星間企業の成り上がり   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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宣戦布告

 戦車とロボットばかりで航空戦力や海上戦力が全く話題に上がらないのはそもそも海が周囲に無いからであることと、航空戦力は宇宙空間を飛び回れる技術が確立されていることで、重力下の飛行機の技術が衰退してしまった事に由来する

 

 勿論あるところにはあるのだが、AJ社には飛行車が普及している為と、そもそも飛行機を操れる専門教育を受けたパイロットが存在しない為、AJ社は航空戦力を保有していない

 

 ケッセルもこの部分は問題だと理解していたが、超電磁砲やレーザー銃等が一般的になってしまっている為、低空でないと空を飛ぶ外敵と間違えられて、撃ち落とされる危険性もある

 

 まぁ航空戦力は便利よりも他のコロニーとの摩擦を優先するが故に造れないのだ

 

 

 

 

 

「新人、どうだ慣れてきたか?」

 

『まだまだですよ···シミュレーターとはやっぱり違いますね』

 

『難しいです』

 

『最初よりは動けるようになりましたが』

 

 戦車の小隊長を務めるラム·サナダは新人達に問いかけていた

 

 ラム自身もまだ10歳と新人達より1つしか年齢が上でないが、将来の大隊長候補として若輩ながら戦車小隊の隊長を任されている

 

 戦車小隊は3両から4両の戦車から成り立ち、その戦車も1人で操縦できるように設計されているため3名から4名で小隊を動かしていることとなる

 

 人的資源の限りがある為、戦闘人員の省略が進んだ結果である

 

 ワーム型の外敵を狙撃で倒し、今は一息ついているところだ

 

 戦車内の小型冷蔵庫から飲み物を取り出し、無線で部下達とお喋りをしていた

 

『しっかし、大きいですね。10キロ離れていても見えるってビル並みに大きいんじゃないですか?』

 

「だな、外敵の大型はもっと大きいのもゴロゴロ居るからな」

 

『マジっすか。うへぇ、こんなのに近づかれて轢かれたら、この戦車でもひとたまりもないでしょうに』

 

「まぁそうだな」

 

 ラムの言うように速度と攻撃力と居住性にステータスを割り振った戦車なので、防御力は脆い

 

 まぁ外敵なら持ち前の機動力で逃げ切れるのだが···

 

『そう言えばラム隊長って三つ子って聞きましたが』

 

「あぁ、機械が間違えて生育機に同じ親の卵子を複数個投入してしまうエラーで同じ生育機で育ったからな」

 

『仲良いんですか?』

 

「まーな、得意分野がぜんぜん違うがな。上はクズハさんにスカウトされて新コロニーの指揮官候補、下はレイ博士の研究室の助手をしているよ」

 

『うわ、隊長含めて姉妹全員が出世株じゃないですか』

 

「まぁ姉妹だと私達の下にも同じ血統の子は居るだろうけど···どうなるんだろうね?」

 

『ご両親には会ったんですか?』

 

「父親はこの前食料プラントって言えば良いのかな? 穀物を育てるビルの管理者の1人だし、母親はショップの店員だったから親が優秀だから〜みたいなのは無いかな? 学生中結構努力したし」

 

『なるほど···やっぱり努力ですか』

 

「努力しか勝たん」

 

 アハハハと通信から流れる

 

「さて、今日の任務も終了したし、帰還するか」

 

『『『了解』』』

 

 着々と次世代が育ちつつあった

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケッセル指揮官、RA社への侵攻計画の立案が完了いたしました」

 

「マノか、見せてくれ」

 

 立案されたのは宣戦布告後、戦車35両による3方面から超電磁砲のアウトレンジ攻撃にてコロニーバリアを破壊、ロボット部隊による攻撃でコロニーバリアが修復する前にRA社の基地を占領して降伏を迫るという至ってシンプルなものである

 

「RA社はこちらの動きにまだ気がついていないようなので、宣戦布告からの電撃的占領を狙います」

 

「一応ガス料金の値下げ交渉を事前に挟む、それが決裂次第宣戦布告とする」

 

「了解しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 RA社との値下げ交渉当日

 

「AJ社のケッセルです」

 

『RA社のミクモです。AJ社さん、今回もガス料金の値下げでしょ目的は』

 

「ええ、今の法外の料金を正常な価格に戻すだけで良いのですが」

 

『あのね、法外って言いますが、ガス資源が欲しいコロニーは山ほどあるんですよ。いくらAJ社さんと言えども1コロニーを優遇するわけにはいけませんよ』

 

「しかし、今の値段はあまりに高いし、各コロニーにもこの値段で販売しているというのなら相当な暴利を得ていると思われますが?」

 

『酷い言い方ですね。利益を追求して何が悪いんですか? うちは慈善企業じゃないんですよ』

 

「聞くところによるとヤマオカからも警告が行われている筈ですが?」

 

『地上軍が弱体化したヤマオカの警告等無意味ですし、それを理由に宇宙空間から砲撃をしたら、ヤマオカの信頼は失墜する。今利益をあげないでいつ利益を上げるんですか?』

 

「なるほどなるほど···いや、実はこっちにもヤマオカから話が来ていましてね···」

 

『はい?』

 

「AJ社は24時間以内にRA社に懲罰行動を開始します。ヤマオカ公認でね。あぁ、他のコロニーも賛同してくださいましたよ。RA社への条件は首脳陣の退任、ガス利権の放棄、コロニーの統治権利をヤマオカに譲渡し、ヤマオカの子会社となることです」

 

『···はっ! 何を言い出すかと思えば···工業化できていないAJ社にそんな依頼をするヤマオカも愚かだし、それを受けたAJ社も愚かですね。防衛協定時に相互の戦力情報を共有していたのはお忘れか? ···まぁ良いでしょう。そちらの侵攻を捌き切ったら逆侵攻して占領してあげますよ。そちらのコロニーをヤマオカに渡すことでヤマオカには機嫌を伺いますかね』

 

「『宣戦布告ですよ』」

 

 こうしてAJ社とRA社の戦争が始まるのだった

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