星間企業の成り上がり   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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RA社の意地

「さぁ急げ急げ! カーニバルの始まりだよ!」

 

 今回作戦の現場指揮を担当するハンナ・ラウターバッハは自身が扱うロボットを指揮官使用に改良し、ウーパールーパーみたいに顔面からアンテナが幾つも飛び出ていた

 

 作戦名は【紅の三日月】であり、紅は血を、三日月は半円を描くように部隊を配置したためにこうなった

 

 大型機械化兵(ロボットに搭乗した兵士達)35機

 

 戦車35両

 

 前線整備兵20名

 

 衛生兵10名

 

 ···合計100名

 

 全兵員のうち3分の2が投入された本作戦はケッセルが宣戦布告後直ぐに開始された

 

「まず障害となるのはRA社の防衛施設だな」

 

 ワルキューレが暴れている頃に突貫で作られた出城のような施設で、自動タレットが複数個連結して置かれ、近づく敵を穴だらけにさせ、本隊が到着する時間を稼ぐ役割であることが推測される

 

「盾部隊前進」

 

 大きな盾を構えるロボットが前進を開始する

 

 超電磁砲では貫通力が高すぎて、拠点の攻略に時間がかかると判断し、盾の後ろに隠れながら、別の武器を装備する大型機械化兵が拠点攻略を任された

 

 自動化された兵器はEMP兵器(電磁パルス兵器)に極端に弱い

 

 人が操縦している場合手動操作に切り替えることで戦闘を継続することができるが、無人兵器ではその切り替えシステムごとダウンするので簡単に無力化することができてしまう

 

 なので味方ロボットから発射されたEMP砲弾が拠点に複数個投入されると、簡単に無力化することに成功する

 

 防衛線が瓦解し、大穴が空いた為にそこから機動力を活かした浸透を行っていく

 

『進行方向より敵部隊接近』

 

「各自の判断で攻撃を開始せよ!」

 

 とハンナが言うと待ってましたとばかりにシエラの戦車が敵のロボット兵器を超電磁砲で吹き飛ばして勢いづく

 

 超電磁砲は防御不可能な兵器ではないのだが、超長距離から放たれた場合、自動防御システムを搭載していないか、そもそもの防御力が高くないと簡単に撃墜されるリスクがある

 

 今回は初見殺しが見事にRA社の大型機械化兵の各所に超電磁砲から放たれた徹甲弾が突き刺さり、大爆発を起こしながら次々に機械化兵は内部の兵士は肉塊に、平時は畏怖を放っていた機械化兵の操る大型ロボットはガラクタにジョブチェンジしていく

 

「戦争で死にたくないものだな」

 

 ハンナはそう呟いたが、司令部にいるマノ隊長からの指示に従い、部隊を運用いしていく

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで2機!」

 

 大型機械化兵ことロボットを操るミルクラインは愛用しているハルバードと両肩に装着されたロケット砲を巧みに使い、敵の機械化兵を2機も倒していた

 

『おいおいミルクライン、喰いすぎだよ。私ら暇になっちゃったじゃん』

 

『そうだよ! やっぱり数が少なすぎるよね!』

 

「わるいねぇメビウスにイブ、私あと3機撃墜で本当のエースになれるからねぇ」

 

『良いなぁミルクライン、外敵を倒してもエースになれるけど、やっぱり人を倒してこそ本当のエースだよねぇ』

 

『まあ後は消化試合だろ。もうRA社の戦闘員も殆ど居ないらしいし』

 

 そう言っているとRA社のコロニーが目視できる距離まで近づけた

 

「···メビウス、消化試合は訂正かもしれないよ」

 

 コロニーからジャンク品を集めて作られたとしか思えない戦車が出てきた

 

 むき出しの配線、左右非対称のフォルム、旧式の無限軌道式···

 

『へっ骨董品を出してきたぞRA社の連中! あれなら私でもやれる!』

 

 そう息巻いて機械化兵の新兵達が突撃していくが、歴戦のメンバーは底しれない不安感に襲われる

 

 既に状況は詰みである

 

 そんな状況下で出てきたということは死兵である

 

「直ぐに突撃をやめさせろ! 遠距離から叩く!」

 

『何を言ってるんですかミルクラインさ···』

 

 動き出した骨董品が放った砲弾が新兵の操っていたコックピットを正確に貫き、ロボットに赤い薔薇が咲き、膝から崩れ落ちた

 

「ジェリノ!」

 

 そう言いながら私は操作桿を思いっきり倒す

 

 間一髪砲弾が横を通り過ぎる

 

「ちぃ! 最後の最後にヤベーのがでてきやがった! ハンナ! 聞こえるか」

 

『こちらハンナ、ジェリノが殺られたのは確認した』

 

「新兵が狩られる! 直ぐに部隊を後退する指示をだせ!」

 

『了解した』

 

 しかし、この僅かな間に新兵の機械化兵に次々とコックピットに砲弾が直撃する

 

「効かぬわぁ!」

 

 ガキンとハルバードで砲弾を受け流し、ミルクラインの操るロボットはホバリングを駆使して距離を詰める

 

 戦車も移動を開始し、高速で砲弾を放ってくる

 

「ちぃ! 魔眼でも持ってるのか! RA社の切り札かよ!」

 

 ガンガンガンと砲弾をハルバードで防ぐが、ハルバードも連続の砲撃に悲鳴をあげている

 

「ちっ!」

 

 近くに転がっている新兵の操っていたロボットを盾にし、落ちていた大型小銃で牽制する

 

 機関銃の様に弾をばらまいているが、当たる気配がない

 

「どんだけだよ」

 

 ミルクラインが苦戦する合間にも新兵が次々に肉塊へと姿を変えていく

 

「戦車部隊砲撃支援を要請する!」

 

『戦車部隊! 移動目標のロックオンが不規則な動き過ぎてできない!』

 

「使えねぇな!」

 

『ミルクライン、こちらシエラ、30秒耐えろ、それでカタをつける』

 

 シエラはAJ社最強の戦車兵であるし、ミルクライン達がロボットに転換してもなお戦車でそれ以上の戦果を上げてきた化け物である

 

 その彼女が30秒で決めると言ったのだ

 

「シエラ任せるぞ」

 

 盾にしていたロボットがバチバチと嫌な音がし始めたらので、蹴り飛ばして、一気に加速する

 

「こっちだって機動力には自信があるんだよ!」

 

 動きを止めないようにしながら、両肩のミサイルと手持ちの小銃で牽制しながら煙幕を発生させ回避に専念する

 

「20.21.22」

 

 砲弾が右肩のランチャーに直撃し、右肩から下が吹き飛ぶ

 

「28.29」

 

 体勢を崩しながらも、側転しながら吹き出すエアを調整して転倒を防ぎ、シエラの支援を待つ

 

 すると光の線が骨董品の左前の転輪を撃ち抜いた

 

 キャタピラが外れ、行動不能になるが、なおも砲塔を動かし攻撃の構えを取るが、砲身に超電磁砲の砲弾が直撃し、砲身がバキッと折れ、それが車体に突き刺さった

 

 それっきり骨董品の戦車は動かなくなった

 

「···ちっ、5人も喰われた」

 

『ミルクライン大丈夫か?』

 

「メビウス、新兵が5人も殺られた。私のロボットも右腕が吹き飛ばされた」

 

『マジか』

 

『ミルクライン生きてる?』

 

「イブ! 生きてるけど屈辱だよ。仲間を無茶苦茶にされてな!」

 

『こっちはRA社のコロニーの占領に成功した。社長は自決、幹部は脱出しようとしたところに流れ弾が直撃して全滅、暫定の代表が降伏をしたわ』

 

「···作戦終了か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~やられてもうたなぁ···」

 

 RA社の防衛隊に所属していた新兵のアスカ・スドウは友達が自作した戦車もどきを操り、機械化兵5機撃墜、3機大破の戦果を上げていた

 

「まっさか先輩方が何もできずに死ぬとは思わなかったし、私自身がこんなに活躍できるんだも思わんかったなぁ」

 

 壊れた戦車の上に白旗を掲げて不味いレーションを食べる

 

「ずいぶんとふてぶてしい奴だな」

 

「お? AJ社の奴か? 酷いやないか〜防衛協定を結んでいた相手を攻撃するやなんて」

 

「防衛協定もRA社側から切られたし、そっちが調子に乗って他のコロニーを占領して悪用してたのが悪いんじゃないか?」

 

「酷いなぁ、悪用ちゃうよ。リサイクルや。血で多少汚れていても儲けられるなら腐肉も貪るんがうちの会社のやり方やがな。うーん、自分でいっておいて腐っとるな」

 

「···私はミルクライン、ロボットの右腕をあんたに吹き飛ばされた者だよ」

 

「回避が目茶苦茶上手くてビビったわ。私はアスカ・スドウ。アスカやで〜···で? うちはどうなるん?」

 

「私には決定権は無い。けど倒しまくったんだからそれなりの罰を受ける覚悟はしといてよ」

 

「ええ〜、私は上の命令に従ったんだけどなぁ」

 

「命令無視して突撃したって聞いたけど?」

 

「あら、バレてた···RA社はどうなるん?」

 

「ヤマオカに吸収して子会社化、派遣されてくるヤマオカの役員の指示に従う感じになるんじゃない? 私等はあくまで懲罰をしろってヤマオカに言われた形だし」

 

「ほんほん、じゃあうちと麦茶狂いの友達をそっちで雇ってくれん?」

 

「麦茶狂い?」

 

「このガラクタを作った技師だよ。役に立つと思うで〜」

 

「名前は?」

 

「キュルケー・ピッグマン···自称過激麦茶党やな」

 

 




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