財団調査隊   作:茶漬四郎

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スニーキングフブキ

 ストーカーを駆けつけた警察官に引き渡したフブキとみこは、辺里親子を自宅まで送ることにした。

道中、フブキは聞こえないよう注意しながらみこに辺里貴道という男に不信感があることを耳打ちする。クラス会でただ1人、特異的な経歴を持つ人間がいるような感覚だと伝えた。

「フブさんクラス会行ったことあんの。」

「あんまないっすね。」

「マウントよくないよ。」

 

 貴道氏は今日も忙しそうに動いていた。妻子がストーカーに対面してしまったことを知ると流石に顔色を変えてことの経緯を尋ねてきた。そして確保したと知るやいなやトタンに興味が失せてしまったようだ。

「今日、これからガレージの解体作業があるんですよ。今から打ち合わせです。」

「改装したのに壊しちゃうんですか。」フブキが驚きとともに尋ねた。

氏は飄々とした様子で「気に入らないものは壊して、1から作り直します。」と返す。

焦りを感じるように語尾が上がったのを2人は聞き逃さない。視線は窓の外のガレージに向けられており、来客など眼中になかった。

フブキが何気無くその視線の先を追うと、ヘルメットを被った作業員たちが既に集まっていた。そしてその中の1人の姿を見て戦慄する。

背格好、容姿、先ほどのストーカー男だ。

何故奴がいるのか。疑問とともに恐怖が彼女の繊細な細胞から滲み出た。速攻で志村に応援を頼み、悟られないよう感情を切り替える。

「そんなガレージ白上も気になります!壊される前にこの目に焼き付けておきます!」

みこにこの場を任せ、静止する貴道氏を無視し、彼女は飛び出した。

しかしこの時フブキはその場にみこがいなくなっていることを知らなかった。貴道氏はどちらを追うかで悩まなければならなかった。

 

 狐よろしくスニーキングには自信のあるフブキだったが、あっけなく男は彼女の気配に気がついた。彼は緊張感のない声で「よぉお前か。」と一言挨拶がわりに言った。敵対感など微塵も感じられず、計り知れない余裕を感じる。

本来であれば監視しつつ志村班の加勢を待つ手筈であったが、予定が狂ってしまった。

「あの桜餅ちみたいな娘はどうした。」

「…桜餅?」

連想される人物はすぐにわかる。しかしこの場はあえて気づかないふりをすることにした。

「ピンク髪のぽあぽあしてる娘。」

「あー、いますよ。そんなことより連行されたはずでは?」

「バイトがあるから抜けてきた。今は日雇い作業員さ。」

彼は言い切り続ける。

「お前、ファイナルデスティネーションって映画知ってるか。」

「なんですか急に。」

唐突な話題にフブキは戸惑い警戒する。

「日常の些細な行動が大きな事故につながる奴でさ。描写が怖くてな。」

そう言ってフブキをガレージ脇の勝手口へ案内して室内を見るように促す。

「見てくれ。」という言葉に従って恐る恐る中を覗くと、うっすらとガスの匂いが充満しているのがわかった。男はさらに指を差しその先に停車している自動車に注目させた。

「あれ電気自動車でな。」

言い終えるとドアを閉めて一緒にガレージから距離をとった。

「万が一、バッテリーが発火したら俺たちまで解体されちまう。下見に来た時はガスなんてなかったはずなんだ。」

偶発的か、把握していない誰かが仕掛けたのか。作業員一同依頼者の指示があるまで何もできないというのだ。

 

その時室内のセンサーが電子音を立てて反応した。刹那激しい振動が一帯を襲う。ガレージの屋根とシャッターが弾け飛び、粉塵となって宙をまう。鋭い空気の波がフブキを襲い一瞬にして聴覚がやられた。

キーンという耳鳴りが収まってくると近くにいた作業員がめんどくさそうにぼやく。

「あー。やった。爆発した。」

 




EXPOいいよね。
転職して余裕あるし、来年は参加してみようかな。
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