリギリで身体が反応してくれるのだ。

 

「仕掛けの山を見れば分かるぞ。あの生徒は最初(ハナ)からお前に期待などしていない。一見頼っているように見えるのも自分が尻拭いする前提で考えているからだ」

 

「ッ――、」

 

「もう一度言うぞイリーナ。お前に教師は向いていない。早くこの仕事を降りて次の暗殺の妨げにだけは為るな」

 

 

 

 

 一方……その空がいる教室では此方も目論見通り平良茜を相手に優勢を誇っていた。

 

「わっ――と、危なっ!?」

 

「そういう台詞はもっと緊迫した場面で言ってくれませんか。さっきから普通に躱しておいて白々しい」

 

 尤も……順調なのは二手に分断した所までで、そこから先は最初のアドバンテージを保つので精一杯だった。

 だがそれすらも平良茜が何故か反撃してこないゆえ成り立っているに過ぎず、殺せんせーや烏間のような分かる人が見れば空に余裕がないことは一目瞭然だろう。

 

「どうして奪った武器を使わないのですか。私を舐めてるんですかッ」

 

 その証拠に、空の攻撃を毎回紙一重で避けている割には、プロの仕事が施されたメイド服に掠った痕跡の一つすら付いていない。戦う意思も見せず逃げ回る様子と合わせて、それが余計に空の神経を逆撫でた。

 

 

「何でって…それはまあ私がお姉ちゃんだからだよ。玩具とはいえ可愛い妹に刃を向けたくないしね」

 

 

 対殺せんせー用の特殊ナイフを指で弄びながら判然としない顔を作る。

 

「とは言え私が攻撃に回ったら空を襲わなくちゃいけないんでしょ? はあ、憂鬱だよぉ」

 

 ギリッと硬いモノを嚙む音が空の口から洩れる。

 

 ここにいるのはコロシアイを生き抜いてきた【メイド】でも、それを仕組んだ【黒幕】でもなく、況してやその両方の記憶を持った【主人公】でもない。

 故に彼女達が見せたことない激情を滾らせることだってあるし、それを為す元凶に怒りの矛先が向くのも致し方ないことであった。

 

「……そう。ならずっと思い上がってればいい。どうせ姉さんの攻撃なんて回ってこないんだから」

 

「へえ…」

 

 明鏡止水。頭に血が上るのを才能という名の理性で押さえつけた空は一度大きな深呼吸を挟むと、そこからゆっくり顔を上げて照準を再び標的へと合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはロブロさんの提案に姉さんを含めた全員が合意して直ぐのこと。全く予期していない所から急に退学間際まで追い込まれた私は、イリーナ先生を連れて早足にその場を去りました。

 

「ちょっと大丈夫?」

 

「心配いりません。久しぶりに姉さんの過保護が発動しただけなので」

 

 イリーナ先生の師匠であるロブロさんが現れたことに始まり、姉さんまで押し掛けて来たかと思えば殺せんせー暗殺を賭けてチーム暗殺を行うことになった先の一件を思い出し、単なる頭痛とは異なる痛みに眉間を押さえた。

 

「今回のチーム暗殺ですが、決まった以上は仕方ありません。チップを置いたからには全力で勝ちに行きますよ」

 

「ええ、そうね……」

 

色々誤算こそありましたが、姉さんを打倒するという当初の目的は変わっていません。

ただやはり【超高校級のメイド】を扱い切れない内に勝負の場が設けられるのは想定外でした。

果たして今の私で姉さんに――【空】の根源(オリジン)たる平良茜に敵うのか…。

 

「……作戦を立てる前にもう一度ルールの確認から行いましょう。反則負けは無いにしてもペナルティからの負け筋はそれこそ無数に考えれるでしょうしね」

 

 

 

 

規則(ルール)①:2チームは攻撃側と防衛側に分かれて暗殺し、攻撃側が失敗した時点で攻守が入れ替わる。

 

 

規則(ルール)②:武器は色を付けて攻撃が当たったと分かる物であれば何でも可。殺せんせーと烏間先生の両名から致命傷と認められれば暗殺成功。

※ただし、実際に大怪我を負わせたらその時点で失格となる。

 

 

規則(ルール)③:攻撃側は「暗殺開始」と宣言し、そこから一分以内に相手チームを全滅させたら勝利(クリア)。一人残るか、または制限時間を過ぎても失敗扱いになるのでご注意を。

 

 

規則(ルール)④:防衛側も相手を撃破できる。攻撃側が致命傷を負っても同様に死亡扱いとなるため、そのフェーズでの攻撃には参加できなくなる。

 

 

 

と、ここまではチーム暗殺と聞いて最初に思い浮かんだ内容そのままだ。ルールが多くて複雑そうに見えますが、要は野球と同じです。

攻撃側は点を取ったら勝ち。守備は(アウト)でもなんでも守り抜き、攻撃に回せば防衛成功といった感じです。

 

「ねえ、本当に出来ると思う? 1分であの二人を暗殺するなんて」

 

「出来るかじゃない、()るんです。そのために追加条件(ハンデ)を捥ぎ取ったんですから」

 

 そう。今となっては可能かどうかを論じても意味などないのだ。既に賽は投げられた。これを吉とするか凶とするかはこれからの準備に掛かってる。

 

 

 

規則(ルール)⑤:メイド組は暗殺組への直接攻撃を禁ずる。準備した仕掛けをパートナーが操作する分には問題なし。

 

 

規則(ルール)⑥:平良茜は残り10秒になるまで髪紐を(ほど)いてはいけない。破った場合はその時点で失格とする。

 

 

 

 

 私が付け加えたのはこの2つだけ。本当はもっと厳格にルールを定めるべきなのでしょうが、あんまり弄ると後で突っつかれるため必要最低限に自重しておいた。

 

「⑤は改造した校舎を使うってことで良いのよね。だけど⑥は何なのコレ。こんなのが縛りになるわけ?」

「なります。むしろ本命はこっちです」

 

 イリーナ先生の疑問は尤もでしょう。普通なら無意味とも思える一文。ですが相手が平良茜だからこそ多大な効果を発揮してくれるのです。

 

「先生は“ルーティン”をご存知でしょうか」

 

 

routine.日本語で日課や慣例とも訳されますが、一般的には決まった所作や動作を繰り返すことで知られています。これにより平時と同じ感覚を体が覚えていて、緊張下でもリズムを保てるのだとか。

 

 

「馬鹿にしないで。暗殺に限らずプロの世界では常識よ。集中を高めてパフォーマンスを維持するのに重要な……てまさか」

 

【平良茜】の記憶を持っているからこそ分かる、姉さんの明確な弱点。ゲームでは明かされなかった裏事情ですが、私の持つ前世の記憶からそれを補うことが出来ます。

 

「ええ。と言っても姉さんの場合は“己に課した枷を外す”感じなので厳密には異なりますけどね」

 

「枷…?」

 

 ここで話を進める前に、一度原作の流れを振り返ってみましょうか。今度は物語の根幹にも関わる『本編』の事情も踏まえながらという事で。

 

 

「簡単なことです。与えられた仕事が(・・・・・・・・)上手く(・・・)行き過ぎ(・・・・)ない(・・)ように(・・・)敢えて(・・・)才能(・・)()封じ(・・)()いる(・・)んですよ。あの人は」

 

 

 

 先ず導入としては、全国に散らばる超高校級の生徒達が希望ヶ峰学園に集められるところから全ては始まります。

 

 各分野において極めて優秀な才能を持つ彼等はそこで3年間を学び、切磋琢磨しあい、育んだ〝希望〟で社会に貢献することが求められてきました。

 ですが、そんな彼らに絶望が襲い掛かります。

 入学式を迎えたと思ったら学園に閉じ込められ、外へ出るにはコロシアイをして生き延びろと脅されたのです。

 

 当然そんな事を言われた生徒達は勿論反発して最初は団結しますが、誰が命を狙っているかも分からない。

 標的にされなかったとしても犯人(クロ)が誰かを突き止めなければ纏めて処刑されてしまうという極限状態の中、次第に疑心暗鬼になっていくというのが大まかな流れになる。

 

 そして、そんな彼等を嘲笑うかのように物語の終盤で実は学園生活を送っていた頃の記憶が消されていることを黒幕から告げられるのです。

 

 そう。お互い初対面だと思っていたのが本当は一年を共に過ごしてきたクラスメイトで、中には親友と呼べるまでに絆を深めた者同士で殺し合うように仕組まれていたのです。

 

 

「先生も感じましたよね。あの人が髪紐を解こうとした一瞬の、胸が締め付けられるような殺気を」

 

 

【平良茜】――つまりは姉さんもそこに居た訳ですが、しかし作中での扱いはハッキリ言ってあまり良いものではありませんでした。

 コロシアイの時の彼女は良くも悪くも感情的。メイドらしく献身的な一面を見せることもありますが、嫌味を言うクラスメイトに突っ掛かっては何度も返り討ちに遭っています。

 殺しの標的にされた時は分かりやすく慌て、犯人だと疑われてからはみっともなく足搔き、言い訳する。その後、真犯人が自分を庇って被害者に止めを刺した親友だと分かった際には無様に助命を願い出ましたがそれも叶わず。

 

 最終的に親友の死と仲間の一人からの『犯罪者』呼びに一度は心が壊れ、塞ぎ込む様子からはヒロインとしての面影など微塵も感じられませんでした。

 

 ですが、そんな彼女こそコロシアイを仕組んだ黒幕の一人だったのです。

 

 今語った言動は全て、彼女自身が作り上げた偽りの姿に過ぎません。クラスメイトだけでなく自分達にも記憶消去装置を使った黒幕は別の人格にコロシアイを挑ませ、時が来れば元に戻るように細工を施していたのです。

 

 

「つまりアレが本当の姉さん――真の(・・)『超高校級のメイド』平良茜です」

 

 

 

 話は逸れますが、一口に超高校級と言っても練度に差があるのはご存じでしょうか。

 読んで字のごとく“高校生にしては”抜きん出ているものから、果ては世界という壮大な括りで頂点に至っているものまで様々です。

 

 例えば【超高校級の写真家】なんかは若くして様々な賞を受賞し、その将来を有望視されるなど分かりやすく肩書きに恥じない功績を残しています。

 ですがどんな動物でも手懐け、絶滅危惧種の繁殖はおろか動物と会話まで出来るとされる【超高校級の飼育委員】と比べると差の開きは否めません。

 別にどちらの方が上だとか優劣を論じたい訳ではありませんが、同じ超高校級でも練度は一律でないとだけ予め断っておきます。

 

 そして私達が持つ【超高校級のメイド】は数ある才能の中でも破格の性能を有しているのです。

 

 

「才能を封じるって……どうしてそんな事を」

 

「至便は時に人の力を衰退させる。それと同じで過度な施しは受ける当人にとって毒にしかならないという事です」

 

 

 同列に語りたくありませんが、全力の奉仕は常人にとって麻薬と同じです。

 使えば使うほど……望めば望んだ以上の成果を齎してくれる平良茜(メイド)の存在は他の何を以てしても代えがたく、捨て難いものです。

 それこそ磨いてきた技術や、何年もかけて最適化したシステムを腐らせるまでに。

 

 

「【平良茜((わたし))】がまだ駆け出しの未熟だった時の話です。仕事ぶりを見てもらおうとメイドの領分を超えて動いたことがありました」

 

 あの頃は名前も売れておらず、とにかく生きるのに必死でした。子供だからと侮られることも多く、故に依頼を完璧にこなしてリピーターを増やそうと打算が働いた私は、物覚えを良くしようと才能を遺憾なく発揮したのでした。

 

「ですがやり過ぎてしまった。ほぼ全ての業務に着手した結果、メイド抜きには会社の経営が成り立たなくなるまで自力を落としてしまったのです」

 

 

【超高校級のメイド】は立場ではなく概念を具象化したような才能です。【超高校級の家政婦】とは系統が似てますが、あちらが家事や家庭内労働に特化しているのに対し、此方は依頼を遂行するためならあらゆる事象に真価を発揮する万能性(オールマイティ)を有しています。

 

 シリーズこそ違いますが、同作品の本編にも東条斬美という『超高校級のメイド』が登場しているのをご存じでしょうか。

 滅私奉公を掲げる彼女もまたその才能に違わぬ逸話を持っており、建物を占拠した武装集団を一人で制圧した上でおまけに改心させたとか。果てはとある国の総理大臣から国家の立て直しを依頼され、真の総理大臣になって国を動かしていたことが本人の口から語られている。

 

 メイドという職業上、幅の広さ……そして練度は【超高校級の希望】を除く他の才能の追従を許さないほどにかけ離れています。

 

 

「だからこそ〝髪紐を結んでいる間はメイドの力を制限し、あくまでサポートに徹する縛りを設けた〟のです。全ては自分を戒めるために」

 

 

 クラスメイトと過ごした一年間、そしてコロシアイ生活で本来の姿を見せなかったのもこれが理由です。

 

 記憶を失っても【超高校級のメイド】や空ろ様の【天運】が万全の状態で残ってたら、他ならぬ私達自身の手でコロシアイを終えてしまう事も考えられました。

 特に【平良茜】の不幸が招いた2回目の学級裁判なんかは襲撃してきた友利絆を無力化して、殺人そのものが起こらなかった可能性の方が高いです。そんなの、彼等を絶望させたい身からしたらハッキリ言って邪魔でしかありません。

 

 だからそうならない為に黒幕組はそれぞれ自身の才能を弱体化させる方法を取ったというわけです。

 

 

「その割には才覚を認められて希望ヶ峰学園に入学したみたいだけど?」

「超高校級を維持する程度(・・)ならそれで十分ですから。解放率で言うなら精々70%ぐらいだと思いますよ」

 

 

 万全の平良茜を100だとするなら、力を制限した今の姿で70……コロシアイ中は人格が異なっていたこともあって30ぐらいまで落ちていたでしょうか。

 それに対し、私こと平良空は高く見積もっても50ほど。つまりは本来持っている才能の半分しか引き出せていないことになります。

 

(【主人公力(空の力)】と校舎の仕掛け(ホームアドバンテージ)を足してようやく五分といった所でしょうか。出来れば勝算が上回って欲しかったですけど)

 

 本来、私のベースとなった【空】に超高校級の才能は付与されていません。というのも、元々彼女は最後の学級裁判で『卒業』を選ぶだけの役割(アルゴリズム)を持たされた安全装置に過ぎないのですから。

 平良茜の肉体と記憶を真似ても、肝心の才能をプログラミングされてない彼女ではどうやったって【超高校級のメイド】を引き出すことは不可能でした。

 

 ですが、電脳世界のアバターではなく現実の肉体を……それも平良茜と血を分けた私には確かにメイドの才能が宿っていたのです。

 

 

「それでも今の私では本気の姉さんを相手に太刀打ちできません。……才能を扱い切れない未熟な身では尚更」

 

 

 先ずやらないと思うが、最初から全力で来られたら為す術はありません。普通に蹂躙されて終わりです。

 最後の10秒だけという文言は姉さんが納得し、且つギリギリ耐えられそうな時間がそれという話です。正直そこまで行ったら守備はともかく互いの攻撃フェーズには影響しなさそうなので。

 

「…何よッ、貴女で才能が無いならじゃあ私は――」

 

「何か言いましたか?」

「別に。何でもないわよ」

 

 つい話が長くなってしまいました。情報共有も大事ですが、どっちにしろ姉さんの相手は私がするので程々でよかったことに今気づきました。

 

 

 それよりも早く対策を講じないと。姉さんを仕留めるのに一日の猶予など有って無いようなものですからね。

 

 

「ってまた校舎を改造(いじ)る気? 幾ら何でもあのタコを想定した仕掛けにこれ以上は過剰戦力ってもんでしょ」

 

「……訂正が二つ。追加の罠は設置しません。姉さん(真のメイド)相手に死角からの不意打ちなど無意味でしょうしね」

 

「は?」

 

 

 巧妙に隠したところで校舎を一回でも見て回られたら全て(・・)看破(・・)される(・・・)だろうし、そこに時間を割くメリットが無い。暗器等も同じで、装備してもどうせ会った瞬間に見破られて終わりです。

 

 

「それからもう一つ、今回やるのは暗殺ではなく戦闘(・・)です。攻撃の際はくれぐれも巻き込まれないように離れて動くように」

 

「は、はあぁぁぁッ――!?」

 

 

 






 
【平良茜】(メイドのすがた) 更新!


こんにちわ~! 私の名前は平良茜。よろしくね!


呼び方:男性陣「苗字+くん」、女性陣「名前+ちゃん」
    銘苅冷「苗字+呼び捨て」


 DRA一作目(ダンガンロンパアナザー)におけるメインヒロイン。ヒロインの割には主人公以外からの扱いが悪いような…

 才能は【超高校級のメイド】(解放率30%)

 不健全なことを除いたメイド業務で常に最高評価を受けており、その性格や容姿も相まって務めた先々で神格化されている凄腕メイド。
 コロシアイ生活には当初から否定的で、それを強いるモノクマや団結を乱す一部の仲間には強く当たることも。よく言えば優しい仲間思い、悪く言えば感情的。
 生きるのに必死で小学校にすら通ったことが無く、基礎的な知識に乏しい。その事で銘苅に煽られるが、裁判中の様子から地頭は悪くないと思われる。
 主人公である前田勇気に友好的で、彼が周囲から疑われピンチに陥った際には強い言葉で鼓舞し、心の支えとなるが……



 実はコロシアイに参加するべく、本物の【平良茜】によって生み出されたのが彼女である。
 金城剣に問い詰められて本人格が表に出てきた際に存在を塗りつぶされたが、【平良茜】に多大なる影響を及ぼしクラスメイトを救う一因にもなった彼女の功績は計り知れない。これも【天運】の思し召しなのか…。

 作者の考察で、両親と死別せず【空ろ】にも出会わなかった世界線の【平良茜】が実は彼女なのではないかと予想した。

 なので赤ん坊のころから一緒だった空にだけこの態度で接する。空の強気な性格と相まって、妹にバリクソ弱い。

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