財団調査隊   作:茶漬四郎

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さくらみこの憂鬱

 辺里邸での相談を受けた日からさくらみこは同じ夢を見るようになる。夢の中で彼女はただ1人でコンクリートでできた一本道をひたすら歩き続けているのだ。その先にゴールは見えない。自然と心拍数が上がり、不安が込み上げてくるのと同時に目が覚めるのだ。

「だから最近眠そうなんですね。」と通学路の巡回中にフブキが尋ねる。

「二度寝も昼寝もずっとそんな感じですよ。眠いにえ。」

目をこすりながら見るアスファルトの道がコンクリートのように見えてくる。

「そこまで同じ夢を見るってことは、みこさん、憑かれてんじゃないですか?」ニシシと笑うフブキはイタズラギツネのようだ。

その挑発的な表情にみこは子供のように叫んだ。

「やめてよフブさん!最近何もしなくても勝手にものが動いたりしてみこ怖いんだから!」

フブキはその反応を見てケラケラと笑い、少し考えた。

そして「何かのメッセージでしょうか。」とトーンを下げて話を続ける。

「潜在意識からのメッセージとか、あるいはその光景が誰かの見た最後の風景だったとか。」

「夢占いに100万円かけるわ。どれどれ…道を歩く夢は変化を求めてるだって。」

フブキは思わず吹き出した。

「もう変化を求めてる…。だったらストーカー白上達で捕まえましょ!大丈夫。私たちならできますって、スク水の不審者だって捕まえたじゃないですか。」

町内で発生した不審者事件であり、みこ達が界隈で一目置かれるようになった記念すべくイベントであった。しかし当の本人はトラウマを植え付けられた。

「ただの変態だったなあ…。」みこは遠い目をした。

記念すべき解決したハッピーエンドがオッサンの性癖関係だとは考えたくもなかった。

 

 通学路は下校時刻ということもあり、集団下校や親子連れで帰路につく姿が目立つ。挨拶をしたり手を振ると学童達はにっこりと笑って反応してくる。

それが眩しくもあり、暗い影がみこの心を覆う。

そして忘れてはいけないのが今回彼女達が調べているのは夫人を狙ったストーカーだということだ。

奴の目的は辺里家の育ちの良い人妻なのだ。

突如目の前から見覚えのある顔がパタパタと駆け寄ってくるのが見えた。辺里家の一人娘である。

まるで呼吸を忘れたように一心不乱に駆け寄ってくる彼女を宥めると、息も絶え絶えにストーカーが現れた、とフブキとみこに伝えたのだった。

 

 「そう言えば、最近変な客が来るんですよ。」

伊東は志村に呟いた。先程まで陽の高いうちに飲む酒は美味いと豪語していた。

曰く、コーヒーや紅茶は朝昼晩いつの嗜んでも様になるが、飲酒はそうはいかない。その反動で一層美味くなるのだという。

「その客ね、週末はいつも昼からいるんです。そんで看板ママに話しかけるんですよ。」

伊東の馴染みの店で、志村時々通う。なので情景は想像できた。

よくいる話を聞いて欲しい客層なのだろう。

「俺の第二の人生が始まったっていうんです。でもいつも話のケツを言わんのです。」

「第二の人生ねえ…。転職とかかね。」

「さあ」と伊東は返答した。

「その飲み屋。離婚した人しか集まらんのですよ。」

 

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